【対談連載】ASH DA HEROの“TALKIN
G BLUES” 第6回ゲスト:AKi [from
シド]

ASH DA HEROをホスト役に、毎回ゲストを迎えてトークセッションを繰り広げる対談連載が2017年春スタートした。デビュー2年目のASH DA HEROが、あるときは同じミュージシャン目線で、またあるときは異ジャンルに斬り込む同対談連載企画のタイトルは、“TALKING BLUES”だ。
第6回目のゲストはシドのベーシストであり、自身のソロプロジェクトを始動しているAKi。両者の関係性が濃密になったのは、L'Arc-en-CielのKen主宰イベントツアー<PARTY ZOO 2016>へのセッション参加がきっかけ。AKi曰く、「ASHのボーカルがあまりにも上手すぎて驚いた」という。
以降、密接となった2人はお酒の席でもたびたび顔を合わせるようになったほか、先ごろ行われたAKi主宰によるバースデーオールナイトイベント<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>にて濃厚な共演を果たすなど、ミュージシャンとして先輩後輩として、ステージ上やオフステージで信頼を寄せ合っているようだ。
そして行われた対談は、幼少期の音楽体験にまで遡り、「こんな話したの初めてだと思う」と笑顔を浮かべ合うほど、発見に溢れるものとなった。今回も10000字を超えるロングでディープなトークセッションをお届けしたい。
   ◆   ◆   ◆
■“AKiちゃま”と呼んじゃっているんです

■それぐらい包容力があって器がデカい──ASH DA HERO
──“酒がないのは珍しいかもしれない”と言ってましたが、2人で話をするときは、いつもアルコールあり状態なんですか?
AKi:そういうときが多いですよ。でもASHはそんなに酒飲まないから。ところが、この前はすごかった。ASHの本気を見た(笑)。
ASH:あの日はよく飲みましたね。覚えてます、2軒目の帰り?
AKi:2軒目へ行ったのは覚えているけど、その後の記憶はない(笑)。
ASH:うん(笑)。なんでかって言うと、2軒目へ行きました→座りました→頼みました→そしてAKiちゃまは終了しましたっていう(笑)。朝までイベントやってたから、あの日、AKiちゃまは30時間ぐらい起きてたんじゃない?
AKi:そうだったね。自分主宰のイベント(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!>@CLUB CITTA'」を2月2日にやらせてもらって、ASHにすごく力を借りてね。“仲間がこんなに集まったんだし、このまま真っ直ぐ帰るなんて健全過ぎるだろう。打ち上げしないと締まらないよね”って、朝5時から店を探して無理やり(笑)。“今日はAKIiさんの誕生日だから、覚悟してきた”とみんなも言ってたから。
ASH:すごく楽しかった。この何年も、公私ともに仲良くさせてもらってます。
AKi:会えば音楽の話ももちろんするし、とにかくASHはずっとしゃべってる(笑)。この対談のタイトルじゃないけど、会話でもジャム・セッションやグルーヴしてくる感じ。それがまた楽しい。
ASH:先輩なんだけど、僕は“AKiちゃま”と呼んじゃっているんです。それぐらい包容力があって器がデカい。だからバースディ・イベントも、本当にたくさんのバンドマンが集まって。後輩からも慕われているし、先輩からはかわいがられているんだろうなって。それに真面目なんですよ、AKiちゃまは。
▲<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>


