【インタビュー】EINSHTEIN&言xTHE
ANSWER、二人が生み出す絶妙のケミス
トリーを味わえる『Two Pawns』

新進気鋭のラッパーとして大きな注目を集めているEINSHTEIN&言xTHEANSWERによるコラボレート・アルバム『Two Pawns』が1月31日にリリースされた。それぞれが普段の活動で見せている姿とは異なる側面や柔軟なスタンスが光るバラエティーに富んだ楽曲、リアルな歌詞などが詰め込まれた同作は、ヒップホップやラップという枠を超えた輝きを放つ一作に仕上がっている。さらに、異なる個性でいながらどこか似通ったものを感じさせる二人が生み出す絶妙のケミストリーを味わえることも魅力といえる。EINSHTEIN&言xTHEANSWERをキャッチして、『Two Pawns』周りの話をたっぷりと語ってもらった。
■『Two Pawns』は僕らの日常のいろんなシーンを切り取った曲達が入っている

■ミラクルが起こってバランスの良いアルバムになった気がしています
――まずは二人で活動を共にすることに決めた経緯などを、お願いします。
EINSHTEIN:僕は元々大阪出身で、今年の1月に上京したんですね。言xTHEANSWERは北海道出身なんですけど、同じように今年の4月に上京したんです。お互い、同じような境遇だったこともあって仲良くなったんだよね?
言xTHEANSWER:そう。音楽をやるために上京して来たけど、本当に音楽で飯が食えるのかとか、学力がないから音楽で食えなかったら仕事がないぞといった未来に対する不安を抱えていて。そういう中で、同じ境遇にいるEINSHTEINと励まし合っていて、音楽以前にめちゃめちゃ友達だったんです。それで、毎日一緒に遊んでいたんですけど、やっぱりミュージシャンなわけだから、遊んでいる時間を曲作りにまわしてみようという話になって。遊びの延長という感覚で、その日あった出来事……コンビニのムカつく店員とか、遊んでいる中でふと思ったことといった日常の小さいことにスポットをあてた曲を二人で作るようになったんです。そうしたら、あり難いことに良い機会をいただいて、今回それを纏めたものをビクターさんからリリースさせてもらえることになりました。
――遊び惚けてしまわずに音楽を創ったことが、良い結果を呼びましたね。ではまず、お二人の音楽的な背景なども話していただけますか。
EINSHTEIN:僕は元々ラップをしていたわけではなくて、小学校2~3年生の頃に、兄にRADWIMPSさんとか、BUMP OF CHIKENさんとかを聴かされて、すごくカッコ良いなと思って。その時点で自分の将来の夢は歌手だと思って、歌詞を書き始めたんです。小学校の卒業アルバムにも、「将来はRADWIMPSさんみたいな歌手になる」と書きました(笑)。中学生になってバンドをやりたくてメンバーを探したんですけど、結局一人もいなくて。じゃあ一人で出来る音楽はなんだろうと思っていろいろ探していって、好きになったのがレゲエだったんです。それからはレゲエDeejayになることが夢になったんですけど、僕が中2の終わり頃に、兄がラップを始めて曲をYouTubeにアップしたんです。曲を作って、宅録して、YouTubeにアップするなんて、お兄ちゃんはプロやなぁと思って(笑)。それで、兄にラップのやり方を教えてもらって、そこからフリースタイルとかを始めました。その後、高校生になってから『高校生RAP選手権』というラップバトルの番組に出させていただいて、ラップをやりつつ歌も歌いつつという今の状況になりました。
