【インタビュー】岸田教団&THE明星
ロケッツ、骨太なロック感や尖りを継
承しつつ洗練感を増したシングル「ス
トレイ」

岸田教団&THE明星ロケッツのニュー・シングル「ストレイ」が2月7日にリリースされる。TVアニメ『博多豚骨ラーメンズ』のオープニング曲でもある「ストレイ」は、彼らならではの骨太なロック感や尖りを継承しつつ、より洗練感を増していることが印象的。岸田教団&THE明星ロケッツは2017年に10周年を迎えたが、彼らが守りに入ることはなく、今なお攻めの姿勢で進化し続けていることを感じさせる。バンドのブレーンを務める岸田(b)と紅一点のichigo(vo)に、新作について大いに語ってもらった。
■『新宿スワン』をポップにして女の子が好きな範疇で収まる

■ちょっと悪いヤツというイメージで作ったのが「ストレイ」
――新曲の「ストレイ」は、TVアニメ『博多豚骨ラーメンズ』のオープニング曲ですね。
岸田:僕らは今まで何度もアニメのタイアップをさせてもらっていますけど、今回は初めて女の子向けのアニメをやるぞというところから制作が始まりました。それで、原作を読んだところ、“おっと! 男しか出てこない”と(笑)。美少女出てこないぞ、どうしよう…みたいな(笑)。
ichigo:パンチラも、オッパイもない(笑)。
岸田:そう。それで、全員困惑という(笑)。いつもイラストを描いてくれているTAQROさんに至っては、俺は男は描けないとか言っていて(笑)。
ichigo:アハハ(笑)。『博多豚骨ラーメンズ』はキャストとかも女性向けアニメの常連の声優さんみたいな感じで、メインにしているターゲットが女性なんですよ。だから、曲を作るにあたって、女の子の聴く耳ということは意識したよね。
岸田:若干ね。原作を読んで、これはいつもみたいにゴリッとさせるのは、ちょっと違うなと思って。それに、先方が希望したイメージとかもあって、最初はジャジーな感じだったり、わりと'60年代ライクな感じの曲を作ったんです。いっそ古くなり過ぎてしまうと、オシャレになるというのがあるから。それでゴマかそうとしたけど、それだと売り上げ的なプレゼンスが期待できなくて(笑)。
ichigo:ちょっとニッチな感じになっちゃう。
岸田:そう。それで、改めて『博多豚骨ラーメンズ』の世界観はどんなものだろうと考えた時に、『新宿スワン』を大分ポップかつライトにしたものだなと思って。女の子が好きな範疇で収まる、ちょっと悪いヤツというイメージで作ったのが「ストレイ」です。
――まさに、そういう曲になっていますね。「ストレイ」は、サビなどはキャッチーでいながら、全体的にヤサぐれていますので。
ichigo:そうそう、ヤサぐれてる(笑)。
岸田:そうなるように、頑張って作りました(笑)。
▲「ストレイ」(アーティスト盤・通常盤)
▲「ストレイ」(アニメ盤)


