【インタビュー】仲井戸“CHABO”麗
市、明日をポジティブに見つめるエネ
ルギーに満ちた13年振りソロアルバム
『CHABO』

2015年デビュー45周年を迎え、先日9月6日に渋谷公会堂でおこなわれたワンマン・ライヴでは、35年振りの古井戸から始まり、RCサクセション、麗蘭、そしてソロと、3時間半に亘り歩んできた道のりをたっぷりと披露、詰めかけたファンを酔わせてくれた仲井戸“CHABO”麗市。9月16日リリースの13年振りのオリジナル・ソロ・アルバム『CHABO』は、CHABO BAND土屋公平、梅津和時、片山広明といった盟友たちと共に創り上げられた珠玉の楽曲が並ぶ、彼の音楽を聴き続けてきた者にとっては宝物のようなアルバムだ。決して今を嘆くことなく、ポジティブに明日を見つめるエネルギーに満ちた、それでいてリラックスして楽しめる今作は、まさに現在の“CHABO”そのものなのだろう。穏やかに、そして雄弁に語ってくれたロング・インタビューを楽しんでほしい。
■日常に圧し掛かるものが歌でどれだけ突き破れるかどうかはわからないけど

■希望も含めて“歌”はポジティヴでありたいし“歌”ってそういうものだと思う
──まずはアルバムが完成した現在の率直なお気持ちを訊かせて下さい。
仲井戸麗市(以下、仲井戸):ものすごく簡単な言い方になっちゃうけど、「やれて良かった、なんとかできたな」という感じですね。
──今作は45周年という区切りをきっかけとして制作が始まったのでしょうか?
仲井戸:45周年で色んなことを計画してくれているからアルバムが無きゃな、というのはもちろんあったんだけど、それまでの13年間はアルバムを自分がやる必要性、必然性みたいなものが持てなかったんだよね。通常のミュージシャンならば、アルバムを作ったりツアーをやったりというサイクルが普通だと思うし、自分もそういうことでずっとやってきたけど、ある時期から「とにかくライヴがやりたい」と。ライヴじゃないと自分がもう成り立たないというか。13年間の自分の日常の生活のタッチが、スタジオに入っている気分ではなかったんだよね。遠回しな言い方だけど、日常に追い回されちゃってもっと「働く実感」がないと、自分が成り立たない日常だったから。もっと言うと俺の年齢から叩きつけられる親の問題とか、そういうことがあって。とにかく自分が親を守るには自分が動かなきゃっていうことで、レコーディングなんてしている環境に自分が入れなかったということが非常に大きかった。ひとつの要因として。
──1曲目「やせっぽちのブルース」を始め力強い楽曲が並んでいます。13年の月日がチャボさんをタフにポジティヴにしたからこそ完成したアルバムなのではないでしょうか。
仲井戸:そうでありたいし、そうだと思う。もっと言うと俺はソングライターの端くれとすれば、歌くらいポジティヴでありたいというか、“歌こそ”でも良いんだけど。日常に圧し掛かるものが歌でどれだけ突き破れるかどうかはわからないけど、でもせめて、希望も含めて歌くらいはっていうことはあるし、歌ってそういうものだと思うから。やっぱりポジティヴに描くということはそうでありたいし。ここ4、5年の自分の環境から生まれた歌がこのアルバムには多く収まっているから、そんな風に感じてもらえたなんじゃないかな。
──制作はDr.kyOnさんと2人でのプリプロダクションから始まったのですが。
仲井戸:kyOnとは付き合いが長いんだけど、彼とこんなにがっぷり組んだのも初めてっていう感じで、プリプロは2日間やらせてもらった。基本的に俺はソングライターを始めた最初から、自分の楽曲が8割方言葉が出来ていないとスタジオに入れないタイプなんだよね。そういう素材を持ってkyOnにイメージを伝えて、具体的に向こう(海外)のこんなタッチの曲、とかいうやりとりをしてデッサンして行きました。
──選曲をする上でのテーマはありましたか?
仲井戸:割と昔からあんまり頭からこのテーマで行く、というタイプでもないんだよね。なんとなくそのときに、日々歌を書きたい奴だから。まあ2、3曲その時代の核になる曲が生まれてくると、その2、3曲が自分の中のテーマというか、そのときのフィーリングの大きな核になるものだと思う。
──例えば『My R&R』(1999年発表)のときには、「ガルシアの風」や「いいぜBaby」といった曲が出来たことがアルバムを作るきっかけになったとおっしゃっていたと思うのですが、今回はそれに当てはまる曲ってありますか?