言xTHEANSWER:僕は小学校4年くらいの時に母親とレンタルCDショップに行ったら、マッチョな黒人がこっちを見ているジャケットのCDがあったんですよ。しかも、この黒人、銃弾食らっちゃてるぞっていう(笑)。それは50Centというラッパーのアルバムだったんですけど、周りはアイドルとかを聴いている中でマッチョな黒人を聴いてる俺はカッコ良いんじゃないかと思って(笑)。つまり、ファッションの一部で、どんな音楽かも知らずに借りたのが50Centだったんですよ。で、家に帰って聴いてみたら重低音が鳴っていて、“やっぱカッコ良いじゃん!”っていう(笑)。そうやってラップと出会って、YouTubeで50Centのミュージックビデオとかを探したら、関連動画がどんどん出てきて。それで、いろんな黒人アーティストとか白人ラッパーとかを知っていく中で、日本語でラップをしているMEISOという人にたどり着いた。そこで日本語でラップをしても良いんだということを知って、自分もやりたくなったんです。で、僕の地元はめちゃめちゃ田舎なんですよ。人口が18,000人で、お爺ちゃんとお婆ちゃんしかいなくて、ゲートボールとスィートコーンしかない町で(笑)。
EINSHTEIN:スィートコーンだけって(笑)。
言xTHEANSWER:いや、うちの地元はスィートコーンの生産量が日本一だから(笑)。そんな、めちゃめちゃ畑の真ん中みたいなところで育ったから、誘惑というものが一切なかったんです。恋人ができてもデートに行く場所がないし、プリクラ機すらない町なんですよ(笑)。隣町にギリある…くらいな(笑)。要は、遊ぶことがなかったので、日本語ラッパーに憧れている状態から自分がやる側にまわるのはスムーズでした。周りにラップをやっているヤツはいなかったから一人で見よう見まねでやっていて、SoundCloudとかに自分のラップをアップしても再生回数13回だったという(笑)。そのなかの5回くらいは自分だし…みたいな(笑)。自分が作ったものをもっと沢山の人に聴いて欲しいという野心があったので、高校生になった時に僕も『高校生RAP選手権』に出て、そこで前からこの人カッコ良いなと思っていたEINSHTEINと知り合ったんです。
――言xTHEANSWERさんはJ-POPやロックなどを通らずに、ラップ/ヒップホップ一筋で来られたんですね。では、お互いのラッパーとしての印象は?
言xTHEANSWER:EINSHTEINは、僕より歌うんですよ。僕よりも上手いし。もう歌物をレコーディングする時に一緒にブースに入ったら、死にそうになる(笑)。EINSHTEINはラッパー界隈でトップレベルといえるくらい歌が上手いですね。だから、二人でやる時は、自分はもう全力でラップして、サビのメロディー・パートはEINSHTEINに作ってもらったりとか、逆にEINSHTEINが考えたメロディー・パートに僕が違うメロディーを歌ったりという風に、自分ができることをトレードし合っています。そういう意味で、EINSHTEINは歌が上手いところがすげぇなと思いますね。素敵です(笑)。
EINSHTEIN:僕は自分ではそんなに歌唱力があるとは思っていなくて、本当にちょっと人より歌えるかな…というくらいです。ただ、メロディーを作ることに関しては自信を持っていて、良いメロディーとかキャッチーなメロディーを考えることは俺に任せろというのはありますね。ラッパーとしての言xTHEANSWERはリズム感が本当に凄くて、絶対にリズムを外さないんですよ。どんなプロデューサーであれ、レコーディング・エンジニアであれ、もうみんなからリズム感が凄いと褒められています。それに、歌詞の韻の踏ませ方が本当に上手い。僕も含めて普通は語尾の2文字とかで韻を踏むんですけど、言xTHEANSWERは普通に5~6文字とかで組んでくるんですよ。それで意味が通じるリリックを書くところも凄いなと、いつも思っています。
言xTHEANSWER:そう言ってもらえて嬉しいっス(笑)。リズム感に関しては、それも田舎で育ったことが影響していると思うけど、ラッパーじゃない人にラップを聴かせて凄いと言われるのは韻でも歌でもなくて、速く刻むことなんですよ。「なんで、こんなに口が回るの?」と。だから、僕がすごい早口でラップしても言葉がちゃんと聴こえたり、リズムが良かったりするのは、田舎でラッパーじゃない人にラップを認めてもらいたくて身につけた技術なんじゃないかなという気がします。
▲EINSHTEIN


