ラスボス小林幸子がジャズを歌う!三
宅裕司率いる熱海五郎一座『船上のカ
ナリアは陽気な不協和音』製作発表記
者会見レポート

三宅裕司率いる熱海五郎一座が、6月1日より新橋演舞場にて東京喜劇『船上のカナリアは陽気な不協和音 ~ Don't stop singing ~』を上演する。今年のゲスト女優は、「ラスボス」の愛称で幅広い世代にファンをもつ小林幸子。7日には制作発表記者会見が開かれ、三宅、小林のほか、渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之が意気込みを語った。
小林は2009年(伊東四朗一座✕熱海五郎一座合同公演)にも三宅をはじめとした一座のメンバーと共演しており、会見では、はやくも息の合った掛け合いで場を盛り上げた。
5周年記念の豪華エンタメショー
「熱海五郎一座」は、「伊東四朗一座」の“伊東”を“熱海”に、“四朗”を“五郎”に置き換えたもの。東京の喜劇、軽演劇を継承すべく伊東四朗が2004年に旗揚げした「伊東四朗一座」に、伊東が出られない時、三宅が座長をつとめ「熱海五郎一座」として公演を続けている。
今年は熱海五郎一座にとって、新橋演舞場進出5周年という節目の年。一座のメンバーと小林幸子、そして劇団SETの団員に加え、ビッグバンド「三宅裕司& Light Joke Jazz Orchestra」も出演するという豪華な布陣。
記者会見の会場に映画『タイタニック』を思わせるBGMが流れる中、一座の面々はお馴染みのはっぴ姿で、小林はゴージャスなピンクのドレス姿で登場した。ラサール石井の情報によればドレスの背中は大胆に空いており、小林の背中が「かんなをかけたように美しい」とのこと。
そんな小林が『船上のカナリアは陽気な不協和音』で演じるのは、引退した大物演歌歌手・迫芝千夜子(さこしば・ちやこ)。
<あらすじ>演歌界のラスボスとして君臨していた千夜子は、突如、歌の世界から姿を消す。バカンスのため後援会会長であり防衛大臣の永田真彦(渡辺正行)と豪華客船に乗船する。しかしその船に常駐するバンドのバンマスが、千夜子の引退のきっかけとなる演奏ミスをした日野“ビン太”晴正(三宅裕司)だった。
かっこいい音楽と洗練された東京の笑い
三宅は自身もビッグバンドのバンドマスターを務め、10年以上活動を続けてきた。本作にかける意気込みを次のように語る。
「いつか東京の洗練された笑いとかっこいい音楽を一緒にやりたいと考えておりました。バカなことをやりながらもレベルの高い音楽、レベルの高いダンス、すべての要素で感動と笑いを届けたいです。ストーリーもそれぞれのメンバーが演じる登場人物一人ひとりにドラマがあります。そうしないと酔った時に絡まれるんです(笑)。ストーリーにひき込まれながらも1分に1回は爆笑をとる。そんな最高のエンタテイメントになると思います」
小林のキャスティングについては、「劇中の音楽のレベルをあげてくださる方、演歌歌手でありながらビッグ・バンド・ジャズにスッと入っていける方、そしてきっとお笑いが大好きな方。もう小林幸子さん以外にいない」と明かす。
三宅裕司
"遅刻常習者の62歳”と不名誉な枕詞で紹介され、挨拶より先に笑いをとったのは渡辺正行。
「三宅丸に乗船すればきっと無事で安全な“航海”ができると思います。もちろんしっかり稽古もいたします。稽古をしないと私自身が“後悔”しますから」
本作の舞台が豪華客船であることにちなんだコメントに一同から笑いと拍手が沸くと、「私からは以上です!」と満足げな笑顔で着席し、さらに笑いをさらった。
渡辺正行
続いて挨拶をしたのは、ラサール石井。現在再演中のミュージカル『ヘッズ・アップ!』では、第23回読売演劇大賞・演出家部門優秀賞を受賞するなど、近年、舞台人としての存在感をますます発揮しているが、熱海五郎一座ではひとりの喜劇人。
「喜劇役者ではない人を演出しようとすると、笑いをとるためにどう動けばいいか、こちらで笑いをとっている時に動いてはダメとか、一つ一つ言わないといけない。喜劇役者としては当たり前のことでも、やろうとするとなかなかできない。でも一座のメンバーは、立ち稽古の初日からそれができてしまう。そういった部分は皆さんにお伝えしづらいのですが、観てくださる方にはそれを感じさせず『バカだねー!』と笑っていただきたい」
