【インタビュー<前編>】フルカワユ
タカ、2017年を振り返る「意味が後か
らついてくるんです」

フルカワユタカが11月8日、シングル「days goes by」をリリースした。同作はDOPING PANDAインディーズ時代のプロデューサーTGMX(FRONTIER BACKYARD)と再びタッグを組んで制作されたもの。これを皮切りにアルバムリリースや自身主催フェス開催をはじめとする今後の注目展開が続々と発表されており、活動ペースも周囲を巻き込んだアプローチもこれまでにない盛り上がり。先行シングルとしてリリースされた「days goes by」はその起爆剤となるものだ。
前アルバム『And I’m a Rock Star』から10ヵ月ぶりのシングル「days goes by」はフルカワユタカの新境地と言えるサウンドが心地よい。「新しく生み出された感があるものですよね」とは自身の言葉だが、アダルティーでソウルフルな音像、そしてその制作方法には、音楽表現の進化はもとより自身の内面的変化もあったようだ。
BARKSは、活動ペースを上げ続けた2017年の総括を前編、シングル「days goes by」およびアルバムへの予感を後編として、二部構成によるロングインタビューを行なった。あくまでも自然体ながら前傾姿勢でひた走るフルカワユタカの現在進行形をお届けしたい。
   ◆   ◆   ◆
■人生としての音楽が

■戻りつつある感覚を維持したかった
──リリースとしては2017年1月のアルバム『And I’m a Rock Star』以来、約10ヵ月ぶりとなります。
フルカワ:『And I’m a Rock Star』って今年でしたっけ? あれ?そっか。
──そうなんですよ。これまでのリリースペースを考えればタームが短いんです。2017年を振り返ると、1月にアルバム『And I’m a Rock Star』をリリースして発売記念ツアーを開催、初夏に自身主催対バン企画<Play With>が2本、さらには11月のシングル「days goes by」リリースに続いて下北沢SHELTER 3DAYSを開催。2018年1月には新木場STUDIO COASTで主催フェスとニューアルバム『Yesterday Today Tomorrow』リリースに加えて発売記念ツアーも予定しているという密度の濃さで。しかも、それらの合間にLOW IQ 01のサポート参加やアコースティックライブも行なってますよね。いったいこの充実ぶりはどういうことなんだ?と(笑)。
フルカワ:そうですね(笑)。年間ライブ2本のみ、みたいな時からずっと知ってるBARKSさんからすれば驚きですよね(笑)。僕もどういうことなんだろうな?っていうのはちょっとあります。
──いや、ただの上り調子ですよね。
フルカワ:そうなんですかね? あんまり深くは考えてないんですよ(笑)。ただ実感としては、例えば8月は市川(LOW IQ 01)さんの現場と自分のアルバム制作の同時進行で、もういっぱいいっぱい。こんなにいっぱいいっぱいなのは、それこそドーパン (DOPING PANDA)の一番忙しかった時以来じゃないか?っていう(笑)。久々に、“ああ、ミュージシャンやってるな”って思ってたんです(笑)。
──はははは。それって、自分で引き寄せたものでしょ? そうなりたいと思い描いたものでしょ?
フルカワ:いや、そりゃそうなんですけど……どこでどうなったか……本当に自然とです。一昨年ぐらいまでの自分は、曲は作るけど発表する機会もないっていう状況で。そんな中で、ドーパンの楽曲を解禁したライブを年間2〜3本やっただけの年が1年半ぐらい続きましたよね。その時は早く音源を出してツアーやりたいなって、もちろん悶々としてたんです。
──はい。
フルカワ:だから去年のインタビューで話しましたけど、ベボベ(Base Ball Bear)のおかげで、人前でまたギターを弾くっていうエンジンに火が点いたみたいなところがあって。「この流れをぶった切っちゃもったいないよね、2ndフルアルバム(『And I’m a Rock Star』)を作ろう」という話になり、そこから市川さんの現場で得た広がりも大きいだろうけど。
──気づいたらそうなってた?
フルカワ:そうそう。また3rdアルバム作ってるな、夏フェスも市川さんと行ってるな、なんかすげえ忙しいじゃん!って(笑)。
──とはいえ、アルバム『And I’m a Rock Star』のツアー以降も、忙しい合間に曲作りを積極的にしていたということですよね。
フルカワ:来年1月リリースのニューアルバムは、「作りたい」って自分から言いましたからね。それもアルバム『And I’m a Rock Star』のツアー中に。実はニューアルバムよりも先に、「2018年1月に新木場STUDIO COASTをやりたい。そういうところに向かっていかないといけないんじゃないか」っていう話をして。逆算して、そこに目がけてアルバム作りたいと。
──ソロ5周年とキャリア20周年を記念して2018年1月28日に新木場STUDIO COASTで開催する<フルカワユタカ presents「5×20」>ありきで、いろいろな物事が進んでいったと?
フルカワ:1月28日はアニバーサリーなんですよ。僕は音源より先にライブでソロを始動したんですけど、それが2013年1月のクアトロ3DAYS(Yutaka Furukawa QUATTRO 3days ~first communication~)だから、ちょうど丸5年なんです。そこに向かって何かやりたいっていう話をしていたら、候補の中に1月28日の新木場STUDIO COASTがあって。タイミングも場所も組み合わせ的にいいねと。
▲<And I'm a Rock Star TOUR>2017年2月10日@東京 SHIBUYA WWW-X


