【対談連載】ASH DA HEROの“TALKIN
G BLUES” 第5回ゲスト:DURAN

ASH DA HEROをホスト役に、毎回ゲストを迎えてトークセッションを繰り広げる連載が2017年春スタートした。デビュー2年目のASH DA HEROが、あるときは同じミュージシャン目線で、またあるときは異ジャンルに斬り込む同対談連載企画のタイトルは、“TALKING BLUES”だ。
第5回目のゲストはギタリストのDURAN。The ROOTLESS、a flood of circleMade in Asiaでの活動を経て、2017年11月よりソロ始動。また、2014年および2016年にはB'z稲葉浩志ソロツアーのギタリストに起用されたほか、EXILE ATSUSHIの新バンドRED DIAMOND DOGS(2016年スタート)のメンバーとして抜擢されるなど、大物アーティストからの信頼も厚い。
L'Arc-en-CielのKen主催ライブイベント<PARTY ZOO>での共演も記憶に新しいが、ASHとDURANの親交は古く、ミュージシャン同士として、飲み仲間としての交流が、知り合って以降現在まで継続しているのだとか。ちなみに、今回の対談も「こういう話を世に発信したいね」という飲みの席でのトークが基になったもの。お互いを「天才」と讃える同世代のボーカリストとギタリストによるトークセッションは、ロックシーンを突き抜ける若いパワーに溢れる一方で、客観的にシーンをとらえる視線を併せ持つなど、興味深いものとなった。
   ◆   ◆   ◆
■言霊を受け取って情熱を指先に宿す

■DURANはそういうギタリスト──ASH DA HERO
──飲み仲間の2人らしいけど、今日だけは酒なしで。しかし飲みに行く間柄ってことは、相当、仲がいいですね。知り合ったのはいつぐらいですか?
ASH:DURANの前身バンドの頃からすごくファンだったんで。
DURAN:前やってたThe ROOTLESSというバンド。
ASH:そう。“あのバンドのギタリストはすげーいいな”って知り合う前から思ってて。周りの連中からも、アイツはヤバイよねって注目されてる存在だった。で、いつか会いたいなって思ってた人で。
DURAN:最初に会ったのはライブだよね、六本木Morphの。ASHのサポートドラムが、俺と前から仲いいヤツだったんで紹介してもらって。
ASH:会えるの楽しみだなと思って楽屋のドアを開けたら、DURANは楽屋のテーブルの上に腰を掛けてギター弾いてたよ(笑)。「あっ、DURANクン!」と声掛けたら、「HERO、よろしくね!」って、それが出会い。
DURAN:俺も会うのは楽しみにしてたよ。話も盛り上がったんだけど、あのとき、「アフリカでライブやりたい」とかASHは言ってて(笑)。
ASH:そう、サバンナで無観客試合をやりたくって、という話を俺がして。そしたら「なに、それ!?」ってなって(笑)。いやいや、広大なサバンナの大地に機材を持ち込んでフェスやったら、動物が来てくれねえかな?みたいな話を(笑)。
DURAN:それ聞いて、今まで出会ったことのないタイプの人だなと思って(笑)。おもしろいし、すごく素敵だなと。
ASH:いや、今でもホントに思ってるよ。動物にも音楽って伝わると思うから。
──それがきっかけで急接近ですか?
DURAN:飲みに行ったし、ライブもまたやったし。
ASH:僕がデビューするタイミングのライブにDURANに対バンで出てもらって。ASH DA HEROの節目には、いつもDURANがいてくれる。去年末の<BABIES NIGHT 2016>というデビュー1周年記念のイベントでは、お祝いと打ち上げを兼ねたアフターパーティをライブ終了後に、隣のライブハウスでやったんですよ。そこにもDURANは駆けつけてくれて。だから飲みに行く仲でもあるんだけど、リスペクトやラブとか、そういったいい扉も存在している間柄だと思いますね。
DURAN:うん。
ASH:“いつでもツルんでるぜ”って関係というよりは、お互いを尊重しながらいい距離感もあるんです。でも久しぶりに会っても、先週も会ったかのような感じで、近況とかいろんなことを話している。人と人との出会いや縁は、ノー・リーズンだと思うんです。理屈ってものがなくて、出会った瞬間から古い友達かのような感覚になれる相手は、たぶん、引き寄せあっているんだと思う。DURANにはそれを感じた。
▲<BABIES NIGHT 2016 ~After Party~>


