近藤晃央、ニューシングル『存在照明』インタビュー

近藤晃央、ニューシングル『存在照明』インタビュー

近藤晃央、ニューシングル『存在照明
』インタビュー

「元々5年で終わらせようと思っていたプロジェクトだったんです。」取材の冒頭、衝撃的な発言に驚いた。2012年9月にシングル『フルール』でメジャーデビューした近藤晃央。デビュー5周年を迎える今年9月13日、ニューシングル『存在照明』をリリース。音楽業界からも定評のある近藤の歌声と独特な楽曲センス。そんな彼が、楽曲への想いと音楽へ対する向き合い方について語ってくれた。

ー デビュー5周年にあたり、オフィシャルの動画インタビューでは5周年をあまり意識していないように感じました。

そうかもしれません。、勿論積み重ねではありますが、この世界で10年、20年、30年と続けているアーティストの方が多い中で、「5周年!」って言ってもそこまで説得力なくて。だからどちらかというと「5周年」はフレーズとして使わせて頂いている感じかもしれないです。キャッチコピーのようなものというか。

ー じゃあご自身の中でも5周年だから分岐点という考えではないようですね。

でも、元々5年で終わらせようと思っていたプロジェクトだったんです。

ー え、そうなんですか?!

と言いつつ5周年の現在、何も決めていないんですけどね。まあスタートが遅かったというか、10代でデビューというわけでもないので、まず5年やってみようというところから始まったんです。そこで5年経って、周りのスタッフ含め、もっとやれることがあるんじゃないかと思えば更に続けようって。勿論気持ちの部分ですけどね。でも僕、元々裏方だったので表舞台にはこだわっていないんです。だから結局は音楽とは関わっていくと思うんです。その形をどうするかというだけで。自分が真ん中にいなきゃいけないか?って言われたら、必ずしもそうではないし。まあまだ5周年を迎えていないので(取材時)、実際迎えた時に何を思うか僕自身分からないですが、今はまだ周りを含め僕自身もまだ完全に納得している状況ではないですね。

ー ホッとしました(笑)。

まあこの先、決まっていることもありますし。ただ、だからといってこの先10年、20年というビジョンは見ていないかな。でも決して辞めたいわけではないんです。元々長期的なビジョンで見ていなかっただけで。

ー 元々、表舞台に執着していなかったとはいえ、何故そう思っているんでしょう?

なんだろう…散り際って美しいと思うんです。永遠に続けることの素晴らしさもあるけど、瞬間的だからこそ美しいものもあるんじゃないかなって。あ、でも別に終わりに向かっていくわけじゃありませんよ。

ー ええ(笑)。

ただ自分の中で「ここだな」と思った段階が来たら、身を引きたいと思ってはいます。だから5年過ぎたら、次10年を目指すのではなく、5年と1日を目指す感じ。

ー そう考えると、惰性の日がない感じがします。

そうですね。音楽をしていることは本当に楽しいし、辛いことがあった=辞めたいというわけでもなくて。ただアーティストとして一生音楽をやっている姿が想像出来ないんです。だからもしかしたら違うアーティストを育成しているかもしれないですね。

ー これだけ歌も巧くて声も良くて楽曲力もあって、更にミーハー的な発言をすれば、顔もカッコ良くて身長も高くて…

アハハ。

ー そういう人が前に出ないでどうするの!?っていう気がしてしまうんですが(笑)。

そう言ってくださる方がいるのは本当に勇気が出るんですが、元々テレビとかも出たくなかったですし、もっと言えば顔を出すのも嫌だったくらいだから、なんでこんな風になったんだろうって、たまによく分からなくなったりするんですけどね。デビュー当時、TOHOシネマズの「TOHOシネマズメッセンジャー」として、僕のショートムービーがTOHOシネマズ全館で流れたんです。あれはあれですごく楽しかったし良い経験にはなりましたが、内心“あれ?言われていたのと違う”と思って。

ー アハハ!…とはいえ、5周年。一応と言っては何ですが、おめでとうございます!

ありがとうございます!

ー 9月13日にはニューシングル『存在照明』をリリースしますが、昨年出来ていた曲だと伺いました。

そうなんです。その当時タイアップのお話を頂いて。ちょうど昨年4月にアルバム『アイリー』をリリースして各地を回っている頃に、10月から始まる作品の主題歌としてお話を頂いたんです。そんなに時間もなかったしキャンペーン先のホテルとかで曲作りをしていたんですが、残念ながらタイアップ決定にはならず、そのままお蔵入りだったんです。まあそういう楽曲ってめっちゃいっぱいあるんですよ!

ー そうなんですか。

やはりテーマがあっての作品なので、そこで使われないと自分の中で使いどころが見つけられなくて、大抵はそのまま日の目を見ないんですがこの曲は出来た当初から周りの評判も良くて。だからいずれ何かのタイミングで作り直しても良いと思っていたんです。

ー それが今回のタイミングだったわけですね。

そうですね。

ー 確かに、“テテ”や“ブラックナイトタウン”ともテイストの違うアッパーなサウンドだし、ここまでイントロレスで疾走感のあるバンドサウンドは新鮮でした。

あまりなかったタイプだと思います。テンポも今までで一番早いし。

ー 今回リリースにあたって、ブラッシュアップは結構したんですか?

歌詞は結構変わりましたが、メロディラインは変わっていないです。元々タイアップ用に1分30秒だけ作ってあったので、今回リリースが決まってから他の部分を肉付けしていきました。歌詞に関しても同じように後から書いた部分が多いので、視点か似ているようで似ていない部分がちょっとあって。勿論始まりはタイアップの主題歌としての共通テーマから受けたインスピレーションですが、今までにないくらい前向きな自分がいますね。

ー それはタイアップで求められたテーマがそういう部分だから?

それもありますし、当初作っていたタイミングがアルバムリリース間近ということも関係していると思うんです。結構視界が開けているというか、アルバムとして既に作り終わったものを広めていくタイミングの自分が作りはじめているので。

ー まさに前を向いてる感じ。

そうです。多少の邪心はすぐに拭い去れるくらいな。だからそういう時期の自分を今の自分が引き継ごうとしてもあまりプラスには向かなくて。ちょっと引いてしまうくらいな感じだったんですけど、それを1番と2番で対極に描くことで良い形になったと思います。1番は奮い立っている方で、2番は奮い立たしている方。そういう感覚の違いはあると思います。

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