アルルカン(撮影・さわきみのり)

アルルカン(撮影・さわきみのり)

「アルルカンという未来のために」T
OKYO DOME CITY HALLワンマンライブ
レポート【写真満載】

2月4日、TOKYO DOME CITY HALLにて開催されたアルルカン『4th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR FINAL [4→5]』の模様を写真満載でレポートします。

2月4日、アルルカン『4th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR FINAL [4→5]』がTOKYO DOME CITY HALLにて開催された。
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昨年秋から冬にかけて行われていた『全国ツアー4th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「凸凹」』のファイナルにあたる。
2013年の結成からハイスピードでキャリアを積み上げてきた彼ら。始動からライブの本数はシーンの中でも群を抜き、始動1年足らずで恵比寿LIQUID ROOMをソールドアウト、1年半で渋谷公会堂などシーンの中で近年でいちばん勢いのある成長ぶりだったというのは異論は無いだろう。
その分かかる負担も大きかったように思う。2016年には暁(Vo)が喉の不調で休養を余儀なくされるも、翌年にはそのリベンジツアーを行うというスケジュール。いつ燃え尽きても構わない、自らを追い込むことでしか成長できないといわんばかりのスタンスでここまでやってきた。
めまぐるしく景色が変わっていったアルルカンの4年間。この日は4年目から5年目への節目、渋谷公会堂ぶりのホールライブ。アルルカンがこのステージに立つことにはきっと様々な意味がある。その意味を求めてたくさんの「ダメ人間(アルルカンのファンの総称)」がこの会場に集っていた。
ステージ上に幕はなく、深い森をイメージさせるバックドロップが掲げられている。開演予定時刻をやや過ぎた頃、客電が落ちる。おなじみのSEが流れる中、堕門(Dr)、祥平(B)、奈緒(G)、來堵(G)が登場し定位置へつく。最後に人形のような動きで暁(Vo)がステージの中央に立つ。
この日のライブの口火を切ったのは重厚なイントロから始まる『僻目』、自分自身に問いかけるように歌い上げる暁。続いての『墓穴』では一気にフロアはヘドバン一色に。左右の花道に同時に飛び出す來堵と奈緒。
このツアーにアルルカンは助けられた
「浮かれちまえよ! 外にはない希望が、この箱の中にはある!」と叫ぶ暁の声から始まったのは『omit』、手拍子でそれを迎えるダメ人間たち。
〈今日も他人(アイツ)は楽しそうで でもああはなりたくないなぁって〉
卑屈な歌詞を全員でシンガロングし、サビではタオルを回すアンバランスさ。確かににこの空間にしかない喜びに満ち溢れている。
クラシカルなハードロックという趣きのギターソロが印象的な『BURN』の後は、早くもキラーチューン『像』が放たれ、花道に駆け出す祥平、中指を立てて煽る堕門。フロアの熱量はさらに上昇していく。暁も「勝負しようぜ!」と口にしていたように、ダメ人間とアルルカンのバトルのような熱気を帯びていった。
「よく来てくれました」と挨拶し、ツアーを回ってバンドとファンで力強くなった、昔はそれをわかっていなかった、という暁。「今はその〈1個になる感じ〉がとても面白いです。ツアーで強くなった分、見てもらって帰ってほしい」という率直な言葉にフロアからは拍手が起きる。
「TOKYO DOME CITY HALL! 思いっきり確かめ合おう! ここまで積み上げた気持ちを答え合わせしよう!」という暁の言葉から始まった『クオリア』では、その言葉に対して全力で応えようとするダメ人間たち。『「私」と”理解”』では「歌える?」とダメ人間たちに問いかける。
〈ああ「私」は死んでしまった ああ「私」は死んでしまった 誰からも好かれたかった「私」 脆く弱く死んでしまった〉
決してポジティブではない歌詞が、TOKYO DOME CITY HALL中に響き渡る。
