【ライヴレポ】UVERworld、10年連続
となる日本武道館クリスマスライヴ開
催!「忘れたくない、クリスマスの夜
にしましょう」

有言実行。それは簡単な様でとても難しいことである。“自らが立てた計画や目標を実行する”———それだけのことなのだが、人間は己に勝ち続けることこそが、1番難しいことなのかもしれない。2017年12月25日。360度ぎっしり満員の東京・日本武道館の客席の1席で、そんなことを考えた。
力の限りを出し切った絶対的な音圧と、余力を残すことなく叫ばれるTAKUYA∞の言葉(歌)と、そこに重ねられるオーディエンスの全身全霊の歌声と歓声。圧巻の一体感を生み出すUVERworldのライヴは、観る度に己の弱った心を奮起させる。この日も同じくそうだった。客席から沸き立った10からのカウントが0になった瞬間。「TYCOON」をSEに、「DECIDED」を1曲目に置いたライヴは、戦いに挑む戦車のような、勝つことだけを信じて突き進む強いプライドと熱を放って幕を開けた。真っすぐに突きつけられる、ただただ信じて突進む生き方を問われるこの曲に、オーディエンスはがむしゃらに食らいついた。
この日もいつものように、TAKUYA∞は次に届ける曲の意味に繋がる、その歌詞に託した想いを全身の力を使って届け、オーディエンスを一歩ずつ導いていった。一貫して変わらないのは、“自分を信じて突き進むこと”。そして、“自分にとって何よりも大切だと思うものを見つけること”。それを有言実行する強い彼らに、多くのオーディエンスは惹かれるのだろう。しかし。この日、改めて彼らが特別に強いわけではなく、躊躇や弱さや劣等感を持った普通の人間だからこそ、この叫びとサウンドが生み出せているのだと感じた。TAKUYA∞の綴る歌詞は、自らとの闘いの言葉であり、自分を奮い立たせる言葉でもあると私は思っている。彼らからのメッセージが強く伝わるのは、もがきながらも、そんな己に打ち勝った、有言実行者だからであるからなのだと。
この日届けられた「一滴の影響」で、TAKUYA∞は勢い余って客席に靴を飛ばした。曲終わりで、このツアーでは毎回靴が飛んでいたのだと語っていたが、“1番ダメなのは自分をダメだと思うこと”という彼が強く伝えたいメッセージが乗った歌詞の曲であった故に、特に力が入ったのであろうと、いつも全身全霊で生きるTAKUYA∞と、その彼をサウンドで後押しし、しっかりと支える克哉、彰、信人、誠果、真太郎の存在の大きさと、その関係性に改めて心を大きく動かされた。このとき、TAKUYA∞も、改めてそんなことを感じていたのかもしれない。
続いての「ALL ALONE」では、いつも彼がライヴで1度は叫ぶ「俺たちにとってのUVERworldに代わるモノを、お前たちも探せ!」という言葉を届けたのだった。この日は、2008年から始まったクリスマスライヴが10回目を迎えたということもあり、特別にこの言葉に力が入っていたのかもしれない。
「気持ち良い!360度ヤバいね!最高だなお前ら本当に。とにかく最高の夜を。忘れられない、忘れたくない、この2017年のクリスマスの夜にしましょう。10年連続でやらせてもらったことをとても感謝しています。でも、10年連続してやらせてもらったことで、10年というスピードが恐ろしいほど速いってことを思い知らされています。今日は、10年で培った集大成をここで魅せますんで!今日は10年で1番熱いライヴになること間違いなしだ!」
TAKUYA∞の叫びどおり、この日は特に熱いライヴになったと言っても過言では無いだろう。そして、このツアーで1度もやっていない、この日しかやらないスペシャルな曲として「Roots」を届けた。真太郎のシンバルを合図に、イントロを設けずTAKUYA∞が<いつだって愛で救われた事実を人は忘れられないんだ>という歌詞を歌い始めると、オーディエンスは会場が割れんばかりの歓声を上げ、その歌を一緒に歌った。
中盤で届けられた「PRAYING RUN」でも、<それができるのかできねぇのかは>という歌詞の後に続く<全部やって確かめりゃいいだろう>という言葉をオーディエンスが大合唱する場面があった。まさしく、TAKUYA∞の言葉を借りて言うならば、間違いなくこの日、ここは、日本一熱い空間だった。爆音に乗せたメッセージが届けられる中で、スゥーっと心奥底まで染込んでいった「心とココロ」では、そこに綴られたひとつひとつの言葉が特に大切に歌われていた気がした。
そして、客席から2名のオーディエンスをステージに上げ、「SHOUT LOVE」を届けた。確実にふたりはその他のオーディエンスにとっては羨ましい存在であるのだが、そこに変なやっかみは無い。6人がそのふたりを通して、その場に居た全員に変わらぬ愛情を注いでいることが、ちゃんと伝わっていたからである。ときに、彼らはここまでの歴史の中で、アイドル視されることでの葛藤もあったことだろう。しかし、そんなくだらない中傷に惑わされることなく、どんなタブーもとても自然に自分達らしくやり遂げ、それを自分達の生き方としてきた彼らの生き様に、オーディエンスは心底惚れ込んでいるのだ。彼らに対する愛情は中途半端で生半可な気持ちではないからこそ、変なヤキモチを焼いたりはしないのだ。むしろ、ステージに上がったふたりの溢れんばかりの感動を、共に喜び、支えていた様に見えた。人の幸せが自分の幸せのように思えること。これこそが本当の愛情というものなのだろうと思った。きっと、そんな愛の形をファンたちに教えたのは、間違いなくUVERworldに違いない。
後半戦は、楽器隊のスキルを見せつけられた「CORE STREAM」から、さらに熱を上げていった。「こっからヤベエもん見せてやっからね!」というTAKUYA∞の言葉どおり、「Q.E.D.」「ナノ・セカンド」と繋がれた流れはヤバかった。毎曲ごとに、“この曲の盛り上がり方はこの日イチだな”と感じるのだが、曲を追うごとに、それがどんどんと塗り替えられていくのである。とにかく、絶頂を越える絶頂の繰り返しなのだ。
この日、最後に届けられた「終焉」では、まだまだもがき続ける、時おり、躊躇も弱くなったりもする人間らしい彼らを見た。<信じていたいものを 信じていたい>、そんなTAKUYA∞の真情が吐露された言葉に、オーディエンスは<また会おうね>の約束を心から誓っていたようだった。
文/武市尚子
<セットリスト>
1.TYCOON
2.DECIDED
3.I LOVE THE WORLD
4.WE ARE GO
5.一滴の影響
6.ALL ALONE
7.IDEAL REALITY
8.Roots
9.シリウス
10.奏全域
11.魑魅魍魎マーチ
12.エミュー
13.PRAYING RUN
14.心とココロ
15.SHOUT LOVE
16.CORE STREAM
17. Ø choir
18.Q.E.D
19.ナノ・セカンド
20.零HERE ~SE~
21.IMPACT
22.LONE WOLF
23.RANGE
24.在るべき形
25.終焉

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