気になるワードでディグる! 〇〇なMV

気になるワードでディグる! 〇〇なMV
アーティストの数だけいろいろなこだわりが発見できるMVは、毎回新しいことに挑戦したり、お決まりのパターンがあったりと、それぞれが持つ特性が詰め込まれていますよね。そんな映像作品としても奥深いMVを、このコラムではテーマごとにピックアップしてご紹介します。第1回目は、ちょうど関東でも4年振りの大雪が見られたということで、 “雪が舞うMV”の魅力を探ってみましょう!

「ヒロイン」(’15)/back number

舞ってる度:★☆☆☆☆

『JR SKI SKI』のCMソングに起用されていたので、サビの《雪が綺麗と笑うのは君がいい》というフレーズが耳に残っている人も多いのでは? back numberは女性を起用したMVが多い中、「ヒロイン」は本人出演のみで、室内での演奏シーンが多かったり、外へ出ても建物の近くで雪を見つめているだけなのは、気持ちのままに飛び出せずに好きな人への未練を心に閉じ込めているようにも見える。想いを寄せる人のことばかり歌っているのに、相手が一切出てこないのも諦めているということなのだろうか。歌詞では書きかけたメールを消したり、“好き”という言葉が1度も出てこなかったりと、気持ちが渦巻いていることが十分すぎるくらいに伝わってくる。雪が舞ってる度は低めではあるが、シンシンと降り積もる雪とともに想いが募っていく、ただそれだけの時間が切り取られた映像が心に沁み込む。

「White Light」(’05)/安室奈美恵

舞ってる度:★★☆☆☆

9月16日をもって引退することが発表されている安室奈美恵が2005年にリリースした、自身初のクリスマスソング。ゆっくりなカメラワークとメロウなサウンドが落ち着いた雰囲気を演出し、久しぶりに会う恋人との大切なひと時を歌う柔らかい表情からは冬の中の温かみを感じるMVに。出演しているのは本人のみというシンプルさが、囁くような歌声のイメージにぴったり! 華やかなクリスマスツリーやシャンデリア、真赤なソファーなどの派手目な色合いもあるけれど、服装は黒いドレスやロングブーツ、ショートパンツに白いポンチョと、静かな冬景色を表すようなモノトーンにまとめている。サビの《空を舞う白い雪に溶かして》というフレーズとともに大粒の雪が降っているので、舞ってる度は少し上がって星2で。

「雪の華」(’03)/中島美嘉

舞ってる度:★★☆☆☆

2003年の発売以降、各所での“冬うたランキング”に毎年ランクインしている「雪の華」のMVは、なんと本人のリクエストによって氷点下のスタジオで撮影されたという。愛する人を思う健気な気持ちを歌いながらも、氷の中で歌うシーンは儚く弱々しい。特に前半は表情も不安そうで、息も白く、髪の毛には雪が積もっていたりと観ているだけでも寒さを感じるほど。しかし、大サビ以降はCGを交えた演出に変わって髪の毛に積もった雪が解け、白い息もなくなり、心なしか表情もさっぱりと明るい。降り続いていた粉雪もキラキラと光る結晶に変わって、歌詞も《甘えとか弱さじゃない》と自信を感じる展開に! MVを観れば、愛することへの決意が育まれていく熱い一曲であることが分かるはず。氷点下の中ドレス1枚で歌っているシーンの印象が強いので、舞ってる度は星2つ。でも、寒さは断トツです!!

「アイタイキモチ」(’17)/lol

舞ってる度:★★★☆☆

2014年に結成された男女混成ダンス&ヴォーカルグループ・lol(エルオーエル)の初のバラードソング。そのMVは遠距離恋愛を歌った純愛な歌詞とは裏腹に、メンバーが演じている登場人物の恋心が複雑に交差し、“そういうことなの!?”とショートバージョンを観ただけでも楽曲の捉え方が広がってくる。moca演じる恋人からの連絡を待つ主人公と、その連絡に気が付きながらもなぜかhonokaと一緒にいる友祐。mocaがふたりと道端ですれ違うところまではYouTubeで観ることができるが、それはいわゆる浮気なのか、それとも遠距離になる前の自分を重ね合わせている描写なのか…気になる方は初回限定盤のDVDに収録されているフルMVを観て判断してみてほしい。メンバーが歌うシーンは風が強めなので、雪の舞ってる度は高めの星3つ。なんだけど、心の中は舞ってるどころじゃない主人公には、吹雪いてる度の星5をあげたい…。

「WHITE BREATH」(’97)
/T.M.Revolution

舞ってる度:★★★★★

「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」といった“T.M.Revolutionと言えば突風!”と印象付けた作品はもちろん、2016年には代表取締役社長を務める株式会社 突風の設立も記憶に新しいT.M.Revolutionが1997年に発表した楽曲。約10機のファンを使い、もはや“舞う”では収まらない吹雪の中、さらにマフラーを振り回して風を起こし、季節感とは反する情熱的な心を表現した演出が楽曲のジレンマをより鋭く訴えている。ここまでに挙げた他の4本と違うのは、本人だけではなくギタリストとダンサーも同じ状況の中で薄着でパフォーマンスをすることで、寒さを差し置いて華やかさが強くなっているところ。歌詞には《暖めさせて》とあるけれど、この吹雪の中にいても暑そうなくらいのパッションなら、その必要もないように感じるところも…。雪以上に代名詞の突風のほうが気になるが、舞ってる度は問答無用の星5です!!

TEXT:千々和香苗

OKMusic編集部

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