アニメ『ラーメン大好き小泉さん』は
“音楽愛&ラーメン愛”がマシマシ!
主題歌&サントラを徹底解説

アニメファン、音楽ファン、そして、ラーメンファンの心をもグッと掴む、話題性とこだわりがマシマシなアニメ『ラーメン大好き小泉さん』。その音楽的魅力に迫ります!

1月に一斉に放映をスタートした冬アニメも、早くも折り返し地点を迎えようとしています。
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斬新かつアナーキーな表現で話題性では頭一つ飛び抜けた感のある『ポプテピピック』や、丁寧な作劇がアニメファンの支持を集める『ゆるキャン△』と『スロウスタート』というきらら系アニメの2作品、今後の展開も楽しみなロボットアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』などなど、注目作が数多く揃った今年度の冬アニメの中でも、本連載でその音楽を"イチ推し"ておきたい作品が『ラーメン大好き小泉さん』です。
人気音楽レーベルのflyingDOGプロデュースによる本作。その主題歌と劇伴には、アニメファン、音楽ファン、そして、ラーメンファンの心をもグッと掴む、話題性とこだわりがマシマシに詰まっています。
大胆な歌詞とサウンドにシンガーの高いポテンシャルが融合した1曲! 鈴木みのり『FEELING AROUND』『ラーメン大好き小泉さん』の音楽を語る上で先ず外せないのが、オープニング主題歌の『FEELING AROUND』です。
『マクロスΔ』のフレイア・ヴィオン役で声優・アニソンアーティストとして鮮烈なデビューを飾り、劇中から飛び出したアイドルユニット「ワルキューレ」のメンバーとしても活躍する鈴木みのりさんのソロデビューとなる本曲。
アニソン界の新鋭によるファーストシングルということでリリース前から話題性も抜群。果して、「鈴木みのり」という極上の素材をどのようにプロデュースしてくるのか……? 個人的にも熱い視線を注いでいたのですが、流石は、flyingDOGプロデュース作。今回も実に"攻めた"楽曲を届けてくれました!
オリエンタルなシンセサウンドで始まる本曲は、随所に散りばめたアジア的な旋律に、スピード感も含ませた凝った仕上がりのポップソング。歌詞も実にユニークで、恋の熱量をラーメンに例えたワードが幾度となく顔を出す異色のラブソングとなっています。
トラックもリリックもラブソングとしては、かなり風変わりな『FEELING AROUND』ですが、その個性的な楽曲を一本筋の通ったポップソングに仕立て上げているのが鈴木さんの歌声です。
溌剌さと自然体で耳へと入り込んでくる歌心を有した歌声は、今後の更なる躍進を感じさせ、また、個性派楽曲のパワーにも当たり負けないシッカリした芯の部分が伝わってきます。何よりも可愛い声、そして、明るいキャラクター。"陽"なエネルギーたっぷりのアーティスト性は、鈴木さんのソロ活動においても大きな武器となることは間違いありません。
ワルキューレの『ルンがピカッと光ったら』の作曲者であるコモリタミノル(小森田実)さんを迎えたお洒落でファンキーな『好きなものは好き!』、自身の作詞曲をアコースティックギターの伴奏のみで聴かせる『20才の約束』という2つのカップリングナンバーでは、シンガーとしてのレンジの幅を見せており、『マクロス』シリーズにおける歌姫の先輩である中島愛さんと同様に、"ポップ"を軸にしつつ、どんなサウンドアプローチの楽曲にも対応できそうな懐の深さが感じられます。
「フレイア・ヴィオン」というポップアクトとしてのパーソナリティを確立しつつ、ソロ名義でもアニソンシンガーとしての歩みを始めた鈴木みのりさん。『FEELING AROUND』は、超個性派のプロデュースワークと共に、その高い実力を感じさせる大充実のデビューシングルとなっています。
EDも劇伴も音楽愛が"マシマシ"