──飲みのツマミとしては、近況の他にはどんな話を?
DURAN:ほとんど音楽の話。
ASH:DURANはすごく聞き上手だから、僕はいつも熱く、音楽論とかミュージシャンとしての倫理観みたいなものをメチャクチャ語っているという(笑)。
DURAN:だからいい関係っすよ。こっちからすると、いろいろ話を聞きたいし。ASHはどんどんしゃべってくれるんで、おもしろいですよ。
ASH:まさにヴォーカリストとギタリストという感じで。僕は自分の中に詰まっているいろんなものを、自分の声として発信しないと気が済まないし。それによって言霊みたいなものを、この空間に残したいと思っているから歌を歌ってるし。その言霊を受け取って、その情熱を指先に宿すのがギタリスト。まさにDURANはそういうギタリストだと思う。
DURAN:凄いな、よくそんなにうま〜くしゃべりますね。
ASH:いや、ボーカリストだから(笑)。常に歌詞を書いているようなところもあるし。
──ここ最近、DURANもギター弾きながら歌っていて、その歌がまたいいんですよ。
ASH:そう、素晴らしいんです。DURANが素晴らしいギタリストであると同時に、もの凄い歌声も持っている。その歌声について、2日半ぐらい熱いLINEを交わしたぐらい。
DURAN:ちょっといろいろ聞いたり、教えてもらったり(笑)。
ASH:DURANの歌声が、僕はホントに大好きだからね。「自分ではあんまり好きじゃない」と昔、言ってたけど。
DURAN:いや、恥ずかしいね。声を出すっていうのがね。ギターと歌のレベルに開きがありすぎで。
ASH:最初にギターっていうパートを選んだからそうなんだと思う。でも良かったと思ってる。ボーカルを最初に選んでたら……勘弁してほしいよ。それぐらい歌が上手だから。
DURAN:ちょっと褒めすぎだろ(笑)。
ASH:いや、もっとたくさんの人にDURANのことを知ってほしいと思っているし。DURANの生い立ちは、映画にしたほうがいいんじゃないかってぐらいおもしろい。
DURAN:けっこう、いろいろあるからね(笑)。
■その国だからこそ生まれる音楽

■っていうものがある──DURAN
ASH:生まれは山梨だっけ?
──確か、クオーターでしたよね?
DURAN:お父さんがスペインとフィリピンのハーフで、お母さんが日本人。小さい頃は日本にいて、14歳ぐらいからフィリピンのインターナショナルスクールへ行って。19歳ぐらいに日本に戻ってきて、今度はアメリカへ行って。で、また日本。
ASH:お父さんはタガログ語も話せる?
DURAN:しゃべれるし、スペイン語もできるし、英語もできる。
ASH:DURANもそうだよね?
DURAN:スペイン語は無理だね。数ぐらいしか数えられない(笑)。日本語と英語だけ。
ASH:部活とか何をやってた?
DURAN:テニス! メチャ、燃えてた。
ASH:ヘェ〜、意外だね(笑)。ギターはいつから?
DURAN:ちょうどその頃だよ。3歳からピアノやってたんだけど、中学校に入ったらバンドがすごく流行っていて。オヤジがベーシストだったから、家にはある程度の楽器があって、バンドをやりやすい環境でもあったから。ベースもドラムもギターも全部あったし。とくにフィリピンへ行ってからだよね、バンドは。あっちはどこのバーへ行ってもバンドが入っているんだよ、いわゆる箱バンが。テーブルのペーパーナプキンにリクエスト曲を書くと、何でもやってくれる。それがまたすごい。
ASH:それはタイへ行ったとき体感した。箱バンのヤツに「この曲はできるか?」って聞いたら、すぐにできるから、“ウワッ、素晴らしいな”って驚いたんだよね。DURANが14歳ぐらいでギターを選んだ理由は?
DURAN:もともとドラムをやりたかったんだよね。家にセットがあったから、学校のヤツらとバンドもやったんだけど、ギターのヤツは動けていいな……と(笑)。
ASH:なるほどね、ドラマーは座ってなきゃいけないからね(笑)。
DURAN:座って叩いてるだけってのがつまんなくなっちゃって。
ASH:それで、感覚的に選んだのがギターだったんだ。DURANのプレイからは、いろんなロックレジェンドの匂いが滲み出てくるんだよ。ジミ・ヘンドリックスやプリンスとか、ほんとにいろんなギタリスト達が。でも、ギターヒーローの誰かに憧れてギターを手にしたというよりは、DURANはギターに選ばれたんだね。
DURAN:うん、今思うと。オヤジがいろんな音楽を聴いてたから、自分も自然に耳にしてたけど、最初は誰かに憧れてって感じではなかった。
ASH:ちっちゃい頃にお父さんとセッションとかも?
DURAN:最近は実家に帰ったとき、一緒に音を出して遊んだりはするね。ちっちゃい頃は弾く姿をずっと見てたりはしたけど。
ASH:その感じって、なかなか普通じゃないよね(笑)。
DURAN:家は以前、ショーパブみたいなのをずっとやってて。海外から女の子を呼んできて、その子達のための家を作って住まわせて、女の子は生演奏をするし、ちょっとエッチな踊りもするし(笑)。
──オオッ!
DURAN:なんだったら来てくださいよ(笑)。ちっちゃい頃はその女の子達にけっこう育てられたというか。ショーパブのまかないを一緒に食べたり、女の子が生着替えする楽屋とか遊んでたり(笑)。


