Best Tracks Of 2017 / Takazumi Ho
saka キュレーター、Takazumi Hosak
aによる2017年の年間ベスト・トラッ
ク!

個人的に今年は自分でもビックリするくらい偏向的になった一年だったような気がします。なぜでしょう……。

あと、今年もシンコー・ミュージックさんの 『CROSSBEAT YEARBOOK 2017-2018』(https://www.shinko-music.co.jp/item/pid1645588/) に参加させて頂いておりますので、ベスト・アルバムに関しましてはそちらをぜひチェックしてもらえると嬉しいです。


5. ECD×DJ Mitsu The Beats / 君といつまでも(together forever mix)feat. ECD×DJ Mitsu The Beats
■ 関連記事:ECD×DJ Mitsu The Beats / 君といつまでも(together forever mix)feat. ECD×DJ Mitsu The Beats(https://spincoaster.com/yuzo-kayama-kimito-itsumademo-together-forever-mix-feat-ecdxdj-mitsu-the-beats)

PUNPEEの「お嫁においで 2015」から引き続き、この曲も収録された『加山雄三の新世界』は本当に傑作だし、御大の作品を各々のアーティストが自由に再構築した様はまさに痛快でした。そんな中でも、ECDとMitsu The Beatsによるこの一曲は、「君」を「音楽」と置き換え、ECDが自らの人生を振り返るようなリリックが、美しいピアノとストリングスの音色に乗っかるどこまでも胸を打つ名曲。

押忍マンが焼き鳥店・鳥居亭で、ナオヒロックがビアバー・終日ONEにて働く様子などを差し込んだMVは、生活と音楽に対する関係性、距離感を、決して華やかではない姿で、しかし、とても幸福な雰囲気が伝わってくる映像で描き出しています。言わずもがな、2児の親でもあるECDも音楽活動と仕事を両立させてきた人物であり、だからこそ、より一層ズンと胸に響くものを感じてしまいます。そう、「こいつがある、音楽、それだけでOK」。


4. MONDO GROSSO / ラビリンス
■ 関連記事:MONDO GROSSO / 惑星タントラ(https://spincoaster.com/mondo-grosso-planet-tantra)

昨年頃からなんだかクラブでMONDO GROSSO「LIFE feat.bird」を耳にする機会が増えてきているな〜っと思っていたら、まさかのこの2017年に再始動。本人がどのような意図をもってしてこの判断を下したかはわかりませんが、個人的には本当にビックリするタイミングでした。90年代〜2000年代頃の、いわゆるJ-Houseって呼ばれていたようなサウンドが、今聴くとめっちゃシックリくる〜っていう話を今年の前半はよくしていたような気がします。brinqさんと。


3. tofubeats / LONELY NIGHTS
■ 関連記事:tofubeats / BABY(https://spincoaster.com/tofubeats-baby)

今年リリースされたアルバム『FANTASY CLUB』は年間ベスト・アルバムでもかなり上位に選出させてもらいました。KANDY TOWNのYOUNG JUJUを招いた本トラックか「BABY」かで迷いましたが、気づけば一番よく聴いていたのはこの曲でした。KANDYTOWNから客演に招かれたYOUNG JUJUの歌心溢れる独特のフロウ、そして音数の少ないメロウなトラックに内省的なリリックが合わさった名曲。


2. HANG & 唾奇 / ame。feat. MuKuRo (PARKGOLF Remix)
■ 関連記事:HANG & 唾奇 / ame。feat. MuKuRo (PARKGOLF Remix)(https://spincoaster.com/hang-tsubaki-ame-feat-mukuro-parkgolf-remix)

今年のMVPのひとりに唾奇を挙げる人はきっと多いハズ。Sweet Williamとの連名アルバムからDJ HASEBE & おかもとえみとのコラボ曲、Avec Avecがトラックを手がけた「Soda Water」、その他にもLEAP、yasai、Leonald、kuja、CHICO CARLITO、DJ KEN KANEKOなどなどの楽曲に客演を果たすなど、その横断的な活躍ぶりは、全てを追うのが中々に困難なほど。そんな中でも特に記憶に残ってるのは、公開されてから日が浅いというのもありますが、HANG×唾奇によるリリース後即完売したコラボ・アルバムのLP版に収録されたこの一曲。先述のAvec Avecプロデュース曲でもそうでしたが、こういう幻想的なトラックも上手く乗りこなすのが唾奇の魅力のひとつ。もちろんHANG、そしてフックを歌うMuKuRoとのキャラクターの違いも絶妙な塩梅で、今年屈指の相性の良さを誇るコラボ曲ではないでしょうか。


1. Calvin Harris / Heatstroke (Audio) ft. Young Thug, Ariana Grande, Pharrell Williams
■ 関連記事:Calvin Harris / Feels ft. Pharrell Williams, Katy Perry, Big Sean(https://spincoaster.com/calvin-harris-feels-ft-pharrell-williams-katy-perry-big-sean)

正直言うと、「Slide ft. Frank Ocean, Migos」を聴いた時はそんなにピンとこず。彼のことはEDMという言葉が出てくる前、エレクトロ時代から個人的には「ちょいダサ系プロデューサー」として認識していましたが、まさかこんなにも素晴らしいアルバムを作ってくるとは。USを中心とした世界中のメインストリームを席巻するトップ・アーティストたちを呼び集めながらも、過剰な装飾があるわけでも、気負った姿勢を感じさせるでもなく、ただひたすらにグッド・ミュージックを鳴らすその姿勢は、この2017年においてはあまりにも特別なことのように感じてしまいました。結局、「こいつがある、音楽、それだけでOK」なんです。


Comment
メインストリームのすぐ裏側では相変わらず分断が加速し続ける昨今。情報の取捨選択次第ではどんどん視野を広げることもできる一方で、沼にハマると逆にガクッと視野が狭くなってしまいます(別にそれはそれでいいんですけど)。今回、ベスト・トラックを選ぶにあたって振り返ってみると、今年の自分は視野がかなり狭まっていたような気がしました。そして、単曲単位だと突出したものがあまりないように思えて、例年以上に5曲絞るのに難航したりも。なので〆切もぶっちしました(土下座)。

来年はもうちょっと視野を広く持ち、引き続き軽薄かつ身勝手な精神で楽しんで行きたいと思います。


番外編 マイ・ベスト
【ベスト・人パーティ】

“Sailor Team 2017 asia tour in Tokyo supported by POOL”

Vapor Waveから派生するような形で出現したFuture Funkという潮流も、気づけば謎の進化/変化を遂げ、独自のカルチャーを築き上げるようになりました。そしてそのカルチャーにおいて大事なのが、この日本の過去の遺産たち。海外を拠点に活動するアーティストたちがこの日本の六本木に集い、フィナーレでは「ムーンライト伝説」を歌うというこのイベントは、今年一のバグった景色だったように思います(最高でした)。

■Takazumi Hosaka 過去記事:https://spincoaster.com/author/hosaka

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