phatmans after schoolの「ツキヨミ
」は究極のラブソング!
phatmans after schoolの「ツキヨミ」
この物語の幕開けになんともふさわしい印象的なサビの歌いだしだ。サビの最初「Hello hello」で引き込まれるようにツキヨミの世界観につれていかれる。
それだけでなく、もう二度と会えない恋人に毎回心の中で「Hello hello」と問いかけているようにも感じる。何度聴いても飽きないメロディーに、愛しい人への想いが溢れていた。
身近な人にも重ねて考えられる歌詞だ。君のわがままを受け入れることができるのは、世界で僕しかいない。
同じように、誰にも言えず一人で泣いている僕を救えるのは君しかいない。もう結ばれることはないが“それでも君しかいない”というストレートな想いが描かれている。
誰のために泣いているのか分からないくらい、からからになるまで泣いていた。それでも一緒にいたいと思ってしまうのだ。
もしも勇者になれたなら君のことを救うことができたかもしれない。それでも「僕」は「僕」でしかなくて、もう会うことはできないのだ。
せめて夢のなかで良いからもう一度会いたい。会えたら君のための僕になってずっと一緒にいたい。なんとも切ない表現だ。
迷いながらそれでも生きる、という主人公の強い気持ち
この楽曲は切ない恋を描いているのに悲しい歌に聞こえない。その理由の1つとして「それでも生きる」という主人公の強い気持ちが表れているからだ。
どうしようもない状況でも迷いながら“生きる”ことしかできないのだ。
本当は苦しくて死にたいのに死ねなかった。もう君に会えないのは分かっているのに、夢の中で探してしまう。
死んだらそこで終わってしまうが、生きていたら何かが変わるかもしれない。絶望の中でも希望を持っていたかったから、死ねなかったのだ。
胸が締め付けられる、この楽曲の一番の聴き所だ。「ツキヨミ」という月の神様でも、結局魔法使いにも勇者にもなれないことが分かってしまった。
そして「イキタイ」という言葉にたくさんの意味が込められている。会いに行きたいとも思っていて、会えないなら死にたい(逝きたい)とも思った。
それでもやっぱり君のいない世界でも生きたいと思ったのだ。
愛しい人への究極の愛のカタチを表現した楽曲「ツキヨミ」
ツキヨミとは“月の神様”を意味している。ツキヨミ(月読)は太陽の神様と対照的に謎が多くあまり知られていない。
しかし夜にだけ現れる月は、どこか寂しそうでありながらも、美しく輝き暗闇を照らしている。月が太陽の光に照らされて輝いているように、もう会えない君を思う事が生きる力になっているのだ。
これからも精一杯生きて、魔法がとけた世界でも君のことを探す。愛しい人への究極の愛のカタチなのだろう。
TEXT:松原 千紘