──オフステージでもそうなんですか?
ASH:会話しててもストイックなところが見えるから。会うたびに好きになるんですよ。音楽に対してとにかく真摯なんです。今回のイベント(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)のためにリハしたり、あと何回かセッションもやらせてもらったんだけど、一緒に音を出すと分かるんですよ。特にフロントマンは敏感かもしれない。“コイツは手を抜いてるな”とか、“この人は真面目だな”とか、ミュージシャンは音やフレーズに全部出る。AKiちゃまと音を出すと、背筋が伸びる思いですね。
AKi:そんなに褒められるとは思いませんでした。ありがとう、嬉しいです。
ASH:大好きですから。ベーシストとしても人としても。
──ソロワークの曲が好き、と前から言ってましたね。
ASH:ソロの曲も好きだし、シドの曲もそうだし、AKiちゃまの作る曲がすごく好きなんですよね。“AKi節”があると思うんですよ。メロディの置き方とコードアプローチとか。“サビにこのコードを持ってくるんだ!?”という驚きもあるんですよ。僕とは真逆というか。ドラマチックなコード展開やスケール展開とか、そういうアレンジにしちゃうんだけど、AKiちゃまの作る曲はドラマティックでも独特なものがある。
AKi:あんまり意識はしてないけど、ただ、“自分の王道から遠ざかりたい”と毎回思うんだよね。いつも自分の作る曲は、自分の中で同じになってしまう感覚が強くて。“またこれだな”とか“ああ、またこの感じだ”って。とにかく自分の王道とするパターンから逃げて、そこでまた新しくメロディとか曲を展開していくようにしていて。ずっとカメレオンでありたいというか、気分もやっていることも。
ASH:なるほど。でも軸というか、何が先行するのかずっと気になってて。メロディ先行なのか、とか。
AKi:曲先であり、メロ先だね。
ASH:やっぱりそうですよね。ボーカルラインもAKiちゃまが考えます?
AKi:そう、全部。歌入れまでして原曲を作る。でもね、ベースから楽曲を作ったことってあまりない。鼻歌をまずピアノに起こしたりとか、ピアノからできていったりとか。
──幼少期からピアノをずっとやってて、ピアニストを目指してた時期もあったんですよね?
AKi:目指していたというか、ピアノ弾くのが好きで。中高生ぐらいまでやってて。
ASH:バースディライブのときもすごかったですよ。素晴らしかった。完全にピアノリサイタルでした。“カッコいいな”、“ずるいな”って思っちゃいました。
AKi:いやいや(笑)。話を戻すと、自分でメロディとコードとピアノというか、だいたい当たりを付けて、そこから始めるという。メロディを作っても、歌わないと良し悪しが分からないでしょ?
ASH:聴感上ね。頭の中で鳴っている音が最高なんだけど、声で出したときに聴感上どうなるのかっていうのがね。
AKi:そうそう。ピアノだとこの響きは綺麗なんだけど、バンドサウンドだとあまり綺麗じゃないなとか。同じ音階やメロディなんだけどね。
ASH:あと歌う人の声質とか、歌詞の言葉のハマり方も関係しますよね。でもやっぱり歌なんだなって、今、腑に落ちたというか。そこにAKi節というのが絶対にあると思うから。歌が主人公であるなら、そこから物語ができあがっていくんだろうなって。歌のメロディが独特ですよね。
■ASHとリハーサルしたら、全身全霊で