「この曲も、目の前にいる君たちに聴いてほしいと思って、歌います」という一言を添えての『ナミダノアト』。『カルマ』から『暁』の間で掲げてあったバックドロップが切って落とされ、まばゆいほどの照明がステージを照らしていった、まるで迷いを吹っ切るような演出。
そしてありったけの力を叩きつけた『残響』、暁の「やっと乗り越えられたから、待たせたな!」と叫ぶ声から始まった『AN REC ODD』、「作った時より優しく歌えるようになった」というバラード『clepsydra』……。
そんな風に演奏、言動ひとつひとつをとっても暁の言葉を借りるならバンドと観客が〈1個に〉なろうとする光景を何度も目にすることができた。それはこの「凸凹」ツアーを経て彼らが獲得した自信からくるものなのだろう。
この日のタイトルに触れ、「4年目はとにかく悩んでいましたね。喉のこと(不調)もまだあったし。にしても、このツアーにアルルカンは助けられました。このツアーがアルルカンを変えてくれた気がします」と暁。
「いっぱいもらったんで、もらったものを研ぎすませていこうかなと思ったんですけど、皆を連れていくには何か足りない気がして。僕は閉じこもり気味なので……、となるとアルルカンが閉じこもりがちになるわけですよ。それは良くないから、もうちょっと沢山感じて吐き出してから考えてみようかなと思いました」と、現在の感情を切々と語る。
そしてこの日配布された『未完成』を披露した。アルルカンの現在を切り取り、なおかつ未来を感じさせる曲だ。
ようやく口にできた、ある言葉
再び『Alive』、『ダメ人間』とアッパーチューンでスパートをかけていき、ラストの『puzzle』で「これから言う言葉に何も感じなければ返事は結構です。何か引っかかったら全力に返してください」という暁特有の言い回しの前置きを持って叫ばれたのは「ひとつになれるか!」という言葉。
ありふれた言葉かもしれないが、それゆえに避けられていたように思えるこの言葉を、ようやく口にすることができたアルルカン。探し続けた凸凹のパズルのピースがかっちりとはまるように、ダメ人間とアルルカンはひとつになることができた。
晴れやかな顔で手を振ったりピックを投げるなど、フロアに笑顔を向けるメンバー。そして何かを思い立ったようにステージ上で相談を始め、もう1曲披露することに。これは嬉しいサプライズだ。堕門のドラムから『blind bud』へ。続いてニューシングル『exist』の発売、早くも秋から年末にかけての全国5箇所のワンマンツアーの告知もあり、歓声が巻き起こる。
これまでよりもライブ本数が少ないことに触れ、「今までは(ライブやリリースを)いっぱいやって当たり前だったから、一瞬だけじゃなくこれから続く未来のために、僕たちなりにやってみます。ついてきてください、ありがとうございました」という暁に、更に大きな歓声と拍手が贈られる。
そして、名残惜しそうにひとり、またひとりステージを後にする。來堵が去り際に「5年目、削いでいくものもあるし、色々変わっていくこともある。だけど変わらず、カッコいい音楽とカッコいいライブでこれからもお前たちの前に立ち続けるんで、応援よろしくお願いします」と宣言、奈緒が「5ヶ月間完走できて嬉しいです。関わってくれたすべての人に感謝します、ありがとうございました!」と感謝を述べ、この日のステージは幕を閉じた。
最後に『未完成』の前に暁はこんなことも言っていた。
「ファンとバンドで作るということが綺麗事だと思っていたけど、今はそうじゃないように、まだまだ知らないことばっかりなんで。食わず嫌いせずに色々試していこうと思います。
これから続いていく未来のことを考えると、綺麗事を言っても格好がつくバンドになろうと思いました。俺だけのものでもないし君だけのものでもない、アルルカンという未来のために。皆と一緒に見に行けたらと思います」
アルルカンとダメ人間が作る未来がどんなものになるのか、この目で確かめていこうと思う。
セットリスト1.僻目
2.墓穴
3.omit
4.BURN
5.像
6.クオリア
7.影法師
8.「私」と”理解"
9.人形-ヒトガタ-
10.ナミダノアト
11.カルマ
12.暁
13.残響
14.AN REC ODD
15.clepsydra
16.未完成
17.Alive
18.ダメ人間
19.Eclipse
20.puzzle
+blind bud

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