――イメージしたものをしっかりと形にできるのは、さすがです。「ストレイ」の歌詞についても話していただけますか。
岸田:歌詞は、僕は福岡出身なので、福岡的なものを持ってきました。“やっぱり、福岡はこんな感じだよね”という。
ichigo:福岡は熱い人が多いしね。それに、ちょっと荒っぽいというか。
岸田:そうそう(笑)。ここでは載せられないようなことも含めて、福岡というのはそういう街で、「ストレイ」の歌詞にはそういう匂いを反映させました。
――歌詞に関しては、岸田さんは最新アルバム『LIVE YOUR LIFE』を作るにあたって、自身のメッセージを託した歌詞を書くことに目覚めたと言っていました。今回のようにアニメとリンクした歌詞を書くことに、もどかしさを感じたりしませんでしたか?
岸田:それはなかったです。むしろ、タイアップの場合はテーマをくれるので楽です。何について書くかを自分の中から出すのも最近は好きですけど、自発的に出てくるテーマはそれほど多くはないので。それに、お題を与えられても、そこに自分のメッセージを織り込むことはできるじゃないですか。だから、テーマがあることは苦にはならない。というか、元々はそういうスタンスだったのが、気がついたら自分からメッセージを発信しようというポジションに変わっていったんです。アーティストとしての自覚が芽生えたんですよね。
ichigo:それ、自分で言っちゃうんだ。ビックリしたわ(笑)。
――“10年目にして”ですからねぇ。
岸田:アハハ!! 結成から10年を超えて、やっとアーティストとしての自覚が芽生えたという(笑)。伝えたいメッセージがなかったわけじゃないんですよ。でも、それをわざわざ自ら言う気はなかった。勝手にメッセージを発信したら、押しつけがましくて、聴いてくれる人にとっては迷惑かなと思っていたから。
ichigo:そう。めんどクサいヤツかな…みたいな。まさか、みんながそんなに私達のメッセージを聞きたがっているとは思わなかった。
――いやいや、聞きたいでしょう(笑)。では、「ストレイ」のレコーディングは、いかがでしたか?
ichigo:この曲の歌は、難しかったです。岸田教団&THE明星ロケッツは裏拍を取りまくらないといけない曲が多いんですけど、その中でも「ストレイ」は特に強くて。
岸田:正確に言うとね、誰かが裏拍を取らないといけない曲が多くて、今回はボーカルが取らないといけなかったんです。
ichigo:そう。楽器が、あまり助けてくれてない。
岸田:いつもは楽器のほうでリズムを作ってボーカルに渡すんですけど、今回は曲調的に歌で取らないとイメージしたものにならないというのがあって。ギリギリまで歌でリズムを取らなくても大丈夫な形にならないかなといろいろやったけど出来なくて。そのまま締切の時間がやってきたので、「すみません!」っていう(笑)。
ichigo:なので、この曲は歌録りをする前にメッチャ練習しました。普段はレコーディング前も、あまり練習しないんですけど。
岸田:“あまり”というか、全然しないよね(笑)。
ichigo:う、うん……(笑)。「ストレイ」は練習してから録ったけど、すごく時間が掛かりました。歌自体が難しいし、かといって難しさを感じさせるのは違うというのがあって。ヤサぐれている曲だから、こなれて歌えていないとハマりが悪いんですよ。さらに、サビは良い意味でパツパツで歌えるようにする必要があるという。ただ、アニメだけじゃなくて歌詞のほうのストーリーも含めて気持ちを乗せやすかったというのがあったし、言葉とかも強いんですよ。“必死で生きろ”とか“終わらねえぞ”とか。そういうところはもう思い切りヤサぐれて歌って良いと言われたので、歌のニュアンスは解釈しやすいというのはありましたね。
■みっちゃんは実際にパンダの着ぐるみを着て幼稚園で演奏していた

■ドラムを叩いた瞬間、園児がみんな耳を塞いだらしいけど(笑)
――ichigoさんの場合は強い言葉を強く歌ってもキュートな感じになって、それが独自の魅力になっています。
岸田:そう。生粋のパーティー・ヴォイスがそうさせる。
ichigo:それは自分でもラッキーだなと思います。岸田の書く歌詞はキツい言葉が多いし、表現としてもちょっとヒネくれたものが多いけど、声がハッピーな声なので真剣になり過ぎない感じがあるんですよね。
岸田:特に今回はシリアスになり過ぎても困るイメージだったから、ちょうど良いというか。狙った通りのところに着地できたなと思います。「ストレイ」に関しては、もうボーカルが全てですね。僕はあまりボーカルには興味がなくて、今までは“勝手に歌え”という感じだったんですよ。いつもは歌も楽曲を形作っている要素の一つというイメージだから。でも、「ストレイ」は“歌が良くなかったら、この曲死ぬよ”という楽曲なんですよね。
ichigo:最近、そういう曲が多いんですよ。
岸田:そのほうが効率が良いし、ichigoさんがそれに応えられるようになったから。そもそも、本当はそういう形態のほうが良いんですよ。楽器隊みんながichigoさんのために存在しているというのがベスト。だけど、最後のゴールをichigoさんに任せるということに、最初はすごく恐怖感があった(笑)。
ichigo:おいっ!(笑)
岸田:だって、どんなに良いスルーパスを渡しても、それを空振りされたら、もう終わりなんだよ。
ichigo:ああ、たしかにそうだね。
岸田:ほらね。ichigoさんは、「私は、空振りしないよ」とは言わないんですよ(笑)。
ichigo:そんなこと言えないよ(笑)。
岸田:だろう? だから……。
▲「ストレイ」(アーティスト盤・通常盤)
▲「ストレイ」(アニメ盤)