──そこで今のプレイに通じるエモーショナルさを培ったとか?
DURAN:エモーショナルさって(笑)。
ASH:ショーが身近にある環境って凄い。吸収とか英才教育とかじゃなくて、自分の中に自然とプリセットされているものとしてあるという。DURANの生い立ちを聞いたとき、“漫画みたいな人だな”と思って。サーカス団の団長の息子みたいな感じでしょ。
DURAN:そっかそっか(笑)。
ASH:浮世離れしているというか、二次元感みたいなのもある。
──フィリピンやアメリカなどの生活経験で、グローバルな視点も自然に備わっていると思うけど、今、DURANがいる日本のミュージックシーンはどう感じます?
DURAN:その国だからこそ生まれる、この国ならではの音楽ってものが、どこにもあると思ってますね。例えば日本だと、歌詞は主に日本語じゃないですか。それで生まれるリズムやメロディラインがある。フィリピンはフィリピンでそういうのがあるし、アメリカもそう。あとは海外のほうが、音楽が近い気がするんですよね。
ASH:ああ、分かる。身近だよね。
DURAN:一番悲しいのが、日本では、その辺の道とかで音楽したら怒られちゃうでしょ。ニューヨークの地下鉄とかだったら、曲を掛けてラップ歌ってるヤツが普通にいたりする。日本でやったら相当、迷惑じゃないですか。
ASH:いいところでもあるんだけどね、日本の。お互いに気を使うというか、“周りに迷惑掛けないようにしなさい”って日本人は育ってきたじゃん。日本は律儀な国なんだよね。
DURAN:だからどっちがいいってわけじゃないけど、国ごとに違いはあるなって。
ASH:それも分かる。アメリカとかでは音楽がごく当たり前に存在していて。どこで音楽やっても、いい演奏をしていたら「兄ちゃん、いいじゃん」みたいなノリもあって。でも、だからこそシビアだと思うんだよね。プロになるのはすごく大変だと思う。道端にいるアイツのほうが上手いぜ、と言われちゃうだろうし。
DURAN:そういうのはあるね。
ASH:日本は道端でやったら怒られちゃうような国だから、逆に音楽が特別視されるというか。そこが日本の強みかもしれないけど。
■大御所のステージに感服しながら

