【インタビュー】AK-69「『DAWN in
BUDOKAN』は、まさに映画を観るよう
な気分で観てほしい」

自らの生き様を見せつけながら、日本のヒップホップシーンの先頭を走り続けるアーティスト、AK-69が、2017年10月に行った武道館公演。そのライブを記録した映像作品『DAWN in BUDOKAN』が、3月7日にリリースされる。
Def Jam Recordingsの看板を掲げ、3年半ぶり2度目となった武道館では、UVERworld清木場俊介といった豪華ゲストを招きながらも、統一感のあるステージを繰り広げた。映像化されるにあたって、公演に至る過程や様子、演出と楽曲の関係についてインタビュー。そこから伝わってくるのは、自身の世界観への並々ならぬこだわりと、常に挑戦し続ける姿勢だった。
◆ ◆ ◆
■大画面、大音量で観てもらうことで

■セットや照明の規模を感じてもらえる
──2回目の武道館公演でしたが、AKさんにとってどんな意味がありましたか?
AK-69 再起をかけた公演でした。AKだったらまた武道館やるだろうとか、そんな簡単なことではなかったですね。
──再起というのは?
前の会社から独立して2年前にFlying Bという事務所を立ち上げた時点で、変な停滞感がありました。リスナーが俺に慣れちゃって、Zeppツアーくらいでは驚かなくなった。実は今回の武道館公演は、最初に制作会社から反対されたんです。失敗すると思われたんでしょうね。でも、武道館なら今の自分の状況やファンの本当の反応を知ることができると思って……だから自分やファンを信じて、強行で公演を決めました。やれることは全部やりましたね。
──その結果、手応えがありましたか?
AK-69 そうですね。前回よりもお客さんが入って、大成功させることができたので。
──今回はゲストが豪華でしたね。
AK-69 前回は孤高感を出すためにも、“一人でやりきる”のがテーマだったんですけど、今回は現行の日本のヒップホップシーンを見せたかった。それに加えて、清木場俊介やUVERworldというジャンルを超えた音楽も見せることができるライブになったと思ってます。
──この映像作品をライブの延長と考えていますか?
AK-69 そうですね、ライブは会場で観ることに敵うものはないので。あくまで映像になった時点で作品なので、映画を観るような気分で観てほしい。
──では、実際に武道館公演を体験した人と、この映像で初めて触れる人とで、観てほしいポイントは変わりますか?
AK-69 初めて観る人には大画面、大音量で観てもらうことで、セットや照明の規模を感じてもらえると思う。だから映画館での上映会をやるのもあるんです。ライブに来た人に対しては、映像で初めて分かる演出もあると思うので、そこを観てほしい。照明とか凝っていて映像向きだと思うんです。
■いろいろな意味で日本の常識を逸脱した

