話題の超絶歌ウマ美女擁するHONEBON
Eの竹原ピストル×あいみょん×綾小
路きみまろと称される理由に迫る

アーティストプロフィールには「竹原ピストルあいみょん綾小路きみまろ✕超絶歌ウマ美女=HONEBONE」と書かれている。第一印象はよくわからない。でもその音楽を聴いて、ライブを体験すると「なるほど!」と大納得してしまうキャッチコピーだ。そんな、EMILY(Vo)、Kawaguchi(G)の注目フォークユニット・HONEBONEの4thアルバム『静かにしろ』が11月15日に発売され、話題を集めている。EMILYが書くダークでユーモラス、赤裸々な歌詞と、様々な音楽性を経由しここに辿り着いたネオフォークとでもいうべきアコースティックなサウンドが、ジワジワ広がってきている。SPICEでも大評判の映画コラムも執筆してくれているEMILYと相方のKawaguchiに話を聞いた。
HONEBONE
――もうお2人はタッグを組んで長いんですよね?
EMILY:そうですね、ダラダラと。
Kawaguchi:最初はバンドでやっていて、その頃から合わせるともう11年くらい一緒にやっています。
EMILY:でもむだな期間しかなかったですね(笑)。
Kawaguchi:8年くらいはむだなことをやっていたような…(笑)。
――お互いのどこが自分にフィットしていて、ここまで続いているのでしょうか?
EMILY:私は彼がやっていたバンドに誘われて、でも当時は音楽もよくわからないというか興味もなくて、でもやる事になってしまって。そのバンドが最初からコピーではなくオリジナル曲をやると聞いて、彼が曲を作っていたのですが、それが神すぎて(笑)。私はその時15歳だったので、とにかく曲が書ける事がすごいと思ってしまい、彼の事を天才だと思っていた時期が結構長くて(笑)。そうこうしているうちにバンドが解散してしまい、残ったのは二人で、私は一人でやっていく自信もなかったので、2012年に二人組としてやっていく事に決めました。
――その時は自分で曲を書いてみようとは思わなかったんですか?
EMILY:ずっと後になってからですね。1stアルバムは彼がほぼ書いて、でも誰からの反応も、売れることもなく…(笑)。
Kawaguchi:売れると思ったのに。
EMILY:いやいや、思わない(笑)。
――もちろん売れると思って作りましたよね?。
EMILY:そっか、君はそうだよね、売れると思って作ったんだよね?1stを出した後、周りの人に自分で書いたら?って言われて。2ndアルバムを作るタイミングから拙いギターを弾きながら歌詞を書いてみたら「これでいいじゃん」と言われて。そのアルバムがちょっと反応があって、というのが曲を書くきっかけきです。
――結構時間がかかりましたね。
EMILY:かなり。天然過ぎて、曲を書くという事にずっと気がつかなかったんです。天下取ってやろうとかも全くなくて。
――ガツガツしてなかったんですね。
EMILY:ダラダラしていました(笑)。当時、誰も何も言ってくれなかったし、自信もなかったのと、彼がいてくれてやっと見せ物として成立していると思っていたし。二人でライブをやっている時はとにかく楽しくて。あるレコード会社から声がかかって、デビューに際して「Kawaguchi君って必要なの?」って言われた時も、私は天然かつ、若かったので「バカにしないでください!」とか言って部屋から出ていって。でも5年後くらいに「しくじった~」と思いました(笑)。
Kawaguchi:あれは最大のミスだね(笑)。
EMILY:汚点だね。恥ずかしいね(笑)。「Kawaguchi君抜きで、全員プロのおじさんたちとどうかな?」って言われて、「怖いです」って断ったんです。でも、今考えたらむちゃくちゃいい話ですよね(笑)。
Kawaguchi:最高だよね。僕もそうすると思います(笑)。
HONEBONE
――(笑)。Kawaguchiさんは、EMILYさんのどこが一番魅力的だと思いますか?