――でも、それは田舎ということを超えて、ヒップホップやラップに馴染みがないリスナーにも届くラップをしていると言えますよね。
言xTHEANSWER:そう。ヒップホップをどっぷりやっている人は早口否定派とかもいるけど、いろんな層のリスナーにラップを広めていくにあたって一発で分かるカッコ良さの一つがそこなんじゃないかなというのが僕の中にはある。だから、批判する人がいるからといって、自分のスタイルを変える気はないですね。
――そうあって欲しいです。それに、お二人の個性が混ざり合って絶妙なケミストリーが生まれていることもEINSHTEIN&言xTHEANSWERの魅力になっています。では、そういったことを踏まえたうえでデビュー・アルバム『Two Pawns』について話しましょう。アルバムを作るにあたって、テーマなどはありましたか?
EINSHTEIN:大きなテーマとかは特になかったけど、新しいことをしたいという気持ちは二人とも常にあって。そういう意識で制作に取り掛かりました。
言xTHEANSWER:今回良かったのは、ビクターさんからリリースされることが決まっていて曲を作ったわけではないということ。もし決まっていたら、コンビニの店員をディスるような曲は作らなかったと思う(笑)。しかも、そういう曲をビクターさんが受け入れてくれたというのは大きかったですね。その結果、『Two Pawns』には日常の中にあるムカツくことだったり、“どうせ俺とEINSHTEINだと、ゴリゴリにラップしてもアイドルと言われるんでしょう? だけど、そうじゃねぇよ。俺らは元々ソウルはヒップホップだよ”みたいな曲とか、ツラいなと思った時に自然体で作った染みる系といった、二人とも普段は歌わないような曲を入れることができた。今までにはなかった全く新しい自分が詰まっているし、全曲カラーが全く違っているんですよ。そういうところで、100人の人が聴いてくれた時に、全員が“イチオシはこの曲!”というんじゃなくて、この曲も好きだし、これも良いと思ってもらえるアルバムになったと思います。
EINSHTEIN:そうだね。『Two Pawns』に入っている曲は遊び感覚で作ったものが多いし、公開する気はなかったようなものもあって。本当に、僕らの日常のいろんなシーンを切り取った曲達なんですよ。そういうものが6~7曲あったうえで、アルバムとして纏めるために残りの必要なピース数曲をリリースすることが決まった後に作ったんです。そういう流れだったことでミラクルが起こって、バランスの良いアルバムになった気はしています。
▲言xTHEANSWER


――たしかに、いろいろな曲が入っていて楽しめます。歌詞の面でも尖っていたり、強気だったりといった本音の部分をそのまま活かしているのが良いですね。
言xTHEANSWER:メジャー音源だけど、このままいきたいという気持ちがありました。
EINSHTEIN:炎上したりするのを避けるために、もう少し表現をマイルドに…みたいなことを言われるかなと思ったんですよ。でも、そういう声はなかったし、言われたとしても書き直さなかったと思う。もし歌詞を替えてしまったら、アルバムの良さが半減していただろうから。
言xTHEANSWER:リアルじゃなくなるからね。『Two Pawns』に収録されている曲で、僕が特に気に入っているのは「フルボッコ」なんですよ。この曲のリリックは、本音をそのまま歌っているから。この曲は、作った時のことも強く印象に残っているし。僕らはちゃんみなとメチャメチャ仲が良くて、僕が上京した頃に僕ら二人とちゃんみな、ちゃんみなの友達の女の子という四人で、僕の家で遊んでいたことがあって。その時に曲を作りたくなって、ちゃんみなと友達の子をリビングに残して、EINSHTEINと僕は寝室にノートパソコンを持っていって曲を作り始めたんですよ。もうフリースタイルの延長みたいな感じで、30分くらいで書きあげて、その場でちゃんみなに聴かせたんです。そうしたら、思い切り滑って(笑)。ちゃんみなに爆笑されて、「なにこれ? 出すの?」みたいな(笑)。まさか、それがビクターさんから出ることになるとは…というのはありますね(笑)。
EINSHTEIN:「フルボッコ」は僕的にも初挑戦の曲で、ライブで盛り上がれたら良いよね…みたいな感じで、勢いに任せて作ったんですよ。言ってみれば面白半分で作ったものなので、僕ら自身も笑っちゃう部分がある。“なんやねん、このリリック。こいつら、メッチャ小っちぇな!”みたいな(笑)。でも、歌っていて楽しいし、聴いている人にも楽しんでもらえるんじゃないかなと思って。タイトルも含めてEINSHTEIN&言xTHEANSWERのアイキャッチャーとして最適な曲だと思います。
■僕らが入り口でヒップホップが好きになった人は大勢いるんですけど

