2ndアルバム「Triquedraco(トリケドラコ)」リリース!BELLFAST(ベルファスト) 西野幸一郎(Vo)インタビュー!

2ndアルバム「Triquedraco(トリケドラコ)」リリース!BELLFAST(ベルファスト)  西野幸一郎(Vo)インタビュー!

2ndアルバム「Triquedraco(トリケド
ラコ)」リリース!BELLFAST(ベルファ
スト) 西野幸一郎(Vo)インタビュー
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2017年10月に約7年ぶりとなるセカンド・アルバム「Triquedraco(トリケドラコ)」をリリースした、ジャパニーズ・フォーク・メタル・バンドBELLFASTのシンガー、西野幸一郎がインタビューに応じてくれた。

– ついにBELLFASTのセカンド・アルバム「Triquedraco」がリリースになりました!アルバムを完成させて、今、どんなお気持ちですか?
西野(N):ありがとうございます。前作から随分と時間がかかってしまいましたが、こうして今ようやく皆さんのお手元にに新作を届けることができました。今はとにかく安堵感でいっぱい、というのが正直な気持ちです。
– ファースト・アルバムから現在まで時間を要した経緯は、バンドのウェブサイトやライナーに書かれていましたが、周囲からは「早くアルバムを!」という声は絶えなかったと思います。プレッシャーや焦りみたいなものはありませんでしたか?
N:いやそれはもう! 様々なプレッシャーや焦りに押し潰されそうになっていましたよ!(笑)
各所で話したり書いたりさせていただいているとおり、こうして大変長い時間がかかってしまったのは様々な良くない要因や状況が複合的に絡まってしまったことが原因なのですが、それらの難題をクリアしてこの作品を高いレベルで完成させることができたのは、一重に待っていてくれた多くの皆さんに粘り強くサポートし続けていただいたおかげだと言えます。本当にどんな感謝の言葉でも言い表せないほどに感謝しています。
LtoR:Koh Nishino(Vo),Taro Arai(Gt),Yumiko(Flute),Saori Hoshino(Violin),Shuji Matsumoto(Ba),Hiroshi Sakakima(Drs),Makoto Kano(Gt)
– セカンド・アルバムを制作するにあたって、どんなビジョンを持っていましたか?
N:そうですね。1st“Insula Sacra”は、1993年にバンドが結成されて以来、リーダー松本(B)を中心に大勢のメンバーが関わって長い時間をかけて形作られてきたBELLFASTの様々な音楽的変遷を“フォーク・メタル”というフィルターを通して再構成した作品だと捉えています。
それに対して今回の新作“Triquedraco”は「フォーク・メタル・バンド=BELLFAST」としてのスタンスを確立した後に全曲を書くことになったので、より現代的なフォーク・メタル・サウンドにしたいな、とは思っていました。
フォーキーであり、クラシカルであり、プログレッシヴであり、といったBELLFASTがこれまでに醸成してきた魅力の部分は、各メンバーの素地から自然に溢れ出てくると考えていたので、ベーシックな部分では徹頭徹尾ヘヴィ・メタルであるよう心掛けてはいましたね。
-制作期間が長くなった事で、当初のビジョンと変わった要素等はどうですか?
N:制作期間が長くなったことで加わった要素と言えば、間違いなく70年代の王道ハード・ロックやNWOBHM等の正統派80’sヘヴィ・メタルの影響でしょうね。どちらも既にDNAレベルで血肉になっている要素で、1stでもちろんその影響が反映されている場面はあるんですが、今回の制作期間中に自分が十代〜二十代前半までにドハマリしていたルーツ・ミュージックを再評価する機会が何度もあり、「やっぱこれだよ!ハード・ロック/ヘヴィ・メタルは!」とヘヴィ・メタルへの忠誠を再確認できたことが、制作期間後半での曲作りやレコーディングに大きなインパクトを与えました。
-西野さん、松本さん、狩野さん、榊間さんの4人が作曲者でクレジットされています。アルバムの中で、各作曲者で役割分担みたいなものはあるんでしょうか?
N:今回のアルバムに限らず、特に話し合ったりしてこう分担しようということはいつも全くありませんが、皆それぞれ得意分野があるので、BELLFASTとしての根幹を意識しながらそれぞれの思いを込めて作曲すれば、こうして一本芯が通りつつも適度なヴァラエティに富んだ作風になりますね。
-アレンジ、ギターソロや、ヴァイオリン、フルート等のパートはどんな風に完成させていったんですか?
