平原綾香 舞台で“宇宙人”役に!? 
~待望の日本版初演ミュージカル『メ
リー・ポピンズ』大阪で会見

魔法が使えるナニー(母親に代わり子育て全般を行う女性)のメリー・ポピンズと、バンクス家の人々との交流を描いたファンタスティック・ミュージカル『メリー・ポピンズ』が日本人キャストにより初演される。1964年に製作された映画版はアカデミー賞5部門を受賞。その後40年を経て2004年にロンドンでミュージカル版が初演された。製作をディズニーと、『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』などのメガヒット作を手掛ける敏腕プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが務め、ロンドン・オリヴィエ賞9部門、アメリカ・トニー賞7部門でそれぞれノミネート。これまで10ヵ国以上で上演されるなど、世界的に注目を集める大型ミュージカルだ。待望の日本版ではオーディションにより最強キャストが集結。なかでも濱田めぐみとのダブルキャストで主演のメリー・ポピンズ役を射止めたのが、歌手の平原綾香だ。大阪の合同取材会で意気込みを語った。
平原綾香
「人前で踊れることが嬉しい! じつはバレエ歴11年なので期待してください」
ーー『ラブ・ネバー・ダイ』(14)、『ビューティフル』(17)に続いて、3作目の主演ミュージカルが決定しました。
大人になってから人前で寸劇をすることに慣れなくて、オーディションは緊張するから苦手なんですが、ドキドキの体当たりで頑張りました。海外のプロデューサーには「君は歌になると途端に自信が出るね」「じつは面白い性格でしょ」などと言われましたね。手応えがあったかは分かりませんが、「綾香のメリーで良いんだよ」と言われたことは良かったなと思います。子どもの頃はメリー・ポピンズに憧れて、傘をさしながら高いところから飛んで、真似をしていました。改めて映画を見直すと、彼女の職業が不明で、空から舞い降りて来るなんてすごいひとですよね(笑)。子どもの頃は不思議にも思いませんでしたが、大人になってからの方が不思議がいっぱいです。
平原綾香
ーーどんなメリー・ポピンズをイメージされていますか。
映画版に主演したジュリー・アンドリュースのイメージが強くて、最初は彼女のように演じてみようと思っていました。でも、海外のスタッフ陣が求めるメリーは映画版とは少し違っていて、少し笑いの要素も入っているというか。「メリー・ポピンズは宇宙人のような存在なんだよ」と言われて、演じていくうちに腑に落ちる所がありました。じつは私、以前みてもらった前世占いで「あなたはまだ地球に慣れていない」と言われたことがあったんです。デビュー曲は「Jupiter」だし、宇宙関係の仕事も多いですし…。何となく宇宙人だった頃を思い出して、演じてみようかなと(笑)。宇宙人というキーワードに助けられています。
ーー今作でお気に入りの楽曲は?
「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」が良いですよね。「お砂糖一さじで(A Spoonful of Sugar)」もすごく可愛らしい。子どもの曲ばかりかと思いきや、改めて歌ってみると大人っぽいと感じる曲もありますし。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」なんて、地球上にない言葉を作っちゃうとか、その発想もなかったのですごくカッコいい。出てくる全ての曲を知っている映画作品というのも他にないと思います。

