【インタビュー】サンタ・クルーズ「
ロック・バンドは何でもやりたいこと
ができる」

フィンランドのヘルシンキから現代版ヘア・メタル・バンドとして登場したサンタ・クルーズが、3枚目のスタジオ・アルバム『バッド・ブラッド・ライジング』を完成させた。モトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズ、デフ・レパード等のHR/HMのファンなら興奮せずにはいられないキャッチーなロック・アルバムだが、彼らの若さを反映したモダンなポップ・バラードも含まれていて、現代的でユニークだ。フロントマンのアーチー・クルーズが、10年前のバンド結成時の思い出から最新作の裏話まで、終始楽しそうに語ってくれた。
――新作『バッド・ブラッド・ライジング』、最高ですね。完成、おめでとうございます。
アーチー:どうもありがとう、嬉しいな。
――まずは、あなたのバックグラウンドから伺いたいんですが、いつミュージシャンになりたいと気づいて、どのように音楽活動を始めたのですか?
アーチー:たぶん11歳の時だったと思う。俺はスケートボードにはまってたんだけど、スケボーのビデオってロックとヘヴィ・メタルがBGMで入っててさ。それで音楽にもはまった。それから、スケーターになるよりも音楽の方がやりたいことだって気づいたんだ。
――今でも、スケボーはやってるんですか?
アーチー:うん。かなりやってるよ。
――当時は、どんなバンドが好きだったんですか?
アーチー:一番最初に大好きになったのは、オジー・オズボーンとアイアン・メイデンだったと思う。その後、モトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズ、ヴァン・ヘイレン、スキッド・ロウとかを聞いて。あと、ザ・クラッシュとかセックス・ピストルズとかのパンクも好きだったよ。
――他のメンバー達とはどのように会ったんですか?
アーチー:14歳の時、初めてジョニーに会ったんだ。彼はすでにギターを弾いてたんだけど、そんなに上手くなくてさ。でも、1年後にまた会ったら、すごく上達してて、髪もかなり長くなってた。Gジャンの背中にW.A.S.P.のパッチをつけててさ、それが俺の目を引いたんだよね。しかも凄いギタリストになってたから、俺のバンドに入ってもらおうって決めた。それで、「一緒にバンドを結成して、サンタ・クルーズって名前にしよう」って彼に言って、バンドを始めたんだ。その約1年後にミディーを見つけて、2年後にタズと会ったんだ。
――ミディーとタズの第一印象は?
アーチー:ミディーは、ヘルシンキのかなり酷いバンドでシンガーをやってたんだよ。それで「こいつは単なるバカなガキだな」っていうのが第一印象(笑)。でも、彼がベーシストとしてオーディションに来てさ。ベースは上手くなかったけど、このバンドにすごく興味を示してくれて、他の人達にはないやる気を見せてくれたから入ってもらった。タズは、当時の俺のガールフレンドが、タズの友達だったんだ。周りの皆が、タズは優れたドラマーだって知ってたんだけど、その時はデス・メタルとかスラッシュ・メタルのバンドでプレイしてて、俺達はもっとロックンロール寄りのドラマーを探してた。でも、タズに聞いてみたら「やるよ!」って乗り気になってくれてさ。それで、4人でリハーサル・スタジオに行って、スキッド・ロウの「モンキー・ビジネス」とかをプレイしたんだ。タズは素晴らしかった。「もっとハードにドラムを叩いて、髪をもっと伸ばしてくれ」ってことだけお願いしたけどね。
――(笑)長髪は、バンドに加入する上で必須だったんですね?
アーチー:その通りだよ(笑)。
――『バッド・ブラッド・ライジング』ですが、制作プロセスはどんな感じでしたか?
アーチー:実は、結構辛かったんだよね。長い時間かかったから。作曲は俺とジョニーが主にやってるんだけど、ジョニーと一緒に作曲するのは、大変な時があるんだ。彼はたまに少し、何というか…。
――反抗的?
アーチー:ちょっとね。でも結果的には、いい作品が完成したから良かったよ。このアルバムは難産だったけど、間違いなくその価値はあった。
――5月に発表されたファースト・シングルの「リヴァー・フェニックス」は素晴らしいロック・ナンバーですね。
アーチー:ありがとう。俺は子供の頃、映画『インディ・ジョーンズ』シリーズの大ファンだったんだ。リヴァー・フェニックスは3本目の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に出演してて、ずっと凄くいい俳優だと思っていた。なのに、あんな若さで亡くなってしまって、彼に同情していたんた。彼は、ハリウッドの犠牲者だったと思う。それで、「リヴァー・フェニックス」ってクールな曲名だと思ったし、若い子達にリヴァー・フェニックスについて知ってもらいたいとも思って作った曲なんだ。
――アルバムには「リヴァー・フェニックス・パート2」という別バージョンも入っていますね。オリジナルよりもポップで、これもまた素晴らしいできですが。
