【インタビュー】THE PREDATORS前編
「シンプルなロックンロールはこのバ
ンドで追求したい」
普段から親交の深かったthe pillowsの山中さわお(Vo,G)とGLAYのJIRO(B)が“ニルヴァーナのようなオルタナ・バンドを演ろう”と意気投合して2005年に結成されたTHE PREDATORS。初代ドラマー、ストレイテナーのナカヤマシンペイが2010年に脱退、そのあとを受けてELLEGARDEN、Scars Boroughのドラマー 高橋宏貴が加入し、本体のバンド・スケジュールの隙間を縫って定期的に活動を展開。2015年、結成10周年を迎えた彼らは5thアルバム『ROCK’N’ROLL PANDEMIC』で、“ラモーンズのようなロックンロール、パンク・ロック”というテーマを掲げ、自由奔放で遊び感覚も存分に盛り込みながら、スリリングでカッコいいスーパーバンドとしての存在感を発揮してくれた。
そして2018年、THE PREDATORSはまた動き出す。1月10日(水)にライブ会場と通販限定シングル『Arabian dance』をリリースし、1月18日(木)渋谷CLUB QUATTROから全国8カ所を回る<Arabian Dance Tour>を敢行することが決定したのだ。
■THE PREDATORSは“続けていくこと前提”。「いつやる?」は、飲みの席で決まったような気がする
ーー前回の活動は、2015年にTHE PREDATORSが10周年ということで、アルバムを出してツアーをして最後のステージは怒髪天のイベントに出演した京都でのライブだったと思うのですが、インターバルを経て、今回は2018年1月にツアーとシングル・リリースで活動再開されるということですが、再始動するまでの経緯と決まったときの3人の気持ちを訊かせていただけますか。
山中さわお(以下、山中):誰が言い出したんだっけ。俺が「そろそろやる?」って言ったのかな。THE PREDATORSっていうのは“続けていくこと前提”でいるので、なんとなく1年半とか2年経ったら“そろそろどうする?”みたいな会話をする3人なので。
JIRO:すぐやろうって言ってもできないですもんね。
山中:そうだね。
JIRO:やっぱりそこからスケジュール調整とかをしだすとどうしても1年後とか1年半後ぐらいじゃないとスケジュールが取れないとか、そういった現実的な問題があるので。“いつやる?”っていうのは飲みの席で決まったような気がします。
▲山中さわお
山中:例えば、今回レコーディングが終わってまた2年後となるとthe pillowsは30周年、GLAYは25周年。アニバーサリーだからそのときはさすがにTHE PREDATORSはやらないから、「そう考えたらすごい先になっちゃうね」なんて言ったら、「まぁでも規模によってはやれるんじゃないですか」みたいな感じでJIROくんが応えて、「あっ、そっか」みたいな。もうすでにそんな会話をしてるくらいだから、あとはお互いのライブで3人揃ったときに「もう曲とかあるの?」みたいな感じとか。そんな、やっていくこと前提の会話かな。で、それが2年は空いてしまうっていう感じ。THE PREDATORSをやる、そのときの気持ちは「イェイ!イェイ!」って感じです(笑)。
ーー高橋さんは実際に動き出すと決まったとき、どんな気持ちでしたか。
高橋宏貴(以下、高橋):「YES!」って感じです(笑)。
山中&JIRO:爆笑
山中:お前、ラクして終わらせんじゃねえよ。
高橋:まぁでも俺は今、自分がやってるScars Boroughっていうバンドが休止になっちゃって、やっぱり話をもらったとき嬉しかったですね。だから「YES!」って(笑)。
ーーTHE PREDATORSは最初“ニルヴァーナをポップにやるというようなコンセプトで始まったバンド”だと伺っているのですが、前回のアルバムのときには“ラモーンズをベースにしたロックンロール、パンクロック”というテーマが掲げられました。今回のレコーディングは何か音楽的なテーマを掲げるような話にはなったのですか。
山中:なってないですね。あんまりそういう会話しなかったかも。
JIRO:全くしてないですね。
山中:してないね。「JIROくん、なんか曲書いて」みたいな感じで。
ーーでは作った曲をやり取りして、これをレコーディングしていこうか、みたいな形で、2018年1月にリリースされるシングルの4曲が揃った感じですか。
