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【芸能コラム】警察官からエイリアン
まで!多彩な役を演じ分ける恒松祐里
の魅力 「もみ消して冬 ~わが家の
問題なかったことに~」『散歩する侵
略者』ほか

 私立中学校を経営する父・泰蔵(中村梅雀)率いる名家・北沢家に降りかかる数々のトラブルを、エリート三兄弟があの手この手で解決していくコメディー「もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~」(日本テレビ系 毎週土曜午後10時放送中)。このドラマで毎回、トラブル解決に悪戦苦闘する三兄弟の末っ子にして、主人公の秀作(山田涼介)にとってはオアシス的な存在となる池江里子を演じているのが恒松祐里だ。
 当初はエリート警察官の秀作がひそかに思いを寄せる部下の女性警察官として登場。紆余(うよ)曲折を経て互いの気持ちが通じ合い、晴れて恋人同士となった。正統派のヒロイン然とした美しさと、とぼけた味わいが共存するそのたたずまいに魅了された視聴者も少なくないだろう。その上、一時は秀作の兄・博文(小澤征悦)ともいい雰囲気になるなど、真面目な秀作を手玉に取る小悪魔的な魅力も発揮してみせた。
 背筋がピンと伸びたその姿から、大河ドラマ「真田丸」(16)での好演を思い出す人もいるに違いない。主人公・真田信繁(堺雅人)の一人娘すえを演じて初々しさを披露。早くに母を亡くし、父とは離れて暮らしながらも、健やかに成長した少女を伸び伸びと演じてみせた。
 これらの作品で初々しさや小悪魔的といった人間味あふれる魅力を披露する一方、全く異なるポテンシャルを発揮したのが、黒沢清監督の『散歩する侵略者』(17)だ。
 人間から“概念”を奪うエイリアンによる水面下の侵略を描いたこの作品で、恒松が演じたのは少女の姿を借りたエイリアン。“概念”を持たないが故に非人間的な振る舞いを見せるエイリアンは、本作に3人登場するが、恒松はそのうち最も凶暴なキャラクターに扮(ふん)した。
 血まみれのセーラー服で車道を悠然と闊歩(かっぽ)するオープニングから既に、不気味な雰囲気が漂う。無邪気な笑みを浮かべながらちゅうちょなく人間の命を奪う姿には、初々しさという言葉からは程遠いすご味があふれている。
 加えて本作ではアクションにも挑戦し、身体能力の高さを証明。バレエの経験を生かしたスピード感のある立ち回りは、凶暴なキャラクターをより強く印象付ける。
 この他、合唱部員の高校生をはつらつと演じた『くちびるに歌を』(14)、髪を金色に染めて屈折した内面を持つ超能力者を演じた『サクラダリセット 前篇/後篇』(17)など、作品ごとに多彩な魅力を発揮している。
 7歳頃から芸能活動を始めた恒松は、今年20歳を迎える若手ながら既に芸歴は10年を越える。今年は映画 『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』が公開され、今後も『虹色デイズ』(7月6日公開)、『3D彼女 リアルガール』(秋公開予定)の公開が予定されている。
 高校生役を脱皮した「もみ消して冬」のように、徐々に大人の魅力を発揮し始めた恒松が、大輪の花を咲かせる時期もそう遠くないはずだ。(井上健一)

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