Kawaguchi:人間として対極にいる人で、陽の当たるところにいる感じがします。でもやっぱり面白いんですよね。お互いが持っていない部分を埋め合っているというか、バランスが取れていると思う。音楽というより、僕も彼女とやるライブが楽しくて、面白いものを人に観せたいと思った時に、ここに最高のキャラクターがいるし、彼女を使ってできることの幅って広いだろうなって思わせてくれます。そういう意味でパートナーとしてしっくりくるという部分が8割、あとの2割は惰性ですかね(笑)。ここまで来たら、というのはありますよね。
EMILY:ここまできてもう音楽を辞めようという選択肢はないですね。
――最初の頃のオリジナルはどんな感じの音楽だったんですか?
Kawaguchi:最初はビジュアル系バンドの音や、リンプ・ビズキットなどのヘビーロックが好きだったので、影響されていました。
EMILY:それを歌っていたら喉が潰れました。とにかく音が大きくてうるさかった(笑)。
Kawaguchi:バンドが全員初心者だから、音量をマックスで出すんですよ。だからこの人も喉を潰しちゃって。
EMILY:全然楽しくなかったです。あと、この音楽を聴いて誰が喜ぶんだろうってずっと思っていたので、だからふざけるしかないかなと。それでライブで変顔をやったり、ふざけて歌ったらウケて、それが生き甲斐でした(笑)。
――でもそこから行き着いたのが、やっぱりEMILYさんの声を最大限に伝えるという今のスタイルということですか?
EMILY:もうバンドは向いていないし、たぶんできないと思って今に至る感じです。そんな中、竹原ピストルさんと対バンライブをやる機会があって、これはアリだ、このスタイル超カッコいいと思って。道を示された気がしました。アコースティックギター1本でお客さんを満足させられるのか考えましたが、彼を観た時にそんな邪念は私たちが考えることではないというか、全然それでも成り立っている人がいるなら、言い訳しないでとりあえずこのスタイルでライブをやろうという感じでした。
――EMILYさんが『ザ・カラオケ★バトル』(テレビ東京系)に出演して注目を集めるようになる中、今回のアルバム『静かにしろ』はどんなアルバムにしようと思ったのでしょうか?
EMILY:私が仲良くしてもらっている青山テルマさんやタレントさんが、SNSで私のことを紹介してくれた事で、興味を持ってくれた方が増えた事は実感していて。そういう方たちが好きそうなのもの、ウケそうなものを狙って書こうと思ったら、書けませんでした。書いたものに対してスタッフから、「生温い」と言われたりして、確かに何を意識したんだと。私達はそんなにユーザーの事まで考えて曲なんて書けないと思って、結局書きたいことを書きました。
――書きたいことを書きすぎてますよね(笑)。
EMILY:そうですね、だから今回アルバムの中ではずっと機嫌悪いんですよ(笑)。イライラしていた事が、歌詞、曲に出ちゃったんですけどっていう感じですね。
――リアルで生々しい感じ。
EMILY:カッコいい言い方するとそうですけどね。ぶっきらぼうというか。
Kawaguchi:彼女は2年位前曲を書き始めた時に、日記を元にしていて、僕がその日記を見せてもらった時に、読み物としてむちゃくちゃ面白くて。
EMILY:20冊くらいあるんです、デスノートみたいなやつが(笑)。
Kawaguchi:中学生くらいからずっと書いているやつがあって、これを歌詞にしなよという感じで、書き始めてくれました。
HONEBONE
――その日記、そんなにすごい内容なんですか?