山中:そうです。今回、純粋な新曲っていうのはJIROくんの作った「Arabian dance」と、高橋くんの作った「Spooky Trouble」の2曲で。「TRADE」と「Trinity」は、前回のツアー、前々回のツアーで、ツアー中に作って演ってたものなので、まぁなんとなくはアレンジもできていたのかな。なんとなくだけど。
ーー「TRADE」に関しては、ファンの方々はツアー中に、3人がそれぞれ普段の担当楽器とはパートを変えて、高橋さんがボーカル&ベースで、さわおさんがドラムを叩いて、JIROさんがギター、っていうバージョンで演奏された姿を最初に観ているんですけど、今回きちんと録音して正規のパートで演ろうというのはスムーズに決まったのですか。
山中:はい。話し合ってないね(笑)。普通に「『TRADE』と『Trinity』はやるわ~」、「わかりました~」。で、普通にやるんだろうなって3人でわかってたっていう感じかな。
ーー「Trinity」も、ライブで披露されたよりもちょっと歌詞が変わってたり、構成が変わってたり、みたいな変化を感じたんですけど。
山中:そうですね。「Trinity」は前回のツアー中に作って、それをふたりに内緒にしてステージでお客さんが居る目の前で「今から新曲演るよ~」って俺が言って、ふたりが「え~っ!?」みたいな感じで、本当にびっくりした顔っていうのをお客さんにみせるっていう俺の悪い悪戯でやったので、そんなに真剣にトータル・アレンジとかトータルの歌詞を練りに練るようなポジションの曲ではなかった。でもいざ録るとなると1番を3回も歌うっていうはやっぱり自分で飽きるなと思って、少し直したのかな。
■曲を何曲かさわおさんに渡すと、僕がイメージしてたよりもさらに上を行くような曲に仕上がってくる(JIRO)
ーー今回、新曲の2曲に関して訊かせてほしいのですが、まずJIROさんが作られた「Arabian dance」は、どんな時期にどんな気持ちで曲ができていったのですか。
▲JIRO
JIRO:2016年の末くらいに、さわおさんから「来年すぐにちょっと時間ができるからTHE PREDATORS用の歌詞を書いておきたいので、曲をちょっと用意してくれないか」って言われて、そこから作ったんです。なので本当に作曲としては一番最近のものでしたね。最近(前作のアルバム)『ROCK’N’ROLL PANDEMIC』のときからそうですけど、ニルヴァーナっていうキーワードを無しにしてやってました。僕はシンプルなロックンロールというのはTHE PREDATORSで追求したいので、昔よりもさらに洗練されてきたと思うんですけど、イントロ、Aメロ、サビが同じコード進行で展開するっていうのをもっと突き詰めていく作業をしながら作りました。
ーー前作『ROCK’N’ROLL PANDEMIC』でJIROさんが5曲書かれて、作詞はさわおさんとJIROさんで共作というパターンが多かったと思うのですが、今回、「Arabian dance」はどういう風にできていったのですか。
JIRO:もう全く一緒ですね、はい。この先もたぶん一緒だと思います、僕が作った曲に関しては。僕の中ではTHE PREDATORSでは似たような曲作りをしてるので、そういった曲を何曲かさわおさんに渡すと、僕がイメージしてたよりもさらに上を行くような曲に仕上がってくるんです。毎回さわおさんに曲を提出して、できあがってくると本当に嬉しいですね。
ーーJIROさんが作った曲を受け取ったさわおさんはどういう印象を持ち、どのように高めていくのですか。
山中:4曲くらいもらったんだっけ。
JIRO:そうですね。
山中:今回のTHE PREDATORSはテーマを設けなかったんだけれども、なんとなく俺がここ数年好きな、アメリカのフィドラーというバンドがいて、あんまりメロディアスではないロックンロールで、本来俺the pillowsでメロディアスなことしかやらないから、そうじゃないのはTHE PREDATORSに似合うなとは思っていて。フィドラーみたいなのをやってみたいなと思ってたら、そういう曲をJIROくんが書いてきたので、「おう!」と思って。「Arabian dance」は歌詞ができて、“Arabian”っていうキーワードができてから、あのイントロとか、ソロもベースをちょっとアラビア・スケールみたいに弾いたりとかそっちに寄せたけど、元々のシンプルな状態だと、俺が最近好きなフィドラーのようなパワーを持った曲で。「ちょうどいいのが来た!」っていう感じだったかな。どこから歌詞変えたんだっけな。割とサッとできたような気がする。ただ歌詞を書くのにすごくインターネットを使うんですよ。ウィキペディアとかで調べものをする。メソポタミア文明のこととか、アラビアのベリーダンスが元々どういうものだったのか、とか。それが使ってるガラケーで全然開けなくなって。“そのサービスはもうガラケーは使えないよ、もうみれないからね~”みたいにどんどんなってきちゃって(笑)。俺、今まで何も困ってないからガラケーだったんだけど、今回困っちゃって(笑)。困って、スマホに変えなければならない、けど、タッチパネル反応しないから、俺がたぶん死にかけてるんでしょうね(笑)。反応しないから“ガラホ”っていうヤツを買わざるを得なくなって…。
