【ライヴレポ】UVERworld、Zepp Div
erCityで再び“男祭りvs女祭り”公演
開催!「あなたが惚れたバンドは日本
一の男祭りをするバンドだからね」

熱と勢いが一向に途切れない。それどころかむしろ、熱はその温度を、勢いはその加速度をぐんぐんと上昇させてついには東京・Zepp DiverCityという器のキャパシティさえも凌駕せんばかりに膨張を続けた。端的に言えばとんでもなく熱く、怯むほどに激しく、そしてこの上なく楽しい。何よりステージを通じてUVERworldがまたも進化に踏みだそうとしていること、その意志が真っ直ぐに伝わってくるのが快かった。
2017年末に開催されたアリーナツアー『UVERworld TYCOON TOUR』の大団円からわずか2ヶ月半のインターバルを経て再びライヴ現場に戻ってきたUVERworld。『UVERworld LIVE TOUR 2018』とシンプルに冠された今回は、2月13日の北海道・Zepp Sapporoに始まり、3月8日のZepp OSAKA Baysideまで全国4都市のライヴハウス・Zeppを各地2Days公演で回る、いわゆる“Zeppツアー”であり、この日、2月27日はツアー3都市目にして5公演目のZepp DiverCity初日だ。ちなみに翌日も含め、Zepp DiverCity公演のみ客席を中央から男女まっぷたつに分けた“男祭りvs女祭り”形式で敢行される。“男祭りvs女祭り”と言えば昨年12月21日、神奈川・横浜アリーナのTAKUYA∞生誕祭にて繰り広げられた前代未聞の光景が記憶に新しいが、結論から書けば、この夜の昂揚も2ヶ月前の熱狂に勝るとも劣らぬものであった。キャパシティこそ5分の1ほどだが、1立方メートル当たりの熱量の密度はあの夜を凝縮してなお高かったと言っていい。
東京では久々のライヴハウス公演とあってか、開演前のフロアは男性エリアも女性エリアも早々に埋め尽くされた。ステージを覆う紗幕がなんとも目に新鮮だが、客電が落ち、さらにメンバーが登場してもオーディエンスの視界は遮られたままだというのも新しい。今ツアー用なのだろう、SEも新たなものに替わり、紗幕に映し出されるスタイリッシュな映像がいっそうフロアを煽るが、焦れたムードも徐々に広がっていくのが手に取るようにわかる。そうして、ついには1曲目「いつか必ず死ぬことを忘れるな」に突入。これまた久しぶりに演奏された楽曲に凄まじい歓声が起こり、同時にもどかしさがピークに達したその瞬間、幕は落ちて6人の姿がクリアになって目に飛び込んで来た。噴き上がる歓喜、とめどない昂揚感。眼鏡をかけたTAKUYA∞に黄色い声が集中する(しかしながら盛り上がりがあまりに激しかったためか2曲目「DECIDED」では早くも外された)。
「かかってこい!スペシャルなセットリストでいこうぜ」
そうTAKUYA∞が叫ぶと、「パニックワールド」の懐かしくもアッパーなサウンドが迸る。男性エリアでは果敢に人波の上を転がってはステージを目指すダイバーたちが続出、必死に差し出される拳にグータッチで応えるTAKUYA∞。女性エリアの観客も負けじと声を張り上げて、Zepp DiverCityはみるみるうちにカオスの様相を呈した。続く「GOLD」では真太郎の高速かつ精緻なドラムが炸裂する中、最初の♪Wake Upで銀テープが弾けてオーディエンスの頭上に降り注ぐ。
2017年はトータル72本にも及ぶライヴを行い、そのたびに全身全霊を懸けた本気のバトルを繰り広げてきた6人とあって、一挙手一投足のキレ、一音一打の精度が驚くほどに鋭い。しかも自分たちが育ってきた場所だと親しみを込めて呼ぶ、勝手知ったるライヴハウスのステージだ。入れ替わり立ち替わり、奔放自在なフォーメーションでフロアに目を離す隙も与えない。軸となってアンサンブルを屈強に支える信人の硬派にして盤石なビート。克哉の躍動感に溢れたギターと朗々とした佇まいが好対照でステージにメリハリを生む。誠果はライヴにおいてもUVERworldサウンドの影の立役者らしくサックスはもちろん、マニピュレーションにコーラスにと暗躍。繊細なアルペジオにエモーショナルなストローク、鋭利なカッティングと楽曲を表情豊かにする彰のプレイ、時折ギターを突き上げるシルエットが今日の衣装と相俟ってフライングVを彷彿させた。
ニューアルバム『TYCOON』の楽曲を中心に構成されていた昨年とは打って変わり、「99/100騙しの哲」や「Wizard CLUB」(「Collide」と2曲連続のパーカッションアンサンブルに痺れた)など最近のライヴではほとんど披露されていなかった楽曲が盛り込まれたセットリストはバンドのモードがすでに次へと切り替わったことを裏付けるものだろう。バラードがほとんどないアグレッシブな選曲は“男祭りvs女祭り”を意識したためでもあろうが、実に斬新な試みだと思えた(しかも翌日はまったく違うメニューになるらしい)。8thアルバム『Ø CHOIR』リリース以降、ほぼ欠かさず演奏されてきた「IMPACT」も今日はない。そして特筆すべきは必要最小限に抑えられたTAKUYA∞のMCだ。今日のTAKUYA∞はまったくと言っていいほど楽曲について語らなかった。俺たちの間に余計な言葉はもはや必要ない、ここにある熱量こそがメッセージだと言わんばかりにただ純粋にオーディエンスに向き合い、メンバーとともに本気をまっ正面からぶつけ合って楽しんでいた。その潔さはとても痛快で、それがUVERworldの次の扉を開く鍵にも思えたのだ。
ラストの「終焉」は隣り合った観客同士が肩を組み、あるいはそれぞれに手を挙げてフロアいっぱいに揺れた。「お前らホントに最高だよ。このカオスっぷり、大好きだ。俺たちの男祭りはこんな感じでやっていこう、絶対ドームまで持っていくから」、そうTAKUYA∞は男性陣に約束し、「よく頑張ったね。女は女のやり方で素敵な声をたくさん聞かせてくれました」と労っては「あなたが惚れたバンドは日本一の男祭りをするバンドだからね」と誇らしげに言った。さて次はどんな彼らに会えるだろう。UVERworldの2018年に俄然、期待が募る。
文/本間夕子
<セットリスト> 
1.いつか必ず死ぬことを忘れるな
2.DECIDED
3.パニックワールド
4.GOLD
5.Fight For Liberty
6.一滴の影響
7.IDEAL REALITY
8.REVERSI
9.99/100騙しの晢
10.エミュー
11.畢生皐月プロローグ
12.RANGE
13.CORE STREAM
14.Wizard CLUB
15.Collide
16.奏全域
17.CORE PRIDE
18.Ø choir
19.終焉

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