【May’n インタビュー】
肩肘張らない等身大の私で、
第二章May’nスタート!
4年振りとなるアルバム『PEACE of SMILE』はロック、J-POP、R&B、ダンスミュージックと多彩なジャンルを跨ぎながらも、強烈な明るさとパワーが漲る作品。3種のコンセプトシングルというチャレンジも加わり、仲間との信頼を得てポジティブの極致にいる姿はもはや無敵だ。
3種類の初回限定盤に、それぞれ異なる音楽プロデューサーとタッグを組んだコンセプトシングルを同梱とは、とても面白い試みですよね。このアイデアは一体どこから?
今回アルバムが4年振りなので、アルバムに収録する曲を選定する際に、シングルや配信で耳馴染みの楽曲だけでほぼ埋まってしまうくらいのボリュームがあったんです。それだと新曲がほとんど入れられなくて…物足りない! もっと新曲を作って聴いてほしい! じゃあ、初回盤を3形態にして、それぞれ異なるテーマのシングルを同梱してみたら、いろんなチャレンジができるんじゃないかと思ったんです。
ちなみに、そのテーマとは?
まずC盤はライヴに集ってくれる“ファン=仲間”との絆を歌いたくて、昨年のシングル「Belief」でご一緒したロックバンドのSALTY DOGさんにお願いしました。B盤は年齢的に最近、周りで結婚をする子が増えてきたのですが、私の曲に結婚式で歌えそうな曲って全然ないなと(笑)。それで幸せな恋を歌った曲とか、新たな道を決めたふたりの門出を祝福するような曲が欲しくて、8月に発売をしたWake Up, Girls!さんとのコラボシングル「One In A Billion」のカップリング曲「王様のカデンツァ」でお世話になった宮川弾さんに書いていただきました。となったら、あとは私自身の曲が歌いたいなって。応援してくれているみんなに“私、みんなのおかげで今、ここに立ってるよ!”っていう感謝を伝えたい。これからの未来にワクワクしているような、そんな決意も込められる曲を歌いたくて作ったのがA盤です。いろいろと楽曲を聴いて、今の自分のテーマのイメージに近いなと感じたので、今回、初めましてになるのですが、新田目翔さんにお願いすることにしました。
つまり、ご自分でも未知の可能性を探ってみたかったと。
そうです。今の私って前向きさであふれているんですよ! 今に満足してないから未来を夢見るんじゃなく、過去も今も素敵だから、未来はもっと素晴らしい景色が待ってるはず!ってワクワクできている。だから、リード曲の「Shine A Light」は“光を集めながら輝きたい”って歌っているんです。
何かに目覚めていくような波動を感じる歌ですよね。おかげで、そのあとの楽曲がどんなに多種多様でも、全てが前向きな歩みの1ページなんだと感じることができました。
あぁ、嬉しいですね。
しかし、何がきっかけで、そんなにポジティブなモードになれたのですか?
一番大きいのは、たぶん一昨年に10周年を迎えたことですね。それまで“カッコ良いMay’n”という理想像を追うばかりで、自分自身にはずっと自信が持てなかったけれど、何があっても自分を信じて応援してくれるファンの人たちを目の前にして、“もっと自分に自信を持たないと、この仲間たちに失礼だ”と思うようになったんです。2年前に喉を痛めて手術をした時も、みんな“いつまでも待ってるから”って言ってくれて。なので、手術前にアニメ『アクエリオンロゴス』のキャラクターソングとして提供した「君との今日、わたしの声」を、今回はセルフカバーで収録したんです。今の私があるのも、その時に支えてくれたファンの人たちのおかげなんだってことを伝えたくて。言ってしまえば、この曲が第二章May’nの幕開けの曲なんですよ。
だから、C盤では仲間との絆をテーマにしたと。
そうです。“この仲間たちをもっと信頼しなきゃいけない”と思った時に、アーティストとファンじゃなく親友のような感覚になれて、“もう、この仲間たちに嘘はつきたくない。カッコ付けずに肩肘張らない素の自分も見せていこう”と決めたんです。自分のパーソナルな部分も全部あってこその今のMay’nじゃん!と気付けたから、通常盤のジャケットは私が自宅のカバコレクションと戯れてる写真になってるんですよ。私、実はぬいぐるみが大好きで! 家に500体くらいはあるし…特に集めているのがカバで、海外でも見つけたら必ず買ってるんです。もはや使命感(笑)。
ええ!! なぜカバ!?
もともとコレクター気質で…でも、人と同じものを集めるのは嫌だなぁと考えた時に、本名に“かば”の字が入っていることに気付いたんですね。おかげで、今は700くらいグッズがあります(笑)。それでアルバムのラストに入ってる新曲「バースデイ!〜PEACE of SMILE」の歌詞にも、カバとかクマ、たいやきとかミルクレープっていう私の好きなものが出てくるんですよ。アルバム発売週の10月21日が私の誕生日で、その日に豊洲PITで誕生日ライヴをするから、誕生日ソングが欲しかったんです。誕生日は大好きなものに囲まれる日だと思っているので、曲の振り付けや演出にも私のやりたいことを全部詰め込みました!
そう言えば誕生日ライヴもアルバムも、この曲のサブタイトルと同じ“PEACE of SMILE”ですよね。
最初にライヴタイトルとして付けたワードなんですけど、とにかく今回はライヴでみんなと楽しむことを一番に考えながら制作することができたんですね。なので、誕生日ライヴでも、年末からのアコースティックツアーでも、必然的にこのアルバムの曲をたくさん披露するはずです。前回のアコースティックツアーは手術で中止してしまったので、今回のスケジュールはそのリベンジだとか第二章の幕開けという意味合いも強いし。『アクエリオンロゴス』のタイアップで菅野よう子さんと再会した時に言われたんですよ、“デビュー10年って言うけど、歌手人生はまだ10ちゃいだよ”って。そう言われた時、“もう10年経つのに、私は何もできてない”っていう不安がサッとなくなって、“そうか、歌手としては私、まだ小学生か! まだまだ青春が待ってるんだ!”って思えたんです。なので、信じてくれてる仲間たちにもっといろんな景色を見せたいし、ワクワクを届けていくから、これからの私に今までよりも期待していてください!
取材:清水素子