【ライブレポート】オーラル、フレデリックetc...熱狂『MASHROOM 2018』で白熱バトル

【ライブレポート】オーラル、フレデリックetc...熱狂『MASHROOM 2018』で白熱バトル

【ライブレポート】オーラル、フレデ
リックetc...熱狂『MASHROOM 2018』
で白熱バトル

MASH A&Rは、音楽雑誌『MUSICA』、flumpoolONE OK ROCKなどが在籍する『A-Sketch』、音楽専門チャンネル『SPACE SHOWER TV』、サカナクションや系列会社にBUMP OF CHICKENなどが在籍する『HIP LAND MUSIC』が合同で立ち上げた逸材発掘のプロジェクト。毎年恒例となった同イベントが、1月21日に東京・新木場STUDIO COASTで開催。6組のロックバンドが、それぞれの色を魅せたライブのもようをお届けする。
フレデリック/パノラマパナマタウン/LAMP IN TERREN/THE ORAL COGARETTES/集合写真
Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
YAJICO GIRL/Saucy Dog/アンコール写真
Photo by 白石達也
フレデリック

トップバッターを飾ったのは、神戸出身のロックバンド・フレデリック。壮大なSEと盛大な歓声、オーディエンスからのクラップに包まれながらメンバーがステージに登場。ライブ恒例の「フレデリック、始めます!」の声を筆頭に、三原健司(Vo&Gt)が「フレデリックのTOGENKYOへようこそ!MASHROOM始めようぜ!」と威勢の良い声をあげた。そして彼らが一発目に届けたのは、最新ミニアルバム『TOGENKYO』の表題曲『TOGENKYO』。忘れられない楽曲が持ち味の彼らは、今日も序盤から人々の脳裏に刻み込まれるミュージックを叩きつけていた。
「フレデリックのディスコミュージックで遊びませんか?」と健司が煽るとフレデリックのディスコナンバー『ディスコループ』へと向かい、急テンポで音が移り変わる『パラレルロール』を勇ましく演奏。立て続けに送られる高揚感漂う音たちを楽しむように、オーディエンスも自由に、はしゃいでいた。
 健司が「2018年まだまだ足りない!」と叫ぶと「足りない」というフレーズが印象的なミディアムナンバー『たりないeye』を投下。そして一度聴いたらもう1回聴きたくなるナンバー『リリリピート』へと進み、中毒性のある不思議な空間を描き出していた。
「俺たちは、MASH A&R事務所オーディションで特別賞でした。特別賞の俺たちがやれること、それは特別な日を格別なライブに変えることです。新木場行けますよね!」と健司が自身の想いを打ち明けると、踊らずにはいられない『オドループ』へと繋ぎ、会場はダンスフロア化。そして、ラストは帰りたくない感情にさせられる『KITAKU BEATS』をぶちかまし、忘れることのない音楽を存分に発揮してくれた。
セットリスト
1TOGENKYO
2ディスコプール
3パラレルロール
4たりないeye
5リリリピート
6オドループ
7KITAKU BEATS

YAJICO GIRL

トップバッターのフレデリックが熱狂的空間を創り出した後は、MASH A&R主催のオーディションライブ『MASH FIGHT! Vol.5』でグランプリを獲得したYAJICO GIRLが登場。昨年おこなわれた『「MASH A&R 5th ANNIVERSARY「MASHROOM 2017」』でも1曲目に披露していたナンバー『Casablanca』を今年のMASHでも1発目に投下。1年前よりも更に、バージョンアップされていた同曲は、音に厚みがあり、YAJICO GIRLという確立されたバンドがはっきりとわかる瞬間だった。
『光る予感』では、煌びやかな照明がキラキラと場内を照らす中、疾走感を漂わせる青春ナンバーを奏であげ、「今日は自由に楽しんでください」という四方(Vo)の言葉通り、『MONSTER』では、オーディエンスが拳を挙げたり体を揺らしたりするなど、彼らの弾ける音楽を心の底から楽しんでいた。
 MCで四方は、MASH A&Rが掲げるキャッチコピー「NEW ROCK, NEW STANDARD」に触れ、「先輩が開いてきてくれた道ではない所にも僕らは、道を開いて行かなければならないなと凄く思っていて。挑戦の年にしたいと思います」と意欲を示した。
熱い言の葉を伝えた後は、何処か哀愁漂う音の欠片を散りばめてくれる『黒い海』、彼らの代表曲ともいえるロックナンバー『いえろう』を続々と披露。冷める事のない熱気が場内を包む中、フィナーレに相応しいアップナンバー『サラバ』を歌い届け彼らはステージを後にした。
セットリスト
1Casablanca
2光る予感
3MONSTER
4黒い海
5いえろう
6サラバ