■“やっぱこうだよね、ロックは”と──AKi
──作曲方法について、興味津々ですね(笑)。
ASH:はい(笑)。最初に頭の中で鳴っている音は、日本語ですか? ピアノの音? それとも英語で洋楽的なんですか?
AKi:そういうことで言うと、その都度違う。だけど、最終形がまず見えるんだよね。
ASH:作り始めるときに?
AKi:そう。ライブで、この位置でこうやってやりたい曲なんだろうなって。例えばライブを締めるような曲を作りたいと。それならこんなノリのテンション感の曲になりたいなって、その最終地点をめがけて歩くというか。歩いていってその最終地点に辿り着ければ、思ったとおりだからいいんだけど、たまに違う方向に進んだまま完成形になって。思惑と違うところであっても、それで良ければいい。でも曲を作るときは、その最終形をまず最初に考える。その絵は完成していて、どこから描こうかっていう感じというか。
ASH:絵なんですね。色も最初からハッキリ見えてる感じですか?
AKi:全部。メロディ先行なんだけど、オケも全部できていくというか。人物から描くんじゃなくて、風景も人物も一緒に描き出すみたいな。で、場所はどこなのか、夜なのか昼なのかも決めちゃうみたいな。だからパズルのような作曲ではないんですよ。ピースを作ってハメていく感じではないから。
ASH:すごくアーティスティックな作り方だと思いますね。だからコンポーザーとしていろんな人に楽曲提供もできるんだろうなって。
AKi:提供するときは、この子がライブの最後に歌っているときはこういう感じなのかなと思っていると、勝手に曲ができてくる。
ASH:最近だと、LiSAちゃんにまさに「ASH」という曲(作詞 マオ / 作曲 明希)を提供しましたよね。
AKi:そうだね、まさに“ASH”だよね(笑)。
ASH:LiSAちゃんのライブでその曲を初めて聴いたんですよ。メロディはAKiちゃまだなってすごく思った。特にサビへの展開の仕方が。サビからどんどん上がっていく感じというか、1ステップ振りきって、そこからさらに上がるのか!?っていう。あのメロディがすごく好きでね。“♪こんな〜”っていうね。
AKi:嬉しいな。すごく聴いてくれてる(笑)。
ASH:聴いてますよ。音楽フェチだから、この人はどうやってここを考えたのかな?って、すごく気になるし。
AKi:ASHとはこういう話が尽きないよね。飲んでても飲んでなくても自然とこういう話もするし。ミュージシャン友達ってお酒だけでつながっているのも、それはそれで“飲みニケーション”でいいんだけど、中身がちゃんとある人とじゃないと、自分に返ってくるものもないというか。何かしら音楽に還元できるところがないとダメだなって。
ASH:インプット的なものがね。
AKi:そうそう、会話でインプットすることってあるから。俺にとってのASHがまさにそうで、忘れてしまったような気持ちも思い出させてくれることもよくあって。
ASH:えっ、そうなんですか!?
AKi:そうだよ。つい最近のリハーサルもそうだった。以前は俺、リハーサルでも全力のパフォーマンスとかやってたんだけど、最近は実際の本番まではそこまで全力のパフォーマンスをしないんだよね。でもASHとリハーサルしたら、マイクを思いっきり振り回しながらスタジオでリハするし、全身全霊のリハーサル。“ああ、やっぱこうだよね、ロックは。こういう気持ちは常に持っていなきゃいけない。大事だな”って思い出させてくれた。そうじゃないと周りにも説得力ないというかさ。本気でやってるヤツだからこそ、こっちも本気でサポートしたいっていうのが理想じゃないですか、スタッフとメンバーの関係性とか。
