【ライヴレポート】ACID ANDROID、同
じ姿を見せないyukihiroの原点

L’Arc-en-CielのドラマーyukihiroのソロプロジェクトACID ANDROIDのワンマンライヴ<ACID ANDROID LIVE 2017 #2>が10月27日(金)、渋谷WWW Xで開催された。同ワンマン初日となる東京公演終演後に行われたニューアルバム先行試聴会では『GARDEN』全収録曲が世界最速で披露され、その詳細が明らかになった。なお、本日10月31日、試聴会で初披露された収録曲「roses」のMVフルバージョンがオフィシャルYouTubeチャンネルにて公開された。同公演および試聴会のレポートをお届けしたい。
重厚なギターの壁とデジタルなビートを武器にしていたACID ANDROIDは、現在の3人体制でのライヴに移行して以来、そのサウンドと楽曲を大きく進化させてきた。ねっとりと轟くベース音とアーシーに響く電子音。音数は多くないが緻密であり、無機質であるのに不思議と冷たさを感じない音像。そんな現在のACID ANDROIDを存分に魅せつけたライヴだった。
ほぼ定刻、会場が暗転すると、反復するシーケンスが打ち鳴らされる。機械を制するようにビートを刻んでいく山口大吾(Dr/People In The Box)と、黙々とリフを重ねていくKAZUYA(Gt/Lillies and Remains)。フロントに立つ細身の中性的なシルエット、颯爽と登場したyukihiroはケーブルを鞭のように捌き、口角に対し直角になるようにマイク構えた。
のたうち回るようにうねる「gamble」、地を這っていく「double dare」。聴感上の低音よりも体感的な重さがずっしりとくる。丁寧に作られたシーケンスと生バンドがもたらすグルーヴ。山口の図太く、迷いのないスネアのショットがデジタルとアナログの狭間を差配し、押し引きの明確なKAZUYAのギターは、ときに荒々しく、ときに優しく歌に寄り添っていく。
そして、yukihiroの放つ、フロントマンとしての凄まじいほどの存在感である。一切喋らず、躍動感とは掛け離れたステージ上の佇まいは狂気性と神々しさが介在する。目の周りを青く塗り、眼光炯々とした異相でマイクを操る。獲物を狙うかのごとくフロアに向けてシャウトする。胸の下まで伸びた長い髪は、毛先まで張り詰めた意識があるかのように乱れることは決してないが、ライトに照らされてさまざまな色に変化し、空気をはらみながら肩から滑り落ちていく様は、息をのむほど美しい。天を仰ぐような素振りも、指輪を直す仕草も、その所作ひとつひとつが見惚れるほど美麗だ。
ニューアルバム『GARDEN』から新曲が披露される。シンセとストリングス、リズムの合間を縫っていくようなギターが印象的であり、どこか和情緒を感じられるメロディが乗る。無機質なトラックをどこか浮遊感溢れる歌声が包んで夢幻世界へと誘う。yukihiroの日本詞ヴォーカルは英詞よりも丁寧で優しく耳に届いてくるように思う。これまであまり感じたことのない人間らしい部分を感じた場面であった。
相反して、ACID ANDROIDの狂乱を見たのは中盤だ。ミディアムテンポの曲が続き、ゆったりとした空気に包まれた矢先、不意を突くように「unsaid」になだれ込んだ。ステージ後方の黒いカーテンが開くとスクリーンが現れ、映像が映し出される。幾何学的に重なっていくリズムとフレーズに合わせて、散っていく火花、蠢めく泡……。それはどこか不穏な空気を作り出していくようであり。映像を制作したのは、downyのzakuro。今回が初コラボだというが、ACID ANDROIDとの相性は抜群だ。音と映像が呻きをあげる異常なまでの飽和が次々と襲いかかってくる。イントロで新曲かと思ったほど印象が異なった「chill」。空虚を衝きながらどこか開放的にも感じるアレンジは、現在のACID ANDROIDだからこそ成せたものだろう。
終盤はアッパーなナンバーを畳み掛けていく。普段はステージ中央の定位置から動かないyukihiroが上手下手へと移動しフロアを煽ると、悲鳴のような歓声をあげるオーディエンス。他のアーティストでは当たり前のこともACID ANDROIDのライヴでは一大事なのだ。幾度となく進化してきた「the end of sequence code」から、ラストは再び映像が投入される。真っ赤な照明とともに映し出された花は、脈々と流れていく音の波に合わせ、揺らめく炎へと変わっていった。最後の音が鳴り終わり、余韻をしっかり確かめると、yukihiroは左手をフロアに向かってパッと開き、ステージから去っていった。
<ACID ANDROID LIVE 2017 #2>の終演後には同会場にて、11月24日の配信リリースに先駆け、アルバム『GARDEN』の先行試聴会『AFTER HOURS』が行われた。贅沢なほどに轟音を浴び、初めて体感するグルーヴに、皆が身体を委ね、目を閉じてじっくり聴きいっている。ライヴでは幾度となく演奏されているものの、初披露となる“完成型”の楽曲群はどこか懐かしくもあり、新しくもあるものだった。シーケンスもギターのフレーズも、すべてが歌っている。リズムは鼓動であり、その表情は多彩。一切無駄のない音、そのすべてが旋律なのだ。そしてなにより、yukihiroの歌をこれまで以上に感じることのできるアルバムだった。
『GARDEN』は11月24日(金)より全収録曲が配信スタートとなる。収録されるのは全9曲。yukihiroが全ての楽曲のシーケンスとMIXを手がけ、また「roses ver2」「ashes ver2」「the end of sequence code ver2」においては、既に配信されている音源とは異なるMIXで収録されている。7年ぶりのアルバムリリース、前作での攻撃的とも言える、インダストリアルな側面が影を潜め、80年代ニューヴェーヴの影響を色濃く反映した、ACID ANDROIDの新たな局面が浮き彫りになっている。ACID ANDROIDの深淵が色濃く投影されたこの作品から、留まることなく常に新しく移り変わり、そして一瞬たりとも同じ姿を見せないyukihiroの原点を垣間見ることができる。
また、試聴会にて披露された「roses」MVフルver.も本日より解禁となる。何度も繰り返される映像にひんやりとした感じが漂うこのMV、CS等でもOAが決定しているのでお見逃しなく。なお、<ACID ANDROID LIVE 2017 #2>はこのあと大阪、そして海を渡り上海、台北へと続いていく。
撮影◎岡田貴之
■NEW ALBUM『GARDEN』