パノラマパナマタウン

 3組目に登場したのは、神戸という“パナマ”で結成された4人組オルタナティヴロックバンド、パノラマパナマタウン。自己紹介も兼ねて攻撃的なヒップホップチューン『PPT Introduce』を序盤から披露し、オーディエンスに勝負を挑むかのように、強気姿勢をぶちかましていく。浪越康平(Gt)の軽快なカッティングから勢いよく投下されたのは、『世界最後になる歌は』。同曲の最中岩渕想太(Vo&Gt)は、フロアの柵に立ちながら「みんな、スマホのライトで俺を照らしてくれ!」とオーディエンスを煽り、会場では岩渕だけを照らし出す、神秘的な光景が広がっていた。
「俺たちまだまだ後輩で、若くてMASHの中でもまだ入ったばっかだけど、このステージでは先輩も後輩も関係ない。今日1日俺たちが一番熱いライブをしていこうと思っている!」と岩渕は攻め攻めなMCを投げ込み、自由すぎるビートをかき鳴らす『リバティーリバティー』へ突入。彼らの名刺代わりと言っても過言ではないナンバー『パノラマパノマタウンのテーマ』、現代社会への不満を曝け出すように歌った『フカンショウ』を畳みかけると、会場全体から「ほっといてくれ!」といったコール&レスポンスが広がり、これぞロックンロールと思わせる圧巻な景色を見せてくれていた。
後半では、過去と未来を繋ぐ『MOMO』、今の彼らを証明する渾身のナンバー『ラプチャー』を送り届け、メジャーシーンに風穴を開けるニューロックバンドが出現していた。
セットリスト
1PPT Introduce(新曲)
2世界最後になる歌は
3リバティーリバティー
4パノラマパノマタウンのテーマ
5フカンショウ
6 MOMO
7ラプチャー
LAMP IN TERREN

 4番手に登場したのは、長崎出身の4人組ロックバンドのLAMP IN TERREN。川口大喜(Dr)のカウントを合図に、心地の良いアルペジオが鳴り響いたのは『緑閃光』。松本大(Vo./Gt.)が大きく息を吸い込み、歌声を届けたが、今日はなんだか声が掠れて聴こえた。それもそのはず。彼はこの日、万全な状態ではない姿でステージに立っていた。MCで松本は「本来言うべきことじゃない事かもしれませんが恐らく、歌っている途中でわかると思うので、先に伝えておきます。今日はとんでもなく声の調子が悪いです。それでも俺はここに立ちたかった。全身全霊でこの先の未来の力を全部使う。その覚悟で、このステージをやっていきたいと思っています」と胸中を打ち明け、会場からは盛大な拍手が鳴り響いた。
調子の悪い状態でもステージに立ち、その苦しみや葛藤を振り払うように『innocence』を振り絞る声で歌う松本の姿。メンバーもそんな彼を支えるように、情熱的に音をかき鳴らし、闇夜を照らし出す光をLAMP IN TERRENそのものが描き出していた。
「わいわいできるだけじゃない、日々の苦しかったことや、辛かったことが洗い流されていく感じも僕は楽しいと思っています。僕らのライブは自由に皆さんの心と会話していくようなライブをやります」と松本が話すと1月19日に配信リリースされた新曲『花と詩人』を優しくしっとりと響かせ、涙を誘った。そして、最期まで諦めることをせずに『涙星群の夜』、『キャラバン』、『地球儀』といった希望に満ち溢れた楽曲を演奏。彼らが、『MASH A&R』を大切に想う気持ちが強く伝わる懸命なステージだった。
セットリスト
1緑閃光
2innocence
3花と詩人
4涙星群の夜
5キャラバン
6地球儀

Saucy Dog

5番手を務めたのは、YAJICO GIRLと同じく同オーディションライブでグランプリを獲得した3ピースロックバンドSaucy Dog。石原慎也(Vo&Gt)の儚い歌声が響き渡ると、男女の恋愛観を描いた『煙』で彼らのステージは幕を開けた。共感せずにはいられない深い歌詞、そんな想いを命がけでオーディエンスに伝えるように叫ぶ石原。その姿からは目をそらさずにはいられなくなる。それぐらい、誰かに僕らの意志を伝えたいんだと発言しているかのように『wake』でありったけの気持ちを投げ掛けてきていた。せとゆいか(Dr&Cho)は会場を見渡しながら「見てくれて、聴いてくれて ありがとうございます。すごく嬉しい。今日1日がとても良い日になるように、皆にとっても私たちにとっても凄く良い夜になるように一生懸命頑張ります」とフレッシュさを見せながら話した。
1年前に見た彼らのステージはまだ初々しいものがあったが、今回のSaucy Dogは新たな覚悟を決めたような顔をしていた。それを象徴させるように、3ピースだからこそ鮮明に音が映える『ナイトクロージング』で感情を高ぶらせ、弱かった自分にさよならを告げる『グッバイ』で人々の心を救ってくれる幸せなひと時を見せた。
石原は今感じている事や未来に対する想いに触れながら、「僕の信じる仲間や、事務所や、ここにいるメンバー、僕達の事を信じてくれてる皆のおかげでこのライブハウスに立てています。本当にどうもありがとうございます」と日々支えてくれる人々へ感謝を述べた。ラストは、彼らが今一番大事にしているこの季節にぴったりのナンバー『いつか』を披露し、幕を閉じた。
セットリスト
1煙
2wake
3ナイトクロージング
4グッバイ
5いつか