■いつも睨みつけてますけど──ASH DA HERO
──でも日本ではフェスが盛り上がってますよね。フェスの場では、その日を丸ごと楽しんじゃおうっていうオープンマインドなノリが強いと思うんですよ。
ASH:DURANもけっこう出ているよね?
DURAN:今年はそこまで多くなかったけど、去年はけっこう多かった。
ASH:確かにフェスではみんながオープンマインドで、音楽好きがたくさんいると思う。そこに出て知ってもらうというのは、すごく嬉しいことだし、いいチャンスだなとはいつも思ってますよ。
DURAN:フェスは自分のバンドで出るのと、サポートメンバーで出るのでは、感覚がちょっと違うかな。どっちで出ても、ケータリングで酒をいっぱい飲めるのは好きだけど(笑)。
ASH:あとフェスでは、観れるアーティストはなるべく全部観ようと思ってる。それは楽しむためというよりも研究するためですね。“こうやるといいんだ”とか、“この人達はさすがだな、ここがいいな”とか。それで自分になにが足りないのか。バリューのあるアーティストや人気あるバンドを、間近で観れるチャンスってなかなかないし。だからフェスに出るときは、その場にいるお客さんを思いっきり奪い取るという気持ちと同時に、他の人達と自分はどれぐらい差があるんだろうって、自分を計る場所にもなっているかな。フェスに出れば人気のある人達ばっかりだし、ASH DA HEROのことを知らない人のほうが多い。同じ出演者でも、僕のことを知らない人もいるわけでしょ。1回、バタバタしてる所でケーブルを渡されたことありますからね(笑)。
DURAN:スタッフだと思われて(笑)? それは、さすがにヘコむ(笑)。
ASH:「はーい、了解です」とその場では言ったけど(笑)。
──同世代のミュージシャン達で、フェスによく出ている人達というと?
ASH:けっこう同世代が多いですよ。それこそcoldrainとかSiMとは世代が近い。シシド・カフカちゃんもフェスによく出ているけど、年齢はわりと近いよね?
DURAN:近い。確かに同世代のミュージシャンとフェスで出会う機会も多いね。
ASH:ここ最近のフェスのメンツって、どう思う? 先輩方とか。
DURAN:やっぱりお客さんが観たいってのもあるから、だいたい同じようなメンツが揃うってのはしょうがないところはあると思う。
ASH:確かに。やっぱりすげぇカッコいいしね。とくに大御所の人達って、ライブを観ると感服するところある。でも感服しながら、いつも睨みつけてますけど。
DURAN:なんとかしなきゃって。
ASH:なんとかしないとなとは思うよね。要は日本のロックシーンの世代交代がうまくなされていないのかな。90年代からあまり変わってないような気がする。90年代にバーンと行った人達が、20年経った今もずっと上に居続けてくれるっていうか。ロックの流れが2000年代からちょっと変わったのもあると思う。商業思想なものとはちょっと外れて……。
──ライブやツアーを軸にした活動になりましたからね。
DURAN:だから分かりやすいのかなって。ミュージシャンだし、ステージで演奏してなんぼじゃないですか。
ASH:そういった点においてはフェスというのは貴重な場だと思う。要するにCDを売りさばくための場所ではなくて、純粋に演奏やステージの……良くも悪くも見本市みたいなものだから。ステージを観てもらって、コイツはヤベーとか、コイツはイマイチだなとか、ダイレクトに感じてもらう場所だっていう。
DURAN:手応えを感じるときもあるからね。一番分かりやすいのが、次にライブをやると、動員数が全然変わっていたとかさ。そのときが一番フェスの影響力を実感するけどね。
ASH:僕は今までいろいろ出させてもらったけど、個人的な手応えはまだって感じかな。ライブの時間は一気に熱が上がっているというのはダイレクトに感じているし、終わった直後は手応えあったかなと思う。でも、その後に他のアーティストのステージを観ると……。
DURAN:ああ、そういうことか。
ASH:うん。“まだまだ全然だな、もっとやらないと倒せないな”とか。“ここに集まっているこのお客さんは、今までどこにいたんだ”とか。“ああ、自分はまだ知られてないのか、悔しいな”って。
──観客側としては、知らなかったアーティストや観たことのなかったバンドと出会えるという良さが、フェスにはありますけどね。それもフェスの楽しみでもあって。
ASH:確かにそれはありますよね。現にフェスで出会ってくれた方も、ファンの中にはいっぱいいますからね。
■「THEギタリスト」というのが

