[第35回]宮澤佐江「この作品で、私の
将来は決まるかな」ユーミン×帝劇『
朝陽の中で微笑んで』に臨む覚悟

2017年の最後に臨む舞台は、ユーミン×帝劇vol.3『朝陽の中で微笑んで』。「お芝居」だけで挑む大舞台。未来の自分を決める、大切な作品への覚悟を話してくれました。

ーーさあ、佐江ちゃん! 今回もよろしくお願いします。
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はい! よろしくお願いします。
ーー今回は、11/27(月)に、東京・帝国劇場で初日を迎える舞台、ユーミン×帝劇vol.3『朝陽の中で微笑んで』について、たっぷりお聞きしていこうと思っています。
ありがとうございます!
ーー今回の舞台に、ヒロインの紗良役で出演する佐江ちゃん。現在は、お稽古の真っ最中とのことですね。お稽古前には台詞の多さなど、少々不安な気持ちものぞかせていましたが、実際にはいかがですか? (第33回)
台詞はやっと全部、頭の中に入りました。(編集部註:取材日は11/1)
今回は、今まで経験した舞台のなかで、一番台詞が多いと思います。今はまだ、「こういう意味のことを言う」っていう感じで覚えているので、あとは語尾を微調整していきます。
松任谷正隆さんが書いて下さった台本どおりに、例えば、「…だよ」で覚えている語尾を、台本どおりの「…のよ」に戻していくという感じです。
ーー脚本は、松任谷正隆さんがキャストの方それぞれをイメージして、「あて書き」されたのだそうですね。
はい、そうなんです。
ーー「紗良」の台詞を見てどうでしたか?
オーディションのときに、正隆さんはまだ結末を考えていらっしゃる途中で、
「結末は、どうしたらいいかな? 」
というようなことを聞かれたんです。それで、即興のお芝居をその場でやらせていただいて。そのときのお芝居と実際の結末が、どう変わっているかは観ていただいてからのお楽しみなんですが…、
そのオーディションで「こういうふうにやってほしい」と、言われた紗良のイメージ像や骨組みは、今も変わっていません。
でも、私が紗良を演じることになったから、こういう紗良のイメージで、この結末ができたのかなって思いたいというか。実際のところはわからないんですが、そう思いたいって、強く思ってます。
ーーそう聞くと、紗良のイメージも結末も、ますます気になりますね。
ありがとうございます。
皆の涙と鼻水はもちろん、身体中の水分を全部しぼり取れるくらいのシーンを作れるように、今、がんばってます。
ーー楽しみですね。連日のお稽古はいかがですか?
自分自身に驚き
周りは、大御所の役者さんばかりですが、そのなかでも「あれをやってみよう」とか、「ここをこうしてみよう」とか、チャレンジ精神をもって稽古に臨めています。
毎日、勉強になることが本当にいっぱいあるし、何よりも、のびのびとお稽古できていて。そんな自分自身に驚いています。
いい意味で失敗もしちゃうし、「恥をかいてもいい」と思えているんです。
ーー以前の佐江ちゃんは、「かっこ悪いところは人に見せたくない」という感じでしたよね。
そうなんです。
こんなにも早く稽古場に慣れることができたのは、『朝陽の中で微笑んで』の現場が、すごくいい現場だからというのもあると思います。
もちろん慣れたらいつも、すごく楽しいんだけど、普通だったら新しい作品の稽古場に慣れるまで、すごく時間がかかってしまうから。
あと、やっぱり『TOKYO TRIBE』の現場を経験したことが、自分の大きな変化につながったと思っています。「自分がプラスの方向に変わった」と思えるところがたくさんあるんです。
『TOKYO TRIBE』の舞台を経験するまでは、自分には自信をもてるものがひとつもなかった。芝居も、歌も、役者としても…。
お芝居で評価されなきゃ
でも『TOKYO TRIBE』では、ラップやダンス、歌がすごい人たちがいた分、
“私がお芝居をがんばらなきゃ”
“自分はお芝居で評価されなきゃいけないんだ”
