健太郎インタビュー 伝説の福岡・暴
走族総長となった2週間の日々「誰に
でも勝てる感じはしていた」

いわゆる王道イケメンから三枚目寄りの個性的な風貌まで、柔軟に演じてきた健太郎が、映画『デメキン』で福岡最大勢力の暴走族総長となるべく死力を尽くし、これ以上ないほど最高の初主演を飾った。バッドボーイズ・佐田正樹による自伝的小説の映像化にあたって、健太郎は“もうひとりの佐田正樹”になるべく、歩き方、言葉使いという外見の構築はもちろん、何よりもあふれ出そうな気合いを胸に、果敢に臨んだ。燃えさかるような赤髪で、顔面から血を垂れ流しながら叫ぶさまは「格好いい」という正当な枠から大幅にはみ出る衝動的ないでたちで、「男が男に惚れる」瞬間というものを目撃できる。袖振り合うも他生の縁とはいうが、拳を交えれば翌日からは親友、といったような、荒々しいティーンエージャーの躍動と仲間との絆が眩しい本作。撮影当時、10代最後の時間を過ごした健太郎が、そのフィナーレを飾るにふさわしい想いが詰まった運命の一作について語った。
初主演の総長役は「本当に、本当にずっと楽しかったんです」
健太郎 撮影=鈴木久美子
――映画初主演、おめでとうございます。
ありがとうございます!
――これまでの作品とは違った感慨をお持ちなんでしょうか?
そうですね。『デメキン』では初めて主演という形で関わらせて頂いたので、今までとは少し違った感情がありました。最初、主演としてどうやって周りを引っ張っていくのかもわからなかったですし、「どうしたら自分が今まで見てきた主役の皆さんたちのようにやれるんだろう?」と思ったんです。結論として今回は、とにかく誰よりもこの作品を楽しめば、おのずと皆を引っ張れる形になるんじゃないかな、というのがありました。佐田さんがとにかく楽しそうに当時を語ってくださるので、僕も楽しさはださなければと思い、楽しむことに対しての気合いだけは、相当入れていたんです。楽しんで2週間を走り抜けようと。
――原作の映像化にあたり、あえてやったことや、意識してやらなかったことはありましたか?
原作ものだからという意識で「ここはこうしよう」というのは、あまりなかったです。ですが、一般の漫画原作ものとは違い、実在の人物がいる作品なので、佐田さんや仲間たちの人生は大切にしたいと思ったので、その象徴である楽しむことには一切手を抜かずに、ただただ正樹として突っ走りました。
健太郎 撮影=鈴木久美子
――突っ走る中でも、佐田さんからのアドバイスは結構あったんですよね?バイクの乗り方や描写には、かなりこだわりを感じました。
細かいことなのですが、バイクに長時間乗っていると手がしびれるので合間で手を振っているんです。そうすることで、よりリアルに見えたと思います。本当に佐田さんご自身がやっていたんだろうな、周りでもそういう人たちがいたんだろうな、と。佐田さんが思い出せる範囲で、リアルな部分がバイクのシーンにはいっぱい入っています。
――バイクの免許は元々お持ちで?
いえ、あれ、違うんです。軽トラックの後ろに乗って、バイクのハンドルだけを持ってやっているんです。実は荷台で……寒かったんですよね、あのとき(笑)。​
――撮影、2月でしたもんね。
はい。カラスマスクをしている「亜鳳(あほう)」(編注:劇中で正樹らが最初に結成するチーム)のときは問題なかったのですが、それ以外は口元を隠していないので、もう……たまらない!冷気が突き刺さる、みたいな(笑)。僕たちは乗って、こう(演技を)して、終われば控え室に戻れるのでいいですが、カメラマンさんや照明さん、音声さん、スタッフの皆さんはずっと荷台に乗って撮影をしていたので、本当に皆が凍えながらで。そういう意味でも、一体感がありますし、ものすごく印象に残っています。
――特に、厚成(山田裕貴)とのふたり乗りのバイクシーンは本作の「青春」というトーンを形作っているようで、非常に胸が熱くなります。
僕、大好きです、その場面。厚成とふたりでバイクに乗って「運転代われよ!」「俺が今日運転たい!」「お前、下手くそだから」という掛け合いがあって、「あそこの公園でタイマンだ!」「やるぞ!」「ワーー!!」みたいな。最後、叫んでいるだけなんですが、もう言葉にならないくらい……すごく好きです​。
健太郎 撮影=鈴木久美子

