12月30日@名古屋・日本ガイシホール

12月30日@名古屋・日本ガイシホール

超特急、日本ガイシホールにて
2017年を締めくくる集大成を披露

史上初のメインダンサー&バックボーカルとして、2017年4月にはシングル「超ネバギバDANCE」で初のオリコンウィークリーチャート1位も獲得。春には5万5千人を動員する全国ツアーを行ない、2017年を猛スピードで駆け抜けた7人組・超特急が、2017年のラストライヴを自身初となる名古屋・日本ガイシホールで12月30日に開催した。4都市5公演すべてが発売6秒で完売した『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning』の4日目にあたるこの日は“SPACY”をテーマに、大型LEDビジョンやアリーナ中央に伸びた花道を活かしたダイナミックな演出で、宇宙規模のスケールあるステージを展開。2017年の集大成として止まることのない挑戦心を露にした“攻め”の姿勢で、集まった1万人に今年最後の忘れえぬ思い出を刻み込んだ。

7人のメンバー自らが、ライブ制作に関わっていることでも話題の今ツアー。“声”担当のリョウガによる開演前アナウンスに続き、ユースケプロデュースのオープニング映像で星々を旅する7人が宇宙空間に飛び出すと、花道先のセンターステージに輝くシャンデリアの下からシルバーグレーのスーツを纏った7人がせり上がる。そして地球から燃え盛る太陽、銀河と壮大な映像をバックに、今ツアーのテーマ曲「The End For Beginning」でライブの幕は切って落とされた。バックボーカルのコーイチが作詞に参加した未だかつてないほどダークでクールな楽曲の振りつけは、ダンスリーダーであり今ツアーで総合演出も務めるユーキが担当。苦しみの中から光を掴み取ろうとするかのようなドラマティックなダンスに、会場を埋め尽くした8号車(=超特急ファン)は息を呑んで魅入られる。

「2017年ラストのライブ、みんな楽しんでいこうぜ!」というユーキの叫びで続いた「Drive on week」以降も、超特急名物でもある8号車の大コールを受けながら、花道をダイナミックに行き来して、銀河を駆け抜ける宇宙船のようにスピード感のある楽曲達で場内をヒートアップ。無機質な動きが特徴的な宇宙モチーフ曲「Star Gear」の後、リョウガのナレーションによる映像で、困難を乗り越えながらも宇宙船で旅を続ける7人の目的が、多くの8号車と出会い愛を届けることであると伝えると、クールなエレクトロEDM「Time Wave」がドロップされる。映像とのシンクロで近未来へと見事ワープし、続く「panipani」ではメンバーが本ステージとセンターステージを瞬間移動して8号車を翻弄。さらにセンターステージに突如現れてアクロバティックにキメたユーキを皮切りに、ダンサー5人の切れ味鋭いソロダンスが続いて、コーイチ&タカシによる雰囲気たっぷりのフェイクボーカルへと繋がる流れは、彼らの歌、ダンス両面における成長を現すもの。「UNKNOWN…」のようにエモーショナルで大人な空気を漂わせるR&B曲が、神秘的な照明を浴びて映えるのも、12月25日に結成6周年を迎えた“今”だからこそなのだろう。

進化を見せたあとは新たな挑戦へ。エレキギターの音色が狂おしくかき鳴らされる「Beautiful Chaser」では、火の海となったステージの上、なんとユーキがマントの男たちに拘束! チェーンで雁字搦めにされながら、最後は瞬時に抜け出て8号車のどよめきを誘い、不敵な笑みを浮かべるという見事なイリュージョンで魅せてくれた。さらに「Gravitation」ではユースケ、タカシが宙返り、タクヤが90度の壁登り等、トランポリンで大技を披露。曲名の意味する“重力”から解き放たれて、どこへでも飛び立てるのだという無限の可能性を表現してみせる。そうして自由になった彼らは、後半、命の躍動を感じさせるナンバーで多彩にアピール。火花散る「Shake body」では花道を駆け回るが、「My Buddy」ではユーキのパートをタクヤが踊り、ユーキ自身はモニター越しでステージ裏から笑顔を贈る場面も。実は3日前の横浜アリーナ公演の当日リハーサルで、ユーキは右足を捻挫。そのため、この日はユーキが参加しない曲や、細かいフォーメーションの変更が為された箇所も随所にあった。