■自分だと思っていて──DURAN
──悔しさを噛みしめることがASHには多いようですけど、確実にライブでノックアウトされた人間も客席の中にはいるはずですよ。
ASH:そうですね。あと先輩方が、下をフックアップしてくださるんで。だから、もっとかき回さなくちゃいけないなって気持ちは常にあるんです。
DURAN:確かに。まだ余裕を持たれているなって感じがするよね(笑)?
ASH:そう。“コイツは今のうちに潰さねえとな、山へ連れて行っちゃおうかな”と思わせるぐらいにならないとダメなんだろうなって常に思ってて。そう思われるぐらいイヤなヤツにならないとダメかな。
DURAN:ASHのそういうところにも俺、惚れちゃったんだよね。好きで憧れたロックバンドのヴォーカリストってこういう感じなんだよなって。バンドのボーカルってもっとムチャクチャだったはずなのに、今はいなくなっちゃったなと思って。そういう時代なんだろうけど、新しいヒーローがいなくなってしまったのかなって寂しさもずっとあって。そこへこの人が現われたから、“もう、これだよね、ロックのボーカリストはこうじゃないと”って。
ASH:ギラついていたり、熱かったり、下克上魂みたいなのは、時代的にあまり受け入れられにくいし。だから「古いよ」とか言われることもしばしばなんですよ。
──でもASHの場合、熱さを装ってるわけではないですからね。そのまんまがコレで。
ASH:そうなんすよ。もっとこうあるべきだって指摘されることもあるんですけど、「はい!」って従うくらいだったら、とっくに違う生き方してると思う。トレンドとか知ったこっちゃないしね、俺達はロックやってるんだし。だからうるさく言うヤツらを全員ニコニコさせるようなロックスターにならなきゃな、と思ってますけどね。
DURAN:あとASHの場合、品がないわけでもないからね。たまに品もない人もいるじゃないですか、それは違うなって。ASHはちゃんと自分を持っているし、言いたいことも歌いたいこともあるし、思いがちゃんと詰まってる。だから愛されるんだろうな。
ASH:この手からこぼれ落ちるものは多々あれど、手にできることもたくさんあるんだってことを、自分の歌とかASH DA HEROの物語で見せていきたいんだよね。すげぇ遠回りすると思われることも含めて、でも“愚直さってダサくないんだよ”ってやっていきたい。そういう姿勢もまたロックだと思うから貫いていきたいよ。ところでDURANはソロ・アーティストとしても活動を始めたけど、そのいきさつとか展望とかは?
DURAN:寂しがりやのところがあって、自分は(照笑)。
ASH:知ってるよ。
DURAN:それだから今までバンドもいろいろやってきたんだけどね。でも例えば、握った拳がちょっとでもこっちのほうが強いと相手を傷つけちゃうし、向こうが強いとこっちが痛いっていうことがあるじゃないですか。一瞬でも自分の熱量と違う瞬間が見えちゃうと、俺はどんどん冷めちゃうというか。常に同じ感覚でいたいんだよね。特にバンドってそう。だから俺はどのバンドもなかなかうまくいかなくて。
ASH:俺がバンドを諦めたのも同じ理由だよ。自分の熱量と合う人がいなかったんだよね、これは中島卓偉さんとの対談でも話したことだけど。
DURAN:だから周りのせいにもしてしまうことがあったし。だったら一人になってやったほうがいいなと思って。一人のほうがもっと分かりやすくできるなって。サポートギタリストとしていろんな人達とやらせてもらったりして、それをDURANという場にダイレクトに持ち帰れるし。あと最近、ギタリストとしての立ち位置をすごく考えるようになっていて、この言い方で伝わるか分からないけど、「THEギタリスト」というのが自分だと思っていて(笑)。「はい、これがギタリストです」という立ち位置が、周りにとっても分かりやすいだろうし、それが自分も得意というか。例えばマイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」でガンズのスラッシュがいきなり登場した瞬間、世界観が全部、変わっちゃうというか。ステージに出てきた瞬間、これこそがギタリストっていう。そういうスパイスでいたいというか。だから自分は扱いづらくていいっていう。
ASH:ギターヒーローだよ、やっぱり。正真正銘のギターヒーローに最も近いのはDURANだと思う。
DURAN:俺、昔のバンドではキツイときもあったんだよね。売れなきゃいけないって思いもプレッシャーもあって。それは今思えば理解もできるんだけど。でも、“ギターソロは弾かないでほしい”とか、“ギターの音量は下げてくれ”とか、“ギターはこれを使ってくれ”とか。それに対して俺は、全部反抗しちゃって(笑)。
ASH:全部に反抗(笑)、いいと思うよ。
DURAN:それでいろいろ揉めたんだけど、今はそれで良かったと思っていて。そこで抑えてしまったら終わってしまう、自分自身がね。“歌モノの曲でギターをこんなに弾いちゃってもいいんだ”とギターを始めようとしている人やギター弾いてる人に思ってもらえただけでも嬉しいし。“ここへ来たら、アイツのところへ行けば、ロックギターを超聴けるぜ”って存在でずっとい続けたい。
ASH:いや、そうだよね。地球が何周しようが、季節がどれだけ変わろうが、俺達はここにいますっていうね。
DURAN:そう、アイコンというかね。コカ・コーラは時代が変わってもロゴを変えないじゃん。
ASH:いつの時代もそこに存在しているものって全然色褪せないし。だからDURANは色褪せないギターをずっと弾き続ける。俺も色褪せない歌をずっと歌い続けていたい。
■俺のクソみたいな歌をオマエのギターで