EMILY:そうですね、人に見せられる内容じゃないです(笑)。怒か哀哀哀哀哀死みたいな感じ。それで、詞を書きなよって言われた時に、何を書けばいいかわからないけど、こういう日記書いているんだけどって、彼に見せたのがきっかけですね。
Kawaguchi:今回の歌詞もまさに日記ですよね。
EMILY:でもまだ売れていないのに、私の日記を見せられるユーザーがかわいそうというか、私には何かを示してあげることができないんです。人様にこれを伝えたいとかそういう強い気持ちがなくて、でも日記を元に詞を書いたら「共感できる」という声をたくさんいただいて、私にはこのスタイルしかないと思いながら書いています。
Kawaguchi:それに気づいたのがここ1年くらいです。
EMILY:こういうのがみんな好きなんだろって思って書くと反応がなくて、じゃあわかった、私はそういうをうまくできないから、あいつムカつくわーって思って書いたら、それがウケたという感じです。
――今回のアルバムの曲の歌詞は、以前に書き綴っていたものですか?それとも最近思っている事を書いた感じですか?
EMILY:そうですね、完全に今思っている事ですね。
Kwaguchi:全部この半年くらいの間に作った曲です。歌詞も結構共同作業の部分が多くて、二人で揉んで作り上げていきます。
――「酔いどれ数え唄」は面白いですよね。
Kawaguchi:これは彼女が書いた曲ですが、作ってきた時はまだ全然お酒が飲めない人だったんです(笑)。
――酒豪のイメージが(笑)。
Kawaguhi:そうですよね、だから「嘘じゃん、飲まないじゃん」って思っていたら、この制作中にむちゃくちゃ飲むようになっちゃって(笑)。
EMILY:曲に引きずられるように飲むようになって、今はもう毎日飲んでます。すぐ高円寺の大衆居酒屋に行きたくなっちゃう(笑)。
HONEBONE
――今も出ましたが、HONEBONEの曲は嘘がない、リアルすぎるところが最大の武器だと思いますが、二人は自分たちの強みはどこだと分析していますか?
EMILY:今回アルバムから「冷たい人間」のMVを先行公開したのですが、そのコメントに「自分で認めたくなかったグレーな部分を、表に出してくれた」という事が書いてあって。あるよね、でも認めたくない、そんな汚い部分を私は代わりに歌いますという気持ちです。私は捻くれているし、腹も黒いので(笑)、代弁する事ができると思っていて。いつも人の不幸を願っているので(笑)。
――人の不幸は蜜の味、です。
EMILY:私は中学生の時ガッツリいじめられたので、ちょっと捻くれた人間になってしまいましたが(笑)、自分では気づいていないかもしれないけど、みんなだって人の悪口を言っている時は、快感って顔してますよ(笑)。それを認められない人は、私の歌詞なんてウザいって感じだと思いますけど、聴いてもらって、少しでも「ちょっと今痛いとこ突かれたな」って感じる人たちに向けて歌います。
――誰もが感じている、持っている闇を、表に曝け出す、まさに代弁者という佇まいです。
EMILY:そうなれたらいいなと思いますけど、やらない方がいいというかできない事は、恐怖すぎて、全く共感してもらえない歌は歌えない。殺すとか、そういう言葉って刺激的かもしれないけど、私はさすがにそこまではダークなところに足を突っ込めないし、みんなを連れて行くこともできない。なので、こんなこと実はあるよね、というテンションを保っていたいと思います。たまに暴走してしまう事もありますが(笑)。でもまだみんなが「わかる」部分を見つけてくれるので、それ位の暗さという感じです。
――HONEBONEのライブが話題になっていますが、パッケージとライブは別物と考えていますか?
Kwaguchi:別物ですね。
――CDの再現性にこだわったりもしない?
Kawaguchi:ギリギリのところを攻めるのは難しいんですよね。あまりにも再現できないものだとやっぱりアルバムを聴いてライブに来てくれた人が、あれ?ってなると思うんですよ。
EMILY:私はライブの構成や演出に関しては、Kawaguchiさんに丸投げしていて、これは多分なんですが、ステージでは彼はほとんどしゃべらないので、私に色々なことをさせて、それがウケているのを見て楽しんでいるんだと思う(笑)。たまにわざとスベらせようとする時があるんです。打合わせで、これ絶対ウケないでしょみたいなのを、「俺は面白いと思うからやって」って。やったら本当にウケなくて、彼の方を向いたらクククッて笑ってて(笑)。
Kawaguchi:その時に僕は、このユニットやってて良かったなって思うんですよね(笑)。
EMILY:私達は歌よりMCの練習の方が長いです(笑)。そのためにスタジオに入るし、MCに割いてる時間の方が長いですよ。
Kawaguchi:台本があった上で、ちょっと暴走するというか、ノってくるとそこからはみ出すところが面白いというか。
――EMILYさんは人気番組『THEカラオケ★バトル』に出演し、その歌唱力が注目を集めましたが、あの番組に出た事は歌い手としてはいい経験になったのでしょうか?
