【ライヴレポ】UVERworldが『TAKUYA
∞生誕祭』で実現させた『男祭り』v
s『女祭り』!「俺が欲しいのはここ
でしか感じられない、唯一無二の一体
感」

前代未聞の、いや、前代未見の光景だった。ステージに向かって右側半分が白、左側半分が赤、と二分された客席。しかも、この日のみオールスタンディングとなったセンター席だけでなく、その周りを取り囲むアリーナ席、スタンド席もきれいに真っ二つだ。そして白サイドを埋め尽くしているのは全員が女性客、対する赤サイドは男性客と逆紅白歌合戦状態。紅白の場合、普通は女性が赤とされることも多いが、ここでは白=純情可憐な乙女たち、赤=血気盛んな野郎どもという解釈でいいだろうか。それぞれの色に象徴されるように白組女性陣は、まるで愛しい人との逢瀬を待ち侘びるようにウキウキそわそわと、赤組男性陣は逸る心を止められないのかウォーウォーと鬨の声を上げて盛り上がり、と開演前の場内にふたつのまるで異なる空気感が同時に存在しているのも実におもしろい。
絶賛開催中のツアー『UVERworld TYCOON TOUR』の14公演目にして神奈川・横浜アリーナ公演2日目、そしてボーカル・TAKUYA∞のバースデー、すなわち生誕祭である。年に一度のスペシャルな夜にこんな前人未到の企てを思いつくのも、見事に実現してしまえるのもおそらく彼ら以外にいないだろう(ドレスコードとして女性は白、男性は赤着用という彼らの提案を楽しんで受け止めるファンの姿勢もとても素敵だ)。詰めかけた男女それぞれ7千人、合計1万4千人と6人とが生み出す途方もない一体感はまさに伝説と呼ぶにふさわしい。
「人生最後のライヴのように、のっけからクライマックスのようにぶっ飛んでいこうぜ!」
TAKUYA∞はそう叫ぶとまだ2曲目にも関わらず早くもステージから飛び降り、オーディエンスひしめく前方のブロックへと果敢に分け入っていった。その勇姿に赤も白も一緒になって拳を振り上げ、「We are」と声の限りを尽くして叫ぶ。「WE ARE GO」というタイトルをそのまま具現化したような魂の大合唱。それこそTAKUYA∞の言葉通り、のっけからクライマックスではないか。しかしながらチーム・UVERworldにとってクライマックスとは随時更新されるべきもの。「半端ないところまで行こうよ。ばっちり地獄絵図を見せてやるからな」と突入した「ace of ace」では、メインステージの中央部分に突き出したセンターステージ、通称“でべそ”にTAKUYA∞、克哉、信人、彰がギュッと集結、前のめりなパフォーマンスで場内の熱を天井知らずに押し上げる。『UVERworld TYCOON TOUR』と銘打たれているように今ツアーは最新アルバム『TYCOON』の楽曲を主軸に据えてライヴを行なっているのだが、生誕祭の特権として今日はTAKUYA∞の好きな曲ばかりで構成されたセットリストとあって「畢生皐月プロローグ」や「REVERSI」など人気曲ながら久々に聴けた楽曲などバラエティに富んだラインナップも嬉しい。
1万4千人が一斉に人差し指を突き立て、声を揃えた「NO.1」。誕生日を迎えて真っ先にしたことは大切な仲間と走ること、と夜中に横浜から新横浜まで11kmを走ったエピソードを明かし、「このライヴが最高になるのであれば10kmだろうが20kmだろうが毎日走るのなんか屁でもねぇ!」と切実な覚悟を歌と演奏に昇華して魅せた「PRAYING RUN」。また、「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」ではシングルの音源でもゲストボーカルとしてコーラスで参加しているYAFUMI(LAID BACK OCEAN)、星☆拓也(THE Hitch Lowke)、世田谷のりこ(愛笑む)の3人が今日のために駆けつけ、2年前の兵庫・神戸ワールド記念ホールで行なわれた『男祭り』以来の共演を果たすというサプライズでオーディエンスを沸かせた。さらには今ツアーでの恒例として、客席から2〜3人をステージに招いて至近で歌と演奏を聴かせる「SHOUT LOVE」、克哉、信人、彰、誠果がセンター席後方のリフターへと移動してステージの真太郎とで繰り広げる新たなインストナンバー「CORE STREAM」、戻ってきたメンバーと入れ替わるようにして今度はTAKUYA∞がリフターに乗り込んで歌い上げた「Ø choir」など、アリーナという巨大な会場でありながら距離感を感じさせない演出で観る者の心を一瞬たりと離さない。
「俺が欲しいのは薄っぺらい“おめでとう”じゃないんだよ!ここでしか感じられない、唯一無二の一体感を俺たちで作ろうぜ!」
加速度的に膨らむ昂揚、興奮のピークを突き破ったのはやはり「IMPACT」だった。1万4千人の声が空間に轟々と渦巻き、激しく空気を震わすのが肌で感じられる。一体感をも超えた一体感、ひとつの生命体と化したかのように横浜アリーナ全体が尋常でないエネルギーを放ってとめどなく、その凄まじさときたらTAKUYA∞をして「こんなヤベぇ「IMPACT」は聴いたことねぇ!」と感嘆させるほどだ。
この日、TAKUYA∞はこう言った。UVERworldを17年間やってきて得たいちばん大きなものはこういう大事なときに集まってくれて本気で祝ってくれる人がいること、それが俺の宝だ、と。「だからみんなも、そんな仲間が見つかるような生き方をしてくれよ」とも。ここには書き切れないくらいたくさんのメッセージが歌となって演奏となってひとりひとりに手渡されて、また、ひとりひとりが全身全霊で返す想いがTAKUYA∞に、6人に降り注ぐ。ラストは「MONDO PIECE」が飾った。客席の隣り合った者同士がごく自然に肩を組み、大きくやさしく左右に揺れ、朗々とした歌声が空間いっぱいに共鳴する。境目の男女も隔てなく手を伸ばし、揺れ合う光景は美しいの一語に尽きた。
「UVERworldの旅はまだまだ終わらない。俺たちにしか出せないこの一体感を持って、また来年必ず会おうな!」
2017年いっぱい、12月31日まで今ツアーは続く。その向こうにUVERworldの、次の未来が待っている。
文/本間夕子
<セットリスト>
1.7th Trigger
2.WE ARE GO
3.ace of ace
4.ENOUGH-1
5.一滴の影響
6.Collide
7.シリウス
8.KINJITO
9.畢生皐月プロローグ
10.REVERSI
11.NO.1
12.PRAYING RUN 
13.僕の言葉ではない これは僕達の言葉
14.SHOUT LOVE
15.ハルジオン
16.CORE STREAM
17.Ø choir
18.Q.E.D.
19.Don't Think.Feel
20.零HERE ~SE~
21.IMPACT
22.LONE WOLF
23.在るべき形
24.MONDO PIICE

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