ベッカム「家族と来日したい」 大阪
における統合型リゾートの開発をPR!

統合型リゾート(IR)を開発・運営するラスベガス・サンズが、昨日の10月5日(木)にザ・リッツ・カールトン大阪にて、大阪 IR におけるエンターテイメントの可能性をテーマにしたパネル・セッションを開催。イベントには、同社のブランド大使を務めるサッカー元イングランド代表のデビッド・ベッカム氏やアメリカのロックバンド・イーグルスのギタリストであるジョー・ウォルシュ氏を始めとするスポーツや音楽のエンターテイメント業界のリーダーが参加した。IRが大阪のエンターテイメント業界にもたらす影響について、パネル・ディスカッションを大阪で行うのは今回が初めてだ。
統合型リゾート(IR)とは、地方自治体の申請に基づきカジノの併設を認める区域を指定して設置される、国際会議場や展示施設、ホテル、ショッピングモールにレストラン、劇場や映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などが一体となった複合観光集客施設のこと。日本でもIR 推進法が、2016 年に成立している。日本らしい国際競争力の高い魅力ある観光資源を整備すること、そして観光や地域経済の振興に寄与することが期待されており、大阪府や市は大阪湾の人工島・夢洲への誘致を目指している。
ロバート・G・ゴールドスティーン社長 写真=河上良
イベントは、パネルディスカッションとトークイベントの二部構成で行われた。先に、ラスベガス・サンズのロバート・G・ゴールドスティーン社長が登壇して「日本のIR市場に大きな関心を持っています。エンターテインメントを大阪の開発、観光、経済のツールとしてどのように役立てられるかを考えています」と挨拶。パネルディスカッションでは、ラスベガス、シンガポール、マカオなどで同社が手掛けてきた実績を元に、大阪のエンターテインメント業界の実情と地域に根差した開発を目指すアイディアが語られた。
アーヴィン・エイゾフ氏 写真=河上良
ほとんどの日本人にとっては、あまり馴染みのないIRだが、大阪での開発が進むとどういったことが実現していくのか。身近な例のひとつとして、海外アーティストの来日公演が挙げられる。司会者が「世界的なアーティストが来日した際、東京ではコンサートが開催されても大阪はスキップされてしまう」という実情と原因について質問をなげかけた。これに対して、イーグルスやボン・ジョヴィなど世界のトップミュージシャンをマネジメントしてきたアーヴィン・エイゾフ氏は、「数々のエンターテイナーを40年間、日本に連れてくる仕事をしてきましたが、はっきり言って日本は遅れている。技術レベルは高いものがあってもコンサートを開催する施設がない。しかし、これまで遅れてきたということはこれから追い抜くチャンスがあるということです。日本のエンターテインメントは素晴らしい。大阪は、統合型リゾートが現実化すれば、エンターテイメントの終着地点として大きなポテンシャルを持っています。統合型リゾートができれば、エンターテイメントのジャンルやクオリティーを考えれば観光客だけでなく富裕層も惹きつけ、国際的アーティストのトップ達も大阪に来ることは間違いないし、それにより外国人観光客もショーとパフォーマンスを楽しみに大阪をたずねることになると思います」とコメント。
ジョー・ウォルシュ氏 写真=河上良
エイゾフ氏に呼びこまれ、急きょマイクをとったイーグルスのギタリストであるジョー・ウォルシュ氏も「1976年にイーグルスのメンバーとして初めて来日してから何度も訪れています。今は21世紀で音楽を聴くといっても、映像のプロジェクションが使われたりと変化してきている。そういった面において、残念ながら従来の日本の会場は技術の進歩を取り入れていない。やりたいと思っても、大阪の今のステージではエンターテインメントを披露する場所がない。本当に残念なことです。ドームなどはそもそも音楽イベントを披露する場所ではないですからね。みなさんですべての人が楽しめる場所と新しいコンセプトを考えてほしい。そういった新しい施設ができたら、私もオープニングで出ますよ」と、アーティストの経験をふまえながら、今後の可能性についても言及した。
アラン・リッジウェイ氏 写真=河上良
これを受けて、Live Nation 社の海外・新興国市場部門責任者であるアラン・リッジウェイ氏は、「施設や場所があれば、世界から多くのアーティストがやってくる。それはショーケースといて日本のアーティストを海外の人に観てもらえるチャンスになる。SEKAI NO OWARIが海外ツアーで彼らのプレゼンスを高めたようにね」と、日本のアーティストが世界で注目されるきっかけにもなると語った。
ティム・レイウェック氏 写真=河上良
また、スポーツエンターテイメントやアリーナ及びスタジアムの運営に関わってきたオーク・ビュー・グループの CEO ティム・レイウェック氏も同じく施設面の問題に言及。同じアジアでもIRの開発が進んでいるシンガポールやマカオでは、世界的なアーティストのコンサートやプロバスケットボールリーグのNBAが開催されていることに触れ、リッジウェイ氏は「アジアにおいて最も重要なマーケットは日本。しかし、施設がないために開催できなかった。これを機に、大阪を世界の水準に引き上げることができる」とアピールした。
デビッド・ベッカム氏 写真=河上良
トークイベントで登場した、デビッド・ベッカム氏は「日本は私にとっても大切な場所。ここでも何度も試合をしています。ここに来れたことは、非常にエキサイティングでした。沢山の温かいサポーターの方と出会うことができ、私にとっても家族にとっても特別な場所」と日本への愛着と思い出を語り、「大阪はとてもダイナミックな都市であり、統合型リゾートに対する情熱に大変感銘を受けています。大阪がこの計画を実行することを望んでおり、家族で訪れたことがないので、実現すれば私も家族とぜひ大阪に来たいと思っています」と、来日を熱望しているとコメント。また、子供が日本食が大好きだというエピソードも披露した。
デビッド・ベッカム氏 写真=河上良
また、ベッカム氏はラスベガス・サンズについて、「今までとは違ったことをベストに実現させる人たち。確かに華やかな施設ですが、施設の周りにあるコミュニティのことを忘れていなところが大切。私もチャリティや子供たちの関りを常に考えているので、パートナーとして仕事をさせていただいています」と理念に共感していると明かした。
今回のイベントを通して、IRはカジノだけでなく、コンサート会場やスポーツ施設に劇場など、世界レベルのエンターテインメントが楽しめる場所の提供と地域発展の可能性と広がりがあるということが分かった。IRの開発が進み、大阪でも世界に誇る特別なエンターテインメント体験が実現されることに期待したい。

文・大西健斗 カメラマン=河上良

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