EMILY:そうですね。でもあの番組に出てから、周りから悪い意味で“ピッチモンスター”って呼ばれていて、あの番組って、全部音程バーが画面に出てきて、ずれているかずれていないかを見られるんです。だから何を歌っても私の頭の中では全部バーが出てきて。自分達の歌を歌っている時もそうで、“味”よりも音程優先になってしまっていて、それがレコーディングでは本当に邪魔でした。前作『船出』を出した時、運転中に聴いていたら眠くなると色々な人から言われて、それは癒されるという意味の、ホメ言葉だったのかもしれませんが、多分ピッチが全然ズレていないので、飽きてくるからだと思います。私も聴いてたら眠くなりました(笑)。
Kawaguchi:俺もそう思いました(笑)。
EMILY:だから今回はちょっと緩めに、ピッチもあんまり気にせず歌いました。
――じゃあ今はそことの戦いになっているんですね。
EMILY:私の中では味を出す戦いって感じ。
Kawaguchi:今回はボーカルディレクションの方を入れて、そこにこだわりました。これいいんだけど、ピッチが合っていないからどうなんだろうと思っても、それが味だよってディレクターの方に言われたらOK!という感じでした。
HONEBONE
――先ほど出ましたが、ライブではMCで笑わせ、歌でビシッと決めて感動させる、そのメリハリがクセになるんでしょうね。
EMILY:私は自分の事をミュージシャンと思っていなくて、おこがましくて思えなくて。恥ずかしいというか、しいて言うと「バンドマン」だと思っていて。私達二人ともお笑いが好きすぎて、お笑いの舞台ばかり観に行って、お笑いのことについて毎日ずっと話してるんです(笑)。それありきのライブなんですが、でも書く曲はマジメなので、そのバランスをうまくとれたらいいねという感じでやっています。
――今日は面白すぎて、お酒飲みながらインタビューしたかったです(笑)。
EMILY:飲んだらミュージシャンっぽい時あるよね(笑)。
Kawaguchi:熱い時がありますね(笑)。
EMILY:でっけえとこでやりたいわとか、普段言わないぶんお酒の席で出ちゃう(笑)。
――その会話を全文掲載したら面白いでしょうね。
EMILY:出せないですよ、悪口ばっかりで(笑)。
取材・文=田中久勝  撮影=菊池貴裕
イベント情報
『静かにしろ』リリースワンマンツアー(名古屋)
2018年1月21日(日)
名古屋 SUNSET BLUE
開場16:30 開演17:30
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『静かにしろ』リリースワンマンツアー(大阪)
2018/01/26(金)
南堀江knave
開場19:00 開演20:00

『静かにしろ』リリースワンマンツアーファイナル
2018/01/28(日)
渋谷 TAKE OFF7
開場17:00 開演18:00

チケット3,000円+ドリンク別途(前売特典ステッカープレゼント※当日入場時渡し)
<チケット> イープラス 限定販売 11月18日(土)~ 24日(金)
プレオーダー受付 12月2日(土)~一般販売
3000円+ドリンク別途 (前売特典ステッカープレゼント※当日入場時渡し)
リリース情報
4th Album『静かにしろ』
2017.11.15(水) on sale

HONEBONE『静かにしろ』
【収録曲】
01 冷たい人間
02 静かにしろ
03 なあ、ちょいと
04 スマイル
05 モンキー
06 酔いどれ数え唄
07 おごってくれよ
08 悪魔

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