L→R 飯田祐馬(Ba)、谷口 鮪(Vo&Gu)、小泉貴裕(Dr)、古賀隼斗(Gu)

L→R 飯田祐馬(Ba)、谷口 鮪(Vo&Gu)、小泉貴裕(Dr)、古賀隼斗(Gu)

【KANA-BOON】
4人で大切に育てた12曲の結晶
最新アルバム『NAMiDA』完成!

アルバムをリリースするのは1年7カ月振り。さまざまな新しいアプローチを取り入れつつ、バンドの核にあるものを大切に磨き上げている今作『NAMiDA』は、どのようにして誕生したのだろうか? メンバーたちにじっくり語ってもらった。

その時だから鳴らせた音は
その曲にとっての正解だと思う

去年、夏フェスが終わったくらいの時期にみんなでキャンプに行っていろいろ話し合ったそうですが、その時点で今回のアルバムについての話も出ていました?

谷口
具体的なテーマに関しての話はなかったですけど、音についての話はしていました。前回のアルバムの『Origin』は“力強い音”というのを目標にしていたので、それを継続しつつ、新しいやり方を試したいというようなことを、みんなで話し合った記憶があります。

まさにそういう制作になりましたね。

飯田
はい。キャンプに行ったこともそうですけど、今回のアルバムはゆっくり自分たちを見つめ直しながら作れたんです。鮪が送ってきたデータにじっくり向き合ったり、鮪の家でプリプロをしたり、ゆとりのある制作でした。“この曲はこのベースがいい”とか、いろいろ試しながら機材選びをしたのも今までとは違っていたところでしたね。その結果、全体的にカラフルなものになったと思っています。
古賀
ギターもいい音が録れました。例えば「バイバイハロー」のギターソロは多彩なニュアンスを出せた手応えがあるんです。気持ち良く録れたし、個人的にも気に入っています。今回のアルバムは全体的に、これまで培ってきたものがかなり詰め込まれていますね。
小泉
プリプロをじっくりできたというのが良かったと思っています。それぞれの曲について丁寧に考えることができましたから。あと、録音スタジオを変えたり、スネアをいろいろ試したりしたのも大きかったですね。各曲に合ったいい音で録ることができたと思っています。

4人で曲を大切に育てた制作だったということですね。

谷口
はい。僕の家にみんなで集まってプリプロをした段階で、全員が曲のイメージをしっかり掴んでいましたから。

鮪さんの家に集まってプリプロをするというのは、今までやっていなかったのですか?

谷口
やってなかったです。作業をできる環境がなかったんですよ。去年からそういう環境作りをじっくりしていたので、活用することができました。狭い部屋だから4人全員が入るときついんですけど(笑)。でも、みんなで作業したことによって、僕が思い付いたイメージを共有しながら進めることができました。

シングルで「Fighter」をリリースした時、“KANA-BOONのマッチョ化計画が進んでいる”っておっしゃっていましたが、今作はそういう面も出ていますね。「ディストラクションビートミュージック」とか「人間砂漠」とか、すごく力強いサウンドを発揮しているじゃないですか。

谷口
どっしりした感じが出たと思います。自分たちの曲の乗りこなし方が上手くなったのかもしれないですね。
小泉
「ディストラクションビートミュージック」や「人間砂漠」はまさにパワーがないといけない曲だったので、ドラムでもしっかりパワー感を出すようにしました。
飯田
今までだったらもう少しBPMを速めにして軽めのものにしていたような曲も、ちゃんとじっくり表現できるようになってきたんだと思います。
古賀
ギターに関しては先に録ったベースとかドラムの音を聴いて、その低音に負けないように音作りをしました。そういうのもパワー感につながったのかもしれないですね。
谷口
4つ打ちの曲は“お客さんと共有して楽しむ”というイメージですけど、それ以外のビートは“お客さんに投げかける”というような感覚なんですよね。まさに「人間砂漠」はそういうところが出ていると思っています。

“人間砂漠”っていい言葉ですね。人が多いのに殺伐としている都会の風景が浮かびます。

谷口
ちょっと重たい内容ですけど(笑)。アルバム制作のかなり後半で書いた歌詞です。今回は歌詞もいいものが書けたと思っています。言葉遊びみたいなことはずっとやってきてたんですけど、今って世の中はラップブームじゃないですか。そういう影響も出ていますね。去年辺りから『フリースタイルダンジョン』にはまって、友達からいろいろ教えてもらったりもするようになったんですよ。“ロックとヒップホップは共通するところもあるんだな”と感じるようになりました。スタジオ練習でフリーセッションする時とか、ちょっとそういう影響が出たりもしています。

古賀さんをラップでディスってみたり?

谷口
それは今後、ぜひやりたいですね(笑)。
飯田
全員で古賀をラップでディスし始めるかもな。
小泉
あり得る!
古賀
ダメージを喰らって、俺のギターの音、どんどんリズムに乗れなくなってくるかもしれないぞ(笑)。
谷口
どんどん盛り下がるセッション(笑)。

(笑)。歌詞のテーマに関しては、後戻りできない人生の中で生まれるさまざまな可能性のイメージが「way back no way back」「バイバイハロー」「涙」とか、いろんな曲に表れているのが印象的でした。

谷口
今までも別れとかを描くことがよくありましたけど、今回はその先にある出会いや可能性を描けました。それは成長なのかもしれないですね。ちゃんと大人になっているっていうのを実感しました。アルバムのタイトルは“NAMiDA”ですけど、“涙”は切なさや悲しさだけじゃなくて喜びとも結び付いているものですし、いろんな感情とつながるじゃないですか。アルバムの全体を表しているものだと思ったので、このタイトルにしました。

今作は大人っぽさも出ていると思いました。

谷口
どうなんでしょう?(笑) でも、色気のあるメロディーは多いですね。歌声によって出る“少年性”みたいなところはこれからも変わらないと思うんですけど、そういう変化はあるのかもしれないです。
小泉
変化は僕もいろいろ感じます。鮪が打ち込みで作ったデモのリズムが新鮮でしたし、僕が今までに叩いたことがないようなリズムもたくさんあったんですよ。僕の手癖を鮪はよく知っているので、それ以外のものをどんどん入れてきているんでしょうね。
谷口
僕はメンバー全員の手癖をよく知っているんです。やっぱり今までになかったことをやってほしいですし、作品を作るごとに成長してほしいんですよ。僕は自分が作った曲に関しては、ちょっとでもニュアンスが違うと“それは違う”ってメンバーに厳しく言うんで。今回も“こんなに言われるの嫌だろうな”と思いながらも、しっかり伝えてレコーディングをしました。その結果、僕が思っていた以上にいいものになったと思っています。
飯田
もとのデモでしっかり示されていたものがあったので、イメージは掴みやすかったですよ。それはメンバーそれぞれが感じていることだと思います。

初期の作品と今回のアルバムを聴き比べると、個々にいろいろな成長を感じるのでしょうね?

谷口
そうですね。でも、その時だからこそ出せる音もあるので、過去の音も大切にしていきたいです。その時だから鳴らせた音って、その曲にとっての正解だと思っていますから。

還暦を迎えた未来のKANA-BOONも『NAMiDA』を聴いて、“これは2017年の正解だった”と感じるのでしょうね。

谷口
そうだと思います。まぁ、還暦を想像すると、不思議な気持ちになりますけど(笑)。

OKMusic編集部

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