【連載】Hiroのもいもいフィンランド
vol.47「フィンランド期待のハードロ
ックバンドSanta Cruzインタビュー」

昨年のLoud & Metal Maniaで初来日したフィンランドのハードロックバンドSanta Cruzから待望のサードアルバム『Bad Blood Rising』がスカンジナヴィアと日本先行で10月6日発売になりました。その発売日の前夜、ヘルシンキの人気ロックバーThe Riffにてこのアルバムの先行リスニングパーティが開かれました。その会場でジョニー、ミディー、タッズがインタビューに答えてくれました。ニューアルバムについて、昨年のセバスチャン・バックとのUSツアーや来日時の思い出、口笛を吹くのに最適なリップクリームまで語ってくれました。
──サードアルバム『Bad Blood Rising』が明日スカンジナヴィアと日本先行で発売になりますね。
ジョニー:デジタルにはワールドワイドに明日発売だったと思うんだ。明日になったらわかるよ(笑)。CDとしては11月10日にワールドワイドに発売になる。
──発売日前夜の今の心境は?
ジョニー:ほっとした感じだ。
タッズ:とってもいい気分だ。半年ほどこの日を待っていたんだ。
ジョニー:アルバムは5月1日に完成していて、そのあとはプロモとかいろいろとやりながら、レコード会社との契約もできて今に至った。このアルバムの曲をいよいよ披露できるってのはとってもほっとした気分だよ。
ミディ―:やっとこのアルバムをエンジョイできるって気分だ。もう秘密にしなくていいからね。
タッズ:他のみんなも聴くことができるようになったからね。
──じゃこのニューアルバムについて話してもらえますか?どんなアルバムになりましたか?
ミディ―:とってもいいアルバムだよ(笑)。多彩なアルバムだ。前作は同じような曲が収録されていたけど、今回はソフトな曲からハードな曲まで多彩につまっている。
ジョニー:音楽的にはリスクもある。例えば、俺たちは好きでもそれが他の人に受けるかどうかはわからないからね。とにかく1曲づつ、その曲に一番ふさわしいよう仕上げた。無理やり枠にはめ込むんじゃなくて。それぞれの曲から生まれたものをそのまま生かして仕上げたってわけだ。
タッズ:聴く人それぞれにぴったりくる曲があるはずだ。そういう多彩なアルバムなんだ。
──前作と大きく違う点はどんな点ですか?
ジョニー:前作はアルバムを聴き始めてから終わるまでドゥンドゥンドゥンドゥン突き進み続けるって感じだったけど(笑)、このニューアルバムでは途中で息つぎができるって感じ。
ミディ―:もっと情緒的な感じかな。
ジョニー:ニューアルバムはどっちかというと双極性障害的なアルバムかな(笑)。前作は自分たちの進む方向に向かって頑固に同じタイプのサウンドが詰まったアルバムだった。
──このニューアルバムからのファーストシングルは「River Phoenix」でしたが、なぜ曲のタイトルに俳優の名前がついたのですか?
ジョニー:そのタイトルには隠喩的な意味があるんだ。
ミディ―:ひとつでなくいろんな意味が含まれてる。
ジョニー:リヴァー・フェニックスはすでに亡くなった俳優だが、フェニックスは死んでも灰の中から再び蘇り永遠の時を生きる伝説上の鳥でもある。なので、俳優のリヴァー・フェニックスは亡くなっていなくなってしまったが、このタイトルには不死身という意味が込められてる。新しいシングル曲を考えた時、俺たちがまた戻ってくるという意味で灰の中から蘇るこの曲がぴったりきたんだ。でもその前にはリヴァー・フェニックスみたいに地に落ちる必要があるんだが(笑)。
ミディ―:このアルバム収録曲に「Back from the Dead」という曲があって、それも似たような意味を持った曲だけど、表現が違う。
──ラジオロックでアルバム全曲のプレオンエアーがあったのを聴きましたが、「Breathe」という曲はこれまでになかったような曲ですね。
ジョニー:あの曲はこのアルバムの中で他と一番違う曲なんだ。
──あの曲には口笛が入ってますが、誰が口笛を吹いているのですか?
ジョニー:俺!(笑)
──ライブであの曲をプレイするとなったら口笛も吹くわけですよね?
ジョニー:ははは。もちろん明日吹くよ。リップクリームをたっぷり塗らなきゃ。
ミディ―:Labello!(笑)
ジョニー:それが実のところLabelloはよくない。緑のVaselineがベストだ!
──この曲を聴くとGuns N' Rosesの「Patience」が思い浮かんだんですが…
ジョニー:あぁ、アコースティックギターと口笛という同じエレメントがあるからね。
ミディー:どちらもよい曲だよ。
ジョニー:この曲は80年代を思い起こすアコースティックなバラード曲というわけではないんだ。この曲にはもっと深い意味が込められていて、もうずいぶん長い間頭の中にあって、今回やっと完成した曲なんだ。リスクという点ではこの曲が一番そのリスクを持った曲で、これまでに一度もヴァイオリンを入れたことはなかったし。学生の頃の友達にヴァイオリンがうまい奴がいて、この曲にはヴァイオリンが必要なんだとスタジオに呼び出したんだ。ヴァイオリンの他にベースソロもある。