って、強く思ったんです。もちろん、皆、お芝居が上手だった。だけど、皆のなかで私がほめられるところといえば、ラップでも、ダンスでも、歌でもない。「芝居」しかないと思ったから。
まだ人に教えられる立場じゃないのはわかっているけど、「ここはこうしてみたら?」とか、自分の案を言ってみたりしたこともありました。お互いに気持ちよくステージに立ちたいっていう思いが一番にあったから。
もちろん、舞台は演出家さんに言われたことをやっていくのだけど、自分の案が、そのまま舞台に生かされることもあって。
そういう経験は、卒業コンサートを作ったときと一緒で、「達成感」と「やりがい」をすごく感じることができたんです。今は、その「達成感」と「やりがい」をもったまま『朝陽の中で微笑んで』のお稽古に臨めています。
『TOKYO TRIBE』で、芝居に力を入れて、その姿勢で筋を通したからこそ、『朝陽の中で微笑んで』のお芝居につなげられたと思っています。
12月に、今回の公演が終わった後も、きっとまた違う「達成感」をもてる予感がしています。
ーー12/20(水)が千秋楽ですから、約1カ月間、2017年の最後を飾る舞台となりますね。
そうですね。全部で24公演あります。
ーー公演場所は帝国劇場で、佐江ちゃんが帝劇の舞台に立つのは、『王家の紋章』の初演(2016年8月)、再演(2017年4、5月)に続き、今度が3度目となりますね。
いい意味の緊張感
はい。前回から間を空けずに帝劇に立ててよかったと思っています。なぜかというと、「帝劇に立つ」と考えただけで、緊張感というかプレッシャーがすごいんです。
やっぱり帝劇は舞台の聖地だから。もし、前回の帝劇から1年以上時間が空いてしまったら、緊張感に慣れることばかりに気をとられてしまっていたかも…。
今のところはいい意味の緊張感をもってお稽古できています。(第29回)
と言いながら、実際に帝劇での舞台稽古になったらどうなるか…、それはまだわからないです(汗)
ーー3度目の帝劇でも、やはり特別な緊張感がありそうですね。。
帝劇の広さはなんとなく把握できていても、あの広さを芝居だけで観せるには、どう振舞ったらいいのか…。客席の一番後ろの人まで伝えるには、どうしたらいいのか。。
ーーなるほど。帝劇は2,000人近く観客が入る大劇場ですし、『王家の紋章』のときは「ミュージカル」でしたからね。
そうなんです。
ーー『朝陽の中で微笑んで』は、松任谷由実さんの歌と演劇の融合ですから、純粋にお芝居だけで帝劇の舞台に立つのは、佐江ちゃんにとって初めての経験ですね。
どこで見ても、心に響くものを
はい。
『王家の紋章』のときも、歌に自信があったわけでは全然ないんです。だけど、たとえ私の歌が下手でも、(シルヴェスター・)リーヴァイさんの楽曲と、オーケストラさんのメロディーだけで、観ている人に伝えることはできたけど。。
お芝居だけで帝劇の舞台に立つことは、「ユーミン×帝劇」でなければ、ほとんどできない経験だと思うんです。
ーーそうですね。今、帝劇ではミュージカル作品か、ショーやダンスといったエンタテインメント性の高い作品の上演が多いようですね。なので、役者さんがお芝居だけで帝劇の舞台に立つのは、とても特別なことと言えそうですね。
観に来て下さった方が、劇場のどこで観ていても、その方の心に響くものを届けられなきゃいけないんだって思っています。直球勝負というか。そういう気持ちでしっかりやりたいなと思います。
ーーさきほども佐江ちゃんが言っていたように、また違う「達成感」につながりそうですね。
そうですね。
紗良役のオーディションを受けていたのは、『王家の紋章』再演のとき。そのときは“もしかしたらまた、帝劇に戻って来られるかもしれない”っていう気持ちがありました。でも今回は、まったくそういうことはないので、
「帝国劇場さま、『王家の紋章』初演から約1年半、ありがとうございました。またいつか To be continued…」
の気持ちを込めて、舞台に立ちたいと思います。がんばります。
体調管理にも気をつけなきゃ! まずは、インフルエンザの注射を早く打ちに行かなくっちゃ!!