――岸田教団&THE明星ロケッツはichigoさんを押し出してもバック陣が個性的なので、バンド感は消えないですよね。なので、今の状態はすごく良いなと思います。
岸田:それは、自分達でも感じています。最近は後ろの3人がichigoさんがいないところで、「やっぱり、ストライカーがゴールできないとダメだよな」という話をよくしているんですよ。
ichigo:私は、別に自分がゴールしなくて良いから楽だなとずっと思っていたんです。でも、最近は“ゴールを決めろ”というプレッシャーが凄くて。それで、“ああ、そうだよね。やっぱりボーカルがゴールを決めるよね”みたいな(笑)。だから、最近はちょいちょいゴールを決めつつ…という感じになっています。
岸田:ichigoさんも10年経って自覚が芽生えつつあるじゃん(笑)。
ichigo:そうだね、お互いにね(笑)。
――いつもながら、良いコンビネーションです。岸田さん、「ストレイ」のベースについては、いかがでしたか?
岸田:ベースは、楽でした。僕は、こういう曲は得意なので特に問題なかった。歌以外は、みんな楽だったんじゃないかな。ギターとかはやることが多いから時間が掛かったみたいだけど、プレイ面で苦労はしていないと思う。
――はやぴ~(g)さんは1番の2番のインター・パートでサックスのようなニュアンスをギターで出したり、ワウやフランジャーを効果的に使ったりしていて、“おっ!”と思う場所が多いです。
岸田:そう、結構凝っているし、良い味を出していますよね。それに、みっちゃんのドラムもいつもほど派手ではなくて、ツボを押さえた感じになっている。この曲を録った時に、僕は時代の変化を感じたんです。これは世の中のトレンドの変化に鋭く反応しつつある頃の曲ですね。この後、もっと鋭く反応するんですけど(笑)。
――今後も楽しみです。それに、シネマライクな作りになっている「ストレイ」のMVも必見といえます。
岸田&ichigo:ハハハ!!(笑)
――あれっ? その笑いは?
岸田:いや、このMVは僕ら的に笑えるポイントが満載なんですよ。
ichigo:そう(笑)。最初に打ち合わせをした時に、みんなで悪いことをしている感じのMVにしようという話になったんです。イメージ的には『ルパン三世』とか『私立探偵 濱マイク』とか、あとはアニメの『カウボーイビバップ』とか。そこからichigoはいろいろ変装をして、いろんなところに潜入している情報屋みたいなキャラクターにしようということになって。その後、みんなでゴチャゴチャ話をしている時に、ライブの時にサポート・ギターをやってもらっているT-tsuちゃんを出そうぜということになったんです。もう、どこに行ってもT-tsuちゃんがいるようにしようと(笑)。
岸田:それで、みっちゃんからチラシを受け取る役で出ているし、演奏シーンでもずっと見切れているという(笑)。しかも演奏シーンでは、なぜかパンを食ってるんだよな(笑)。それに、はやぴ~さんと僕がちょっと悪そうな恰好をした瞬間に、意味が分からないくらい本当に悪そうなMVになった(笑)。だって、詐欺しているヤツと殺し屋みたいな感じだもんね(笑)。俺の“詐欺してそうな感”ヤバいもんな(笑)。
ichigo:うん(笑)。でも、はやぴ~が一番馴染んでるよね?
岸田:松田優作かよ、お前は…っていう(笑)。僕らは彼の中身を知っているから大笑いなんですけど(笑)。
ichigo:はやぴ~、本当はタバコも吸えないし(笑)。最後のシーンとかさ、なんであんなにカッコつけられるのか不思議だよね(笑)。
岸田:本当に(笑)。それに、みっちゃんの馴染み方もすごくない?
ichigo:みっちゃんにパンダの着ぐるみを着せたのは、ここ数年の私の仕事で一番だったと思う(笑)。
岸田:“パンダみっちゃん”と“キャバichigo”はリアルだよね(笑)。
ichigo:そう?(笑)たしかに! みっちゃんはリアルだけど(笑)。
岸田:みっちゃんは実際にパンダの着ぐるみを着て、幼稚園で演奏していたから。みっちゃんがドラムを叩いた瞬間、園児がみんな耳を塞いだらしいけど(笑)。それに、ichigoさんはキャバ譲みたいなもんじゃん・・・(笑)。笑顔で俺から金かっぱいでいくし。
ichigo:……あのねぇ(笑)。
岸田:みっちゃんは、どういう設定なんだろう? アルバイト?
ichigo:まぁ、きっと下っ端だよね(笑)。末端も末端という(笑)。
――な、なるほど(笑)。今回のMVでは軽く芝居もされていますが、その辺りはいかがでしたか?
ichigo:もう苦痛だったよね?(笑)
岸田:苦痛というか、できないっていう。できるのが、はやぴ~さんだけだったんですよ。
ichigo:なんか、自然に動くことと、演技するというのは違うんだなということを知りました。はやぴ~は演技が上手にできるんですけど、私と岸田はできなくて。意識せずに自然に動くことはできても、それだと画面で見ると足りないんですよ。
岸田:それが、よく分かった。だから、次にやったら、もうちょっと上手くできると思います。
ichigo:そうだね。もうちょっと大げさな動きとかにも挑戦できる気がする。でも、今回のMVの撮影は、本当に楽しかった。今までの岸田教団&THE明星ロケッツにはなかった感じのMVで、楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。それに、監督さんの色のセンスがすごく良くて、私はそこも気に入っています。
■岸田は、もともと結構センチメンタルな歌詞を書く