──ASHは全身全霊が日常ですからね。
AKi:そうそう。ライブやリハーサルはもちろん、日頃からの思いとかも全身で表現していかないと伝わらないだろうなって。セッションなんだから楽しけりゃいいってノリになりがちなのに、こんだけ本気でやってるヤツなんだって伝わると、雰囲気も空気も引き締まるし。それにMCの流れまで考えてくれたりとかするんですよ。“AKiは主宰で大変そうだから”ってライブの流れまで考えてくれて、すごく助かっちゃって。いや、すごいなって。それに優しいし。愛を感じましたね。
ASH:いやいや、それ楽しいからなんです。自分の現場でもそう。今日もさっきまでリハだったんですけど、汗だくでやってたし、だいたい脱ぐし(笑)。
AKi:素晴らしいよ、常に本気って。
ASH:いや、高校生の頃から変わってないんですよ。楽器屋裏の倉庫にあるような汚いスタジオに入った初めてのリハーサルのときから、僕はあんまり変わってないんです。音楽がやっぱ好きで、みんなで音で遊んでジャムするのがすごく好きだから。ライブの流れを考えるのも楽しい。常にエンジョイなんですよ。リハーサルでも、ストリートでも。「歌って」と言われたら、道でも歌っちゃうし(笑)。
AKi:そういうのが自然にできちゃうんだろうね。
ASH:ですね。特別にスイッチ入れて切り替えてるわけじゃないし。
AKi:それは素晴らしい。
ASH:いや、ちょっとぶっ壊れてるのかもしれない(笑)。
AKi:かと思えば、知識もすごくあるし。ちょっと質問しても、すぐに答えが返ってくる。常にいろんなアンテナが立っていることが、ASHにとっては普通の状態なんだろうな。俺は逆で、そういうモードにならないとダメ。締め切りとかがないと集中力がグッと出てこない。それがないまま「曲を作って」とか言われると、とりあえず飲んでから考えようって(笑)。
ASH:僕は締め切りとか、「こんな感じにしてください」とか言われると、途端にどうしていいか分からなくなっちゃう。撮影とかも、「笑ってください」とか言われると、“何に対して笑えばいいんだろう”って変に考え込んじゃう。そうすると眉間にシワが寄った表情になっちゃうんです(笑)。
AKi:あっ、そうなんだ(笑)?
ASH:それで、「表情がさっきより硬いですね」とか言われちゃう(笑)。不自然なことに対して敏感なタイプかもしれない。
AKi:こうやって話していて思ったけど、自分にないところがお互いにあるから魅力的に感じるんだろうね。
ASH:そうかもしれないです。ある種、逆というか。
AKi:でも芯は一緒なんだよね、多分。共感や共鳴しあうところもあるし。
ASH:そう。本質的な部分やコアな部分は近しいものがあるから。
AKi:だから俺にとってASH DA HEROという男はなおさら魅力的で。
ASH:僕もAKiちゃま大好き。もし男女だったら、多分、付き合ってると思う。
AKi:なにを言い出すんだ(笑)。
ASH:いや、異性だったらメチャメチャ、AKiちゃまはタイプです。彼氏にするなら絶対、AKiちゃまだな〜、うん。
AKi:俺はもっとバカな子がいいな(笑)。だって俺より頭いいんだもん。
──はい、ASHは告った1秒後にフラれた。
ASH:本当にフラれました(笑)。でも男同士だし、ミュージシャン同士だし、とてもいい関係でいさせてもらってます。
AKi:ASHみたいな人はASHしかいない。オンリーワンな感じが魅力だし。
ASH:嬉しいですね。
■僕のスーパーハッピーなところだけ

