After the Rain(そらる・まふまふ)
×うらたぬき×あほの坂田 充実感と
笑顔があふれた素晴らしき2018年の幕
開け

After the Rain COUNTDOWN PARTY 2017-18~そらまふうらさか年越し会~』

2017.12.31.(SUN) TOKYO DOME CITY HALL
無理ゲーに、ヌルゲー、理不尽ゲー、萌えゲー、果ては神ゲーといったところまで。ゲームの世界が奥深いものであることは間違いなく、世界的にみればゲームを生業とする人種までもが存在するわけで、近年はe-Sportsなる単語もよくみかけるようになった。つまりは、それだけゲームというものは人々を魅了してやまないサブカルチャーとなっている、ということなのだろう。
場合によっては「人生そのものがゲームである」とのたまう人々もいる中、このたび2017年の大晦日から2018年の元旦未明にかけ、水道橋・TOKYO DOME CITY HALにて『After the Rain COUNTDOWN PARTY 2017-18~そらまふうらさか年越し会~』を大々的に開催した。
“彼ら”も、リアルなゲームはもちろんのこと、それと同時にゲーム性の高い人生そのものを着々と攻略しながら、それを存分に楽しんできた人たちということになる気がする。

「皆さん、こんばんは! 我々は普段から一緒にゲームをやっている4人、ということでね。今日は皆それぞれ、ゲーム風のコスチュームにしてきました!」(まふまふ)
なお、今回の年越しライブはAfter the Rain(そらる・まふまふ)だけでなく、浦島坂田船よりうらたぬき&あほの坂田のふたりが参加し「そらまふうらさか」としての初のイベントとなっている。開演後、まず1曲目の「ロールプレイングゲーム」では、いきなり4人全員がステージ上へ登場することに。そして、彼らがそれぞれに趣向を凝らしていたその装いはというと……そらる→勇者、まふまふ→白魔法使い、うらたぬき→盗賊、あほの坂田→僧侶をイメージしたものだったのだとか。
そのような衣装のみならず、今回はステージセットの雰囲気もまさに“ゲーム”そのものがモチーフとなっているように見受けられ、クラシカルでノスタルジックなドット画を意匠化した舞台は、強力な個性を持った4キャラとの相性が抜群であったと言っていい。
あほの坂田