■でも久しぶりだったから気持ち悪いというか(笑)
――メンバー皆さんの新しい魅力を味わえますよね。では、続いてカップリングの「sleep walk」について話しましょう。
岸田:これは作ったのが去年の9月とか10月で、ちょっとだけトレンドを意識した結果、こういう曲になりました。
ichigo:そうなんだ。
岸田:うん。リズムの辺りにトレンドのブレークダウン感を採り入れてみた。だから、Aメロとか、2番のサビが終わった後の間奏の辺りとかに若干の“イマドキ感”がある。そういうものを少しずつ採り入れていこうという気持ちがあって、もっといけるけど、とりあえずはここら辺かなというところに落とし込みました。
ichigo:「sleep walk」の後もレコーディングしているんですけど、またちょっとサウンドが変わりつつあるんです。
岸田:そうだね。「sleep walk」の頃からキック(バスドラ)の口径が一回り小さくなったんですよ。「ストレイ」は24インチだけど、この曲から22インチになった。全体的に、キックが下に行き過ぎないようにしたいというのがあって。ここ数年はドラムやベースの重心を下げることによって、ボーカルやギターのための隙間を作るという手法が主流だったけど、僕はそれはそろそろ終わると思っているんです。重心を下げるといっても程度があるし、そういう作品があまりに多くてリスナーは飽きてきている気がして。少し前の僕らもワイドな方向性を採っていて、「GATE II ~世界を超えて~」(2016.1.27)の頃にピークになったんです。それが当時のトレンドだったから。そこから1~2年経って、今後はそう遠くないうちに、またナローな方向に変わっていくと思う。「sleep walk」はそういう意味でも、一歩先にいけているかなと思いますね。それに、この曲の歌詞はすごく気に入っています。
▲「ストレイ」(アーティスト盤・通常盤)
▲「ストレイ」(アニメ盤)