■抽出したのが、母親──ASH DA HERO
ASH:第一印象ってどうでした? 初めて会ったときのこと覚えてます?
AKi:ちゃんとASH DA HEROと認識したのは、2年前のイベント<PARTY ZOO>(L'Arc-en-CielのKen主宰イベントツアー<PARTY ZOO 2016>)のとき。それ以前にも別のイベントで会ってるんだけど、あのときの男がASHだとは結びつかなかった。
ASH:そうだと思います。全然違ったんで。場末のロックスターみたいな感じというか、音楽をもうやめようと思ってた頃だったし。最後の遺書作りじゃないけど、誰も救ってくれないから、俺は自分でヒーローをやるわって始めたことが今につながっているんです。AKiちゃまと初めて会ったときは、誰も救ってくれないと思っていた末期状態でしたからね。全てに対して、うぜーと。
AKi:確かに、今みたいに明るい感じの男ではなかった。でもその後に<PARTY ZOO>で話したときの印象は強くて。
ASH:楽屋が一緒でしたからね。
▲<PARTY ZOO 2016~Ken Entwines Naughty stars~>


──その時のことTAKING BLUESの第一回目(※ゲストKen [L'Arc-en-Ciel])でも話してくれましたね。
ASH:そうそう。
AKi:ステージにも一緒に上がって、一緒に歌ったのが仲良くなるきっかけだった。
ASH:最後の大セッションでは僕の担当パートはなかったんですよ。そしたらAKiちゃまが「ASH、俺の歌うパートあるから一緒に歌ってよ」って。ほぼ初対面だから、僕の歌はあまり聴いたこともないはずなのに、そうやって誘ってくれたんですね。AKiちゃまがいろいろ仕切ってくれて、すごい頼もしい人だなってのが第一印象。あの1日を通してすごく仲良くしてもらったんです。もうね、自分が女だったら彼女候補にしてほしいって、その日から勝手に思ってました(笑)。乙女心的に、この人はカッコいいかもって。
AKi:その話で引っ張るか(笑)。でもそのセッションでL'Arc-en-Cielの「浸食〜lose control〜」を歌ったとき、“なんだ、コイツは。歌がすっげーウマい”って(笑)。素晴らしかった。カッコ良かった。
ASH:難しい歌でしたけどね。
AKi:それをサラッと歌ってたんだよね。最初の話に戻るけど、バースディイベント(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)のときに洋楽のカバーをしたんですよ。エアロスミスとかボンジョヴィとか。そういう曲を歌いこなせるシンガーは、ASHしかいないと思ったからね。その人選、間違いじゃなかった。そして本当に素晴らしい歌だった。ロック好きならASHの歌を聴くべき。
ASH:嬉しい、ありがたいです。
──フェスなんか出ると、歌い出した直後から観客の視線を振り向かせますからね。
AKi:持っていくよね。
ASH:そうなんですかね〜。インタビューで「あのフェスでは完全アウェイじゃなかった?」とか聞かれることあるんですけど、アウェイでもあんまり気にしないんですよね。もちろん楽しそうに観てくれていたら、こっちももっと楽しくなる。楽しくなさそうだったら「楽しめ、この野郎」って気持ちになる。ただそれだけのこと。
AKi:それがロックのあるべき姿だよね。
ASH:そういう人に憧れ、そういう人に心を奪われてロック始めたようなところがあるから。セックス・ピストルズのジョニー・ロットンの姿をビデオで観たとき、細かいことはよく分からないけど、とにかくカッコいいと。
AKi:それは何歳のとき?
ASH:15歳でしたね。
AKi:15歳でピストルズが響いたんだ。
ASH:そうなんですよ。ひょんなことからバンドをやることになって、最初に歌ったバンドの曲はオフスプリングだったんですよ。カリフォルニアにはこういうメロディックハードコアパンクというジャンルがあるのかって。で、メロディックが付くということは、普通のハードコアってのもあるのか。ああ、マイナースレットがいたと。そうやって、どんどん遡って聴いていって、セックス・ピストルズを知るんですよ。友達のお兄ちゃんにVHSビデオを借りて、最初は眠かったけど、「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」になった瞬間ですよね。サウンドは古いと思ったし、曲も意味不明だったけど、ジョニー・ロットンがウワーッとやってるのを観て、気持ち悪いけどカッコいいみたいな。
AKi:ASHの原体験ってパンクなんだね。
ASH:音楽的ルーツは幼少期に聴いてたソウルやブラック・ミュージックだけど、ミュージシャンとしてのルーツは間違いなくパンク・ロック。
AKi:小さい頃から音楽が流れている家庭環境だったの?
ASH:うちは母親がもともとピアノの先生で、オヤジがもともとフォークバンドやっていて。家にピアノもギターもあったんです。夕方になると母親がピアノを弾きまくっていて、日曜日になるとオヤジがスピッツとかJ-POPとかを弾き語りで歌ってくれて。僕のスーパーハッピーなところだけを抽出したようなのが、自分の母親なんですよ。もしここにいたら「いつもほんとお世話になってます。メッチャ、カッコいいですね」とか馴れ馴れしく言い出しそうな、例えるなら平野レミさんみたいなタイプで(笑)。
AKi:へぇ〜(笑)。会ってみたい。お母さん、お若いんだね。
ASH:気持ちが若い。だから車に乗ると、カーステからアース・ウィンド・アンド・ファイアーの後にボズ・スキャッグスが流れて。歌いながら運転しているから、俺も合いの手にコーラスを歌ったりとか。母親の歌にハモを付けたり。
AKi:ああ、そういう感じなんだ。じゃあ、こうなるよね、仕上がりとしてね(笑)。
ASH:仕上がりって(笑)。とにかく音楽がメッチャ家に溢れていたんです。
■今思ったよ、自分の曲の作り方は