■どんどんコアなところにハマっていって、最終的に僕らの悪口を言うんです(笑)
――「フルボッコ」は、サイバー&アッパーな曲調もカッコ良いです。それに、“身近なところにあるムカつき”を歌いつつ“自分達の信じる道を行くぜ”というメッセージがテーマになっているので、ネガティブな印象は受けません。
EINSHTEIN:僕らも笑い飛ばしている感じが良いなと思っています。僕の中で特に印象が強いのはスロー・チューンの「To U」かな。二人で作った曲の中では、これが一番僕寄りなんですよ。僕はソロでは“EINSHTEIN=ラブソング”というキャラが定着しているんですけど、言xTHEANSWERはラブソングや、こういう歌物はあまりやらないので、1曲くらいあっても良いかなと思って作りました。「WeAre-A」みたいにしっかりラップする曲は言xTHEANSWERの土台になっているもので、「WeAre-A」を作った時は僕が言xTHEANSWERから意見を貰ったりしたんです。「To U」に関しては、逆に言xTHEANSWERはラブソング初挑戦だったので、歌詞とかの面に僕が意見しながら形にしていきました。この曲はヒップホップとかいうことに関係なく、いろんな人に聴いてもらえる曲にはなったかなと思います。
言xTHEANSWER:「To U」は、ヒップホップとして攻める気が一切ない曲ですよね。僕らはゴリゴリにラップをしてもアイドルと言われてしまうというのがあって。それは、僕らのチャラい身なりだったり、『RAP選手権』というテレビが名前を広めるきっかけになったとか、いろいろ要因はあると思いますけど。たしかに、アンダーグランド・シーンでゴリゴリにラップをしている人とかにしたら、僕らはキャッチー過ぎるし、ラップとして認められない部分もあるのかもしれない。でも、それを逆手に取って…じゃないけど、俺らは「To U」みたいな曲もやるよという。ぶっちゃけ、この曲に関しては自分で聴いてもヒップホップではないですからね。
――でも、お二人のような存在がいることは、ヒップホップやラップがより幅広い層に浸透することに繋がる気がします。
言xTHEANSWER:それは自分達も感じています。実際、僕らが入り口でヒップホップが好きになった人は大勢いるんですよ。ただ、僕らから入って、どんどんコアなところにハマっていって、最終的に僕らの悪口を言うようになるんです(笑)。元々僕らのことが好きだったのに、僕らのグッズを持っているのに、深いところを知った途端に、あんなのヒップホップじゃないよ…みたいな(笑)。でも、それはそれで良いと思っています。僕らは僕らなりに、ヒップホップの魅力を伝えている実感があるから。それに、僕はラブソングを作っていないわけではなくて、作っても自分的に照れてしまって結局リリースしないんですよ。だから、今後の作品にはどんどん入ってくると思います。とはいえ、「To U」のレコーディングはキツかったですね。
――それは、どういう面ででしょう?
言xTHEANSWER:EINSHTEINは歌が上手いから(笑)。
――ええっ? 言xTHEANSWERさんも良い味を出しているじゃないですか。
言xTHEANSWER:本当ですか? 僕はどうしても恥ずかしくて。EINSHTEINは全然照れないから、「恥ずかしくないの?」と聞きました(笑)。EINSHTEINはラブソングを照れずに歌って、女心をガッチリ掴むんですよね(笑)。
EINSHTEIN:それは、自分では分からない(笑)。
言xTHEANSWER:EINSHTEINはもう振り切っていて堂々と歌うし、アングラのラッパーが絶対に嫌いなワードをチョイスしまくるんですよ(笑)。だけど、それはアンダーグランド・ヒップホップというシーンでは評価されないけど、大きなところで評価されているんですよね。だから、僕はEINSHTEINが間違っているとは思わない。
――音楽には、いろいろな形の良さがありますからね。『Two Pawns』には本当にいろんな曲が入っていて、たとえばリゾート感のある「SUMMER NIGHT BIKINI」のオシャレな味わいなどはすごく魅力的です。
言xTHEANSWER:“世の中に上手くハマらなかった感”がハンパない曲ですけど(笑)。でも、それはある程度仕方ないなと自分達でも思っているんですよ。僕らが一段一段ちゃんと階段を上がっていって、そのうえで意味を持たせて出していればまた違ったと思うけど、“ヤバいヤバい、夏が終わっちゃうよ! なにか一個、夏らしいものを出しておきたいよ!”といって、夏の終わりに焦って作った曲だから。それに、「SUMMER NIGHT BIKINI」は僕が普段やっているラップとも違うし、EINSHTEINが普段歌っている曲とも違うんです。僕ら二人がコラボレートして音楽を創ったら、お互いのお客さん両方が喜んでくれると思ったのに、「そんなANSWERは見たくない」とか「こんなEINSHTEINは見たくない」みたいな声があって。その状況を見て、EINSHTEINが小さい声で「1+1=2やないんやな」と言ったという(笑)。