2017年11月24日より配信

TODR-015

発売元:tracks on drugs records / DANGER CRUE ENTERTAINMENT

01. echo

02. roses ver2

03. dress

04. the end of sequence code ver2

05. gardens of babylon

06. division of time

07. precipitation

08. gravity wall

09. ashes ver2
■配信情報


▼NEW ALBUM『GARDEN』

2017年11月24日(金)より配信開始

TODR-015 tracks on drugs records / DANGER CRUE ENTERTAINMENT

【配信サイト】iTunes, レコチョク, music.jp, dwango.jp, オリコンミュージックストア, Amazon, mora, Google Play Music, ARTIST DELIフルにて
▼『roses / ashes』配信情報

TODR-014 tracks on drugs records / DANGER CRUE ENTERTAINMENT

【配信サイト】iTunes, レコチョク, music.jp, dwango.jp, オリコンミュージックストア, Amazon, mora, Google Play Music, ARTIST DELIフルにて
▼『acid android』 『13:day:dream』 『code』

【配信サイト】iTunes, レコチョク, music.jp, dwango.jp, オリコンミュージックストア, Amazon, mora, Google Play Music, ARTIST DELIフルにて
■<ACID ANDROID LIVE 2017 #2>


▼2017年10月27日(金)渋谷WWW-X

OPEN 18:15 / START 19:00

【先行試聴会<ACID ANDROID LIVE2017 #2 @WWW X 〜AFTER HOURS〜>】

2017年10月27日(金)渋谷WWW-X

OPEN 21:15 / START 21:30 *22:30終了
▼2017年11月11日(土)梅田BANANA HALL

OPEN 17:45 / START 18:30

(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888

【チケット】

ALL STANDING ¥5,500 (TAX IN) ※DRINK代別

※未就学児童入場不可

一般発売:2017年9月16日(土)〜

・ e+ https://goo.gl/4kW7ps

・ローソンチケット https://goo.gl/J1SeMd

・チケットぴあ https://goo.gl/j9Lv4N
    


▼2017年11月17日(金)SHANGHAI BANDAINAMCO DREAM HALL

http://www.bnshbase.com

OPEN 19:00 / START 20:00

【チケット】

1F STANDING CNY680 / 2F指定席 CNY480

一般発売 2017年10月20日(金)11:00〜 (JST)

https://piao.damai.cn/134206.html

(問)info_support@dimensionarray.com (日本語/中国語 可)
▼2017年11月19日(日)TAIPEI ATT SHOW BOX

http://www.attshowbox.com.tw

OPEN 17:30 / START 18:00

【チケット】

ALL STANDING 前売 TWD2000 / 当日 TWD2200

一般発売 2017年10月21日(土)13:00〜 (JST)

https://freeplanetml.kktix.cc/events/acid-893d767f

(問)info@free-planet.net (日本語/中国語 可)

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着