ラーメンへのオマージュ満載なアニメーションも楽しいエンディング主題歌エンディング曲は、こちらもユニークな個性が光る西沢幸奏さんの『LOVE MEN HOLIC』。ラーメンにまつわるキーワードを絡めながら韻を踏むリズミカルなヴォーカルとファンキーかつダイナミックなロックサウンドを大きな特徴とする1曲です。
大きくメリハリを付けながら歌詞を発していく歌い出しのパートから、メロディを全身で歌い上げるサビパートへと雪崩れ込む際の快感も強烈で、非常に中毒性の高い楽曲といえます。
また、エンディングアニメーションでは、歴代の有名カップ麺やインスタントラーメンのコマーシャル映像をパロディにしており、デフォルメキャラとなった劇中のキャラクターたちがコミカルなアクションを見せる映像は、見ているだけで楽しい気持ちに。
この曲も『FEELING AROUND』と同様に、モチーフとアーティスト性のバランス感覚が秀逸で、"ラーメン"という一見すると音楽に落とし込むのが難しそうな……下手をすれば、コミカルな曲へとなりかねないキーワードを上手く歌詞へと落とし込み、特別なポップソングを作り上げています。
音も映像もおもしろい1曲で、ラーメンを愛して止まない女子高生を主人公とする「『ラーメン大好き小泉さん』ならではこそ!」なジャストフィット感が何とも気持ち良い。こちらも今期オススメの主題歌です。
劇伴を手掛けているのは、ラーメン大好きなあの有名ミュージシャン!本作の音楽において、主題歌と併せて注目すべき点が、その劇伴です。本作のサウンドトラックを担っているのは、サニーデイ・サービスのベーシストである田中貴さん。サニーデイ・サービスは、若者や恋人といった登場人物たちが佇む風景を都会的なサウンドに乗せて描き出す、情景豊かな音楽を作り出すバンドとして知られています。
インディーロック界の大ベテランともいえる同バンドにおいて、長年に渡ってベースを担当しているのが、田中貴さんその人なのです。
田中さんにとって、アニメの劇伴を担当するのは今作が初! それだけでも、アニソンファンのみならずロックファンにとっても見逃せない……いや、"聴き逃がせない"ポイントですが、実は、田中さんの本作への参加には、その音楽的才能や音作りの手腕と同じくらい重要な「ある必然性」が介在しています。
その必然性とは、田中貴さんが日本ロックシーン屈指のラーメン好きであること。
実は田中さんは、ラーメン評論家としても活躍されており、そのラーメンに対する情熱はガチもガチ。WEBサイトや雑誌への記事の寄稿に始まり、自身が監修を務めるラーメンムックの出版、BSで放映されているラーメン番組でのMCといった様々な媒体で、そのラーメンに対する知識と愛情を披露されています。
サウンドトラックには、田中さんのミュージシャンとしての人脈を活かし、SCOOBIE DOのマツキタイジロウさんや、田中さんがプロデュースしていた声優アイドルユニット、ワンリルキスのメンバーである藤村鼓乃美さんといったロック、アニメ界の垣根を超えたボーダレスなメンバーが集結。
ポップでありながら、ロックミュージシャンとしての出自を感じさせるトラックやジングルが数多く制作されており、劇中でキャラクターやストーリーを盛り立てつつ、音楽的な個性をシッカリと発揮しています。
ラーメンをメインテーマとしたアニメということで、そこにラーメン好きとして知られるミュージシャンを招聘するアイデアは如何にもおもしろく、こちらも本作の音楽面において特別なチャームポイントに。
秀逸な主題歌に、ラーメン愛を感じるミュージシャンの人選が光るサウンドトラック。『ラーメン大好き小泉さん』は、ラーメンと音楽にとことん本気なアニメ。替え玉よろしく、何度もリピートしたくなる楽曲が大盛りな本作に、どうぞ注目ください!

ウレぴあ総研

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