──その話が持ち上がった『And I’m a Rock Star』のツアーまで遡っていただきつつ、2017年を総括することで進境著しいフルカワさんの現在を改めて知りたいんですが。まず、『And I’m a Rock Star』という作品はロックスターの過去も現在も、十八番も全部詰め込まれたアルバムで。それが<And I'm a Rock Star TOUR>を経て自身の中に消化された部分ってあります?
フルカワ:あのアルバム自体は、ベボベのサポートギターとしてツアーを廻った後に、“人に音楽を届けることが当たり前のところに戻らなきゃいけない”という気持ちで作ったというかね。そのために、外へ目が向いてない過去に作ってたデモとか、ベボベのツアー終わりで作った新曲を集めて、記録的なもの、日記的なものをリリースしたかったんだと思うんです。「僕はもう、このアルバムがバカみたいに広がってほしいっていう期待はしてないんです」みたいなことを、その時のインタビューでも話したと思うんですけど。やっぱりアルバムにともなったツアーも、そういう気持ちに変わりはなかったですね。
──「数字云々ではなくて伝わってほしい」ともおっしゃってました。
フルカワ:音源自体はいいものを出したと思っていますからね。そのポジティヴな気持ちのままツアーがつながったというか。冒頭の「アルバムっていつ発売した?」っていう言葉が象徴するように、ベボベのサポートをして、アルバム作って、ツアーやって。以降、今もそのペースが継続的だからフワッとしてるのかもしれないです。
──着実に、地に足のついた活動ができてるっていうことですか。
フルカワ:ああ、着実っていう言葉が合ってる気がしますね、『emotion』の時に比べると。『emotion』のツアーは世間と乖離した感じをもの凄く受けましたから。“ドーパンじゃないとこんなふうになっちゃうんだ”っていう。なんだったら、“ドーパンよりいいもの作ってやる”って思ってましたし、“ひとりになったほうがすごくなるんじゃないか”みたいなヘンな欲もあったし。その期待を見事にぶち破られたのが『emotion』。だから僕的には、1st音源とツアーをセットで一周した後が一番しんどかったんですよ、挫折感があった。動員とか実質的な数字とかはわからないですけど、いちミュージシャンとしては今、だいぶリカバリーしてます。間違いなく着実。まぁ、ロックスターが着実でいいかは別として(笑)。
▲<フルカワユタカ presents「Play With」-with Melancholy A->2017年7月28日@新宿LOFT


