堀込泰行『GOOD VIBRATIONS』インタビュー

堀込泰行『GOOD VIBRATIONS』インタビュー

2013年、堀込泰行がキリンジを脱退しソロ活動を始めてから、ライヴレポートはしてきたものの、インタビューは初めてだ。とはいえ気取ったり斜に構えることのない堀込の雰囲気は何ら変わることなく、1時間の取材時間はゆったりした空気でありながら、あっという間に過ぎていった。11月22日にEP『GOOD VIBRATIONS』をリリース。女優・のんが出演したLINEのCMソングで“エイリアンズ”が、キリンジファン、堀込ファン以外からも脚光を浴びたが、今作では様々なアーティストとコラボレーション。しかしその殆どが、堀込の音楽性や音楽的交友関係とは程遠いものだった。ライヴでは最近良く披露していた“エイリアンズ(Lovers Version)”や、UCC上島珈琲が運営するウェブマガジン「UCC DRIPAR」の企画で□□□(クチロロ)と制作した“バース・コーラス”を含め、どの曲も堀込らしさ、コラボアーティストらしさが見事に融合する魅力溢れた作品となっている。今回、コラボレーションEPをリリースするきっかけや制作について色々と伺ってみた。

ー 作品としては約一年ぶりですが、今回様々なアーティストとコラボレーションしようと思ったのは何故ですか?

もうちょっと色々な人に自分の音楽を聴いて欲しいと考えていたんですが、どうせやるならば自分と似たタイプの音楽性やアプローチをしている人より、自分とはちょっと毛色の違うアーティストとコラボした方が、作品として面白いものが出来るだろうと思ったんです。

ー 確かに、どのアーティストも意外性を感じました。

そうですよね。

ー ええ。でもそのどれもが素晴らしくて、自分としてはかなりお気に入りの一枚となりました!

ああ、嬉しいです。ありがとうございます。

ー 実際コラボしてみて、いかがでしたか?

最初は曲を渡して、コラボアーティストの方からアレンジされたものが返ってきてというくらいのシンプルなやりとりを予想していたんです。でも実際始まってみたら、思っていた以上に密なコミュニケーションをとることになって、良いコラボレーションが出来たと思っています。

ー ということは、最初に堀込さんが描いていたイメージとは違ってきた感じなんですね。

最初はリミックスを依頼するような感覚でやっていくんだろうというイメージでした。

ー 今回コラボしたアーティストさんは殆ど初顔合わせですか?

シャムキャッツtofubeatsくんはイベントで会った時にCDを渡してくれて、それをきっかけに知り合いにはなっていました。でも一緒に音を制作するのは初めてです。他のアーティストの方も初顔合わせでした。

ー ということは、□□□さんもデイリーウェブマガジンUCC DRIPARの時が初めてだったんですね。

そうですね。

ー “バース・コーラス”、本当に素敵な曲ですよね。すでに何度もリピートしています。

ありがとうございます。多分最初はお互い軽い気持ちで始めたコラボだった気がするんです。でもいざ始めたらとても良いものが出来たし、UCCのサイトでしか聴くことができなかったし、それならパッケージに収録させて欲しいと思ったんです。

ー この曲は□□□の三浦康嗣さんの歌詞が先に出来たとか。

はい。普段は曲から作るんですけどね。

ー 難しくはなかったですか?

キリンジ時代にも兄(堀込高樹)の書いた歌詞にメロディをつけることもあったので、それほど難しくはなかったです。ただメロディをつけていく上で、多少言葉が足りなくなるというか、メロディが余ってしまうことがあったので、そういった場合はその状態のデモテープを作って、言葉が足りない部分は「ラララ」で補ってくださいとお願いしながら仕上げていきました。この曲はムードがあるんですよね。あまり気張らずにメロディを作ったんですが、それが功を奏したというか。

ー そういえば堀込さんが曲を書く時は、曲作りモードに入って腰を据えるタイプですか?

「さあ曲書くぞ!」って書き始めるんだけど、一曲にずっと集中するというよりは色々なメロディの断片をメモしていって、そのメモの続きをまた次の日に作ってみたり、かつてメモしてあったメロディから「これ、この曲に使えるな」と思ったものを持ってきて、また新しいメロディと合わせてみたりという感じです。。だからひとつの着想からふたつの曲が出来ることもあるし、別々のイメージだったものが最終的にはひとつになったり。

ー D.A.N.とコラボの“EYE”を初めて聴いた時、恋をしたいという気持ちを「つまづくようにさりげなく」「穴に落ちるように突然」という観点でとらえているのが、素敵だと思ったのと同時に表現としては結構驚きました。

ああ、なるほど。この歌詞はまず櫻木さんが叩き台を作って、「ニュアンスとかで変えたいところがあれば堀込さんが好きにいじって良いですよ。」という話だったので、僕も少し手を加えて。そうやってニュアンスを書き換えているうちにニュアンスより、もうちょっと飛び越えた発想がどんどん出てきて、そのうち楽しくなっちゃって(笑)。

ー いいですね。

わりと大胆に変えたところもあるんですけど、全体的な言葉の量で言えば多分半々。だから本当に共作出来て良かったです。

ー じゃあ堀込さんと櫻木さんでお二人の恋愛観を語ったりということは…。

それはなかったですね(笑)。 恋に落ちてみたい気持ち…具体的な部分だと、終盤の「さよなら ぼくの帰る道」、「終わりの季節さ この世はもっと美しい 美しい」の世界観のベースを櫻木さんが提示してくれていたので、そこから紐解いていった感じです。

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