――岸田さんは、こういう繊細な歌詞も書かれるんだなと思いました。
岸田:いや、僕は本当は、こういう感じなんです。
ichigo:そうだね。元々、結構センチメンタルな歌詞を書く人なんですよ。でも、久しぶりだったから、気持ち悪いというか(笑)。“本当に思ってる?”みたいな(笑)。
岸田:思ってる、思ってる(笑)。思ってもないことを書くこともあるけど、「sleep walk」は素顔の自分だよ。みんなが思うセンチメンタルと、俺が思うセンチメンタルさは違っているかもしれないけど(笑)。
ichigo:どんどん素を曝け出してきているよね。そういえば、最近の岸田の歌詞はどの曲もそうですけど、放っておくとエグかったり、酷かったりするんですよ。たとえば、「ストレイ」には“生涯で一度くらいは本当の愛を知る”という文節があるんですけど、元々は“生涯で一度くらいは人に愛されることもある”みたいな感じだったんですよ。それはないなと思って、変えさせてもらいました。
岸田:ichigoさんに、「一回くらいじゃねぇよ!」と言われました(笑)。
ichigo:だって、本人が気づいていない場合もあるかもしれないけど、人というのは生きていればいろんな愛情を貰っていると思うんですよ。だから、「そこは、本当の愛」にしておこうと言ったんです。そうしたら、なぜか「さすがだわ」と言われました(笑)。
岸田:たしかに、そうだなと思って。一度くらいしか愛されないと思っているとしたら、それ以外の自分に好意を抱いてくれるヤツはみんな詐欺師だと思って信じるなということになってしまうから。僕が自分的に良くできたなと思っているのは、「sleep walk」の2番のAメロです。
ichigo:“何か君が信じた大切なことの話をしよう それがどうあれ今日の天気はこの後曇っていきそうだね”というところ?
岸田:そう。
ichigo:人の話を聞いてないヤツじゃん(笑)。でも、たしかに、ここは岸田らしいなと思います。
岸田:人の信じた大切な話がどうでも良いというポジション取りがすごく良いなと思って。
ichigo:さっきセンチメンタルという話が出たけど、ここは全然センチメンタルじゃない。で、岸田はそこが一番気に入っているという。人柄が出ているよね(笑)。
――岸田さんは、ちょっと中2病が入っているんですね。
ichigo:いや、“ちょっと”どころじゃないです(笑)。
岸田:完全に中2病です(笑)。
ichigo:相手が大切な話をしているのに、天気の話をし出すという(笑)。そこには、ちょっとサブカルっぽさを感じました。
岸田:ここは、井上陽水のオマージュなんだよ。
ichigo:そうなの? 「傘がない」とか?
岸田:そうそう。それが分かってくれる人がいたら嬉しいなと思って。
ichigo:分かる人、いるかなぁ……。ちょっと貶すようなことを言ったけど、私も「sleep walk」の歌詞は好きです。『博多豚骨ラーメンズ』の世界観を、この曲にも引き継いでいるところも良いなと思うし。
岸田:歌詞を書くにあたって、「ストレイ」に対するアンサーでいこうと決めたんです。それを決めるまで2~3日掛かったけど、決めてからは早かった。2時間くらいで全部書き上げました。
――楽曲的にも「ストレイ」とリンクしている気がします。曲調は違っていますが、どこか似たところがありませんか?
岸田:そう。2曲をリンクさせることによって、より作品としての色彩が強くなるというのがあって。今回は、そういう手法を活かしました。
ichigo:真夜中の「ストレイ」と、明け方の「sleep walk」みたいな感じだよね。なので、2曲でセットみたいに捉えてもらっても良いなと思います。
――同感です。「sleep walk」のプレイ面についても話していただけますか。
ichigo:「sleep walk」は、歌いやすかったです。イメージが湧きやすかったんですよ、ニュアンスとかも含めて。Aメロとかは温かい感じにしたくて、リズムをキッチリあてるんだけど、あまりそういう風に聴こえないようにしようとか。だから、舌っ足らずまではいってないけど、甘く聴こえるように歌っています。緩く、甘く聴こえるけどリズムはあたっているという状態で歌えるように頑張りました。サビは得意な感じなのでスルッと歌ったら、良いんじゃないかと言ってもらえました(笑)。
――サビは爽やかでいながらせつないというニュアンスを絶妙に表現されています。
