Blue Hawaii / Versus Game カナダは
モントリオールのデュオが久方ぶりに
放つ新作は、どこか90年代の空気感を
湛えた妖艶なダンス・ミュージック

カナダはモントリオールのエレポップ〜ドリーム・ポップ・デュオ、Blue Hawaiiが先週4年ぶりとなる新作『Tenderness』をリリースしました。今回はそんな新作よりMVが公開されている「Versus Game」をピックアップ。

チルウェイヴの余韻を引きずりながらも、より一層音数を削り取り幽玄なサウンド・スケープを描いていた前作『Untogether』(2013年)リリース以降、2014年にフリーDLで公開された 『Get Happy / Get Happier』(https://soundcloud.com/bluehawaii/sets/get-happy-get-happier) ではジューク的なビートを導入したり、同年に同じくフリーでリリースされたミックステープ 『Agor Edits』(https://soundcloud.com/bluehawaii/sets/agor-edits-tracks) でもディープ・ハウスやグリッチ・テクノ的な要素を取り入れるなど、クラブ・ミュージック〜ベース・ミュージックへ傾倒してきているのが伝わってきましたが、実質的な休止期間を経てのリリースとなった今作『Tenderness』では見事にその芽が開花。

薄いフィルターがかかったかのような、ローファイな質感の無骨なビート、そしてRaphaelleの妖艶なボーカルは、90’sハウスのような往年のダンス・クラシックをも想起させます。しかし、フロア・ユースでありながらも一貫としてアゲ過ぎない、アンニュイなテイストを残しているのも印象的。
なお、本作はオンラインでの関係のみで制作することに挑戦したコンセプト・アルバムとのこと。インターネット上の実際の距離を超えた関係の近さにおける、現実と対比したヴァーチャルな優しさや責任感がアルバムの進行上の重要なテーマとなっているそうです。同じリビングにいながら、携帯電話でやり取りをしている2人の姿が映し出されたジャケット写真からもそのコンセプトが窺えます。

アルバム・リリースに先駆けてMVが公開されていた「No One Like You」も紹介しておきます。
こちらもローファイなビートと憂いを湛えたRaphaelleのボーカルが織り成す、切なくも踊れる一曲。楽曲が展開していくにつれて、ストリングスやパーカッションが絶妙なレイドバック具合を演出。2step〜UKガラージっぽさも薄っすらと感じさせながらも、個人的には何よりもハイハットの音が大きいのが最高です。
【リリース情報】

Blue Hawaii 『Tenderness』

Release Date:2017.10.06 (Fri.)
Label:PLANCHA
Cat.No.:ARTPL-094
Price:¥2,000 + Tax (CD)
Tracklist:
01. Free at Last
02. No One Like You
03. Pregame
04. Versus Game
05. Belong to Myself
06. Prepare for Flight
07. Younger Heart
08. Strummin
09. Make Love Stay
10. Big News
11. Blossoming From Your Story
12. Searching for You
13. Do You Need Me
14. Tenderness
15. Giggles
16. Far Away Soon
17. Remember Then (Bonus Track)

※歌詞・対訳・解説付き
※ボーナス・トラック収録予定
※正方形紙ジャケット仕様

■リリース詳細:http://www.artuniongroup.co.jp/plancha/top/releases/artpl-094/

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