――健太郎さんが演じる佐田さんご本人が現場にいることは心強い一方、ある種ではプレッシャーになったりもしていましたか?
そこまで考えなかったかもしれません。確かに佐田さんはいらっしゃったのですが、自分のやっている「佐田正樹」は別。自分のやっている佐田正樹は佐田正樹だけど、佐田さんは佐田さん、という。ちょっと表現が難しいんですけれど、自分の中では同じ人なんですけど、何と言うか。​
――「佐田正樹」という人物が、それぞれで存在しているんですね。
佐田さんからも「別に俺が言うことはあまりない」「自由にやってね」とおっしゃっていただけたので、構えることもなく演じられたのかなと思っています。うん。楽しかったです。​
――「楽しい」というワードが今回、健太郎さんのキーになりそうですね。
本当に、本当にずっと楽しかったです。特に一番記憶に残っているのが、皆で厚成の家でワチャワチャしながらくだらないことを競い合ったり、ラーメン(の早食い)のところとかもそうですね(笑)。僕らがギャーギャーやっている中、アキ(今田美桜)が「うるさい!高菜チャーハンでええやろ」と言って皆で「はい!」という場面も、皆で考えてやったんですよ。バカみたいなことを本気でやっていたり、ふざけたりするシーンは、一番印象に残っています。
――そうしたシーンの間の取り方や突っ込む様子を見ていると、健太郎さんはコメディにも向いていそうだなと感じたんですが。
本当ですか(笑)?佐田さんに口移しで教えていただいたシーンもあります。集会や学校での大沼部くんとのシーンはまさに。また、意識まではしていなくても「面白い間はこんな感じかな?」というのは、自分の中でありました。僕、お笑いも好きなので、いろいろネタを見たりもしていて。それこそ、佐田さんのしゃべっているときの間の感じとかも見ていて、そこは寄せていきました。
撮影=鈴木久美子
激しいアクションは、「当たり合うからこそ、よりリアル」
健太郎 撮影=鈴木久美子
――本作では、かなり本格的なアクションにも挑戦されていますよね?
アクションシーンも、すごく練習させてもらいました。最初は結構下手だったんですよ。殴り方から教えてもらったのですが、ボクシングを習いに行った感じとちょっと似ていて、それのアクションバージョンというか、「アクションのときはこうするんだよ」と殴り方の基礎から習いました。だから、アクションは楽しかったし、気持ちよかったですね~。スパン!とはまったときは、何とも言えない感情になります。​
――実際、当てられたりも?
もちろんありました!「当てても全然いい」ということにしていて、「当てたら当てるからね、当てていいから!」と、お互いにやっていたんです。当たり合うからこそ、よりリアルで、反応もしやすかった。​
――実際、喧嘩が強くなった感も?
どうですかね(笑)?でも、やっているときは確かに、誰にでも勝てる感じはしました。「絶対、今、誰のパンチでもよけられるわ!」と思いながら、やっていました。
健太郎 撮影=鈴木久美子
――KIFF(京都国際映画祭2017)上映の際、舞台挨拶にて山口監督が「強いて言うなら、目がいい」と健太郎さんのことを評していました。いろいろな彩りを見せてくれた、健太郎さんの魅力的な「目」の演技についてもお話を聞きたいです。
もう『デメキン』という題名ということもあって、目の芝居に対しての意識は、すごくしていました。「このデメキン!」と言われたときの正樹、「誰がデメキンじゃ」と言っているけれど、「確かにデメキンだな……」という感じは(笑)。​
――(笑)
その(目をひん剥くような)感じは出したいと思っていたんです。正樹は三枚目で厚成は二枚目だし、そこはいかにデメキンに寄せられるかな、と思って意識をして演じていました。​
――そういう意味で言えば、健太郎さんは元々二枚目ですし、さらには平成生まれ。普段、昭和っぽさやヤンチャ要素のイメージがないのに、作品になるとこれだけハマるのは、どうしてだと思います?