ichigo:サビも明るいメロディーですけど、歌詞が結構せつないんですよ。“涙”とか“眠らない”“許す”みたいに、ちょっと淡くなる言葉が入っていて、そこで自然と歌のニュアンスが変わったんだろうなと思います。
岸田:この曲の歌は、すごく良いよね。この曲のベースは、ちょっとがんばりました(笑)。適切な場所に効果的なフレーズを入れ込んだり、サビはマイナー・コードになるところでハイポジに行ったりしていて。僕は、そういうアプローチが好きなんです。
――サビのエモさを増幅していますよ。さて、「ストレイ」も必聴といえるシングルに仕上がりました。本作のリリースから始まる2018年は、どんな1年にしたいと思っていますか?
岸田:今回の「ストレイ」を聴いてもらうと分かるように、岸田教団&THE明星ロケッツは良くも悪くも大衆向きのバンドになりつつあって。良い言い方をすると、より完成度は上がっています。今後は、そこをさらに突き詰めていきたいと思っています。
ichigo:もっと広く聴いてもらいたいという意識がありますからね。ボーカルについても、いろいろ考えていて。分かりやすく、いろんな人に歌詞の内容とか感情とかを伝えるために必要なのが「本気」なのか、「本気に見える演技」なのか、どっちなんだろうと最近は考えることが多いんです。たとえば、楽曲と向き合った時に荒々しく歌いたくなれば本気で荒々しくなれるけど、そうならない曲で荒く歌ってと言われると、“荒くって、なんだよ?”と思ってしまうんです。ラフに歌うんじゃなくて、しっかり歌わせろよと。一番良いのは私がその曲を聴いた時に自然と荒く歌いたくなるとか、ちょっと緩めに歌いたくなったりすることなんですよね。そういう意味では、今後は今まで以上に楽曲に対する理解を深めていきたいと思っています。
――バンドとして、プレイヤーとして、より意識が高まっていることを感じます。2018年のライブ活動に関してはいかがでしょう?
ichigo:去年ライブを沢山したので、今年は制作に主点を置きたいですね。私達は2017年の11月から【10th Anniversary TOUR 2107~2018 ~懐古厨に花束を~】というツアーをしていて、これまでのツアーでエースになっていたような曲達を聴かせるライブをしているんです。それをやったので、また新たな気持ちで曲を溜めていかなきゃなというのがあって。今年は、そういう1年にしたいなと思っています。
岸田:要は、次のツアーでは新しい曲を演奏したいので、まずは新しい曲を溜めて、アルバムを出してからツアーかなと思っているんです。アルバムの年内リリースは難しいかもしれないけど。
ichigo:ええっ? がんばろうよ。働こうよ。
岸田:だって、年内にアルバムを作ろうと思ったら、夏に超頑張らないといけないじゃん。俺、夏に働くの嫌なんだ(笑)。なので、まずは「ストレイ」で最新の岸田教団&THE明星ロケッツを楽しんでもらいつつ、その先の僕らにも期待していて欲しいです。
取材・文●村上孝之
リリース情報


「ストレイ」

<アーティスト盤> CD +特典DVD (2枚組)

品番:1000705987 \1,800+税

特典DVD収録内容:

・ストレイMUSIC VIDEO

<アニメ盤>CD (1枚組)

品番:1000705988 ¥1,500+税

特典DVD収録内容:

・アニメ「博多豚骨ラーメンズ」ノンテロップOP

<通常盤> CD

品番:1000705989 ¥1,200+税

■収録曲(アーティスト盤・通常盤)

<収録内容>

1. ストレイ(TVアニメ「博多豚骨ラーメンズ」オープニングテーマ)

2. sleep walk

3. ストレイ(Instrumental)

4. sleep walk(Instrumental)

■収録曲(アニメ盤)

1. ストレイ (TV アニメ「博多豚骨ラーメンズ」オープニングテーマ)

2. ストレイ (TV size)

3. ストレイ (instrumental)

※アニメ盤には、「ストレイ」TV size を収録予定
ライブ・イベント情報


「ストレイ」リリース記念ミニライブ

対象:アーティスト盤、アニメ盤、通常盤

対象店舗:タワーレコード渋谷店

開催日時:2018年3月3日(土)19:30スタート

開催場所:タワーレコード渋谷店B1F 「CUTUP STUDIO」
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