ーーそうですね。乾燥する時期ですから体調管理は万全に!
はい!
ーー次回「ミラチャイ」取材で佐江ちゃんにお会いするのは、『朝陽の中で微笑んで』の舞台の幕が上がってからになるのですね!
えーーーーっ!! そう聞くと結構、切実ですね。。
未だに台詞噛んじゃうんだけど。。 「編集部註:11/1現在」って、ちゃんと注意書きをしておいてくださいね(笑)。やばいよー、頭、ごちゃごちゃだよー。
ーー(笑)。今回の更新の数日後は、舞台の初日です。最後に改めて、ファンの方へメッセージをいただけますか?
はい。
たぶん、ですが…、(次の言葉を続けるか、どうするか。迷った後、意を決して話を始める佐江ちゃん)
分岐点
「この作品によって、私の将来は決まるんじゃないかな」という気がしています。
これまでとはちょっと違うかなと思っていて、自分の気持ちのうえで、この世界でお仕事を続けていくかどうかを決める、「分岐点」になる作品だと感じています。
自分もなるべく続けていきたいし、自信をもってステージや人前に立ちたいと思っていて、だからこそ、怖いけど、周りの人の評価をちゃんと受け止めたいと思っています。
自分の芝居はまだまだで、自信があるわけではないんです。ですが私は、ミュージカルの世界というより、「お芝居で生きていきたい」と思っています。
だから今回、お芝居だけで初めて帝劇の舞台に立たせていただけるのは、すごく嬉しいことであると同時に、勝負でもあると思っています。
今回の作品によって、少しでも自分に自信をもてるように変わるか、それとも、自分はもっともっと、がんばらなきゃいけないんだと思うのか。
そのどちらでもなく、もっと違う道で楽しいことを見つけようと思うのか。作品が終わった後、この「3つの選択肢」から、未来を選ぶことになると思っています。
ーー『朝陽の中で微笑んで』の製作発表のときは、「こんなにメディアが集まる製作発表は久々」と感じたほど、さまざまな方面の方々が、松任谷由実さんの舞台を注目されていますね。
3つの選択肢
カメラのフラッシュもすごかった。。
ーー今回の作品は、これまで佐江ちゃんが歩んできた道とは接点のなかった方々が、紗良役のお芝居を通して、佐江ちゃんを知る機会となるのでしょうね。
「この子がヒロインをやる意味がわかる」って、観ていただいた方に感じていただきたいです。
将来、「この作品は、宮澤佐江にやってもらいたい」と言っていただける作品と出会えるよう、腹をくくって、覚悟をして臨んでいます。
自分が「3つの選択肢」からどれを選ぶにしても、次のステップへ進むための大切な作品になると思うので、皆さんに観ていただけたら嬉しいです。
がんばります、私。やる、やるよーーーー!! クゥーーーッ!!(自分に言い聞かせるように、気合いを入れる佐江ちゃん)
ーー佐江ちゃんの思いが多くの人に届きますように。そして舞台のご成功を心から願っています。今回もたくさんのお話、ありがとうございました。次回もまたよろしくお願いします!
ありがとうございました! 今回の「ミラチャイ」更新の数日後に、舞台の初日を迎えています。寒い季節です。皆さん、体調に気をつけて、私も舞台をがんばりますね。次回の「ミラチャイ」で、また会いましょうね!
撮影:増田慶 スタイリング: 藤井エヴィヘア&メイク: 大場聡美
次回の更新は、12/8(金)予定です。

ウレぴあ総研

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