アーチー:実は、パート2の方がオリジナルだったんだよ。でも、ファースト・シングルはもっとヘヴィな曲にしたかったから、「リヴァー・フェニックス」を作ったんだ。
――セカンド・シングルは、決まっていますか?
アーチー:アルバムのオープニング曲「ヤング・ブラッド・ライジング」だよ。メンバーとレーベルの人達が気に入ってて、次のシングルに決めたんだ。
――2年前の前作『サンタ・クルーズ』と比べて、この新作はどこが変化したと思いますか?
アーチー:変化したのは多様性だね。よりポップな要素が入ってると思う。「ブリーズ」とか「ドラッグ・ミー・アウト・オブ・ザ・ダークネス」とか、以前よりポップな曲になってるから。「ブリーズ」はガンズ・アンド・ローゼズとU2とパール・ジャムを掛け合わせたような曲だし、「ドラッグ・ミー・アウト・オブ・ザ・ダークネス」は、ジャスティン・ビーバーが歌ってもおかしくないようなパートが入ってる曲だし(笑)。
――その2曲は私が特に気に入った曲ですが、あなたのお気に入りの曲は?
アーチー:実は「ブリーズ」なんだ。最初にジョニーが、この曲の「パパパーパパー」っていう口笛のパートを思いついた。当時、俺には彼女がいたんだけど、ちょうど別れたところだった。で、ジョニーとスタジオに入ったら、その場でこの歌詞が俺の口から出て来た。すごくクールだったよ。最高の曲って、いつもそんな風に生まれるものだと思うんだ。当時の俺にとってすごく意味のある曲だったし、今でも大事な曲なんだ。感情が大量に詰め込まれてる曲だと思う。曲の最後が特にそうで、ジョニーと「ここに何を加えられるかな?」って話して、U2スタイルの、山の頂上でプレイされるような感じのギターを最後に加えた。それをやりながら、本当に楽しい時間を過したんだ。これは、俺達の“ディズニー・ソング”だよ(笑)。
――素晴らしいバラードだと思います。それに今のあなた達がどれだけ優れたミュージシャンになったかを披露している曲でもあると思います。バンドの進化は実感していますか?
アーチー:うん、確実にね。前作はメタル寄りだったけど、この新作はもっとロックになっているから。俺達の演奏がロック・バンドになってるのを感じる。俺達はもうヘヴィ・メタル・バンドじゃないんだよ。
――それは、この新作で達成したいと思っていたことだったんですか?
アーチー:そうだよ。メタル・バンドは、ある特定のガイドラインに従わなきゃならないけど、ロック・バンドは何でもやりたいことができるからね。
――「ドラッグ・ミー・アウト・オブ・ザ・ダークネス」や「バック・フロム・ザ・デッド」など、これまでになかったダークな内容の歌詞も多くなっていますよね。
アーチー:うん。前作の発表後、俺達はたくさんツアーしたんだ。一杯ツアーをするとパーティーもいっぱいすることになる。そして、2年間パーティーし続けるとどうなるかっていうと、最終的に気分が落ち込むんだよ。それにヘルシンキの冬ってすごく長いんだ。アルバムの制作をしていた冬の間、寒くて外は暗くて、俺はしばらく鬱になってた。それで「バック・フロム・ザ・デッド」の歌詞が頭に浮かんだんだ。
――これらの歌詞は、あなたの失恋体験だけでなくバンドとして全員が経験したことからも来ているんですね。
アーチー:そうなんだ。でも俺は、アーティストは優れた曲を書くためには、ある種の痛みも経験する必要があると思ってるよ。
――サンタ・クルーズは昨年11月に初来日してショウを行なってくれましたが、ぜひまた来日公演を行なって欲しいです。最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
アーチー:前回の来日公演を観に来てくれた皆、ドーモアリガト。最高のショーだったよ。できるだけ早く、また日本に行ってプレイしたいよ。これは本当に本音で言ってるんだけど、俺は日本が大好きで、他のメンバーも日本が大好きだからさ。待ちきれないよ。
取材・文:鈴木美穂

Photo by Viivihuuska

サンタ・クルーズ『バッド・ブラッド・
ライジング』

2017年10月6日 世界同時発売

【CD】 ¥2,300+税

※日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き

1.ヤング・ブラッド・ライジング

2.リヴァー・フェニックス

3.ファイア・ランニング・スルー・アワ・ヴェインズ

4.ドラッグ・ミー・アウト・オブ・ザ・ダークネス

5.ブリーズ

6.ヴォイス・オブ・ザ・ニュー・ジェネレーション

7.バック・フロム・ザ・デッド

8.バッド・ハビッツ・ダイ・ハード

9.ピュア・ファッキング・アドレナリン

10.ゲット・ミー・アウト・オブ・カリフォルニア

11.リヴァー・フェニックス(パート2)

《日本盤限定ボーナストラック》

12.ヘラ・グッド(ノー・ダウト カヴァー)
【メンバー】

アーチー(ヴォーカル/ギター)

ジョニー(ギター/ピアノ/バッキング・ヴォーカル)

ミディー(ベース/バッキング・ヴォーカル)

タッズ(ドラムス/バッキング・ヴォーカル)

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