──ははは。2016年の初開催に続いて、自身主催対バン企画<フルカワユタカ presents「Play With」>を2017年初夏に行いました。
フルカワ:今年はBenthamASPARAGUSに出てもらいましたね。この対バン企画は去年立ち上げて、まずベボベとバンアパ(the band apart)に出演してもらったわけですけど、その2バンドとは相当ストーリー性があったんでね。ベボベはメンバー脱退とサポート参加のストーリーがありましたし、バンアパに関して言えばインディーズ時代からのストーリーがあった。で、今年はそこじゃないところで、昨年と同じ時期に、ロフトっていうハコで開催して。それは、自分が絶対にいなきゃいけない場所としての音楽というか、人生としての音楽が戻りつつある感覚を維持したかったからで。
──周囲のバンドとつながっていくことを能動的に継続されている印象もあります。
フルカワ:ありますね。それを自分の冠で行うっていうこともそうだし、ドーパンの時にはなかなか一緒にできなかったASPARAGUSっていうインディーズ時代からの先輩とやるということ、J-ROCKのシーンのBenthamっていう若いバンドとやることは、たすき掛けじゃないけど、去年のテイストの2ndシーズンみたいなカタチでしっかり出来たかなと思っています。
■新木場がお祭り的イベントなのに対して

■SHELTER 3DAYSはじっくりとワンマン
──さらに活動や交流の輪を広げたのが、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSへギタリストとして参加したことですか?
フルカワ:今年に関してはもう、それが一番大きいことに間違いないですね。僕もこんなカタチになるなんて夢にも思ってなかったですから。っていうのは、市川さんとはそんなに繋がりがなかったんですよ。ドーパンのインディーズ時代にTGMXさんにプロデュースしてもらってたじゃないですか。そのまた先輩として打ち上げとかでご一緒する程度で。僕はSUPER STUPIDが大好きだったから、普通に憧れのミュージシャンというかファンとして見てたんです。
──AIR JAM世代の大先輩ですもんね。
フルカワ:ドーパン時代って誤解もあったんですけど、実際に僕が発する言葉にも生意気なところがいっぱいあったじゃないですか。例にもれず、市川さんにも怒られてましたから(笑)。後輩なのでフェスの楽屋とかに挨拶に行くと、「お前、調子に乗ってるんじゃねえぞ。ちゃんとしないとダメだからな」みたいなことは毎回言われてました。今だってオーラありますけど、昔は本当におっかなかったんですよ(笑)。だからまさかですよ、市川さんとこうやって一緒にフェスを廻ったり酒呑んだりするようになるとは。
▲LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS@<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017>9月23日(土)