僕、昭和の世界観にすごく憧れがあったんです。自分が小さい頃も、昭和の人たちに囲まれていましたし。大人の中で育つ環境だったので、例えば、母親にごはんに連れて行かれたら、母の仕事の人たちが周りにいることも多くて。昭和の匂いというものが、平成生まれながらに、わかる部分がありました。だからか…、作品でも自分で役をやっていて、全く違和感がなかったんですよね。「何だろう?」と思うこともなく、スッと入っていけました。
健太郎 撮影=鈴木久美子
――健太郎さんと同世代の観客は、この作品を同じように受け止めると思いますか?
僕は古風な考えを持っていたりもするので、皆さんはどうなんだろうなあ!?願望としては、『デメキン』を観て、仲間と一緒に何かをやることのよさや魅力を受け取ってもらえたらすごくうれしいです。それに、そう思えるんじゃないかなとも思うんです。友情や恋人との愛とか、仲間を思う気持ちや、仲間に何かあったから、ということが原動力で動くとか、そんな魅力がすごく詰まっています。だから、同世代でもそうじゃなくても、観ていただければ伝わるんじゃないかな、と思います。うん。できれば伝わってほしいです。​
――いわば、憧れの世界のひとつでもあると思いますし。
そうですね!
――今、穏やかな佐田さんを見ていると、「本当にこんな感じだったのか?」と度肝を抜かれるところもありますよね。
そこがすごく佐田さんの魅力で、決していわゆる絵に描いた暴走族の総長=怖い人、という方ではないんですよね。とても明るい方ですし、お母さんともすごく仲がよいみたいで、当時、特攻服をアイロンがけしてくれていたくらいですからね(笑)!「喧嘩が好き」とかのオラオラした感じではなくて、自分が好きなこと、楽しいと思うことをやっているというか。佐田さんがおっしゃっていたんですが、「暴走族部」という部活のような感覚でやっていたというのが、すごく魅力的だなと僕は思います。「暴力をふるいたい」という悪い方向なのは、蝉魔竜(編注:劇中で福岡連合と敵対するチーム)のほうだと思うんです。とはいえ、自分も反抗期のような時期もあったので、何に関しても反抗してしまう蝉魔竜側の気持ちもわかるんですが…。ただ、佐田さんの福岡連合に関しては、そういうことはなくて。ただただ自分の思いを貫くために喧嘩をするし、喧嘩が終わったら後腐れナシで仲良くするというのが、すごくいいと思っています。
健太郎 撮影=鈴木久美子
映画『デメキン』は12月2日(土)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー。
インタビュー・文=赤山恭子 撮影=鈴木久美子
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作品情報

映画『デメキン』

(2017/日本/115分)
出演:健太郎 山田裕貴 栁俊太郎 今田美桜 髙橋里恩 田中偉登 福山翔大 三村和敬 藤木修 岩永ジョーイ 神永圭佑 成田瑛基 笠松将 黒石高大 くっきー(野性爆弾)ケン(水玉れっぷう隊)坂田聡
原作:佐田正樹『デメキン』
監督:山口義高
脚本:足立紳
音楽:海田庄吾
主題歌:LEGO BIG MORL『一秒のあいだ』(OORONG MANAGEMENT / SNOW WHITE MUSIC)
製作:東映ビデオ、AMGエンタテインメント
製作プロダクション:ステアウェイ
配給:AMGエンタテインメント
『デメキン』公式サイト:http://demekin-movie.com/
(c)よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ (c)2017 映画『デメキン』製作委員会

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