「俺たちダメ元で生きてるよ!」ang
elaが進む“Beyond”のその先 ツアー
ファイナルレポート

2018.2.24(Sat)angela Live Tour 2018 Beyond 

EX THEATER ROPPONGI
音楽ユニットangelaが昨年9枚目のアルバム『Beyond』を発売、それに伴うライブツアー『angela Live Tour 2018 Beyond』のファイナルが2月24日、EX THEATER ROPPONGIで開催された。「その先」という意味を持つアルバムとツアーの中でangelaが見せたものは何だったのか?
アニソンユニットangelaが今年デビュー15周年を迎える。本人たちいわく「結成からは25年」というので、実に四半世紀活動しているユニットという事になるが、アニソンシンガーという枠で考えると、もはや大御所という長いキャリアをatsukoとKATSUは積んできていることになる。とはいえangelaから「落ち着いた」とか「こなれた
」感覚はまるで感じない。いつでも全力で最高に楽しんでいる二人、それがangelaというユニットの特色で魅力なのだと思う、それを心から実感できるライブだった。
会場となったEX THEATER ROPPONGIは超満員。既に開演を待ちきれないぢぇらっ子(angelaファン)で会場は熱気に満ちている。開演と同時にバンドメンバーとKATSUのDJプレイで「Beautiful day」がドロップされライブはスタート。angelaには珍しいエレクトロを基調としたサウンドの中atsukoも登場。この段階で会場は大騒ぎだ。
息をつかせず2017年アニソン界の話題作の一つとなった「全力☆Summer!」を繰り広げる。さっきまでのバキバキな世界観は何処へ、明るく楽しい空気がステージから放たれる。この一種異常なまでの振り幅の広さがangelaだ。
「いよいよ来ましたファイナル!世界196カ国を回ってきた私達が……」atuskoがMCでいきなりぶちかますと「乗っかっていくことにしますね」とKATSUが合いの手を入れる。会場は勿論爆笑と称賛の声。タイミングや会話のテンポなど完全に漫才のよう。
「いや……全力☆Summer!でジーンと来てる自分がいる」とKATSUが語る。流石に世界196カ国(本当は国内6箇所)を回ってきたファイナルは感慨深いようだ。その後もトークから滑らかに「僕は僕であって」「KIZUNA」「語り継がれしもの」と披露。
ライブを見ていて思ったのは、これほど切り替えの無いアーティストは珍しいのではないかということ。“スイッチが入る”という言葉をよく聞くことがあるが、angelaは「さあ、歌うぞ!」というスイッチの切替を感じさせず、トークから歌へ、歌からトークへつながっていく。勿論惰性で歌うというわけではなく、MCも歌唱も全てがライブ自体を最高速
に持っていくために存在しているような印象なのだ。どこのパートでも熱気や楽しさを減速させない二人のライブ作りは、経験だけではなく、何よりもステージを楽しんでいるからのように見える。
その後しっとりと聞かせた「道しるべ」、「あの夏空」ではKATSUは三線も披露。ギターだけではなく、太鼓・DJ・三線と多彩な楽器を操るKATSUに、芯を持って響き渡るatsukoのボーカルのマッチングは格別だ。
ライブ恒例の“atsukoの面白い話“のコーナーでは、コーナー登場回数の多いマネージャーの滑らない話を披露。ご本人も客席二階からリアクションを返しつつ、ファンに手を振って笑い合う。この距離感の近さもangelaの面白さだ。
インディーズ時代の楽曲「LOVE LOVE Sweetie」から「SEVEN STORIES」「Prologue -君の向こう側-」と連続で歌いながらも、atsukoのパフォーマンスも冴え渡る。ダンスを踊っている、というわけではないのだが、手を一つ振り上げる、足を一つステップを踏むというのがとにかく堂に入っている。
その後のMCでは劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』エピソード1~6の全主題歌(全話通してのオープニング主題歌と、各エピソードのエンディング主題歌の計7曲)を担当することも発表。「若いシンガーがたくさん出てきている中、ぢぇらっ子と共に歳を重ねて大人になったと思っています!」とatsukoが叫ぶと観客も大歓声。同時に
デビュー15周年を迎える5月に記念ライブを河口湖ステラシアターで開催することも発表。「来てくれないとシャレにならないんだけどさ」と言えてしまうのもangelaの強みである。
「To be with U!!」「DEAD OR ALIVE」などの激しい楽曲、「LOVE★CIRCUS」でエンタメ色の強い世界観、「此処に居るよ」の少し切ない空気、そして「Calling you」のまさに宇宙を感じさせる音など、縦横無尽に音楽の世界を飛び回るangelaはどこまでも楽しんでいた。それに負けじと観客も全力で楽しむ。誰一人置いていかない、というか、誰一人乗り遅れないくらいキャパの広さを持っているのが圧巻だ。
デビュー曲となった『宇宙のステルヴィア』主題歌「明日へのbrilliant road」では全員で大合唱。本編最後の「Dream on」を歌い終わると即座にアンコールを求めるコールが巻き起こる。
angelaが満を持して登場……かと思いきや、登場したのがドメスティック・ラヴバンド。事務所の後輩バンドという設定の彼らがアルバムに“勝手にこっそり入れた”シークレットの12トラック「お前を傷つける奴にここでサヨナラを」を爆音で披露。どことなく本編のangelaより音量が大きく聴こえたのは彼らのラウドな態度によるものなのかはわからないが。
その後再度登場したangelaは定番にして代表曲「Shangri-La」をその日最大の盛り上がりで演奏。コール&レスポンスの練習をしっかり行ったあとに大団円として「KINGS」で本編は無事終幕。最後の挨拶で「メンバー紹介を忘れてまして…」とオチもしっかり忘れないのがangela流。
「音楽だけは真剣、性格もいい!」と自分たちを評したangelaだが、この言葉にその魅力が全て詰まっている気がする。最高の音楽を聞かせてくれて、性格の良さに裏付けられた面白さを味わってしまったら、誰だって抜け出せなくなる。そう思わせてくれる。
「考えたんだけど、俺たちダメ元で生きてるな!って思ったんだよね」とKATSUが言ったが、ダメ元で15年最前線で活動出来るなんて実力がなければ出来ない事実だ。
「ここまで来たら解散はないですね、私達が解散って言い出したらネタだと思ってください」と言い切ったangelaのBeyondはきっと、真剣と悪ふざけがシームレスに繋がっていく“面白すぎる”未来なんだと思う。
レポート・文:加東岳史

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