【ライヴレポ】Lenny code fiction、
『LIVE TOUR 2017 “AWAKENING”』ス
タート!覚醒の始まりを感じさせた東
京公演!!

デビューから1年が過ぎた。この間に、多くの人の心を摑む音楽センスを披露してきたLenny code fictionが、9月26日、東京・SHIBUYA WWW Xにてライヴを行った。『LIVE TOUR 2017 “AWAKENING”』と掲げたツアーの幕開けでもある。
今夜は対バンを迎えての公演だ。まずオープニングアクトとして登場したのは横浜在住のバンド・QoN。「まだまだ無名」と、自らのバンドを言い表すボーカルの犬童一憲。その目線から吐き出されるフレッシュなエネルギーと、今と未来に笑顔を増やす音楽が印象的である。
2番手はスリーピースバンド・CIVILIANだ。上手に設置しステージ内側に向けたドラムセットにつく有田清幸と、ベースの純市が阿吽の呼吸で生み出す本能に直結した躍動的なグルーヴ。ギターを掻き鳴らしながら、そして時にギターを弾かずリズム隊のみが鳴るその上で、歌うコヤマヒデカズ。生きていく中で感じることを繊細に拾い、見つめ、音楽にして進んでいく。そんなステージの3人にオーディエンスは声を上げて応えていた。
続いたのはHello Sleepwalkersである。シュンタロウとナルミという男性と女性によるツインボーカル、さらにはシュンタロウとナルミ、タソコの3本のギターアンサンブル。それらを支えるタイトなリズム隊。この強みを活かした彼らの音楽とパフォーマンスはパワフルかつ変幻自在。言葉にも“心への引っかかり”が埋め込まれていて、楽しみと世界観への興味を駆り立てていく。「Walker Ant」での<もくもく働こう>というコール&レスポンスで客席をグッとひとつにしていった。
3バンドがエール代わりに温めた会場にSEが轟き始める。赤い照明を受け、KANDAI、kazu、ソラが数分の時間を空けながら順に姿を現して、それぞれ音を重ねていく。そのアンサンブルが響く中、航が登場。Lenny code fictionのツアーが始まった。
届く歌が胸を締めつける。記憶の中にある景色とそこにあった色を鮮明に浮かび上がらせる航の歌声。曲は4月にリリースした「Colors」だ。ビートを展開させていくKANDAIのドラム、そこにドッシリと厚みを加えていくkazuのベース。華を添えるソラのギター。それらは前回のツアーの時よりも破壊力を増している。そしてそれでも揺るぎなく軸となって届くメロディの存在が、このバンドの大きな武器のひとつだと突きつけてくる。
しかもメロディの秀逸さは、攻撃的なナンバーでも損なわれることはない。シンバルを叩きながら、KANDAIがマイクに向け叫び煽った「Showtime!!!」では、演奏と歌が一体となってスリルを撒き散らす。思い入れの大きさからくる緊張感、期待感、前のめりな意気込み……ツアー初日ならではの感情は、確かにステージの4人から感じる。だがそれらをいいエネルギーとして彼らは燃焼させていく。これも春から夏にかけてフェスに出てきた経験から得たものだろう。
そして、何より今夜の彼らは集中力がハンパなく高い。
「この全国ツアー。12月の東京・恵比寿リキッドルームまで参加してくれた全員と駆け抜けていきたいと思います」
そうMCしたのはKANDAIだ。すぐさま演奏&歌に入ると、4人は楽曲の深淵に向かって潜っていく。ギターを弾きながらクルリとターンを決めるソラ、体を前に“く”の字に折り、時に姿勢を低くして床スレスレでベースを弾くkazu。ソリッドに多彩なビートを生むKANDAI。航は目をギラつかせながら、ギターをストロークし歌う。まずパフォーマンスと演奏と歌でドープな世界を作り、その空間をミュージシャンとして楽しんでいる。そしてそこに観る者を引き込んでいく。それは時に熱く、セクシーで、ズバッと言葉が心を突き刺す、極上の快楽を孕んだ空間だ。
客席フロアではオーディエンスが拳を振り上げている、共に口ずさんでいる。楽曲が切り替わるとすぐにノリを変えている。Lenny code fictionが発してきた音楽がひとりひとりに浸透していることがわかる。そんな彼ら、彼女らが4人の届ける音楽をより深いところで楽しんでいる、生きる支えにしている、そう感じられるのが、この場所だ。そんなライヴが行き着いたのは、光の当たる、ハッピーな世界だった。
「必死で搾り出した曲です」
ライヴの後半、航が今夜初めてのMCをする。そうして始まったのは、彼らの2ndシングル「Flower」だった。客フロアを照明が照らす。KANDAIが満面の笑顔で叩いている。ソラとkazuが向かい合い演奏している、言葉を搾り出しながら歌う航の表情にも柔らかさが滲み出ている。オーディエンスもクラップをうち、リズムをとり、口ずさんでいる。今、SHIBUYA WWW Xに広がる世界は、まるで深い海に潜っていった先に、日だまりと明るい色彩の溢れる空間があった、そういった感触だった。もちろん潜っていく最中にも楽しみがあったのだけれど、後半にきてその質が変わったのだ。そして、ディープで濃い世界を抜けないとこの景色は観られないし、ここまでハッピーな感情が体に満ちることはない、と思える場所でもあった。
すべての演奏が終わった時、航が「楽しかった」とそっと呟いた。その声は小さくて聞こえなかったが、唇がそう動いていた。つまりそれは、彼の心から湧き上がってきた素直な気持ちなのだろう、そう思った。
“AWAKENING”=“目覚め。覚醒”。この言葉を掲げて、彼らは、恵比寿リキッドルームでのワンマン公演まで、全国を回っていく。そこで多くのものを得て、目覚めていくわけだが、彼らの覚醒はもう始まっていると感じた初日だった。
写真/タカハシ ハンナ 文/大西智之

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