EINSHTEIN:個人的には「SUMMER NIGHT BIKINI」は、すごく良い曲だと思っているんですけどね。でも、お客さんの反応はイマイチなんです。
言xTHEANSWER:多分、みんなビックリしたんじゃないかな。二人がどんなものをやってくるのかなと思ったら、“誰ですの?”みたいな(笑)。斜め上過ぎて、罵声を浴びせられた曲です(笑)。
――それは、本当に意外です。ラッパーのユニットが「SUMMER NIGHT BIKINI」みたいな曲をやっているのは、すごくカッコ良いなと思ったんですよね。
言xTHEANSWER:そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。
EINSHTEIN:たしかに、お客さんがとまどったということは、新しいことをやっているという証でもあるし。せっかく二人で音楽を創るんだから、これからも自分達が良いと思ったものは自信を持って提示していこうと思っています。
――そうあって欲しいです。「SUMMER NIGHT BIKINI」は、爽やかな曲で“俺は肉食系だぜ”と歌っているのも良いなと思いました。
言xTHEANSWER:この曲は今回リリースするにあたってトラックを作り直していて、元のトラックはすごくEDMっぽかったんですよ。ハウスっぽいというか。リリックもちょっとそれに寄せて、パリピが好きそうなワード・チョイスとかをしたんです。それで、ギャップがある感じになりました。
――それも良い方向に出たと思います。「原宿シーシャ」も南国感が香る心地好い1曲に仕上がっています。
言xTHEANSWER:このトラックは良いですよね。それに、サビも気に入っています。ちょうど二人で半々の掛け合いになっていて、等身大で良いなと思う。
EINSHTEIN:この曲も超好きです。楽曲的に気に入っているし、歌詞が本当に僕らの日常を描いているんですよ。
言xTHEANSWER:そうだね。東京に上京してきて原宿に行くんだけど、竹下通りは歩きたくないから、ちょっと裏道いこうか…という。
EINSHTEIN:六本木とかで飯を食うのは高いから、コンビニ弁当とかね(笑)。
言xTHEANSWER:“朝帰りでなんとなく周り見渡すと、すぐハッとなる サラリーマン仕事に向かって”とか。要は、サラリーマンが出勤する頃に僕らは帰っているんですよ、仕事的にも、遊び的にも。そういう自分達の日常を、ただただ綴っただけの曲です。
EINSHTEIN:ただ、この曲も“楽しい”ということを歌っているだけではなくて、そういう生活の裏で感じている不安とかも織り交ぜていて。そのうえで、“僕らが大丈夫だから、聴いている君も自分が信じているものを追い求めれば大丈夫だぜ”というメッセージも込めました。なので、いわゆる保証のない道を目指している人には、ちょっと共感してもらえるんじゃないかなと思います。
――背中を押す歌詞になっていますよね。アルバムのラストを飾っているウォームなスロー・チューンの「花は咲く」も聴き逃せない1曲といえます。
言xTHEANSWER:これ、良い曲ですよね(笑)。
EINSHTEIN:自分で言うなって(笑)。
言xTHEANSWER:アハハ(笑)。「花は咲く」に関しては、僕らは夢を追って生きていて、そういう生き方をしていないとできない良い経験を沢山している。でも、安定はないんですよね。ある月はお金が入ったのに、次の月はヤバいくらい収入がなかったりというのが、もう普通にあるから。自分達がそういう環境で腹を括って音楽をやっているというところで、逆に僕らと同い年くらいの新社会人とかにメッセージを送りたいなと思ったんです。彼らは、学校という守られた舞台から自分の責任が問われる場所に切り替わって働き始める。着たくもないスーツを着て、ネクタイの締め方も覚えて。働くことで灰色に感じる毎日の繰り返しになったとしても、昨日は咲いていなかった花が今日はここに咲いているなと気づくことがあると思うんですよ。要は、自分のアンテナの張り方次第で日常に転がっているものがアートになったり、刺激を与えてくれるものになったりするんですよね。そういう気づきがあれば、同じ日々でも楽しさは全然違ってくる。だから、就職した人も夢を追わなくなった自分に失望しないで、充実感のある楽しい人生を歩んで欲しいなと思って。「花は咲く」は自分達と同い年くらいの新社会人の背中を押す曲にしたくて僕がほとんどバースを担当して噛み砕いたことを言っていて、それをEINSHTEINがサビで良い感じに纏めてくれた曲です。