■確かに父親と母親のブレンドだなって──AKi
AKi:うちもね、家になぜか知らないけど、誰も弾かないのにピアノがあったの(笑)。それが最初のきっかけ。オヤジが大のクラシック好きで。好きなオーディオを組み合わせてセッティングして、スピーカーの位置も計算して設置するようなマニアで。FMから流れるクラシックも、当時最高品質のメタル・テープに全部録音してたから、引き出しを開けると、ズラーッと並べてあってね。触ってちょっとでもズレるとメチャクチャ怒られる。
ASH:ああ、ちょっと分かった。AKiちゃまにはやっぱりクラシックが流れてるんだ、血として。AKiちゃまの曲に西洋の王宮音楽をいつも感じる。それはアレンジにストリングスが使われているとかじゃなくて。綺麗なメロディなんですよ。
AKi:日曜日の朝8時ぐらいから昼過ぎまでクラシックが流れてた、オヤジの仕事が休みだったからね。聴かされていたというよりも、自然にクラシックを浴びてた感じで。それでね、母親が絵描きなんです。
ASH:あっ、やっぱブレンドっすね。すごい。
AKi:だから今思ったよ。自分の曲の作り方は、確かに父親と母親のやっているブレンドだなって。仕上がりとしてこうなるなって(笑)。
ASH:それにスピーカーとかテープの位置がズレたら怒るという父親から譲り受けたような几帳面さを、AKiちゃまは持っている。音の配置とか細かいアレンジとかが、すごく几帳面だなって。それに絵描きのように曲を作る人だし。幼い頃に聴いていたものや触れていた空気は、確実に自分の骨や髄に染み込んでいるんだと思う。僕もファンキーな母親の鼻歌に合いの手を入れてたから、そりゃ、小学生から16ビートが好きにもなるし。
AKi:親御さんの音楽との出会わせ方も良かったんだろうね。うちはオヤジの頭が硬くて、「勉強して絶対に大学出ろ」って言われててね。日曜日は横にオヤジがいて勉強させられたんだけど、ほんと勉強が嫌いで、いつも「お腹が痛い」って嘘付いてたぐらい。出会わせ方を誤ると、子供って好きになれるものもなれなくなるし。
ASH:反発心しか生まれなくなっちゃいそうですもんね。
AKi:そう。俺、音楽との出会い方も全然好きになれない感じだった、実は。小学1年のときに、あの楽器あるじゃん、ピーヒャララっての。なんだっけ、鍵盤ハーモニカか。
ASH:ピアニカね。ピーヒャララって(笑)。
AKi:音楽の授業で、あれを1小節ごとに前の席から弾くんですよ。簡単な曲だけど、全然できなかったの。それで音楽の授業が本当にイヤになっちゃって。でも母親が、「家にちょうどピアノもあるし、習ってみれば」って。そのピアノの先生がものすごくいい人だったんだよ。その先生のおかげで音楽を嫌いにならずにすんだ。当時の俺は身体が弱くて、小児喘息を持っててね。体操とかサッカー教室、他にも習字やソロバンとかも習わされていて。周りの環境も友達もイヤだし、習字とか面倒臭いし。その習い事のひとつにピアノもあったんだけど、その先生が好きになったから今の自分があるんですよ。何でもそうなんだけど、出会い方って大事。
ASH:うん、それは本当に思う。
AKi:だからASHのお母さんは、実はASHをシンガーにしたかったんじゃないかな。
ASH:いや、それはないと思いますよ。でも間違いなく、あの母親の息子だなって。母親はKISSのライブにも行ってたし。あの当時、J-POPがテレビから流れてきても、「曲はいいけど、この人は声が出てないね。やっぱフレディ・マーキュリーでしょ」とか言っちゃってたし(笑)。
AKi:あっ、そっちの人だ(笑)。
ASH:ベイ・シティ・ローラーズの話とかも家では普通だったんですよ。ところが学校でSPEEDとかKinKi Kidsの話題になっても、もちろん曲は聴いたことあるけど、あまりピンと来なくて。こっちはボズ・スキャッグスの話とかを友達としたいんだけど、誰も知らないから洋楽を聴いてるのは恥ずかしいことだと思ってた。変にコンプレックスに思ってたんですよ。
──AKiさんは、今はクラシックも好きですか?
AKi:詳しくないけど、聴くことはとても好き。今はロックよりもピアノの曲を聴くことが多いんです。クラシックじゃなくてもいいんですよ、映画でもCM挿入歌でもいいし、ピアノの音色が好きなんでしょうね。
ASH:だからね、AKiちゃまのピアノのライブ観たい人もすごい多いんじゃないでしょうか。
──つまり2月15日はそういうことですか?
AKi:ちょっと、やめて! なに、この話の流れは(笑)。独奏ってやってみて思ったけど、すごく大変。弾いてると後ろに誰かがいるの、誰もいないはずなのに。
ASH:あのとき(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)もピアノを弾いたんですけど緊張具合がハンパじゃなかった。でもね、誰も後ろにいないから(笑)。
AKi:いや、誰かが腕を引っ張ったり、肘を揺らすんだよ、ピアノ弾いてると。“ハッ? 鍵盤、波打ってない?”みたいな(笑)。あと照明の位置でもピアノは弾きづらくなって。光の当たり具合によって出来る影が黒鍵に見えたり、逆に真上から照明を当てられると、白鍵がレフ板みたいになってまぶしすぎて(笑)。まぁ、本番はちゃんとやったけど、結構照明さんとああしようこうしようってやり取りしたんだよ。
ASH:ここまで言うぐらいだから、2月15日はピアノはやんないと思う(笑)。やるとしたら、僕の歌とAKiちゃまのピアノだけで1曲ならありだけど。
AKi:ちょ、ちょっと、それがなしだって言ってるんだっての(笑)。やーめーてー、ほんとに。胃がキリキリするから(笑)。
ASH:またフラれた(笑)。でも2月15日は、違った形でみんなが喜ぶことをやるので、楽しみにしててください。今日のリハーサルでバッチリ仕込みましたからね。全部用意しましたよ、AKiちゃま。
AKi:何を……?
ASH:再現不可能だったじゃないですか、あのとき(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)の人数では。
AKi:はいはい。
ASH:全て用意したのでバッチリでございます。
AKi:えっ、それすごくない? 完全版だよ、スゲー!
ASH:だからAKiちゃまはベースを弾いていただければと。
■ジャンルの“壁”とかいらなくなって

