羊文学の歪みと美しさ。オルタナティ
ブに輝く邦ロック最前線
新世代のロック・バンドが聴かせる「ネ
オ邦ロック」
この映画では、ハイコンテクストな日本のアングラが絶妙に表現されています。が、それゆえ日本文化に明るくない外国人に「ほらよ」と聴かせた(あるいは見せた)ところで、感覚の違いが浮き彫りになるでしょう。つまり、邦ロックは良くも悪くも純粋に日本の音楽であった。
ところが、2016年あたりを境に邦ロックが海の外を向き始めたのです。かつての邦ロック的でありながら、その根底には明らかに「海の外」があります。例を挙げればCHAI、ニトロデイ、ドミコなど。カート・コバーンの死から20年が経過した今、90年代のオルタナティブ・ロックへの回答とでも言うべき現象が、日本の音楽シーンの最前線で起きています。
新世代邦ロックのトリックスター、羊文
学の登場
そして本稿の主役、羊文学。ベース、ギター&ヴォーカル、ドラムの3人からなるスリーピースです。彼女たちもまた、オルタナ・ロックの文脈上にいますね。粗い写真の質感も含めて、非常にオルタナティブ。先日ミーティアに送られてきたミックステープも参照しながら、彼らの音楽に迫ってみます。
ではここで、肝心な羊文学の音楽を一曲。最新アルバム『トンネルを抜けたら』から。
羊文学は上記3組に比べてかなりUKシューゲイザー的でもある。まぁそもそもシューゲイザーはオルタナ・ロックに内包される音楽ですから、羊文学の音楽がそれらしい要素を持っていても何ら不思議ではないでしょう。
実際、彼女たちが影響を受けたバンドとしてイギリスのレディングで結成されたチャプターハウスの名前を挙げています。
耽美的でサイケデリックな音像に、ノイジーなギターサウンド。良い意味で天邪鬼なプロダクションはまさしくトリックスター的です。チャプターハウスは90年代初頭にわずか2枚のアルバムしか出しておりませんが、それが時を超え、海を渡り、ここ日本で継承されるというのは実に興味深い。
羊文学的ネオ・邦ロック
そしてオルタナ・ロックとしても、邦ロック的世界観としても、『トンネルを抜けたら』の中で最も象徴的なのがアルバムの最後を飾る『Step』です。
この記事の冒頭で述べたクリープハイプ的内省が、リスナーに深い爪痕を残す。それはまるで、2010年代の日本映画のように。
・・・四の五の述べてきたわけですけれども、個人的に『トンネルを抜けたら』の中で一番好きな曲は『Blue.2』だったりします。
■レコ発ツーマンライブ羊文学presents「ぼくらのおんがく」
日程: 2017年12月2(土)
出演: 羊文学 / Tempalay
会場: 渋谷Star lounge
日程: 2017年12月9日(土)
出演: 羊文学 / 絶景クジラ
会場: 心斎橋CONPASS
<アーティスト公式サイト>
https://hitsujibungaku.jimdo.com/
羊文学の歪みと美しさ。オルタナティブに輝く邦ロック最前線はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
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ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。