いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「ルンペン節」

1931年発表
歌:徳山璉
作詞:柳水巴
作曲・編曲:松平信博

「ルンペン節」は、「♪スッカラカンの空財布 でもルンペンのんきだね」と繰り返される徳山璉(たまき)のコミック・ソング。徳山は、声楽家(バリトン)、流行歌手、俳優と、戦前から戦中に掛けてマルチに活躍。1931年に公開された「侍ニッポン」(日活)と同名の主題歌(作詞:西條八十 作曲:松平信博)がヒットして広く認識される。「ルンペン節」は、同年に公開された「ルンペン熊公」(帝国キネマ演芸)の主題歌である。

作詞家の柳水巴は西條八十の変名。戦前の日本ではクラシック音楽や洋楽が主流で、庶民の娯楽である流行歌の地位は低かったため、歌手や作家が変名を使うことも少なくなかった。作詞家・西條八十は、童話詩人でもあり、軍歌・戦時歌謡曲、校歌、社歌と、ジャンルを問わず多くの名曲を手掛けた。代表作は、「東京音頭」(1933年/歌:小唄勝太郎・三島一声 作曲:中山晋平)、「青い山脈」(1949年/歌:藤山一郎・奈良光枝 作曲:服部良一)、「王将」(1961年/歌:村田英雄 作曲:船山徹)など。

ルンペンとは、ドイツ語のLumpenで、布切れやボロ服を意味する。日本のメディアでは今、差別用語として放送禁止扱いとなっている。2007年に放送されたTBSラジオの番組『Taboo Songs〜封印歌謡大全』では、「金太の大冒険」(1975年、つボイノリオ)など放送禁止曲が多く紹介される中、「ルンペン節」はジングル(コーナーの切り替え時などに挿入する短い音楽)的に使われた。

解説・イラスト:はらめがね

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