尾崎亜美、コラボレーション・アルバム『Life Begins at 60』インタビュー

尾崎亜美、コラボレーション・アルバム『Life Begins at 60』インタビュー

尾崎亜美、コラボレーション・アルバ
ム『Life Begins at 60』インタビュ

ー 絶対に出ますね!今回、どなたがどの曲でコラボするかというのはどうやって決められたんですか?

ケースバイケースです。マッキーは私の曲を片っ端から聴いてくれたんですって。それでこの “1グラムの歌”を歌いたいと言ってくれて。でも実は私もマッキーにはこの曲を歌って欲しいと思っていたの。ただ、ポピュラリティがある曲ではないし、アルバムの中の一曲なので、もっと有名な曲を歌いたいと言われるかもしれないとも思っていたんです。だからマッキーからこの曲を歌いたいと言われた時は嬉しかったですねぇ。

ー miwaさんはどうやって決めたんですか?

miwaちゃんはテレビで一度共演させて頂いた時に「“マイ・ピュア・レディ”が大好きなんです!」と言ってくださったので歌って頂くことにしました。この曲をもっとmiwaちゃんに合わせるというか、キーのことも含めてコラボの形をしっかり考えてあげたかったんです。だからmiwaちゃんにのびのび歌ってもらえる環境を整えて、その後で私がどうやってコラボとして成立するように参加出来るかを考えました。

ー ということは、コラボアーティストをメインに、尾崎さんの入る部分やアレンジを考えられたんですか?

そうです。今回アレンジと演奏はすごい頑張った!良かったと思うもん。それはちょっと自信持っていますし、アーティストの方がみんな素敵になっていると思う。良い部分を引き出すことが出来た気がしています。

ー 槇原さんの高音とか驚きました!

あれはマッキーのせいなんだけどね(笑)。

ー え?(笑)

せいというか(笑)、私はもっとマッキー寄りのキーで良いと思っていたんです。でもどうしてもガッチリとしたコラボにしたいから、私のオリジナルキーで歌いたいと言われたの。ただキーとしては高いから無理したんだと思います。

ー なるほど。

でもマッキーの裏声の、強くて優しいあの感じが新しい世界として引き出せたから、それはそれで結果的に良かったかなと思っているんです。

ー オリジナルでは尾崎さんの歌声から、相手を思いやる気持ちの強さを感じ取りましたが、今回のコラボでは槇原さんの歌声も含め、更に温かみが増した気がしました。

マッキーの歌声が優しくて温かいですよね。むしろ今回は私の方が男らしいかも(笑)。

ー いえいえ(笑)。

多角的に聴いても、本当のハーモニーになっているので「こういうことが出来たか!」という気持ちで一杯です。1音2音下げてマッキー寄りに作れば、それはそれで違うものとして私もアジャスト出来たとは思うんですが、今回の形にすることで私自身も発見したことが沢山あるました。オリジナルとは変えたい部分も色々あったので、 尾崎博志くんのペダルスチールを入れてみたんです。そしたらマッキーはペダルスチールの音がすごく好きだったの!

ー それは偶然ですか?

そう偶然!そうやって良い偶然が色々重なったので、私も歌い方を少し変えてみたりして。面白いですね、コラボって。

ー 今回、コラボレーションで大切にした点はどういうところでしょうか?

ただ人のカラオケを歌っていますという感じには絶対にしたくなかったです。このコラボだから生まれるサウンドでないと作る意味がない。こういうのって、雑に作ろうと思えばいくらでも雑に作れる企画でもあるんです。でも絶対にクオリティは落としたくなかったし、新しい音楽の世界観は必要。そこは私の中で最も大きな部分だったし、それぞれのアーティストが「コラボして良かった!」と最終的に思ってくれることを目指して、丁寧にディレクションもしました。皆さんきちんと歌の世界を持っている方にも関わらず「どんどんディレクションしてください!」と言ってくれて。大御所の小坂忠さんも含めてね(笑)。

ー 小坂さんまでも!

それにオペラのLa Dillもいる中、こんな私がガンガンディレクションをさせて頂きました。特にmiwaちゃんとchayちゃんの女性陣は若かったので、歌い方のコツとかもアドバイスしたり。

ー 歌い方のコツですか?

口の開け方からアクセントの付け方など提案したら「それやりたいです!」と言ってくれて。要くんには「君たちのような人は自由でよろしい!」って言ったんだけど(笑)「この部分はもっとオリジナルに忠実な歌い方をしたいから教えてください!」って。だから「どうしようかな〜」なんてふざけながら色々と話をして。でも人に教わって何かをするのって楽しくないですか?

ー 楽しいですね。

要くんもそういう気持ちもあったみたいで「嬉しい!」って言っていました。

ー なかなか根本さんクラスになると、歌い方を人から教わることなんてないでしょうし。

自分の世界がある人は手枷足枷して歌わせない方が良いんですよ。なるべくフリーで歌ってもらいたいんですが、今回ひとつ気づいたんです。「こういう風に歌って」とリクエストしても、結果的には自由に歌っていたんです。だから良い意味で手枷足枷にはならない。

ー ご自身の中で昇華しているわけですね。

そうです、そうです!でも今回、ピアノを弾くのが楽しかった。ピアノとエレピをめちゃくちゃ弾きまくりました!殆どがオリジナルキーではないので、演奏が意外と難しいんですよ(笑)。

ー そういえばそうですね。

弾き慣れた“マイ・ピュア・レディ”も、いつも押さえるキーにいきそうになったりするので、譜面を見直したりして(笑)。でもそれも含めて「私ってキーボードプレイヤーじゃん!」って感じられる喜びはありました。自画自賛で申し訳ないですが、「私、やるじゃん!」って(笑)。でもコラボしてくれるアーティストのために、良いオケを作ってあげたいという気持ちがすごくあったので、苦労も楽しかったです。

ー 素敵ですね。先程La Dillさんのお話も少し出ましたが、“Smile”をLa Dillさんが歌われているのが正直驚きました。

普段絶対にやらないような世界を作りたいと思って!礼さんが「DEVOみたいなベースとドラムの在り方はどうだろう?」と言ってストイックな演奏を始めたんだけど、私がDEVOをあまり聴いてこなかったから、いまいち分からなくて(笑)。かと言って聴いて真似してしまうのは一番怖いのでそれは避けたかったんです。そこで私はひたすらバロックの雰囲気をピアノで表現したんですが、礼さん曰くこの “Smile”は「DEVOとバロックの融合」。でもプロデューサーである私が、今言ったようにDEVOをあまり聴いてこなかった為に、そこがいまひとつ理解出来なかったんですけどね(笑)。ただそこにオペラ独特の歌声が入るのは面白いと思ったんです。ある意味「オペラくんたちで遊んでみました」的な(笑)。

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