山中:今回のTHE PREDATORSはテーマを設けなかったんだけれども、なんとなく俺がここ数年好きな、アメリカのフィドラーというバンドがいて、あんまりメロディアスではないロックンロールで、本来俺the pillowsでメロディアスなことしかやらないから、そうじゃないのはTHE PREDATORSに似合うなとは思っていて。フィドラーみたいなのをやってみたいなと思ってたら、そういう曲をJIROくんが書いてきたので、「おう!」と思って。「Arabian dance」は歌詞ができて、“Arabian”っていうキーワードができてから、あのイントロとか、ソロもベースをちょっとアラビア・スケールみたいに弾いたりとかそっちに寄せたけど、元々のシンプルな状態だと、俺が最近好きなフィドラーのようなパワーを持った曲で。「ちょうどいいのが来た!」っていう感じだったかな。どこから歌詞変えたんだっけな。割とサッとできたような気がする。ただ歌詞を書くのにすごくインターネットを使うんですよ。ウィキペディアとかで調べものをする。メソポタミア文明のこととか、アラビアのベリーダンスが元々どういうものだったのか、とか。それが使ってるガラケーで全然開けなくなって。“そのサービスはもうガラケーは使えないよ、もうみれないからね~”みたいにどんどんなってきちゃって(笑)。俺、今まで何も困ってないからガラケーだったんだけど、今回困っちゃって(笑)。困って、スマホに変えなければならない、けど、タッチパネル反応しないから、俺がたぶん死にかけてるんでしょうね(笑)。反応しないから“ガラホ”っていうヤツを買わざるを得なくなって…。
JIRO&高橋:爆笑
山中:それ、でも中身はAndroidっていうヤツで、使い心地最悪なの。もうほんとに使いづらいんだけど、ネットに繋がるようになって、無事調べものも済んで、歌詞書いてやりましたよ(笑)。
JIRO:ありがとうございます(笑)。
山中:なんか1個キーワードができると、全部がこう、音楽的なアレンジも、アートワークもそうだし、あとは高橋くんにベリーダンス踊ってもらうだけなんだけど…。
▲高橋宏貴
高橋:爆笑
山中:なんでかわかんないんだけど、断るんだよ(笑)。
JIRO:高橋のくせに(笑)。
山中:俺、元々ベリーダンスを踊れると思って誘ったんだよ、本来は。
高橋:THE PREDATORSに、ですか?
山中:そう、THE PREDATORSに(笑)。元々いつか高橋くんにベリーダンスを踊ってもらおうと思って誘ったのに、すごいショックだよ、断りやがってさ(笑)。なにドラム叩いてんだよ。
高橋:たぶん俺の方がショックだと思うんですよ。
山中&JIRO:爆笑
山中:で、高橋くんは前回初めて作家デビューをして。実績があるJIROくんが「何曲選ばれるかわかんないけど多めに出します」っていう優等生で、なんの実績もない高橋が1曲出してきて。1曲を“オーディション受かれ”みたいな感じの空気出してくるから、その時はまぁ、もしあのときベリーダンス踊ってたら俺はなにも文句は言いませんけど(笑)。踊ってないから文句があって。で、今回は2曲!
高橋:倍ですよ!
山中:2曲書いてきて、どっちもちゃんとした曲だったんだけど、今回仕上がった「Spooky Trouble」の方が歌詞がすぐサウンドの着地点も浮かんだから、じゃあ今はこっちだって。歌詞にさぁ、“ネブラスカ行きのバス停”って、ペンキの剥げたベンチでずっと待ってるシーンがあるじゃない。高橋くんはベリーダンスを断るんだったら、ネブラスカ行きのバス停には行って欲しいんだよね。
高橋&JIRO:爆笑
ーー前作のアルバムに収録された曲「START!」で、自作曲が初めてCDになったっていうことを伺いました。今回2曲をさわおさんに預けて1曲が採用になったということですが、2作目がまたTHE PREDATORSでCDに収録された感想はいかがですか。
高橋:ものすごい嬉しいですね。最初に自分が作ったデモテープのクオリティが、たぶん俺が知ってるミュージシャンの中で一番低い…。
山中:(食い気味で)そうだね!