──それが、フルカワさんにお声が掛かったのは?
フルカワ:ちょうどベボベでツアーを廻ってる時だったかな。市川さんが「ツアー会場販売用のデモCDを録ってくれよ」って声を掛けてくれたんです。その話自体がまず意外だったんですけど、そこで2日間ぐらい一緒に作業したことをきっかけに、「北海道の<JOIN ALIVE>に出るんだけど、お前ギター弾かない?」って。
──2016年7月の夏フェス<JOIN ALIVE>ですね。
フルカワ:そうです。音源を録っただけだったらそれで終わったかもしれないですけど、<JOIN ALIVE>に行ったことで少し深い話もできて。そこから、市川さんのアコースティックライブのゲストに誘われたり、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSとしてMOBSTYLESのイベントに出たり。だけど、去年誘われた時はここまでガッツリやるとは思ってなかったです。ギターもそんなに褒められなかったし(笑)。
──あははは。
フルカワ:いや、これはほんと(笑)。なんだったらここ最近ですよ、市川さんが「この3人のTHE RHYTHM MAKERSがイケてる」って言ってくれるようになったのは。やっぱり6本ぐらい廻った今年のツアーからグッとバンドっぽくなったんですよ。逆にこれから先、呼ばれないと“あれ?”って気持ちになるかもしれないです(笑)。
──前回のコラムでは細美さんとの“誤解が解けた話”が記されてますし、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSとしての活動は、各方面のアーティストと再びつながるきっかけにもなっているようで。
フルカワ:そういうところが今年はあるかもしれないですね。それに、現場に行って、サウンドメイクして、人前でギターを弾くっていうステージ1本1本の大切さもそう。今年は21本以上のライブをやってるんで、やっぱり当たり前に上手くなるんですよ。僕、ギターは上手いと思うんですけど(笑)、技巧だけじゃなくて、サウンドメイクとかプレイはやっぱり客前にいなきゃダメなんだなって。現場感っていうんですかね、まだまだ大事な経験させてもらってます。
──昨年から収穫の多い年が続いてます。
フルカワ:ホントに。実り多いです。
──そんな中で11月に行われるSHELTER 3DAYSは、それぞれまったくテーマの異なる3日間のワンマンになることが、タイトルからも発表されているサポートメンバーからも伝わってきますが、これもソロ5周年と活動20周年のアニバーサリー的意味合いが強い?
フルカワ:新木場STUDIO COASTと同時に思いついたところもあって、2つを並び立つ感じにしたかったというか。新木場STUDIO COASTがたくさんのアーティストが出演するお祭り的な一大イベントなのに対して、SHELTER 3DAYSはじっくりとワンマンで、20周年と5周年っていう自分のアニバーサリーを総括する場所も作らないといけないなと。つまり、コアファンに向けて、自分が書いてきた曲をできるだけ数多く発表する場を設けようっていうテーマが念頭にあるんですね。少なく見積もっても1日20曲ぐらいやるんだったら、延べ60曲になるわけです。
──それも各日のテーマに沿った選曲で。
フルカワ:定番曲はかぶるかもしれないけど、基本的には3日間トータルで50曲ぐらいかぶりなしでやるんじゃないですか?
──その初日は“バック・トゥ・ザ・インディーズ”っていう、そのものズバリなタイトルがついてます。
フルカワ:読んで字のごとくで、初日はそれこそディスクユニオン時代のコアファンに喜んでいただける内容に。まぁ、今も“インディーズ”だから“バック・トゥ”じゃないけど、最近の楽曲も多少織り交ぜるぜ!っていう。
──テーマはインディーズ?
フルカワ:裏の意味はBPMの速いパンク。僕の作曲には、16ビートの4つ打ちやファンキーなものと、8ビートのパンクという2本柱があって。その両方をコード進行や旋律っていうメロディアスなところで繋いでいるんです。初日は、そのパンキッシュな部分を詰め込んだライブをしたい。サポート陣のセレクトも、村田シゲ(口ロロ)と福田忠章 (FRONTIER BACKYARD / SCAFULL KING)さんっていう、いわゆるそのシーンの手練れで、しかも僕の歴史を知ってる人。
──コアファンにはたまらないメンツです。
フルカワ:シゲはドーパン解散後からの付き合いなんですけど、僕が抜けたCUBISMO GRAFICOに入ったり、今の僕のサポートベースでもあるでしょ。実はCUBISMO GRAFICO FIVEがSHELTERでやった時に、シゲがベースで忠章さんがドラムを叩いて、僕と3人で2曲ぐらいやったんですよね。過去その1回だけですけど、その時もすげえよかった。僕が育ったインディーズ界隈のベストなドラマーとベストなベーシストだと思ってるので、それはもうずっとやりたかったんですよ。
▲acoustic live<And I'm a Rock Star TOUR extra>2017年2月14日〜28日