ミディ―:ベースソロはもう芸術品だよ(笑)。
──このアルバムレコーディングのメイキングビデオでいろんなものを叩いて音を出したりしてましたが、あの音はアルバムに収録されているのですか?
ジョニー:大部分はどこかに入ってる。最近はなんでもプログラミングして入れることはできるけど、あーやって自分達で生の音を録音して入れるっていうのはとてもいいと思うな。もしどこかで手の指のバキバキって音が入ってたとしたら、それは誰か他の人のものでなく俺たちの指の音だ。そういう感じに、最初っから最後まで自分たちの音で作り上げたんだ。最近のポップスによく使われてるプログラミングでなく、もっとオーガニックな雰囲気が曲に現れると思う。
──ポップスとかからも影響を受けたりはありますか?
ジョニー:もちろんあるよ。例えば今回のアルバムに入ってる「Bad Habits Die Hard」は最初俺が作ったときはポップな曲だったんだ。それをロックっぽくかえたってわけだ。
──アメリカのAXS TVのリアリティ番組「Breaking Band」に出演しましたが、どうやってあの番組に出演することになったのですか?
ジョニー:その番組のプロデューサーから連絡がはいったんだ。
タッズ:ドノヴァン・リーチ。彼からメッセージが届いた。
──じゃ彼はどうやってあなた達のバンドを見つけたんですか?
ジョニー:YouTubeで見つけたんじゃなかったかな。
ミディ―:それぞれのエピソードで違ったメンターがいて、メンターの一人にセバスチャン・バックがいて、彼がメンターするのにぴったりのバンドをYouTubeで探してて、俺たちが目にとまたってわけだ。
タッズ:そう。偶然に。
──それはラッキーでしたね。そのあとで、セバスチャン・バックとUSツアーにでましたが、そのツアーで特に思い出に残ってることといえば?
ジョニー:「Youth Gone Wild」をステージで一緒にプレイしたことかな。
タッズ:セバスチャン・バックが俺に誕生日ケーキを買ってくれたこと。誕生日がツアー中にあって。こーーーんな大きなケーキだった。ハッピーバースディタジーって!そのあとステージで「Youth Gone Wild」を一緒にプレイしたんだ。とっても楽しい思い出だ。
──セバスチャンがあなた達のステージに飛び入りしたのですか?
タッズ:俺たちがセバスチャンのステージに飛び入りしたんだ。すごく楽しかったよ。
──そのあと去年の秋にはLoud & Metal Maniaで来日しましたね。
ジョニー:あぁ、やっとだった。
──そのライブはどうでしたか。
ジョニー:ソールドアウトで、すごくうまくいったよ。
タッズ:アストロホールがいっぱいに埋まってた。
ミディー:できればもうちょっと長くいたかったな。4日間いただけなんだ。
タッズ:それから何バンドか出演だったからフルセットじゃなかったし。
ジョニー:また必ず日本に戻りたいな。
──次の来日の予定はもう決まってるんですか?
タッズ:それはまだだけど、できる限り早く戻りたいな。
ミディー:今年はもうスケジュールいっぱい入ってるから、来年になると思うけど、来年の早い時期に戻れることを祈ってる。
──では来日で一番思い出に残ってることは?
ミディー:俺が一番驚いて思い出に残ってることは夕飯食べにホテルから出た時、渋谷駅のそばで声かけられて、びっくりなことにパーフェクトなフィンランド語で話しかけられたんだ。え、こんなことがありえるのか?って思いながらフィンランド語で話をしたんだけど、フィンランドでバーから出てきたフィンランド人がしゃべるフィンランド語より上手だったよ(笑)。フィンランドのバンドが好きで勉強したっていってたな。全部の会話がフィンランド語だったんだ。びっくりだったよ。
タッズ:渋谷のスクランブル交差点渡ってたら、いきなりヘイヘイヘイ!って声かけられて袋からCDをとり出してサインを求められてびっくりした。
──ファミリーレストランで食事をした話を聞きましたが?
ジョニー:あ、覚えてる。とっても美味しかった。それと渋谷のホテルをでて少しいったとこに、バーが並んでる古風な通りがあってそこよかったな。そこの一つのバーに入ったんだけど、俺たちだけしか入れないぐらい小さなバーだった。
タッズ:俺たち5人で満員だった(笑)。
ジョニー:5人座れて2人立てるスペースがあったかな。
ミディー:そこのバーに女優って人がいて、アメリカに住んでたといってたな。ホラー映画にでたといってた。
──じゃ、来日はすべてうまくいったってことかな?
ジョニー:うまくいった。早く戻りたくてしょうがないよ。熱心で、バンドをちゃんと評価してくれるファンがいるってことはすごく嬉しい。
ミディー:東京以外の場所にも行ってみたいな。
──日本ではたくさんプレゼントもらいましたか?
ミディー:あぁ、次回行くときはもっと大きなスーツケースに半分だけ詰めて、半分はもらったプレゼントがはいるようあけておかなくっちゃ(笑)
──では最後に日本のファンのみんなにメッセージをもらえますか?