劇中では豪華客船の観光客役を演じると言うが、その名前も麦原一味(むぎはら・かずみ)。ただの観光客ではすまない予感が漂っている。
ラサール石井
「都会と海と大将に憧れ、東京に出てきましたが」と語りはじめたのは、小倉久寛。劇中では、この航海を最後に定年退職を迎える豪華客船の船長役を演じる。
小倉は、中学生の頃、夏休みに床屋で「大将、今日は仕事休みですか?」と声をかけられたエピソードにはじまり、自らの芸歴、三宅への信頼などをたっぷり語る。とりとめのない話にジワジワと笑いが起きはじめたところで、司会者に終了のベルをチーンと鳴らされ、ドッと笑いがおきた。
小倉久寛
落語家の春風亭昇太もまた、熱海五郎一座のメンバー。落語はひとりで演じるものだから、熱海五郎一座では「毎年皆さんとひとつの作品を作らせていただくのが楽しい」という。本作では、“神の手をもつ”と言われる天才外科医の役。
「今回は音楽性を高めるというテーマがあるそうで、実は私、ひとつ音楽に関するオーダーを受けております。熱海五郎一座の今年の公演が上手くいくかいかないかは、僕にかかっていると思います」
落語家で結成するバンド『にゅうおいらんず』ではトロンボーンを担当する昇太だけに、ここ一番の気合いの表情。しかし「(上手くいかなければ)カットっていう方法もあるけれどね」と三宅が言葉をはさむと、「稽古の段階でなくなる可能性もありますので、皆さんぜひ稽古場にもお越しください」とアピールしなおし、笑いをさらった。
春風亭昇太
「どうも皆さん、お金持ちです」と切り出したのは、東貴博。劇中では副船長役を演じる他、熱海五郎一座では毎年、前説を担当している。萩本欽一が主宰する「欽塾」の門をたたいて今年で30年になるという。
「30年の気持ちを前説にぶつけ、あとはすべて三宅さんの言うとおりにやりたいです。昔から人のいうことを聞くのが得意なんです。欽ちゃんの言うことを聞き、伊東さんの言うことを聞き、三宅さんの言うことを聞いてきました。人のいうことを聞いていれば金持ちになれるんです。私からは以上です」
東の渾身の前説は、開演時間の5分前に始まる。観劇の際は、ぜひ時間に余裕をもって到着を!
東貴博
今回で5回目の出演となる深沢邦之は、町で「熱海五郎一座観ました!」と声をかけられるようになったという。東と交互出演で、副船長役をつとめる。
「去年、記者会見の楽屋ではみんな『ここが痛い』『ここが悪い』と病気の話ばかりでした。それが今年は『人生のプチ事件』でお互いに爆笑しながら、明るく過ごしました。今年は雰囲気が違います! それを舞台で体現するべく、三宅さんの言うことだけを聞いて頑張りたいと思います!」
深沢邦之
小林幸子は「どこか心の中でまた呼んでもらえるかなと思っていたので、本当にうれしい。今年一番うれしいです」と声を弾ませる。小林は昭和39年(当時9歳!)でデビューし、初めに会ったのがエノケン、さらに三木のり平やてんぷくトリオといった、昭和の伝説の喜劇人たちと縁があったことを明かす。
「伊東四朗さんからも、本当に色々なことを教えていただきました。その中には『喜劇の中にはきちんとお芝居があって、その上に成り立つ。きちんとしたお芝居ができない人に喜劇はできないんだ』といった言葉もありました」
これに対し三宅が「ええ!?そうなの?」といった風に驚き、一座も同時にざわついてみせたので、会場は大きな笑いに包まれた。
小林幸子
小林は2009年に参加した際の稽古場の雰囲気がいかに楽しかったかをふり返り、今回も稽古が待ちきれない様子。小倉が、過去の公演で小林の『♪おもいで酒』を至近距離で聴いたときの興奮を明かせば、小林は「ここでも歌いましょうか?」と身を乗り出し、すかさずラサールが「気軽すぎる!」と止めに入るなど、笑いの絶えない会見だった。
豪華客船という密室空間で絡み合う様々な人間模様。そこにダンス、アクション、ビッグバンドジャズの生演奏に、小林幸子の歌。エンタテイメントに溢れる新橋演舞場公演、熱海五郎一座の、東京喜劇『船上のカナリアは陽気な不協和音 ~ Don't stop singing ~』は、6月1日より28日まで。
取材・文・撮影=塚田史香

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