【ライブレポート】MIYAVIのライブに
見た、人間性と生き様

とんでもない作品が完成してしまった。MIYAVIの対戦型コラボレーション・アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.2』を初めて聴いたとき、素直にそう思った。
EXILE SHOKICHI、KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)、シェネルSKY-HIちゃんみなHYDE、VERBAL(m-flo/PKCZ(R))、Masato(coldrain)、三浦大知、そして「雅-MIYAVI-」。この参加アーティストそれぞれの個性を巧みに表現した、10通りのコラボレーション(=対戦)曲のアレンジは見事としか言いようがなく、ゲストありと告知されていたアルバム発売ツアーへの期待は日に日に高まるばかりだった。
ツアーは11月30日愛知公演、12月2日大阪公演を経ていよいよ東京へ。12月7日東京・Zepp DiverCity(TOKYO)のステージはギターを持っていないMIYAVIが「Dancing With My Fingers-Remixx(Short)」にのせて颯爽と現れるという、斬新な演出からスタートを切った。完全ソールドアウトの会場に迎えられたMIYAVIは、ステージ中央で大きく手を広げて宙を見上げ、全身に照明を浴び煌々と輝いてその存在感を示す。今日のメンバーはBOBO(Dr)、DJ JOHNNY(DJ)、シンガーのSeann BoweとMeron Ryan。そのままMIYAVIがギターを持ち「Dancing With My Fingers」のフルバージョンを続け、冒頭から熱い盛り上がりを見せていく。
シークレットゲストとして登場したのは、Masato(coldrain)、ちゃんみな、SKI-HI、EXILE SHOKICHIの4人。コラボ曲の披露後にはそれぞれとのトークタイムが設けられ、コラボに至った経緯やエピソードなどが語られた(セッション中MIYAVIを後ろからハグして歌っていたMasato(coldrain)はすぐに去ってしまったが)。そのなかでも特に印象に残ったのは、MIYAVIが深々と頭を下げてゲストに「ありがとう」と伝えていたことだ。年齢やキャリアの差なんて関係無く、尊敬の心を持ち相手に接するというその人間性に感銘を受けた。
ゴリゴリのダンスミュージックを次々と繰り出してきたMIYAVIだが、アンコールではアコースティックギターに持ち替え、難民キャンプの現状を目にして作ったという「Long Nights -Acoustic Version」を披露。この曲は、住む場所を追われ知らない土地で生きていくひとりの少女の決意の歌で、MIYAVIの切ない歌声とギターの音色が会場を包みこむ。
「音楽やってるだけじゃ何も変えられないし、目の前に銃を持った人がいてもギターでみんなを守れないけど、先人のジョン・レノンやマイケル・ジャクソンが作ってきた音楽のように、僕の音楽を聴いてくれる人がたくさん増えたら、もしかしたら争いを止めるキッカケになるかもしれない」とMIYAVIは語った。
「MIYAVI vs 雅-MIYAVI-」とクレジットされた「Slap IT」(この日は「Strengthen G. Solo Part」として)には、「変わりたいのなら 今すぐ」「しのごの言わず やるだけやっとけ」という力強い言葉が並んでいる。これはまさに、自分自身と戦いながら目標に向け人生を懸けて突き進む、MIYAVIの生き様だろう。
「平和じゃない時代がきそうな今、僕たちが歌うべきこと、僕たちだからこそ歌えることをどんどん歌って、世界中に発信していきたいなと思っています」と改めて目標を掲げたMIYAVIは、春から7度目のワールドツアーへ旅立つという。ひとつずつ夢をカタチに変えていく彼の今後の活動には期待しかない。
取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)

撮影◎Yusuke Okada

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