坂口健太郎(左)と本田翼

坂口健太郎(左)と本田翼

【インタビュー】『今夜、ロマンス劇
場で』坂口健太郎&本田翼 役へのア
プローチの鍵は綾瀬はるかの“ナチュ
ラルさ”と監督の“執念”

 モノクロ映画の中から飛び出してきたヒロインと、現実世界で映画監督を目指す青年のロマンチックで切ない恋模様を描いた『今夜、ロマンス劇場で』。本作で、坂口健太郎は高飛車な王女様・美雪(綾瀬はるか)に恋する青年・健司役、本田翼は健司に恋心を抱く社長令嬢・塔子役という、これまで演じてきたキャラクターとは異なる役どころに挑戦し、新たな魅力を発揮している。そんな2人が、役に近づくためのキーポイントや映画の魅力などを語ってくれた。
-最近では珍しく、漫画や小説などが原作ではない、武内英樹監督による完全オリジナルの映画ですが、台本を読んだ時の感想を教えてください。
本田 美雪が映画の中から出てくるからファンタジーだと思って読み始めましたが、全く展開が読めませんでした。でも、最後に「こうつながるんだ!」と分かったときは感動しました。
坂口 僕も、最初はモノクロでスクリーンから人が出てくるというところで、撮ってみないと分からないと思いました。ジャンルでは、健司と美雪とのラブの部分や、塔子さんとの気持ちの通い方が丁寧に描かれていたので、ファンタジーというより、ヒューマンラブに近い感じがしました。
-健司は、ちょっと情けないところもあるけれど、純粋で優しい青年ですが、どのように役作りをしましたか。
坂口 映画のムードがコミカルからシリアスへと変わっていくので、前半はドタバタ感を出すため、演じていて「テンポが速いな…」と思うぐらいの、スピード感ある演出を監督にしてもらいました。誠実さや優しさの面では、美雪に対する言葉や表情に真実味を持たせることに気を遣いました。でも、誠実さは出そうとして出るものではないので、自然に醸し出せるように、撮影中は何となくでも美雪のことを考えるようにしていました。
-普段はヒロインをメロメロにする役柄が多く、今回の女性に振り回されている坂口さんは新鮮でしたが、“爽やか好青年”という面では、変わらない坂口さんらしさも感じました。そのようなイメージの定着について、どうお考えですか。
坂口 顔の作り的に、ひどい役をやっていても爽やかに見えるんですよね。だから、こんな役をやりたいのに…とか、自分が見せたいふうに見せられない…とか、悩んでいた時期はあります。でも今は、自分を反映した役にしかならないし、それは自分にしかできないことだから、このままやればいいと開き直るようになりました。
-本田さんは、恋に奥手なお嬢さまという役柄ですが、演じてみていかがでしたか。
本田 おてんば娘や明るい役が多く、清楚(せいそ)なお嬢さま役は初めてだったので、最初は戸惑いましたが、監督が細かく演出してくださったので助かりました。撮影初日では何テイクも撮り直されましたが、かなり粘っていただいたおかげでつかめたものがあったので、後からとてもやりやすくなりました。
-ご自身で特に気を付けたところはありますか。
本田 お嬢さまならではの落ち着きや、心のゆとりを持って、感情的にならないことに一番気を付けました。
坂口 塔子さんってあまりリアルではないというか、漫画の中の理想的なお嬢さまだから、すごく難しい役だろうなと思って見ていたけど、本当によくできていたよね。
-お二人はファッション誌『MEN’S NON-NO』『non-no』のモデル時代に一緒に仕事をされたこともありますが、俳優としては初共演ですね。お互い、俳優としてどのような印象を持たれましたか。
坂口 すごく負けず嫌い。それは、クランクインの日から監督の演出を理解して、自分の中で塔子さんをしっかり作ってからお芝居をしているところで感じました。そのおかげで、台本の中の情報量が少なくて、イメージしにくかった塔子さんが出来上がって、とてもやりやすくなりました。
本田 好印象です! 坂口くんは助監督という役を意識して、常にスタッフとコミュニケーションを取っていたので、普段から役に関して勉強している方だと感じたし、そういう現場での居住まいがとてもすてきでした。
-綾瀬さんについてはいかがでしょうか。
坂口 綾瀬さんはとてもナチュラルで、その場面で一番いい反応を的確に返してくれる方でした。例えば、笑う芝居の場合、役者の中には「笑うシーンだから笑おう」と考えて演じている人もいるだろうけど、綾瀬さんは本当に笑ってくれるから、僕も自然に笑っていました。だから、健司は感情の起伏が大きくてエネルギーを使う役で、自分の普段のテンションより上げなきゃいけないし、大変だったけど、綾瀬さんとのシーンでは気張らずにできました。
-『ローマの休日』(54)『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)、1950~60年代の日活の「~ガイ」シリーズなど、過去の名画のエッセンスを取り入れ、映画好きにはたまらない作品に仕上がっていますが、お二人にとっての映画の魅力とは。
坂口 映画を見ているときは、自分とは違う精神になって、その時間を生きられることかな。やくざ映画だったら自分も強くなった気になるし、歴史ものだったらタイムスリップした気分にしてくれるし、パラレルワールドみたいな気がします。
本田 この映画でいえば、最近はアクションとかハラハラドキドキとか、いろんな要素が詰まった作品が多い中、シンプルに恋愛にフォーカスしているところが魅力だと思います。だからこそ、恋の純粋さや切なさに感動するし、最後は涙が出るんじゃないかな。クラシカルな世界観や衣装も見どころです。
-現代シーンのカラフルな映像美にも心がはずみますよね。そんな世界へ、モノクロ映画の中から飛びこんだ美雪とは逆に、もし、お二人が映画の世界に入れるとしたら、どの作品を選びますか。
本田 アメコミの世界がいいな。『アベンジャーズ』シリーズとかでヒーローをやってみたいです。
坂口 このままの自分で映画の世界に行くから、翼ちゃんがヒーローになれるわけじゃないんだよ。
本田 そっか…。だったら『アバター』(09)。現実にはない世界観のところに行ってみたいです!
坂口 僕は戦国時代がいいから、最近の映画だと『関ヶ原』(17)。徳川家康(役所広司)に「石田三成(岡田准一)が来ますよ」と言ったりして、かき回したいですね(笑)。
(取材・文・写真/錦怜那)

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