ゆずがかける「栄光の架橋」

ゆずがかける「栄光の架橋」
アスリート達のこれまでと全身全霊が注ぎ込まれる大会に、そっと彩りを添えるのは各放送局のオリンピックテーマソング達です。
2004年に開催されたアテネオリンピックのNHK放送テーマソングは、ゆずが歌う「栄光の架橋」。
体操男子団体総合の金メダルがかかった最終種目、鉄棒の演技中にアナウンサーの方が「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」と楽曲を連想させる言葉で実況したシーンは、この大会を象徴するような名場面となりました。
公式テーマソングは、いわば勝負に挑む選手達への応援歌です。よく考えてみると日本のほとんどの人が日本代表として戦った事も、オリンピックに出場した経験もありません。
しかし、「栄光の架橋」はリリースから10年以上経った今も尚多くの人の心に宿り続けています。何故でしょうか?
それは、この曲がオリンピックに出場する選手の応援ソングという枠を超えた、人生の曲だからです。
ゆずの「栄光の架橋」
”勝つ”や”頑張る”、”負けない”という強い気持ちの表現は曲中に1度も出てきません。
それどころか、むしろ苦しかったり負けそうになった瞬間が切り取られています。
他人には見せないだけで、誰もが悔しさや怖さ、そしてもどかしさを感じる時があります。
もうダメだと思った時やくじけた時、やめる選択や他の道に行く選択も出来たはずなのに、それでも諦めずここまで進んできたのは、涙や迷い以上に譲れない何かが自分の中にあったから。
人を突き動かすのは、必ずしもプラスな感情や経験だけではありません。
栄光の架橋は、他人の目には映らない、自分しか知らない挫折や壁をも「悲しみや苦しみの先に それぞれの光がある」と包み込んでくれます。
良い時も悪い時もどんな歩みでも照らし、寄り添ってくれる、そんな1曲なのです。
一番のサビと最後でゆずは、こう歌っています。
年月を経てもずっと人々を勇気づけてくれる楽曲
架橋はどこかに進んでいく為の道で、ゴールではありません。
架橋の向こう側には、まだ見ぬ場所があり、またその場所には先に進む為の新しい架橋があるはずです。
私達は、これまでもこれからも自分が行きたい場所に辿り着く為に幾つもの架橋を渡って行くのでしょう。
過去の経験から、進む続けることや苦しい時期の意味を知っていても、歩いて行くことが嫌になったり、無駄に思える時があります。
そんな何も見えず迷ってしまった時でもこの曲は私達を見放さず、まるでコンパスの様に、それぞれの大切な架橋へと背中を押してくれます。
ゆずがかけた「栄光の架橋」は、14年経った今でも私たちの心の中にあり、気付けばどんな時も私たちをそっと勇気づけてくれるのです。
TEXT:柚香

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