とはいえ「順調に回復していってますので安心してください」という声も聞けた上、もちろん“エンターテイメント”としてのライブステージに一切の妥協はナシ。ユーキ自身も本当に怪我をしているのか?と疑いたくなるほどキレのあるダンスを見せ、彼がいない曲でもキッチリと完成度の高いフォーメーションを創り上げてきたところに、7人の見事なチームワークと、この苦境を一丸となって乗り越えようという強い心を改めて見せつけられる結果となった。会場一体となっての大合唱が醍醐味の「Burn!」では、ユースケが「ユーキに贈るように歌ってくれ! ユーキに届けるぞ!」と8号車にアピール。それに応えて湧き上がる歌声とペンライトが広大なアリーナを埋める様に、超特急と8号車の。そして本編ラスト曲「バッタマン」でユースケが放った「超特急は7人だ!」という雄叫びに、メンバー間の絆が深まったことは間違いない。

そしてこの日のクライマックスが、「超ネバギバDANCE」曲中での大イリュージョン。ステージの二階に設置されたマジックボックスの中に全員で入り込み、内臓カメラではしゃぐ姿が映し出されるが、箱が開くと誰もおらず、1万人を驚かせた次の瞬間、2階客席の両端に7人が登場! そのまま「走れ!!!!超特急」のメロディに乗って、なんと自転車でスタンド後方の通路を横断するのだから、客席は歓喜の嵐。会場がどんなに大きくなっても、パフォーマンスがどんなに成長しても、醸し出す空気がどんなに大人びるようになっても、彼らの8号車への想いは何一つ変わることはないのだ。

アンコールではクリスマス公演のテーマ曲で忘年会的ダンスチューン「BREAK OFF」でハチャメチャに暴れ回り、2017年について想いを吐露。タクヤは「超特急について考える時間が増えた」と、ユーキは「人生、何が起きるかわからない。そこでどう乗り越えていくかだから、今の状況をネガティブに考えるんじゃなく、今後に活かしていきたい」と語った。ラスト曲の「fanfare」では支えてくれたメンバーに一人ひとり抱きつき、「2018年に向かって最高に明るい未来を届けるから、みんなこれからもついてこいよ!」とも。想定外のアクシデントに見舞われた今ツアーだが、MCでも語っていた通り“超特急のライブを外から観た”という経験は、彼にとって実に貴重なものとなるだろう。

結成5周年イヤーを締めくくるツアーとして、かつてない規模で敢行されている今回の『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning』。毎年年末は結成記念日である12月25日近辺にアニバーサリー公演を行ってきた彼らだが、今回は幕張イベントホールでのクリスマス公演2デイズ、初の東名阪アリーナツアーの二本立て。しかも最終日の大阪城ホール公演は、2018年1月6日と初めて年を跨いで開催される。ただ単に記念日を祝うだけでなく、さらにその先の進化まで見据えた今ツアーで彼らが目指しているものは、壮大なスケールの元に“歌とダンス”という超特急の核で真正面からオーディエンスを100%魅了しながらも、これまで以上の挑戦を付加して唯一無二のエンターテイメントを生み出すことだ。

アンコールでタカシが「パフォーマンスのレベルを、より上げていけるチャンスのあった1年だった」と、ユースケが「ダンスや歌が伸びていく超特急に期待していてください」と語った通り、今回のツアーでもレベルアップは目覚ましいもの。例えば煌めくシャンデリアから降る雪の下、リフトアップするセンターステージで切ない恋を渾身の歌とストーリー性豊かなダンス、さらに歌詞を引用したポエトリーリーディングで魅せた「Snow break」などは出色だった。それぞれのスキル上達のみならず、七人七様の解釈と表現を持ち込むことで、視覚聴覚両面でより豊かなハーモニーを生み出せるのが、今の超特急の強みだ。

それでは今回のツアーテーマに隠された“end”と“beginning”とは、果たして何なのか? 関西出身のボーカル二人にとっての夢舞台でもある1月6日の大阪城ホールで、また、その先の2018年に、ぜひ、その目で確かめてほしい。

Photo by 米山三郎、深野輝美
Text by 清水素子

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning』

<2018年>
1月6日(土) 大阪・大阪城ホール ※ソールドアウト

■特設サイトURL
http://bullettrain.jp/tour2017-2018/

12月30日@名古屋・日本ガイシホール
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Photo by 米山三郎、深野輝美

OKMusic編集部

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