N:各メンバーが「こういう曲ができた!」と最初に持ち寄るデモは、曲ごとに様々な仕上がりのレベルがあります。ほぼ全パートが完成形のもの、ラフなんだけどアンサンブルの雛形は出来上がっているもの、大まかなギターと歌メロだけのもの、完全に鼻歌なもの(笑)などね。
それらのデモに対して、基本時には自分(西野)が様々なアレンジを試みたり、作者にアドバイスしながらブラッシュアップして仕上げて行く形ですかね。多くの曲でのヴァイオリン/フルート、そしてツイン・ギターのハーモニーのアレンジは自分が担当しました。
自分はシュラプネル作品(注:80年代にポール・ギルバート、マーティ・フリードマン、トニー・マカパイン等のHR/HM系ハイテク・ギタリストを数多く輩出した米国のレーベル)のコンプリートを目指していたほどにギターが大好きなので(笑)デモを作る時にたまに自己満足的にフリー部分のギターソロまで入れたりするんですが、一部の曲のソロではそれらのメロディを再現してくれているのが個人的にはとても嬉しかったりします。
-他のメンバが書いた曲を歌う場合、歌メロは西野さんが手を加えたりする事はあるんですか?
N:作者がその曲の中で伝えたいメロディを踏まえたうえで、最終的にはかなり変えてしまっているかもです。アレンジも最初のデモと完成時とではかなり異なりますし、歌詞が書かれた後、その歌詞に合うメロディにしていくことでも変化していきますね。
-歌詞については前作同様、アイルランド出身のブライアン・カレン氏が多くの曲で参加しています。こういうテーマの歌詞にしてほしい、という様なリクエストはしているんですか?
N:基本的にはそういったリクエストはせず、曲調からブライアンが感じ取ったテーマで書かれています。ただ、本作で自分が作曲した“1014 (The Battle of Clontarf)”においては、当初から自分の中で「1014年に起こった“クロンターフの戦い”をテーマとした曲にしたい」という目論見があったので、そのテーマで歌詞を書いて欲しいとリクエストしました。
毎回、素晴らしく深いところからテーマを掘り出して、しかも自分が歌いやすい言葉を並べて歌詞としてまとめてくれるので、このバンドにおける彼の貢献度はとても高いと感じています。“8人目のメンバー”と言っても決して過言ではないかもしれません。
-レコーディングで特に苦労した曲等はありますか?
N:そうですね・・・。やはり大方の予想通り、榊間作の超プログレッシヴ作“Où Est la Rose?”でしょうか。(笑)
まず録音に入る前、榊間(Drs)が作ってきたデモはほぼ完成形だったのでアレンジ面では特に苦労はなかったのですが、構成がとにかく複雑なために譜面に起こす作業がかなり困難を極めたことを覚えています。その後のレコーディングでも、榊間本人以外は楽譜を見ながらでも各小節の頭がどこなのか全くわからず、リズムに合わせての指差しを目視しながら「はい今!」的にキュー出しつつ録音を進めたと伝え聞いています。(苦笑)
-ミックス、マスタリングやKING DIAMONDのアンディ・ラロッカ(Gt)が行っていますが、こんな感じに仕上げて欲しい、といった様なリクエストは出したしましたか?
N:全体的なサウンドとしての希望を大まかに伝え、それを踏まえての最初のバージョンを送ってもらった後に、微に入り細に入りリクエストを伝えながら最終形に持っていった、という形ですね。
実はその最初のバージョンが、当初伝えてあった希望と大きくかけ離れたサウンドになってしまっていましてね。最終的には前作を遥かに上回る素晴らしいサウンド・プロダクションに仕上がったのですが、あの時だけは本当に焦りました。(笑)
作業については主にメールでやり取りしながら進めたのですが、アンディ側からも「ここはこうした方がいい、こう変えてもいいか?」といった提案があったり、彼がエフェクトを独自に加えてくれたりということもあり、今回も彼に依頼して大正解だったと感じています。
-BELLFASTの世界観、音楽性はとても特徴的で、典型的な日本のメタルとはかなり違います。今更ではありますが、どうしてこの様なスタイルの音楽をやろうと考えたのでしょう?