──2日目の“フルカワユタカはこう弾き語った”は、やはりアコギによる弾き語りですか?
フルカワ: BARKSの連載コラムタイトルをもじったものですが、このタイトルで弾き語りを何度かやってるんです。それに初の試みとしてパーカッションと鍵盤を入れます。パーカッションは最近手伝ってもらってる若いドラマーで、鍵盤はfox capture planっていうジャズフュージョン3人組のピアニスト。バカテクですよ。全曲じゃないですけど、そういうアコースティックセットみたいなものもやってみようと。
──フルカワさんの曲はメロディーのしっかりしたものが多いから、アレンジをシンプルにすることで、その骨格がより明確になりますよね。アコースティックならではの選曲ですか?
フルカワ:最近の曲がメインになると思うんですけど、ドーパン時代の曲もやりますよ。レア曲もカバーもやろうと思ってます。選曲自体は3日間で一番万遍なくなるかな。で、おっしゃるとおり、僕の作曲っていうのは“アコギ1本で説得力あるものでなければ良い曲じゃない”みたいなところが基本テーマなので。ただね、ドーパン時代はアコースティックはやらないって決めてたんですよ。
──それがアコースティックに魅力を感じるようになったのは?
フルカワ:まだないです(笑)。今年須藤くんとやった弾き語りツアーあたりから、“語れる/歌えるポイントがあるな”というのを掴んできて……ひとつ欠点があるとすると、MCで内面的なことを語りすぎちゃうんですよ、コラムに負けず劣らず(笑)。女々しさだったり本心の部分って、あのコラムにあるじゃないですか。推敲してるからそれを世の中にテキストとして出せるんだけど、もっとエグいやつがフィルターを通さず出ちゃう(笑)。
──アコースティックの空気感にはエキセントリックなトークも必須だと(笑)。
フルカワ:そうそう。ロックバンド形式のライブで内面的なことはしゃべれないですからね。きっとニューアルバムの話とか、新木場STUDIO COASTをどうしたいとか、この先どうしようと思ってるとかも話すだろうから、3日間のうちで現在と未来の部分を担うのが2日目です。3日目の“無限大ダンスタイム’17”は逆にMCが入ってこないから、対照的なものになるかもしれませんね。
──最終日の<無限大ダンスタイム’17”>は、盤石メンツのフルカワユタカバンドで、通常通りのノンストップなダンスフロアを作る?
フルカワ:そうですね。そこで使う声はMCではなく煽りだから。
■こんなに協力してくれるんだ?