EINSHTEIN:いやいや(笑)。言xTHEANSWERが言った通り、この曲は新社会人とか自分達と同世代の子への応援歌ですけど、それと同時に自分達自身に向けて歌っている部分もあって。“明日へと参ろう 心決めた日を 忘れないでHERO”という歌詞は、みんな何かしらに憧れて生きるわけじゃないですか。僕は昔テレビで見たRADWIMPSさんみたいになりたくて突っ走っているけど、まだ全然そこには辿り着けていない。そういう状況が続くと心が折れてしまう人もいるだろうし、僕自身も弱気になってしまう時があるんですよ。それに、自分の夢を叶えられないと思った人は僕が「花は咲く」の歌詞に書いたように、“他人のことばっか野次って”という状態になる。夢を追ってがんばっている人に対して野次を飛ばすようになったりするんですよね。そういうことはやめて、ちゃんと自分と向き合って、一緒にがんばろうぜということを歌っています。
――『Two Pawns』は良質な楽曲に加えて、リリックも注目といえますね。今日話をさせていただいて、『Two Pawns』のリリースから始まる2018年のお二人の活動が一層楽しみになりました。
EINSHTEIN:2018年は飛躍の年にしたいので、EINSHTEIN&言xTHEANSWERのすべての活動に全力で臨みます。まずは、アルバムが出た後に、ツアーを廻ることになるんですよね。そこで120%のものを出せるように、身体と喉のケアをしっかりしていこうと思っています。あとは、自分達が創っている音楽はラップとかヒップホップが苦手な人にも響く力を持っている自信があるので、カッコ良い音楽やオシャレな音楽を探している人は、ぜひ聴いてみて欲しいです。
言xTHEANSWER:僕らの音楽を評価しない人……たとえば、アンダーグランドのラップが好きな人とかも、ライブに来たら認めると思う。“これも一つの形として否定できないな”と。それくらいのパフォーマンスが出来る自信があるから、ライブで分からせていきたいですね。僕らは新潟、大阪、東京、札幌辺りで制作期間中もライブをしたんですけど、ライブはちゃんと“1+1=2”になっているんですよ(笑)。“客メッチャ跳ねてんじゃん!”みたいな(笑)。だから、2018年はまずはライブに重きを置いた活動をしたいですね。それこそ『Two Pawns』を買う前にライブを観てもらって、そこで判断してもらっても構わない。なので、“なんだ、こいつら?”というネガティブな印象も含めて、少しでも僕らに興味を持った人には、とにかくライブに来て欲しいです。
取材・文●村上孝之
EINSHTEIN&言xTHEANSWERは、カラオケの第一興商が強力プッシュする2月度D-PUSH!アーティストに決定しており、「フルボッコ」が12月6日、「To U」が1月17日、「BE」「SUMMER NIGHT BIKINI」が1月31日より配信されている。。また「To U」のミュージックビデオは、カラオケ背景画像の本人出演映像(今だけクリップ)に2月11日から順次配信。さらに、カラオケ演奏の合間に放映される音楽情報コンテンツ「DAM CHANNEL」内のD-PUSH!コーナーにゲスト出演し、パーソナリティとのトークを楽しませてくれる。DAM express(目次本)でも、D-PUSH!ページにてインタビュー記事、アーティスト写真、ジャケット写真が掲載される。そしてリリース情報、インタビュー記事がclubDAMサイト(http://www.clubdam.com)でも掲載される。カラオケ店やWEBで、EINSHTEIN&言xTHEANSWERとの出会いを楽しんでほしい。
インタビューの続きは以下のサイトで。
リリース情報


Major Debut Album『Two Pawns』

2018.01.31 Release

VICL-64909 / 2,315 円+ 税

01. Free Style

02. WeAre-A

03. しりとり

04. フルボッコ

05. SUMMER NIGHT BIKINI

06. 原宿シーシャ

07. PARTY TAG

08. To U

09. BE

10. 花は咲く

※「To U」2018.01.17 先行配信リリース
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