うらたぬき

そんなシチュエーションにおいて、ある意味で逆説的な「ノンファンタジー」が歌われたのも、これがゲームをコンセプトとしたライブだと考えると、なかなかの一興となっていたように思う。と同時に、今回のライブではボーカリスト4人全員でのパフォーマンス以外にも、ソロ歌唱やこの日ならではのカップリング演目も多々用意されており、その先陣を切るかたちでうらたぬきが歌いだしたのは、小気味よい「恋の魔法」。そらるとうらたぬきによるアオハルテイストたっぷりな「ハートの後味」に、そらるとあほの坂田が紡ぎ出したワルツ調な「嘘つき魔女と灰色の虹」、あほの坂田が歌ったここからの受験シーズンにぴったりの「世界の真ん中を歩く」と、繰り出される曲たちがどれをとっても活き活きとしていて、みずみずしく感じたのは、ひとえに彼らの持つ表現力によるものだった。
あほの坂田、うらたぬき
まふまふとあほの坂田が繊細に歌い上げた「打上花火」や、まふまふが超絶ハイトーンで聴衆を圧倒した「病名は愛だった」、先だってツアーを終えたばかりのAfter the Rain が絶妙なコンビネーションをみせつけた「ショパンと氷の白鍵」や「セカイシックに少年少女」、まふまふとうらたぬきが切なくも心温まる情景を描きだした「キッス~帰り道のラブソング~」、浦島坂田船で築き上げてきた良好な関係性が歌のハーモニーにも表出していたうらたぬきとあほの坂田による「プリンセスに口づけを」など、本編中盤にて楽しむことが出来た曲たちもどれも味わい深いものばかりで、年の瀬も年の瀬のこの期に及んで、これだけ聴き応えのある歌たちに触れられたことは、オーディエンスにとっての大きな幸せになったと確信する。
そらる、まふまふ
かくして、気付けば時刻がいよいよ年明けまで残り20分弱となった頃。突然にわらわらと舞台上へ現れたスタッフ陣により、この場には日本の冬の風物詩である“こたつ・みかん・お茶”という三種の神器が揃えられることに。そして、主役となる4人はというと新年を迎えるにあたり、いかにも相応しい袴姿へとお色直し。つい先ほどまでのボーカリスト然とした真剣モードからは一転し、ここでの4人は完全にお茶の間と化した舞台上にて、みかんに各メンバーの似顔絵をらくがきしたり、まったりほっこりな四方山話に花を咲かせたり、新年を迎えた瞬間にツイートする為の写真をその場で撮りあったり、と彼らはしばしのくつろぎタイムを満喫したのだった。
After the Rain COUNTDOWN PARTY 2017-18~そらまふうらさか年越し会~
さらに、そののちのカウントダウンでは「おめでとうございまーす!!」が無事に決まるやいなや、彼ら4人は新年早々にも関わらずどうにも縁起の悪い「ぼうけんのしょがきえました!」を嬉々として歌い出したのである。これは、ガチゲーオタな彼らならではの洒落とウィットが利いた選曲であったと言えそうだ。
また、そらまふが肩を組みながら歌ってみせた「絶対よい子のエトセトラ」に、即座にこたつを撤収して、そらまふチームとうらさかチームに分かれつつ両者が共に歌った「ロメオ」など、見せ場&聴きどころ満載な楽曲たちが続々と連打され、シュールなダンスポップチューンとして広く認知されている「彗星ハネムーン」と「エイリアンエイリアン」で派手に盛り上がったあとは、そらるが人気曲「夢のまた夢」でさらに会場を盛り上げ、このライブの本編を締めくくったのはこのイベントの主催者であるAfter the Rainが高らかに奏でた「四季折々に揺蕩いて」。
そのうえで、アンコールではオールキャストでの「脱法ロック」を放ったのち、絶妙なタイミングで4人からこのライブについての所感や、新年に向けての抱負が語られるくだりも設けられていた。
あほの坂田
「カウントダウンに呼んでいただくのはこれで3回目になりますが、今回はゲストというよりもむしろメインの方でやらせていただいておりまして、大好きなメンバーや凄い尊敬しているそらるさんと一緒に歌えてとても幸せです(笑)。本当に良い1年の始まりになりました。今年1年、もっと幸せになってくぞ!!」(あほの坂田)
うらたぬき
「いやー、今年もまた素晴らしい舞台に立たせていただいて本当にありがとうございます。では、せっかくなのでここマイクを通さず生声でも。“皆さん、本日はありがとうございました!!”」(うらたぬき)
まふまふ
「そらまふうらさかの4人は、動画やゲーム実況、twitterでいろいろと上げている時間以外でも、普通に一緒に遊んでいる時間が一番長い間柄なんですね。4人で温泉に行ったり、一緒にお酒を飲んでいたりしていた中で、「この4人の友人関係を何か具体的なかたちに出来たら楽しいよね」というところから、このカウントダウンライヴが始まりました。(中略)きっと、こういう友情って一生ものだと思うんですよ。その4人とこの2018年の最初の瞬間を迎えられたことを嬉しく思います。皆、ここに集まってくれて本当にありがとう!」(まふまふ)
そらる
「まふまふが言ってくれてたとおり、2017年はこの4人で会うことがすげー多かったよね。(中略)ただ、俺は前回この場にはいなかったんですよ(注・体調不良により出演キャンセル)。その時にまふまふや皆が凄く頑張ってくれたって聞いて、とにかく申し訳ないなと思ったし、皆さんに対してもそれは凄くあって…去年の始まりはもう超最悪でした(苦笑)。まぁ、去年も総括すれば僕にとっては良い年だったんだけどね。でも、今年はここにいる3人と皆のおかげで最高な新年を迎えることが出来ました。だから、今年は去年よりも絶対もっともっと良い年になると思います。そうなるように、この4人でも、After the Rainとしても、自分個人としても、皆に楽しいことをいろいろ届けていきたいです。今年もよろしくお願いします!」(そらる)
After the Rain COUNTDOWN PARTY 2017-18~そらまふうらさか年越し会~
ちなみに、この『After the Rain COUNTDOWN PARTY 2017-18~そらまふうらさか年越し会~』の大ラスを飾ったのは、この場が戌年の始まりを飾るであることなどものともしない、とびきりのぬっこぬこなパーティーチューン「すーぱーぬこになりたい」だ。
場内いっぱいに笑顔と充実感が溢れんばかりとなった、素晴らしき新年の幕開けを経て、2018年の4人がここから一体どれほどエキサイティングなゲーム展開をみせていくのか……それをつぶさに見届けていくことこそ、きっと我々にとっては今年の大きな楽しみとなっていくに違いない。

取材・文=杉江由紀 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣

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