映画『犬猿』トークイベントに、大木
伸夫(ACIDMAN)、新井浩文、吉田恵
輔監督が登壇

2月27日、東京・テアトル新宿にて、映画『犬猿』の大ヒットを受けて、監督・吉田恵輔、主演の新井浩文、主題歌を手がけるACIDMANのボーカル&ギター・大木伸夫の3人によるトークイベントが行われた。
このイベントは、最終上映が終了した午後8時過ぎからスタート。登壇するなり、新井が「今日はマスコミいないんで。オオちゃんとうちは長いつきあいで、とんでもないことをついポロッと言うかもしれないけど、口外なしでお願いします」と笑顔で釘をさす。実はこの二人、知り合って14,5年にもなるという親密な友人同士。こうしたトークイベントに参加するのは、新井の単独初主演作『ゲルマニウムの夜』の上映時以来13年振りだとう大木も、「僕にとってはアウェーな現場です」と笑いながら、終始なごやかにトークは進む。
監督の吉田恵輔も、実はACIDMANとは浅からぬ縁を持つ。2002年のメジャーデビュー三部作シングル「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」のミュージックビデオで、照明を担当していたのがほかならぬ吉田監督だった。その後「飛光」の撮影にも参加した監督は、「ミュージックビデオは200~300本作ってきて、現場で死ぬほど聴くからCDは絶対買わないけど、ACIDMANだけは買った」と、当時の心境を披露。大好きなバンドに主題歌を担当してもらう夢が叶った喜びを語りつつ、「大木さんと新井さんが友達だとは知らなかった」と、必然の出会いに驚きを隠せない。
この映画の主題歌「空白の鳥」について大木は「監督に“どんな楽曲でも良いですよ”と言っていただいたので、ちょうど作っていた爽やかな楽曲にしようかなと思っていたんだけど、映画のラッシュを見せてもらって、この曲じゃ全然ダメだと思った(笑)。見終わって10分ぐらいで衝動的に作りました」と、制作秘話を披露。結果的に名曲「飛光」を彷彿させる激しくエモーショナルな楽曲に仕上がったが、実は吉田監督も「飛光」のような曲がほしかったと告白し、語らずとも通じ合う感性の共通点を感じさせてくれた。
新井と大木のやりとりは、まさに友人同士の気の置けないもの。新井が「オオちゃんに“ジャガイモ俳優”と呼ばれてる」と話すと、大木が「大根役者は演技が下手な奴で、ジャガイモ俳優は演技がめちゃくちゃうまいけど、そんなにイケメンじゃない(笑)。最近、新井がイケメンランキングの上位にいるのは、仲間うちでの七不思議のひとつ」と切り返し、吉田監督も「年齢を重ねて、味が出てる感じがする。20代の時は、ただただおっかねえ感じだったけど」と補足。クロストークの呼吸は絶妙だ。
ここで新井の「ティーチインとかやります?」という発案で、質問コーナーへ。好きな映画を問われた大木が「アンドレイ・タルコフスキーの『サクリファイス』が好きです」と答え、「もし映画に出るとしたらどんな役をやってみたい?」という質問には、「自他共に認める大根なので、しゃべらない役をやりたい」とひとこと。吉田監督の「大木さんは映画映えしそうな気がする。一本いい出会いの映画があれば、引く手あまたになりそう」という言葉を受けて、新井が「野田洋次郎(RADWIMPS)や降谷建志(Dragon Ash)もいっぱい出てるでしょ」と水を向けると、「彼らは有名人だから!」と笑わせつつ、「僕は畏れ多い。映画が大好きだから、役者さんはあこがれの存在。こういう形で参加するのが一番いいです」と、話をまとめた。
そのほかにも、新井がACIDMANの楽曲「Toward」にコーラスで参加した時のエピソードや、昨年のシングル「愛を両手に」で、初めてACIDMANのミュージックビデオに出演した際の裏話など、楽しいエピソードが続出。大木が「新井は言葉はなくても目だけで人を怖がらせることができるし、悲しませることができるし、楽しませることもできる役者」と話すと、新井は「またぜひ一緒に」と答え、今後の共演を力強く約束してくれた。
最後の挨拶は、大木が「僕にとってもすごく大切な映画になったと思いますし、映画好きとして、本当に素晴らしい映画だと思います」、新井は「仲のいい友達と仕事ができるのは、すごく幸せな時間でもあるし、今後またできるように、ちゃんと仕事していきたいと思います」、そして吉田監督が「一ファンが一緒に舞台に立てるなんて、監督っていい仕事だなとつくづく思います」と締めくくる。素晴らしい映画と充実のトークイベント、『犬猿』の世界を存分に堪能させてくれた一夜となった。

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