この日のトリを務めたのは、大魔王のような存在感を放つ4人組ロックバンドTHE ORAL CIGARETTES。MASH A&Rを引っ張ってきた彼らがステージに上がると、興奮を曝け出すほどの大きな歓声が、フロア中に響き渡り、オーディエンスは一気にステージ前方へ詰め寄っていくのがよくわかるほどだ。それほど彼らが魅せるパフォーマンスを待ち望んでいた人々がいるということだろう。山中拓也(Vo&Gt)が舞台の中央に立つと「新木場!! 2018年一発目のライブ!お前らで良かったって言わせてちょうだい!始めんぞ!」と挑発的に言葉を投げると、オーラルのライブには欠かせない四本打ちをかまし、キラーチューンの『Mr.ファントム』で暴れ狂う世界へと誘い込んでいた。『5150』では大勢のオーディエンスがクラウドサーフィングをする光景が広がり、山中は「後輩ちゃんたちが僕たちに鬼のように喧嘩売ってましたんで、全員潰して帰りたいなと思います!」と更に攻撃的な言葉たちをぶちかましていく。
 鈴木重伸(Gt)のメロディアスなギターを軸に、『モンスターエフェクト』で早々に景色が移り変わり、人間の闇の部分を全面的に表現した『嫌い』でどんどん狂騒的な空間を作り上げていた。
 「先輩バンドなめんなっ!!」と今日出演していた後輩バンドに向けて思いをぶち当てると、負の感情がたっぷりと刻まれている『カンタンナコト』、苦悩を吐き出させてくれる『狂乱Hey Kids!!』といった、じっとしてはいられないヘビーチューンを叩き出していた。MASH A&Rの先駆者となるオーラルが最後に投下したのは、『BLACK MEMORY』。今の彼らだからこそ披露できる覚醒的ナンバーを存分に届け、会場にいたすべてのオーディエンスの心を鷲掴みにして帰ったに違いない。
セットリスト
1Mr.ファントム
25150
3モンスターエフェクト
4嫌い
5カンタンナコト
6狂乱Hey Kids!!
7BLACK MEMORY

スペシャルカバーアンコール
 アンコールでは、MASHROOMで恒例となっているスペシャルカバーを実施。一発目は、異端児のパノラマパノマタウンが先輩バンド・フレデリックの『オドループ』を熱演。かと思えば、そう簡単にカバーするわけでもなくパノラマ流にアレンジされたヒップホップチューンで『オドループ』を披露。新しいバージョンの『オドループ』に、オーディエンスからは黄色い歓声が沸くほどだった。
2番手にはYAJICO GIRLがLAMP IN TERRENの『涙星群の夜』を演奏、3番手はSaucy DogがTHE ORAL CIGARETTESの『エイミー』を披露し、エネルギッシュな一面を発揮させた。
先輩バンドのターンでは、LAMP IN TERRENがYAJICO GIRLの『いえろう』、フレデリックがパノラマパノマタウンの『ラプチャー』、THE ORAL CIGARETTESがSaucy Dogの『いつか』を一味違ったテイストでパフォーマンスし、新しい顔を覗かせた。最後は、全出演アーティストでTHE ORAL CIGARETTESの愛の合唱『LOVE』を歌い、この日のMASHROOMは大団円を迎えた。

セットリスト
1.パノラマパナマタウン「オドループ」(フレデリック)
2.YAJICO GIRL「涙星群の夜」(LAMP IN TERREN)
3.Saucy Dog「エイミー」(THE ORAL CIGARETTES)
4.LAMP IN TERREN「いえろう」(YAJICO GIRL)
5.フレデリック「ラプチャー」(パノラマパナマタウン)
6.THE ORAL CIGARETTES「いつか」(Saucy Dog)
7.MASH A&R ALL MEMBERS「LOVE」(THE ORAL CIGARETTES)

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