【ライブレポート】あっこゴリラ、大
盛り上がりで完全燃焼したライブ@渋
谷WWW

あっこゴリラの2017年は、女性のみのMCバトル<CINDERELLA MC BATTLE>の優勝を皮切りに、夏フェス出演も含めた精力なライブ活動や複数のアーティストとコラボレートした音源の連続リリースなど、ジャンプアップという言葉が似つかわしい1年となった。今年に入ってからあっこゴリラを知り、彼女の発するパワーの虜になったリスナーは多いに違いない。2017年を全力で駆け抜けたあっこゴリラが、そんな1年の集大成ともいえるワンマンライブを12月2日に渋谷WWWで行なった。当日は多くのリスナーが集まり、彼女に対する期待の大きさを実感させる中でのライブとなった。
PARKGOLFのオープニングDJを引き継いで場内にオープニングSEが流れ、あっこゴリラがバックを務めるBANANA'Sのメンバー達と共に登場。客席が騒然となる中、あっこゴリラの「『ウルトラワンマン』へ、ようこそ! ここはジャングル! 野生に帰る準備は良いですか?」という声が響き、ライブは「Back to the Jungle」から始まった。グリーンのアオザイを身にまとい、ステージを行き来しながら弾力感のあるラップを聴かせるあっこゴリラは強い存在感に満ちている。彼女が放つ眩いオーラとアッパーなサウンドに客席のテンションは高まり、場内はオープニングから熱気に包まれた。
「Back to the Jungle」で作り上げた良い雰囲気を保ったまま、キャッチーなサビ・パートを配した「黄熱病」やトリップ感を纏ったサウンドと熱いラップの取り合わせを活かした「PETENSHI」、ゲストの食品まつりがクリエイトするオリエンタル&サイバーなバック・トラックとバスケットをテーマにした歌詞の取り合わせというユニークさが光る「電光石火」などを相次いでプレイ。BANANA'SのSP(g)とKAHADIO(ds)が「黄熱病」ではラッパーにチェンジし、さらに「PETENSHI」ではBANANA'S全員がVOXやダンスを務めるなど、曲によって演奏形態が変わることはあっこゴリラのライブの大きな魅力といえる。それぞれの楽曲のテイストを増幅して聴かせることで、ライブ全体が起伏に富んだ構成になっていることが印象的だった。
「あっこゴリラです! 人呼んで“GREEN QUEEN”です。よろしく!」という最初のMCを挟んだ後は、あっこゴリラがBANANA'Sと共に客席に降りて、ラップをしながら場内を1周するというパフォーマンスを見せた「シン・ゴリラ」や、あっこゴリラがオレンジのタンクトップにブラックのショートパンツという姿に衣裳を変えてフィジカルなステージングを展開した「遺書」などが演奏された。様々なアイディアでオーディエンスを楽しませ、場内のボルテージをどんどん引き上げていくあっこゴリラはさすがの一言。華やかさと硬派なイメージを併せ持ったキャラクターも本当に魅力的で、彼女の一挙手一投足にオーディエンスが強く惹き寄せられていることが如実に伝わってきた。
その後はストリングスをフィーチュアした洗練感のあるバック・トラックに乗せて、あっこゴリラがフリースタイルを披露。「自分を誇っていれば大丈夫だ!」というメッセージを熱く語るあっこゴリラの姿は説得力に溢れているし、強く訴えかける言葉が全身にビシビシと刺さってくる感覚も実に心地好い。冒頭に「自分の弱い部分も見せる」といって行われたフリースタイルだったが、人は弱さを知っているからこそ強くなれるということを、改めて感じずにいられなかった。
中盤では、彼女の実兄のことを歌った「お兄ちゃん」や生ドラムとベース、ギター、サックスが生み出すファンキーなサウンドが心地好い「TOKYO BANANA」、あっこゴリラが白装束姿で姿を現して、一休和尚のことをディスリまくる「ハゲ」などをプレイ。一種独特で、どこかシュールな味わいすらあるあっこゴリラの歌詞は本当に面白いし、滑舌が良いため歌詞を知らなくても何を歌っているのかが分かるのは彼女の大きな強みといえる。それぞれの曲調に合わせて細やかにラップのニュアンスを変える巧みさや群を抜いたリズム・センスの良さ、魅せ方の多彩さなども含めて、あっこゴリラの表現者としてのスキルの高さを十分に味わうことができた。
ライブ終盤では向井太一を迎えた「ゲリラ」と永原真夏、ヒロサワンダが加わった「ウルトラジェンダー」が畳みかけるように演奏された。ホットなサウンドとフィジカルなステージングの応酬にオーディエンスは熱いリアクションを見せ、場内は盛大な盛り上がりを見せる。さらに、「ウルトラジェンダー」のエンディングであっこゴリラはドラムセットに向かって、アップビートをパワフルにプレイ。客席からは大歓声が湧き上がり、完全燃焼したライブならではの爽快な余韻を残してあっこゴリラとBANANA'Sはステージから去っていった。
『ウルトラワンマン』と銘打った今回のライブで、観応えのあるライブを披露してみせたあっこゴリラ。エンターテイメント性に富んだステージは観飽きることがなかったし、ポップな在り方が功を奏して、ヒップホップやラップに親しみのないリスナーにもアピールするライブになっていることも印象的だった。あっこゴリラの本当の魅力はライブを観ないと分からないので、少しでも彼女に興味を抱いている人にはライブに触れることをお薦めしたい。最良の形で2017年を締め括っただけに、2018年の彼女の活躍にも大いに期待したい。
取材・文●村上孝之

リリース情報


2nd EP 「GREEN QUEEN」

発売日:2017/11/8(水)

価格:\1,500 +tax

品番:TDPCD012

レーベル:2.5D PRODUCTION

<収録曲>

1. 黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS

2. ゲリラ × 向井太一[Track by PARKGOLF]

3. PETENSHI × ITSUKA (Charisma.com)[Track by OMSB]

4. 電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman

5. ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]

6. GREEN QUEEN × PARKGOLF

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