JIRO:爆笑
高橋:デモのクオリティが化けていく過程は俺が一番知ってる訳じゃないですか。それがもう凄いことだなぁと思って。こんなにカッコよくなるんだって。
山中:高橋くんから来たデモは、サビ前とサビの締めがコードも歌メロも、もの凄い曖昧で(笑)。これはどうなってるんだろうと思いながら、「たぶんこうしたいんじゃないかな、そうじゃなくても従ってね」っていうのでこう作ったんだけどね(笑)。
高橋:メロディがよくわかんないんですよ、自分でも。さわおさんが「ここじゃない?」って、「そうかもしんないです」って。自分でもわからないんで、すごいなって。
JIRO:“どうなってんのシリーズ”で言ったら、さわおさんが高橋くんのデモテープを受けて、ギターと歌で弾き語りを作ったじゃないですか。それがさわおさんから送られてきたんです。で、高橋くんに「この曲のドラム・パターンってどういう感じ?」って言ったら、口ドラムで「ドッタン、ドドタン」って凄い冷静な声で…。
高橋:爆笑
JIRO:それ8ビートで書けばいいじゃん、って(笑)。
山中:いやいや。お前にSpooky Trouble(=不気味なトラブル)が起きてんの?
JIRO&高橋:爆笑
山中:口ドラムのデータが送られてくるっていう…(笑)。“自分が高橋”っていうことはわかってんだよな。そうだよね、わかってなきゃこんな「高橋」って書かれたバッチ、俺に渡してこないよね(笑)。なに? こんなバッチ作って。もらった俺、どうしたらいいの。俺、高橋じゃねえし。
高橋:JIROさんにも渡しました。
山中:凄いな、その勇気。
JIRO:しかも3つも。
山中:いらねぇよ(笑)。いやいやいや、面白いですわ、THE PREDATORS(笑)。
(後編に続く)
取材・文◎浅野保志(ぴあ)
撮影◎橋本塁(SOUND SHOOTER)
撮影◎橋本塁(SOUND SHOOTER)
通販・ライブ会場限定シングル『Arabian dance』
2018年1月10日(水)発売
ライブ会場では1月18日(木)渋谷 CLUB QUATTROより販売開始
通販はGLAY Official Store G-DIRECTにて予約受付
CD+DVD:BUMP-074 / 2,000円(税込)
[ CD収録楽曲 ]
1. Arabian dance
2. Spooky trouble
3. TRADE
4. Trinity
2018年1月10日(水)発売
ライブ会場では1月18日(木)渋谷 CLUB QUATTROより販売開始
通販はGLAY Official Store G-DIRECTにて予約受付
CD+DVD:BUMP-074 / 2,000円(税込)
[ CD収録楽曲 ]
1. Arabian dance
2. Spooky trouble
3. TRADE
4. Trinity
bonus track (LIVE at Zepp Tokyo / 2015.10.9 “ROCK’N’ROLL PANDEMIC TOUR”)
5. Nightless City
6. BRAIN CALLY
7. TRIP ROCK
8. 爆音ドロップ
9. Typhoon Jenny
5. Nightless City
6. BRAIN CALLY
7. TRIP ROCK
8. 爆音ドロップ
9. Typhoon Jenny
[ DVD ]
1. Arabian dance[MUSIC VIDEO]
2. Arabian dance MV Making
3. Members Interview
1. Arabian dance[MUSIC VIDEO]
2. Arabian dance MV Making
3. Members Interview
「Arabian dance」先行配信中
iTunes、Google、Amazon、G-DIRECT他、主要音楽ダウンロードサイトにて配信中
iTunes、Google、Amazon、G-DIRECT他、主要音楽ダウンロードサイトにて配信中
<Arabian Dance Tour>
1月18日(木)渋谷 CLUB QUATTRO
1月22日(月)名古屋 BOTTOM LINE
1月24日(水)広島 CLUB QUATTRO
1月26日(金)福岡 DRUM LOGOS
1月28日(日)大阪 BIGCAT
2月02日(金)仙台 Rensa
2月04日(日)札幌 PENNY LANE 24
2月08日(木)東京 Zepp DiverCity
チケット:前売り 4,860円(税込/ドリンク代別)
1月22日(月)名古屋 BOTTOM LINE
1月24日(水)広島 CLUB QUATTRO
1月26日(金)福岡 DRUM LOGOS
1月28日(日)大阪 BIGCAT
2月02日(金)仙台 Rensa
2月04日(日)札幌 PENNY LANE 24
2月08日(木)東京 Zepp DiverCity
チケット:前売り 4,860円(税込/ドリンク代別)
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