■ってことにジーンとしてます
──SHELTER 3DAYSはすべてのチケットが完売したそうで熱狂の3日間となりそうですね。そして、もう一方の<フルカワユタカ presents「5×20」>ですが。
フルカワ:現時点ではまだ出来る話も限られますけど、そもそもこのフェスは……本音を言えば、仕切り直す感じなんです。『And I’m a Rock Star』をスタートラインにソロとして丸1年突っ走って。“男気出そうぜ”って2018年を見据えた勝負が、新木場STUDIO COASTなんですよ。
──ソロ5周年とか活動20周年もあるけど、フルカワさん自身のタイミングとして大きく動く時が来たと?
フルカワ:“花火上げなきゃ”って何かを探してたことに違いないです。お尻にデカい目標を立てたら、そこに向かって他の話もどんどん出来上がっていくものだっていうのは、僕の経験上あるんです。ドーパンの時もまず花火を打ち上げたほうが動きやすかったりしたんですよ。歯車がひとつ狂うと話がどんどんおかしい方向へ転がってしまうんですけど、それもわかった上で、「やらないとね」っていうのが新木場STUDIO COASTです。ドーパン時代を知ってるファンからすると、新木場STUDIO COASTが花火かどうかわかりませんが、今の僕にとってはやはり冒険なので。
──ファンと出演ミュージシャンに感謝も込めて?
フルカワ:そうです、お世話になった人を呼んで“フルカワユタカフェス”じゃないですけど。そういうイベントは実現不可能じゃないし、おもしろい。全然書いてもらっていいですけど、“周年”っていうのは多少のこじつけがあったのかもしれない。それよりも、身動きが取れなかった自分に戻っちゃうわけにいかないという。それぐらいやらないと、止まっていた2年をひっくり返すようなエネルギーにはならないんじゃないかなって。
──11月8日時点で発表されてる第一弾出演者は、the band apartとBase Ball Bear。
フルカワ:もちろんもっとたくさんのアーティストに出てもらうんですけど、第一弾として発表できたのは、奇しくも<Play With>で去年対バンした2バンド。別に狙ったわけでも何でもなくてホントに偶然ですが、去年からストーリーが続いてる感じがキレイですよね。<5×20>の表紙をめくったら1ページ目にその2バンドがまず発表されてるっていうのは。ファンの反応もけっこう熱かったし。
──第二弾以降の出演者発表にもますます期待が高まるところで。
フルカワ:期待しててください。“フルカワユタカと言えば”っていう予想通りの人ももちろん出演しますし、“そことまた同じステージ立つんだ!?すごいな!”っていう人たちも数組いたり。もしかしたら急遽「やっぱ出ねえ」ってことになりかねない人もいるかもしれないですけど(笑)。自分がビックリするぐらいブッキングが上手くいってるんですよ。
──BARKSコラムでは“嫌われていた”発言も少なくないですが、賛同してくれる方々ばかりだと。
フルカワ:みんなの評判として、僕は憎まれっ子なんです(笑)、それが世にはばかるかどうかは別としてね。なので、そのわりにみんながこんなに協力してくれるんだ?ってことにジーンとしてます。
──それだけでも、このフェスを開催する意味がありますね。
フルカワ:やっぱり意味が後からついてくるんですよ。僕はくすぶりから取り戻す気持ちで、手を伸ばしただけなんです。“バンド時代にはなかったな”ってふと考えるというか……ドーパンの時は先に理論武装じゃないですけど、肉付けまで考えて旗立ててましたからね。
──今のほうが自由度も増してるんじゃないですか?
フルカワ:その感じ、思い当たりますね。ドーパンの時は他のミュージシャンたちとの交わりがなかったから、自分の思い通りの肉付けだけだったんです。それが今は、周りから肉付けられてますもんね。市川さんとか、ベボベやバンアパ、先日のコラムで書いた細美くんとのこともそうかもしれない。そうか、人と関わって活動すると、自分が立てた目標に想像以上の意味合いがついたりするんだな……そういうことなのかもしれない。今は、あんまり考えずにいろんなことが出来てる。ある種、自信があるのかもしれないですね。
──DOPING PANDA時代の、決して周りと肩を組むようなことはしない尖り方も良かったですけどね。
フルカワ:そう信じたい、じゃないとあまりにも寂しいから(笑)。昔の話を耳にして穴があったら入りたい時もありますけど、だからって否定するものじゃないんですよ。武勇伝とまでは言わないけど、尖ってた過去に誇らしい気持ちはないかっていうと少しはあるんです。
──<5×20>でのフルカワさん自身のステージはどんなものに?
フルカワ:僕は今、ドーパン時代の楽曲を解禁して、セットリストに組み込むことが普通になってるじゃないですか。例えば“無限大ダンスタイム”っていう名前をつけると、ドーパンの曲やるんだろうなってみんなが注目してくれるのもわかってる。それは自分でも腑に落ちてるんです。そんな中で、いろんなゲストが出た後に見せなきゃいけないのは、『emotion』で奮闘していた時期も、くすぶってた時期も、そしてメンタル的にオープンでポジティヴになってる今も含めて、新井弘毅や村田シゲっていうフルカワユタカバンドの5年、それを会場にいるオーディエンスとミュージシャンに見せる場にしなきゃいけないなって。
──あえて訊いちゃいますけど、その場限りだったとしてもDOPING PANDAの復活に期待しちゃう部分もありますが(笑)。
フルカワ:もちろんそうでしょうけど(笑)。あの……これはもう政治家のような言い方になっちゃいますけど……ぶっちゃけ何もないんです、何もないんだけど、じゃあほんとに可能性ゼロかっていうとわかりません。20周年で一番僕と関係が深いのは、木下理樹でもなければ須藤寿でもない。やっぱり稲葉隼人と北條太朗なんです。そこは常に頭をよぎりますよ。ただ、そんな簡単なもんじゃないです。
──そのためにやるフェスではないですしね。
フルカワ:まあ何が起こるかは、人生だからわかんないですけど、そんなことに期待してほしくないし、フルカワユタカを観に来てください。タロティとHAYATOには「観に来てよ」って声を掛けてるので会場に来てはくれるんじゃないかな、それは間違いなく(笑)。
取材・文◎梶原靖夫 (BARKS)
■シングル「days goes by」