■“扉”に変わるんじゃないかな──ASH DA HERO
──2人の間で謎の会話が繰り広げられていますが、とにかく2月15日の<「CONNECT X」 【ACT.6】ASH DA HERO × AKi>はスペシャルなことも起こすと。それぞれのステージはどんな心構えですか?
AKi:いつもと同じくAKiというソロアーティストのハードロックを、ASHのファン達と歌えたらいいかなと思う。曲を知らなくても全然関係ないし、ライブを楽しめればいいと思う。俺のイメージは、この人はベースなのにこんなこともやるんだ、カッコいいじゃん、と。
▲<MIDNIGHT PARTY ZOO 2017 〜AKi’s Birthday Month〜>


ASH:ベースヒーローって感じですよね。この<CONNECT X>というシリーズは、2マンの対バン形式だから、“VS(対決)”というイメージをどうしても抱いてしまう人が多いと思うんです。でも僕は、“VS”というのがイヤだから<CONNECT X>という名前にしたので。
AKi:なるほどね。すごくいいコンセプトだと思う。
ASH:つながったほうがいいじゃないですか。『週刊少年ジャンプ』で例えるなら、『ドラゴンボール』の孫悟空と『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助のどっちが強いでしょうっていう“VS”ってあるじゃないですか。いやでもね、一緒にやったら強いでしょって。ミュージシャン同士で戦うことじゃない。もっと戦わなくちゃいけないものがあるはずで。例えば今の世の中の違う方向に行ってる価値観を正したりとか、こんな価値観もあるよって提示したりとか。だから2月15日の<CONNECT X>は、僕は僕らしく、AKiちゃまはAKiちゃまらしくやって、それがバチッとぶつかるんだけど、その先におもしろい化学反応が起こったらと。それぞれのお客さんもお互いの気持ちがつながって、この話を誰かにしたいねって外にどんどん広がっていけばって。音楽シーンというと大きくなっちゃうけど、ジャンルの“壁”とかいらなくなって“扉”に変わるんじゃないかなっていう。そういうイベントですからね。素敵な夜になるはずなんで、いろんな人達に観に来てもらいたいですよ。
AKi:<CONNECT X>という機会をくれたのは、すごく嬉しい。イベントも自分でどんどんやりたいと思っていたし、やっぱり刺激がないと伸びないから。それに、<CONNECT X>のコンセプトを今初めて知ったけど、その意味にもすごく共感して。壁を扉に変えるってすごく素晴らしい。俺も、戦う意味の2マンって好きじゃなくてね。ロックンロールは力を誇示するものじゃなくて、とてもハッピーで平和なものですよ。
ASH:僕もそう思うんですよ。
AKi:ASHの人間性がイベントにも反映されているんだなというところにも、今、合点がいったし。
ASH:ロックンロールが最後に勝ち取りたいものって、多分、自由じゃないですか。自由に辿り着いたとき、自由はこんなに不自由なのかって気づくのもロックだろうし。こんなに憎い世界をぶっ壊したいけど、それでも俺はこの世界を愛いそうと歌うのがロックだろうし。僕はそうでありたいですね、HEROと名乗っているからには。
AKi:すごく楽しみになってきましたね、2月15日が。
取材・文◎長谷川幸信
■<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2018 CONNECT X>