■かき消してくれよって──ASH DA HERO
──近い将来、2人がステージで火花を散らす計画を立てたほうがいいと思いますよ。
ASH:「一緒にツアーをやりたいな」ってのは前から話していて。
DURAN:だからタイミングだよね。自分もソロになったし、ここからかなと思ってます。いろんなこともやりやすいし。
ASH:個人的にはDURANとユニットを組みたいぐらい、一緒に作品を作ってもおもしろそうだしね。それこそステージ上で火花散らすのもいい。たとえば、この場では仲いいけど、ステージ上でお互いに自分を主張しすぎてケンカになっちゃって、“オメーとはもうやんない”ってなってもおもしろいし(笑)。エアロスミススティーヴン・タイラーとジョー・ペリーなんて、どんだけケンカ別れしてんの?って感じだし(笑)。ボーカリストとギタリストはそれでいいと思うんで。
DURAN:そういう出来事の全てをちゃんと記事に書いてほしい、誰かに(笑)。そういう変な伝説を残したいね(笑)。
ASH:特にDURANと自分は、近いようだけど、異なる性質と色を持つフロントマンだから。DURANはサポート経験が豊かだから融合することもできると思うけど、もし僕のステージで融合しようと変に歩み寄ってきたら、その瞬間にクビを切るかな(笑)。“誰に遠慮してんだよ、ふざけんな、荷物をまとめてスタジオから出てけよ”って言ってしまうかな。“俺のクソみたいな歌を、オマエのギターでかき消してくれよ”って。DURANとやるんであれば、そういうギタリストでいてほしいし。
DURAN:俺、いろんなところでギター弾いてるけど、実は原曲に忠実には弾いてないことが多いよ。音も全然違ったり。でも最初から「自分はこれでやってるんで、ギターはこれしか使いません」と言ってるんだよね。例えばサポートだと、曲に対して決まった音を作ったりするでしょ。そういうのは全くしたことがない。それが許されてます(笑)。
ASH:いや、それでいいんだと思う、DURANは。
DURAN:そういたかったんで、そこは守っていこうと。辛いこともありますけどね。でも自分で選んだギタリストとしての在り方なんで。
──音楽に向かうとき、自分自身に嘘をつかないってことですか。
ASH:そうですね。お互いに根幹の部分は近いものがあると思うし。でもDURANは天才肌だと思う。俺はそうじゃない。積み上げの人間。だから、いかにして凡人が天才を打ち負かすかって。自分の中にある武器は、負けん気、気合い、根性。そういう古びた精神論をいつも磨いて、才能をジャイアント・キリングしていく感じ。ところがDURANはナチュラル・ボーンだと思うよ。
DURAN:そうなのか〜?
ASH:だってスゲーいいプレイするのに、Fのバレーコードを押さえられないんだから、DURANは(笑)。
DURAN:そうそう、バレーは押さえられない。親指を使ってFを弾くんだよ。
ASH:この前、それを知って驚愕したから(笑)。でもそれでいい。スラッシュがバレーコードで弾いてるとこ、あんまり見たことないし(笑)。ジミヘンだってコードフォームをしっかりやってるとこ見たことない。天才肌のギタリストはそれでいいんだと思う。
──ギタリストとして清春さんのアルバムにも参加したんですよね?
ASH:そうだよね、11月末にDURANのインスタを見て、清春さんのアルバムに参加したってことを知って。
DURAN:出会ったのは最近なんだけどね。sadsのYutaro(B)くんと昔から仲良くて、飲みに誘われて行ったら、そこに清春さんもいて。Yutaroクンが俺の動画をけっこう見せてたらしくて、今回声を掛けていただいたんだよね。そのアルバムのコンセプトが“カルメン”だから、俺はガットギターでスパニッシュみたいな曲も弾いたし、エレキでファンキーなのも。ちょっと大人っぽい感じになりそうかな。清春さんはギター録りに来てくれて、景色とか抽象的なイメージを伝えてくれながら、録りを進めていったんだよ。その場で思い浮かんだリフとかフレーズを弾いて、「このへんはいいリフだね」って感じで。ギター・ソロもその場で3テイクだけ。
ASH:インプロなんだね、いつものように。
DURAN:もちろんアレンジャーさんがちゃんとフレーズを作っていたんだけど、それをそのまま弾くなら誰でもいいでしょ。だからアレンジャーさんに自分のやり方を話して、「かなり変わっちゃうと思いますけど」って。そしたら「全然いいよ、それでいこう」って言ってくれたので。
ASH:それはかなりおもしろいね。清春さんの歌はもちろん、DURANのギターも聴きどころ。まず清春さんとDURANの融合がすごくおもしろいし、期待値も高い。清春さん自身もDURANのギターに対してはSNSで太鼓判を押してたからね。間違いないと思った。……ちょっと今度、ASH DA HEROもレコーディングに誘いますね(笑)。というか、レコーディングの日にその場のセッションで2人で作ればいいのか。お互いに歌うところも曲に盛り込んで。
DURAN:おっと、歌も2人で(笑)?
ASH:やろう、楽しみだね。
取材・文◎長谷川幸信
■<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2018 CONNECT X>