ニューアルバム発売日前日、メンバーはラジオ局巡りなどプロモで大忙しだったようですが、その合間をぬってアーチィは彼がメンバーでもあるユッシ69(The 69 Eyes)、アレキシ・ライホ(Children Of Bodom)、オッリ・ヘルマン(Reckless Love)で結成されたサイドプロジェクトのバンドThe Local Bandの練習があり取材には出席できませんでしたが、最後の写真撮影には間に合いメンバー全員収めることができました。
翌日のアルバム発売日にはヘルシンキのレコードショップでアコースティックのインストアライブがあり、ニューアルバムから3曲にこやかに演奏してくれました。フィンランドのこういうインストアライブの後はたいてい誰でも参加できるミート&グリートになり、この日発売になったばかりのニューアルバムにもさっそくサインをもらえました。メンバー自らカメラマンになって、他のメンバーとファンとの2ショットを撮ってあげてる風景もみられたり、アットホーム的なインストアライブでした。
夜にはヘルシンキの伝統的ライブハウス タヴァスティアにてアルバムリリーズライブが行われました。インタビューでもこのサードアルバムは多彩な曲が詰まってると語っていましたが、ライブでこれまでと大きく違ったのはバラード曲が加わったこと。ジョニーとアーチィがステージに残り、ジョニーはアコギをもって椅子に座り、先日亡くなったトム・ペティの「Free Fallin'」とジョニーの口笛で始まるニューアルバムからのバラード曲「Breathe」を演奏。これがとってもしっくりきて、新鮮に感じました。もちろん他の曲ではギター炸裂!かっこいいハードロックなライブで、ほぼ満杯となった会場が燃え上がりました。
早くまた日本にいってライブやりたいと語っていたので、サードアルバムをひっさげてフルセットでの来日公演実現できるよう祈っておきましょう!

まずは彼らのサードアルバム『Bad Blood Rising』思いっきり聴いて来日が実現できた時に備えてください。


取材・写真・文:Hiromi Usenius

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