【ACT.6】2018年2月15日(木) Shibuya TSUTAYA O-WEST

ASH DA HERO × AKi

【ACT.7】2018年3月15日(木) Shibuya TSUTAYA O-WEST

ASH DA HERO × JUON

※OPEN 18:30 / START 19:00

▼チケット

オールスタンディング 4,500円(税込/D代別)

【ACT.6】1月20日(土) 一般発売

【ACT.7】2月17日(土) 一般発売

■<ASH DA HERO SPRING TOUR 2018「STAY FREE」>

2018年3月30日(金) 名古屋Electric Lady Land

OPEN 18:30/START 19:00

2018年3月31日(土) OSAKA MUSE

OPEN 17:30/START 18:00

2018年4月08日(日) HooK SENDAI

OPEN 17:30/START 18:00

2018年4月13日(金) 新横浜NEW SIDE BEACH!!

OPEN 18:30/START 19:00

2018年4月14日(土 静岡Sunash

OPEN 17:30/START 18:00

2018年4月29日(日) マイナビBLITZ赤坂

OPEN 17:00/START 18:00

▼チケット

オールスタンディング 4,000円(税込/D代別)

一般発売日:2月24日(土)10:00


■<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018>


2018年5月5日(土・祝)Zepp DiverCity TOKYO ~ID-S限定LIVE~

OPEN17:00 / START18:00

2018年5月6日(日)Zepp DiverCity TOKYO ~ID-S限定LIVE~

OPEN15:00 / START16:00

2018年5月12日(土)Zepp Osaka Bayside ~ファン投票LIVE(大阪編)~

OPEN17:00 / START18:00

2018年5月13日(日)Zepp Osaka Bayside ~暴れ曲限定LIVE~

OPEN15:00 / START16:00

2018年5月18日(金)Zepp Nagoya ~ファン投票LIVE(名古屋編)~

OPEN18:00 / START19:00

2018年5月19日(土)Zepp Nagoya ~暴れ曲限定LIVE~

OPEN15:00 / START16:00

2018年5月26日(土)福岡DRUM LOGOS ~ファン投票LIVE(福岡編)~

OPEN17:00 / START18:00

2018年5月27日(日)福岡DRUM LOGOS ~暴れ曲限定LIVE~

OPEN15:00 / START16:00

2018年6月2日(土)Zepp Sapporo ~インディーズ曲限定LIVE~

OPEN17:00 / START18:00

2018年6月9日(土)SENDAI GIGS ~昭和歌謡曲限定LIVE~

OPEN17:00 / START18:00

2018年6月15日(金)Zepp Tokyo ~ファン投票LIVE(東京編)~

OPEN18:00 / START19:00

2018年6月16日(土)Zepp Tokyo ~暴れ曲限定LIVE~

OPEN15:00 / START 16:00

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