【ACT.5】2018年1月15日(月) Shibuya TSUTAYA O-WEST

ASH DA HERO × ZIGGY

【ACT.6】2018年2月15日(木) Shibuya TSUTAYA O-WEST

ASH DA HERO × AKi

【ACT.7】2018年3月15日(木) Shibuya TSUTAYA O-WEST

ASH DA HERO × ? ? ?

※OPEN 18:30 / START 19:00

▼チケット

オールスタンディング 4,500円(税込/D代別)

[【ACT.6】オフィシャルファンクラブCircle A先行受付]

受付期間:2017年12月13日(水)11:00~12月24日(日)23:59

■<ASH DA HERO 2nd Anniversary Live BABIES NIGHT 2017 powered by SKIYAKI TICKET>


2017年12月21日(木) 品川プリンスホテル クラブeX

OPEN 17:00 / START 18:00

▼チケット

全席指定(※ピックチャーム付き)

5,000yen (tax in/ +1D) 

■<rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18>


2017年12月28日(木) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

2017年12月29日(金) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

2017年12月30日(土) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

2017年12月31日(日) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

※ASH DA HEROの出演日は29日(金)となります。

■<DURAN Live Party "LAST HERO">


2018年1月22日(月) 代官山LOOP

OPEN19:00 START19:30

出演:ソロとしての活動を本格的にスタートさせたギタリストDURANが様々なゲストミュージシャンを迎えてのライブ開催

▼チケット

ADV¥3500 DOOR¥3700

http://duranguitar.com

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