レオン・ラッセル、遺作で見せた心か
らの叫び
2016年11月13日に亡くなったレオン・ラッセルの最後のアルバム『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』が9月27日発売された。今作は彼が生前最後に録音した曲の数々を収録。2016年、心臓手術から回復しつつある中で、レオン・ラッセルは今作の制作を通して、新しい成功を手応えとして得ることができた。
彼が新たな活動のきっかけを得ることになったのは2010年、エルトン・ジョンとのコラボ作『ザ・ユニオン』のおかげで、これによってレオンは再び脚光を浴び、大規模なツアーと新作を録音する機会に恵まれる。
レオン・ラッセルの妻のジャン・ブリッジズは、“彼のやりたい事が活かされた最後のレコーディングだった。『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』は、レナード・コーエンの遺作となってしまった『ユー・ウォント・イット・ダーカー』と通じるものがある”と語る。
オープニングを飾る「オン・ア・ディスタント・ショア」では、《誰かの葬儀が/ここで始まろうとしている》と、レオン・ラッセルは彼の特徴ある声を震わせながら歌う。そして、《僕の番なのかも知れない》と……。一方、彼の娘であるシュガリー、ノエル、ココの3人は、この曲でDio Do Waddy Waddyとバックヴォーカルに参加し、流麗な演奏はその歌詞《バイオリンの調べが聞こえる/こうして物語は終わるのか/そして僕は彼岸で途方に暮れている》を彩る。こうして、感動的な名作は幕を開けていく。
今作はレオン・ラッセルが偉大なるアメリカンジャズやポップスタンダードからインスピレーションを受けた作品で、レオン自身の名曲中の名曲3曲「マスカレード」「ハミングバード」「ア・ソング・フォー・ユー」もラリー・ホールのオーケストラアレンジで再び収録。ほかには、ブルージーな「ブラック・アンド・ブルー」、壮大な「オン・ザ・ウォーターフロント」、まるでかつての友人ジョー・コッカーが歌っているような「ラヴ・ディス・ウェイ」などが聴ける。これらの曲がいつしかスタンダードになるか、いつまでもお気に入りの歌になるか。いずれにせよレオン・ラッセルは、この『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』を前にして誇らしげに笑うだろう。
“レオンはずっとスタンダード・ナンバーを書きたいと思っていた”とジャンは付け加える。“ああいう音楽こそが重要だと彼は思っていた。多くの歌が消えていく中で、スタンダードはいつまでも生き続けると”。
自身も時代を超える音楽とは無縁でないレオン・ラッセルだが、1960年代にフランク・シナトラ、ローリング・ストーンズやビーチ・ボーイズらのアルバムにピアノで参加し、優秀なスタジオミュージシャンとしてまず注目を浴びる。70年代には、自身のレーベル、シェルター・レコーズを立ち上げ、ソロとしての活動を始める。野性味あふれる長髪と、獰猛とも言える仕事への姿勢で、ラッセルは20世紀以降独自の道を邁進してきた。ジョージ・ハリスン主催の『バングラディッシュ・コンサート』にも出演。ゴールドディスク認定アルバムを次々と発表していった。
“レオンは不器用なロマンチストだったわ。心の優しい人”――妻のジャンは説明する。
“私からすると、彼はずっと、親しい人たち以外からは謎めいた存在だった。でも、このアルバムは、自分の感情を見せるチャンスだったの。「ジャスト・リーヴズ・アンド・グラス」という曲では彼の心からの叫びを聞くことができる。あれはウソじゃない。彼は感情的な人で、ライヴではそれを見せていた。『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』はそんな彼の肖像よ。正確な肖像”。
彼が新たな活動のきっかけを得ることになったのは2010年、エルトン・ジョンとのコラボ作『ザ・ユニオン』のおかげで、これによってレオンは再び脚光を浴び、大規模なツアーと新作を録音する機会に恵まれる。
レオン・ラッセルの妻のジャン・ブリッジズは、“彼のやりたい事が活かされた最後のレコーディングだった。『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』は、レナード・コーエンの遺作となってしまった『ユー・ウォント・イット・ダーカー』と通じるものがある”と語る。
オープニングを飾る「オン・ア・ディスタント・ショア」では、《誰かの葬儀が/ここで始まろうとしている》と、レオン・ラッセルは彼の特徴ある声を震わせながら歌う。そして、《僕の番なのかも知れない》と……。一方、彼の娘であるシュガリー、ノエル、ココの3人は、この曲でDio Do Waddy Waddyとバックヴォーカルに参加し、流麗な演奏はその歌詞《バイオリンの調べが聞こえる/こうして物語は終わるのか/そして僕は彼岸で途方に暮れている》を彩る。こうして、感動的な名作は幕を開けていく。
今作はレオン・ラッセルが偉大なるアメリカンジャズやポップスタンダードからインスピレーションを受けた作品で、レオン自身の名曲中の名曲3曲「マスカレード」「ハミングバード」「ア・ソング・フォー・ユー」もラリー・ホールのオーケストラアレンジで再び収録。ほかには、ブルージーな「ブラック・アンド・ブルー」、壮大な「オン・ザ・ウォーターフロント」、まるでかつての友人ジョー・コッカーが歌っているような「ラヴ・ディス・ウェイ」などが聴ける。これらの曲がいつしかスタンダードになるか、いつまでもお気に入りの歌になるか。いずれにせよレオン・ラッセルは、この『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』を前にして誇らしげに笑うだろう。
“レオンはずっとスタンダード・ナンバーを書きたいと思っていた”とジャンは付け加える。“ああいう音楽こそが重要だと彼は思っていた。多くの歌が消えていく中で、スタンダードはいつまでも生き続けると”。
自身も時代を超える音楽とは無縁でないレオン・ラッセルだが、1960年代にフランク・シナトラ、ローリング・ストーンズやビーチ・ボーイズらのアルバムにピアノで参加し、優秀なスタジオミュージシャンとしてまず注目を浴びる。70年代には、自身のレーベル、シェルター・レコーズを立ち上げ、ソロとしての活動を始める。野性味あふれる長髪と、獰猛とも言える仕事への姿勢で、ラッセルは20世紀以降独自の道を邁進してきた。ジョージ・ハリスン主催の『バングラディッシュ・コンサート』にも出演。ゴールドディスク認定アルバムを次々と発表していった。
“レオンは不器用なロマンチストだったわ。心の優しい人”――妻のジャンは説明する。
“私からすると、彼はずっと、親しい人たち以外からは謎めいた存在だった。でも、このアルバムは、自分の感情を見せるチャンスだったの。「ジャスト・リーヴズ・アンド・グラス」という曲では彼の心からの叫びを聞くことができる。あれはウソじゃない。彼は感情的な人で、ライヴではそれを見せていた。『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』はそんな彼の肖像よ。正確な肖像”。