『プラド美術館展 ベラスケスと絵画
の栄光』レポート 巨匠の傑作に公式
プレゼンター・及川光博も感動!

世界屈指の美の殿堂として名高い、スペイン・プラド美術館の傑作が来日している。東京上野・国立西洋美術館にて開催中の『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』(2018年2月24日~5月27日)では、国民的な人気を誇る巨匠・ベラスケスの作品を過去最多に迎えるほか、ティツィアーノ、ルーベンス、ムリーリョ、スルバランといった大画家の作品を含めた約70点が出品される。彼らの芸術を育んだフェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインのアートシーンに光を当てる本展。展覧会公式プレゼンターの及川光博も登場したプレス内覧会より、その見どころを紹介しよう。
ディエゴ・ベラスケス 《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》 1635年頃 マドリード、プラド美術館蔵
17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現
プラド美術館の作品展は、日本ではこれが5回目の開催となる。本展は、ベラスケス作品7点を中心として、彼が生きた17世紀スペイン・マドリードの宮廷と密接に関係した作家作品を数多く集めている。
しかし本展は、いわゆる“ベラスケス展”ではない。黄金時代と呼ばれた17世紀スペインにおける国際的なアートシーンを再現し、その中にベラスケス作品を並べることで、より広い視野で作品を見比べることを目的としているのだ。時系列ではなくテーマ別の構成となっている点にも、そうした意図をうかがい知れる。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《音楽にくつろぐヴィーナス》 1550 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
フアン・デ・エスピノーサ 《ブドウのある八角形の静物》 1646 年 マドリード、プラド美術館蔵
ペーテル・パウル・ルーベンス 《聖アンナのいる聖家族》 1630 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
宮廷という場所は単にその時代の縮図ではなく、特別な意味を持っていた。海外作家の作品など、当時ではなかなかお目にかかれなかった芸術作品を一挙に集めた場所が宮廷だったのだ。宮廷画家として30数年間にわたって活躍し続けたベラスケスもまた、宮廷という場で画業を養われた特別な画家なのである。
ベラスケスの傑作7点が一挙来日
本展のためにプラド美術館から貸し出されたベラスケスの作品は7点。これは、同美術館が一度に貸し出せる最大の作品数とされている。宮廷内で様々な重要任務をこなしていたベラスケスは、非常に多忙な日々の中で作品を描いていたと考えられ、残した作品は生涯で120点余りと数も少ない。その中でも今回貸し出された作品は、海外でも非常に人気の高い傑作ばかり。これらを一挙に観られる機会は、そう多くないだろう。

ディエゴ・ベラスケス 《メニッポス》 1638 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス 《マルス》 1638 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

ベラスケスの描く肖像画は、モデルの身分や容姿を超え、本質を捉えている点が最大の魅力だ。肖像画に描かれたモデルたちは、身分の低い者も国王も、みな同じように自然な表情と姿で鑑賞者を見つめる。
ディエゴ・ベラスケス 《バリェーカスの少年》 1635-45 年 マドリード、プラド美術館蔵
スペイン王は絵画コレクター
本展の3分の1はスペイン以外の画家による作品ということから、プラド美術館のインターナショナルな面もうかがえる。その背景には、ベラスケスの主君であるフェリペ4世をはじめとした、歴代スペイン王の功績があったそうだ。それまで、絵画はあくまでも宗教や神話を伝えるための存在だった。しかし、フェリペ4世ははじめて美的鑑賞のために絵画をコレクションし、生涯で3,000点を超える作品を集めた。その中には国内のみならず海外からの作品も多く、フェリペ4世の審美眼の深さと美への執念が感じられる。現プラド美術館の絵画コレクションの半数近くを一人で集めた彼は、本展において、ベラスケスに次ぐ影の主役といっても過言ではないだろう。
ディエゴ・ベラスケス 《狩猟服姿のフェリペ 4世》 1632-34 年 マドリード、プラド美術館蔵
公式プレゼンター・及川光博、コンシェルジュ姿で魅力を語る
この日、展覧会公式プレゼンター&音声ガイドを務める及川光博が、深い赤色のコンシェルジュ姿で登場。華麗なお辞儀のあとに、プレゼンターとしての体験について語った。
「人生で初めて音声ガイドに挑戦し、そこはかとなく緊張していたのですが、結果的にとても楽しい作業となりました。皆様のお耳汚しにならないよう配慮しつつ、ほどほどに個性を出してみました。また、展覧会WEBサイトのPR動画撮影も大変でした。全10話の膨大なセリフ量、そしてカタカナの多さ……。苦労もしましたが、ユーモラスで楽しいPR動画となっております」
また、本展でベラスケス作品を実際に鑑賞し、「素晴らしかった。資料等々で散々見てきたはずですが、世界で唯一の本物の迫力を感じました」と感動を滲ませた。
コンシェルジュ姿の及川光博
展示にはサイズの大きな作品も多く、その迫力は間近にして初めて感じられる。巨匠を育んだ国際的なスペイン宮廷のアートシーンを目撃できる本展に、ぜひ足を運んでみては。
展覧会場の様子

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