平原綾香

ーー平原さんはジュリー・アンドリュースの別の主演映画『サウンド・オブ・ミュージック』でも製作50周年記念版DVDで、彼女の日本語吹き替え役を担当されていますね。
左耳で彼女の歌声を聞きながら呼吸をあわせて歌うということを経験させていただきました。息づかいや歌い方を研究していた時期もあるので、映画を観ていて彼女のとりこになりました。
ーーまた、今作は迫力のダンスシーンも話題です。
じつは小学1年生から高校2年生までの11年間、松山バレエ団に通っていました。クラシックバレエをやっておりましたので、踊ることは大好きです。先日、共演の大貫勇輔さんに、彼よりバレエ歴が長いと驚かれました。本当は前から踊りにもチャレンジしてみたかったのですが『Jupiter』でデビューしたので、急に踊り出したらイメージに合わないと、自粛してきました(笑)。デビュー15年目にして人前で踊れることが嬉しいですね。劇中にはタップダンスもあるのですが、これもコンサートツアーの隠し芸でジャズタップとアイリッシュタップの2種類を披露したことがあるんです。遂に昔の習い事と隠し芸が役に立つ日が来ました。がんばりますので期待してください。
平原綾香
「自分を信じれば今の自分を変えられる、誰もが幸せになるミュージカルです」
ーー歌手として、ミュージカルへの挑戦で得たものはありますか。
じつは高校の文化祭でミュージカルに出演したことがデビューのきっかけになったので、ミュージカルとは深い関係があるんです。ただ、プロになってからも出演するとは思ってもいませんでした。最初は不安でしたが、ミュージカルに出演するようになってから喉も鍛えられて、歌も歌いやすくなりました。
ーー歌いやすくなった理由とは。
声帯自体に筋肉はないんですが、周辺の筋肉が鍛えられたことによって、色んな声が出やすくなりました。ミュージカルでは毎日歌い続けるので、平原綾香のソロ活動よりも過酷な状況で歌いまくっている。時には泣きながら歌いますし、それが修行になったんだと思います。
平原綾香
ーー大阪で平原さんの主演舞台が上演されることは、今作が初めてです。
両親が関西の出身で、大阪には父方の親戚がたくさん住んでいますので、私にとって大阪はふるさとですね。お客様もみんな優しいですし、音楽に詳しい方も多い。今回は1ヶ月ぐらい大阪に住むことになるので、地元のパワーを感じながら演じれば、また東京公演とは違うメリーになると思います。楽しみですが、舞台で関西弁が出ないかだけが少し不安です(笑)。
平原綾香
ーー平原さんが思う、本作のみどころは?
今まで映画で目撃してきたメリー・ポピンズが使う魔法を生で観られるのは見所のひとつです。色んなしかけがあるので、彼女は空も飛びます。空を飛ぶとか一度はやってみたかったので、それは私にとっても一番のお楽しみでもあります。
平原綾香
ーー最後にお客様へメッセージを。
『メリー・ポピンズ』は、誰もが幸せになるミュージカルです。とくに、夢を持って何かにチャレンジしようと思っている若い世代の方にはすごく合っている。メリーは魔法も使えるし、色んな時空にも行ける。でも大事なのは魔法が使えることではなく、「自分を信じる」という気持ち。例えば、魔法でお部屋を片付けるシーンも、魔法はただの象徴で、じつは「自分がよし!と思ったら、変われるんだよ」ということを表している作品でもあると思います。メリーは一見ツンツンしているように見えて一番子どもたちのことを思っている。人間的なやさしさが、彼女のなかに凝縮されている。子どもたちには、そういう“心の魔法”を知ってもらいたいですね。

平原綾香

取材・文・撮影=石橋法子
イベント情報

ミュージカル『メリー・ポピンズ』
■原作:パメラ・トラバース
■オリジナル音楽:リチャード・M・シャーマン、ロバート・B・シャーマン
■追加歌詞&音楽:ジョージ・スタイルズ、アンソニー・ドリュー
■訳詞:高橋亜子
■脚本:ジュリアン・フェローズ
■翻訳:常田景子
■オリジナル演出:リチャード・エア
■共同演出/オリジナル振付:マシュー・ボーン
■出演:(以下、ダブルキャスト)濱田めぐみ・平原綾香/大貫勇輔・柿澤勇人/駒田一・山路和弘/木村花代・三森千愛/島田歌穂鈴木ほのかコング桑田パパイヤ鈴木/浦嶋りんこ・久保田磨希/小野田龍之介・もう中学生 ほか
<東京公演>
2018年3月25日(日)~5月7日(月)
※プレビュー公演2018年3月18日(日)~24日(土)
■会場:東急シアターオーブ
<大阪公演>
2018年5月19日(土) ~6月5日(火)
■会場:梅田芸術劇場メインホール
 

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