2017年11月8日(水)発売

【CD】NIW136 1,700円 +税

01. days goes by

※Guest Backing Vocal:ucary valentine

※Producer:TGMX

02.ケモノ('12年6月)

03.'12年4月 ariki pt1('12年4月)

04.'13年7月 2step('13年7月)

05.ハネたバラード('13年7月)

06.isolation ('14年10月)

07.ariki pt2 ('13年11月)

08.deep sleeper inst ('15年9月)

09.欲望 ('16年2月)

10.メロコア ('16年7月)

11.tropical ('17年8月)

12.フェアウェル ('12年12月)

※新曲1曲+[ボーナストラック]デモ音源11曲収録
■アルバム『Yesterday Today Tomorrow』


2018年1月10日(水)発売

NIW137 3,000円(+税)

01. revelation

02. シューティングゲーム

03. busted

04. 僕はこう語った

05. days goes by

06. デイジー

07. DAMN DAMN

08. nothin' without you

09. バスストップ

10. no boy no cry

プロデュース:TGMX(FRONTIER BACKYARD)

▼ゲストヴォーカル

M1:LOW IQ 01

M5:UCARY & THE VALENTINE

M8:米田貴紀(夜の本気ダンス)

M9:荒井岳史(the band apart)

▼作詞

M7:須藤寿 (髭)

■全国ツアー<フルカワユタカ presents 『yesterday today tomorrow TOUR』>


2018年1月13日(土) 愛知県 伏見JAMMIN'

2018年1月14日(日) 大阪府 Shangri-La

2018年2月11日(日・祝) 静岡県 Shizuoka UMBER

2018年3月17日(土) 岡山県 岡山ペパーランド

2018年3月18日(日) 福岡県 INSA

2018年3月21日(水・祝) 宮城県 enn 3rd

【チケットオフィシャルサイト最速先行受付】

受付URL http://www.getticket.jp/g?t=e9fmz3z  (PC・携帯・スマホ)

受付期間:〜11月13日(月) 23:59

■<フルカワユタカ SHELTER 3days>


▼11月28日(火)下北沢 SHELTER「バック・トゥ・ザ・インディーズ」

サポートメンバー bass: 村田シゲ (ロロロ) / drum: 福田忠章 (Frontier Backyard , Scafull King)

▼11月29日(水)下北沢 SHELTER「フルカワユタカはこう弾き語った」

▼11月30日(木)下北沢 SHELTER「無限大ダンスタイム’17」

サポートメンバー guitar: 新井弘毅 / bass: 宇野剛史 (QUADRANGLE,GOLIATH) / drum: 鈴木浩之 (U&DESIGN, QUADRANGLE,GOLIATH)

▼チケット

全公演 前売り¥3,500(税込、D別)※SOLD OUT

(問)DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00~19:00)

■<フルカワユタカ presents「5×20」>


2018年1月28日(日)新木場STUDIO COAST

開場13:15 開演14:00

出演:フルカワユタカ / the band apart / Base Ball Bear / …and many bands , musicians

▼チケット

スタンディング 4,800円(税込)

※ドリンク代別

※3歳以上要チケット

一般発売:2017年11月25日(土)

(問)DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00~19:00)

■<FRONTIER BACKYARD 6th album「THE GARDEN」Release Tour>


2017年11月10日(金)宮城・仙台 enn 2nd

出演:ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ

2017年11月11日(土)岩手・大船渡 KESEN ROCK FREAKS

出演:ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / the band apart / フルカワユタカ

2017年11月12日(日)岩手・宮古 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO

出演:ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / the band apart / フルカワユタカ

2017年11月14日(火)北海道・札幌 BESSIE HALL

出演:ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ

2017年11月16日(木)青森・aomori SUBLIME

出演:FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ

2017年11月17日(金)宮城・石巻BLUE RESISTANCE

出演:FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ

2017年11月18日(土)栃木・HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2

出演:FRONTIER BACKYARD/ CALENDARS / フルカワユタカ

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