N:やはりバンドの創始者である松本が“コアなメタルヘッズ”というよりは、“幅広いスタイルを好むロック・ファン”であったことが、他の国産メタルバンドとは大きな違いだと思います。
自分が加入する以前の2001年リリースのデビューEP“Faraway Prayers”の時点で、既に日本のバンドでは通常成し得ない特異なスタイルとなっていました。実際、どちらかと言えば“メタル・バンド”というよりは“プログレッシヴ・ロック・バンド”でしたね。そうした地盤とその後完全洋楽志向だった自分が加わりさらには自分が欧州のフォーク/ヴァイキング・メタルの潮流に完全にハマってしまったという事項が奇跡的な化学反応を起こして、現在のスタイルになったのではないか、と考えています。
-西野さんの目から見て、最近の日本のメタル・シーンはどんな風に映っていますか?賛否はありますが、BABYMETALは世界的にブレイクしています。また国内でもALDIOUSを始めとするガールズ・メタル・バンドも台頭してきています。
N:こういう話になるといつも各方面から怒られてしまうのですが。。(笑)
BELLFASTの総意ではなくあくまで西野個人の意見としては、いわゆる「日本のメタル・シーン」と言われるものに全く興味がなかったりします。よく「日本のメタル・シーンを盛り上げましょう!」とか「日本のメタル・シーンを盛り上るために頑張ります!」といった話を見聞きするのですが、それには大きな違和感を感じます。それぞれのアーティストが発する魅力に共感するファンが増え、そのそれぞれが共鳴し合って出来た大きな流れを外から眺めた時に初めて“シーン”と言えるのではないか、とね。なので“シーン”を意識するのはアーティストや楽曲を商品として配給する会社だったりそれを拡販するメディアだったりで、バンド側としてはそれを意識せず、個々に研鑽を重ねるべきなんじゃないかなぁ、と朧げに思っています。
BABYMETALは、“メタル・シーン”に属しているという感覚は皆無です。多くの人を惹き付け国内外で非常に高い評価を受けている要因はものすごく理解できますが、自分としてはジャニーズ系やAKB系と同系の、音楽よりはその存在感ありきな“極めて優れたキャラクター商品”だという認識なので、全く興味が湧かず・・・。
ガールズ・メタルも同様で、自分の中では男女の性別に分け隔てなくただただ魅力的な音楽に惹かれているだけという前提の中で、注目する魅力的な女性プレーヤーは多数存在します。が、それらが集まって“バンド”となると突然、前述した“キャラクター商品”的な売り方をしている(させられている?)のが目に付いてきて興味が失せてしまいます。
ああ、きっとまた怒られますね、これ。(笑)
-長い間HR/HMの世界に身を置いてきた西野さんならではのコメントだと思います。では、最近、注目しているバンドはありますか?
N:去年〜今年の夏あたりまでは音楽面ではBELLFASTのことに本当に注力してたために他の音楽に接する機会が激減してしまっていたので、なかなか多くに目を配れなかったのですが、そんな中でも国内では名古屋のADRASTEA、海外ではスウェーデンのAIR RAIDに注目しています。
ADRASTEAはとにかく曲とメロディの造りが並外れて優れていて、AIR RAIDは時代錯誤なネオ=クラシカル・メタル愛がとても魅力的。両者ともから感じ取れるポテンシャルの高さには、嫉妬さえ感じますよ。(笑)
-BELLFASTの今後の予定を教えていただけますか?
N:本作”Triquedraco”を携えてのレコ発ライヴツアーを来年2月〜3月あたりで調整中です。その後も、今年は例年よりも多くのショウを各所で行いたいと考えています。
-最後に、ファンにメッセージをお願いします。
N: セカンド・アルバムのリリースを待っていただいた方々、本当にお待たせしました。今回新たにBELLFASTのことを知っていただいた方々、ありがとうございます。
皆さんは我々の渾身の新作”Triquedraco”を気に入ってくれることを願っています。そして今後決まってくるライヴにて、会場で一緒に盛り上がれたら最高です!
これからもBELLFASTの応援お願いします!
-ありがとうございました!
N:こちらこそ、ありがとうございました! 楽しいインタビューでした!
インタビュー:M. Furukawa (2017/10)

Triquedraco / BELLFAST
1. Dragon’s Lament (Prologue)、2. Sign of the Paganheart、3. Boudica、4. Black Mist Island、5. Ancient Celtic Fire、6. When the Sunrise、7. Où Est la Rose?、8. Light、9. 1014 (The Battle of Clontarf)、10. Sword of Victory、11. Inis Mór
トリケドラコ
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