Reiインタビュー 衝動的に本能的に
訴えかけてくる最新作『FLY』が完成
するまで

1993年生まれの若き女性シンガーソングライターであり、女性ギタリストの彼女。幼少期をニューヨークで過ごした事や4歳よりクラシックギターを始め、ブルーズと出逢った事から、若いのにルーツミュージックを踏まえた上で音楽を鳴らしているという注目のされ方もしている。そういう点は個人的にどうでもよく、2015年のデビュー時から、ただただ音に言葉が乗って生まれるグルーヴ感がカッコ良いと思っていた。音楽に詳しい大人だけでなく、例え音楽に詳しくない10代や20代のキッズが聴いてもストレートに衝撃を受けるとずっと思っていたが、より今作『FLY』は彼女の衝動的であったり、本能的なパワーを感じる事が出来た。4曲収録の前作『CRY』と対になった4曲収録の『FLY』。涙の経験があるからこそ飛べるというシンプルなメッセージは、どの世代にも響くはずだ。そして、とにかくにも彼女の力強い言葉を読んで頂きたい。
――2015年の2月に1st Mini Album『BLU』をリリースされて、約3年経ちますが、この3年間はいかがでしたか?
長かったですね。この仕事はルーティンワークが少ないんです。毎日スケジュールが違いますしね。出した作品それぞれにカラーがあって、いつも新鮮ですし。
――CD出して、ライブをやる繰り返しという意味ではルーティンワークと捉える人もいるので、ルーティンワークが少ないという発言は意外でした。
別にCDを出す為にミュージシャンをやっているわけではなくって。音楽は心から噴水が湧き出るみたいにやりたいですし、感情を揺さぶられたいんです。大変ですが、ひとつひとつの作品が特別です。今エンターテイメントは選択肢がたくさんありますし、だからこそ、嘘がつけない。また、短い期間でリリースが要求されるからこそ、その中で音楽を選んでもらうには真心を込めないといけないと思っています。他に楽しい事は、たくさんありますからね。
――この3年間での手応えは、どう感じられていますか?
最初のアルバムを出した頃に比べると、オーディエンスは増えている喜びを感じています。
――そうなんですね。Reiさんはルーツミュージックを大切にされているイメージがありますが、特に今作は、そんなルーツミュージックに詳しくない若い人が聴いても、とにかく何か感じると思うんです。そういうパワーが本当に強かったんですよ。
ありがとうございます。色々と熟考した時に古い音楽を知ってもらうために、私はやってるわけじゃないと思ったんです。今、インタビューを受けてる時点ではリリースされていないので、オーディエンスがどう感じてくれるかわからないですけど、衝動的に本能的に感じてもらえたら嬉しいですね。
Rei 撮影=日吉“JP”純平
――今作は去年7月リリースの『CRY』と対になられていますよね?
『CRY』はCDだけでなくMUSIC BOOKも付いていたのですが、音楽と別の角度からも感じてもらいたいなと思っていました。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやビートルズも視覚的な要素を持っていて、そこに影響も受けていたので。今回の『FLY』は、CDとMUSIC FILMという映像が付いています。
――音楽にパソコンの中だけで触れる人も多くなってきている中、CDで聴きたくなる工夫を、しっかりとReiさんはされているなと。
今、古着とかも流行っていたり、わざわざ、そこに行って「物を買う」という習慣は、まだあると思うんです。109で福袋を買うために、朝から何百人も並んだりもあるじゃないですか。だから、また音楽をフィジカルで買う素晴らしさを理解してもらえるように、アプローチは工夫しないといけないなって。私たちはパソコンの中でバーチャルに生きているわけではないので。
――僕は飛行機の音も入っている3曲目のインストナンバー「we can fly,」からラストナンバー「Wings」の流れが好きなんですよ。シャッフル機能があるデータで聴くのではなくて、CDで曲順通りに聴くからこそ感じる醍醐味だなと思いましたね。
曲順にはこだわっています。その順でなるべく聴いてもらいたいですね。昔からエンジンやポテトを切る音とか、サンプリングの音を取り入れるのは好きです。
――頂いた資料にReiさん自身がセルフライナーノーツで「涙を燃料に、エンジンふかして空へ飛び立つ」など書かれていて、本当に物語として分かりやすかったんですね。ちゃんと『CRY』から『FLY』への繋がりを感じたんです。
空に羽ばたいているイメージですけど、飛び立つための助走や努力が必要だし、泣いたからこそ飛べるというストーリーの基で作られました。
――この二部作というアイデアは、いつ頃からありましたか?
『BLU』、『UNO』、『ORB』と三部作のアルバムを作って、次は二部作を作りたいと思いましたね。
――1曲目「New Days」で、和訳ですが《24歳にもなって、いつまであの娘夢見てんの?》という歌詞がありますよね。この1行は、凄く御自身のリアリティーを感じる歌詞でグッときました。
自分の音楽はリアルでありたいんです。希望ってリアルな言葉ですけど、偽善的な言葉にもなると思うんですよ。でも、それを音楽で描けたらいいなと。夢を語るのはダサいという風潮もありますが、ちゃんとビジョンを持ってたら夢を持つのは素敵なことだって伝えたくて。有言無実行は駄目ですが(笑)。
――今作だと特に「New Days」は英語と日本語が絡まって耳に飛び込んでくる感じがして持っていかれるんですよね。
私の体の中で噴火している感情はどれも同じだと思うのですが、今回は極の前半の歌詞の譜割りは喋り言葉にしていて、そこは初めてトライしましたね。新しい感覚でした。
――先ほどの24歳という歌詞のフレーズもそうですが、Reiさんは御自身の世代に真っ向から向き合っておられますよね?
時々、私たち世代はゆとりの一言で括られてしまうことがあります。人間関係が不器用だったり、段取りの悪さとかでヤル気ないとか思われて、けれど上手く表現できないだけで、実は欲望を持って一生懸命生きているよねと語りかけたいんです。
――どの時代でも「今の若者は……」と嘆かれますからね。
そうですね。だから「君だけじゃないんだよ!」と言いたいです。私はバイリンガルなんですけど、コミュニケーションがうまく出来ない事で勘違いされたりとかという悔しい気持ちもわかるので。自分の世代の代表としては大声で戦っている事を歌いかけたいです。
――そしてライブですが、Reiさんの音楽はスケール感があるので、スケールでかいところで観たいなと思うんですよ。
ドームでライブやりたいですね。スターはドームや城ホールというイメージがありますし、広い会場でやって映える様なアーティストになりたいです。野球場ではライブをやりたいですね。ポール・マッカートニーの東京ドームでのライブは素敵でしたし、小学生の頃に大阪ドームで観た時も印象に残っています。
――野球場ライブ夢がありますね。とにかく今日はたくさんお話が聴けて楽しかったですし、今後のCDリリースも楽しみにしています。
曲作りは大好きなので、これからも絶え間なくやっていければ幸せだなと思います。
取材・文=鈴木淳史 撮影=日吉JP”純平

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