■照明や映像の使い方をしているんです
──細く刺すようなライトがたくさん出たり、とにかく照明がすごい。
AK-69 横から真っすぐ出るシャーピーですね。多分、日本でそれを導入しているアーティストはいないと思います。いろいろな意味で日本の常識から逸脱した照明や映像の使い方をしているので、そこを観てほしいんです。
──他に照明でこだわったところはありますか?
AK-69 あえてレーザーを使わなかったことですね。それとスポットライトを当てていない点。だから幻想的になるというか……海外のライブで、ずっとピンスポットで演者追うというライティングはもうあまりないんです。カニエ・ウェストにしろドレイクにしろ、そういう潔さが今っぽいですね。
──映像もネオン色の感じで綺麗ですね。
AK-69 うん。お洒落なアジアっぽさ、ネオ東京みたいな。日本人のDef Jam Recordingsのアーティストというので、世界の人が見てアジアのヒップホップだって分かるような統一感をすごく意識したんです。
──演出を映像で見直して、ご自身で印象が変わった曲はありますか?
AK-69 「Dawn」は大きいですね。あの曲はクラブとかフェスのような最低限の照明や素のステージに近いところでは映えない。武道館では俺が思い描いた世界観を限りなく再現できたから、あらためていいなって思いましたね。
──曲調も映画の序盤のようで、映像で観ると見事にハマります。
AK-69 そうですね。みんなが一聴して盛り上がる感じではないですけど(笑)。演出ありきでさらに好きになった。
──「Dawn」についてもう少し。心臓の音と朝焼けの演出についてお聞きしたいです。
AK-69 次のショーの始まり的な、いろんな意味で夜明け(=「Dawn」)。夜明けは、へイターだったら恐れるものだし、ファンにとっては待ちわびたものです。アルバムを作ったときから武道館の演出を想像してました。普段、曲を創るときにもライブのことを考えているんです。
自分の歌は、情景が浮かぶってよく言われるんですけど、まさに自分のなかに浮かんだ景色を言葉で捕まえる感じなので。2WINとの「Streets」もそう。あいつらに寄ってトラップをやるんじゃなくて、ストレートなヒップホップで俺の世界観に呼び込んで、1万人の前でやるという画を想像して創ってました。
──2WINの名前が出ましたが、彼らへの思い入れは強いですか?
AK-69 ありますね。下の世代で、初めてスターになってほしいと思ったし、一番、スター性を感じました。音楽が優れているだけなら他にもいますけど、全てが備わっている。俺は、ヒップホップのかっこよさって、根底にある生き様がにじみ出てこそだと思うんです。それを地で行ってる、自分のスタイルと同じ匂いがする。荒んだ環境から出て来て、夢を持ってみんなに夢を与えて、音楽もかっこいい……持たざるものでも持つものになれるという、ヒップホップとして一番かっこいい成り上がり方というか。
──UVERworldとの共演もハイライトでしたね。
AK-69 UVERworldが人の曲にフィーチャリングするのは初で、フィーチャリングでライブに出るのも初だった。それだからこそ演奏の当て振りはしたくなくて。だから、たとえ1曲でも全開で、1日ライブやるのと同じセットで出てもらいました。清木場俊介もそうですけど、彼らとはステージに一緒に立っているだけで安心感とパワーをもらえるんですよね。
──清木場さんは言うまでもなく、Flying B所属の2人も堂々した歌いっぷりでした。
AK-69 そうですね。事務所の社長としても誇らしげに(笑)。CITY-ACEは、名古屋の下の世代のヒップホップシンガーですけど、もっと知られてほしくて引っ張ってきました。HIDE春は全然違うタイプ。あいつは不思議な破壊力を持っているんですよね。歌が上手いだけじゃなくて、AIやPUSHIMさんみたいな胸に来る周波数を持ってるシンガーってなかなかいない。日本のブルーノ・マーズみたいになれるって思います。
──亡くなられたお父さんについて語ったところは引き込まれました。ただ感動ではなく「Stronger」で、「強さ」というところにグッときました。
AK-69 MCでも言いましたが、男として全く尊敬してなかった。むしろ俺は母ちゃんの方が、存在が重くて。でも、死ぬ間際に(も拘らず周りを気遣って)、こんなに強い人間だったんだなっていう……公演を観れないのはわかっていたので、親父に捧げたいというのが今回の裏テーマでした。
──今後についてですが、また武道館を目指しますか?
AK-69 はい。この武道館で再起をかけて成功したことで、また扉が開いた。扉が開いたところには、ねじ込んでいきます。そうじゃないと次のステージはない。今年は自分史上一番忙しい年になるくらい、アルバムも含めていろんなことを仕込んでいるんです。とにかく露出を増やして、下半期でツアーに入って、そのファイナルで武道館2デイズをやろうと思ってます。
取材・文:島晃一(Soul Matters)

撮影:Yuji Kaneko

DVD/Blu-ray『DAWN in BUDOKAN』

2018年3月7日(水)発売

■通常盤(DVD 1DISC)

UIBV-10046

5690円(税別)
■初回盤(DVD 2DISCS) 

UIBV-90025/6

6900円 (税別)

LIVE映像 ※初回盤のみAK-69副音声あり

DAWN in BUDOKANメイキング映像、

DAWN PREMIUM CLUB TOUR 2017メイキング映像 

※初回限定盤パッケージ仕様
■初回盤(Blu-ray 1DISC)

UIXV-90020

7690円(税別)

LIVE映像 ※初回盤のみAK-69副音声あり

DAWN in BUDOKANメイキング映像、DAWN PREMIUM CLUB TOUR 2017メイキング映像 

※初回限定盤パッケージ仕様
[収録内容]

★通常盤、初回盤DVD DISC1、初回Bluray共通

OPENING MOVIE

Dawn

Flying Lady feat. CITY-ACE, HIDE春

ロッカールーム -Go Hard or Go Home- REMIX feat. NORIKIYO

IRON HORSE -No Mark-

Click da trigger feat. G.CUE (Phobia of Thug)

WHO ARE U ? feat. TOKONA-X / DJ RYOW

TOKONA-X Special MIX / DJ RYOW

ビートモクソモネェカラキキナ 2016 REMIX feat. Zeebra & AK-69 / DJ RYOW

We Don't Stop

Streets feat. 2WIN (T-Pablow & YZERR)

Hangover

CHAMPAGNE BOYZ

A Hundred Bottles REMIX feat. DJ TY-KOH, KOWICHI & SOCKS

Rainy days feat. 清木場俊介

With You 〜10年、20年経っても〜 feat. 清木場俊介

Baby

IT'S OK

Forever Young feat. UVERworld

Stronger

上ヲ向イテ

START IT AGAIN

I Still Shine feat. Che'Nelle

Shatter (DOBERMAN INFINITY × AK-69)

もう1ミリ feat. 般若

KINGPIN

Flying B
<Encore>

THE RED MAGIC
★初回盤DVD DISC 2、初回盤Blu-ray収録

DAWN in BUDOKANメイキング映像

DAWN PREMIUM CLUB TOUR 2017メイキング映像収録

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