仲井戸:「My R&R」と「ガルシアの風」みたいに、アルバム用にこの2、3曲があれば、ということからするとちょっと違うかもしれない。というのは、今回はアルバムを作ろうという発想じゃなかったから。だけどライヴをずっとやっている中で、ライヴ後半でその日のライヴを締める楽曲というのは、何曲かポイントで生まれていて。そういう意味で言うと、このアルバムの中では「マイホームタウンの夜に」とか「やせっぽちのブルース」、「川」とかだね。「マイホームタウンの夜に」は数年前に3G (仲井戸麗市、村上秀一、吉田建)でやっていて、それもスタジオで録りたかったんだけどなかなか実現できなくて。そういうことからするとこの辺の曲があればアルバムは作れるかなって思えている曲の1つかな。「川」や「歩く」とかも。
──今回は90年代のチャボさんや麗蘭の作品でお馴染みの山口州治さんがエンジニアを担当していらっしゃいますが、本当に久しぶりの参加ですよね。
仲井戸:そうだね。これまでも何人も優秀な人にエンジニアをやってもらっているんだけど、今回は「州ちゃんと再会が良いかな」って浮上して。彼はもうひっぱりだこだし、どうかなと思ったなんだけど。でも結果的に大成功でした。進化しているエンジニアとしての彼を感じたりしてね。
──音楽の制作現場としても大きく変化していると思うのですが、そうした面で山口さんとの久しぶりのレコーディングはいかがでしたか?
仲井戸:俺もそんなに、スタジオの音について「ドラムの音は必ずこうで」とかいうイメージがあるタイプではないし、州ちゃんは俺ともかつて何度もレコーディングはしてくれているから、基本的に俺の質感はわかっていてくれているしね。それと今訊いてくれたような、レコーディングがデジタル化したとかっていう世の中的な変化に対応したり、あるいは昔ながらのタッチも護ったりね。そんな自分の美学を守ろうとしている州ちゃんのタッチを俺も感じたりね。そういうことを話し合ったわけではないけれど、一回スタジオに入っちゃうとお互いに感じられちゃうというか。山口州治の存在はとても大きかったです。
──演奏を聴いて、参加メンバーは本当に歌心のある素晴らしいミュージシャンの方ばかりだなと改めて感じたんですが、チャボさん自身はどのようにお感じですか?
仲井戸:もう、本当に長いしね。何かを説明しなくてもフィーリング的にキャッチし合えてるようなやつらだから。俺はここんとこ、色んな若手ミュージシャンとセッションも随分多くて、そういうミュージシャンのセレクトの仕方もあったんだけど、今回は自分の中の小さな歴史の中で出会ってきたミュージシャンにプレイしてもらうという最小限の自分との関係性という意味で、CHABO BAND、梅津、片山(広明)、(土屋)公平とやるべきだっていうのは早々と決まりました。
──早々と、といえば今回はタイトル『CHABO』も早々と決まったそうですね。ソロ1stの『THE仲井戸麗市BOOK』と対になるような、もう1つのセルフタイトルともいえると思いますが、愛称を初めてタイトルにした理由を教えて下さい。
仲井戸:俺にしては珍しく(笑)本当にすぐ、これだろうなって。1stの『THE仲井戸麗市BOOK』は、60年代の頃に「The Beatles Book」とか向こうのファンクラブ誌があったりして、良いなと思って付けたような無邪気な発想もあったりしたんだけど。今回は、どう考えても俺はある時期からCHABOっていう名前で生きてきたとか、CHABOになりたかったとか。
──“CHABOになりたかった”というのは?
仲井戸:みんなも色々あるだろうけど、ガキの頃の何かを断ち切りたいとかさ、ネガティヴな方の自分の何かがあるとすればね。そういうことである時期からCHABOっていう奴になって…なれてかな。CHABOとして人生と向かい合えてきたようなところがあるから。俺はCHABOで人生に出会ってきた、みたいなね。
──人生という意味では、老いをテーマにした「オーイっ!」という曲がありますが、チャボさんが年齢を重ねて行く上で、今指針にしているミュージシャンはいますか?
仲井戸:それはもう、たくさんいる。俺とかマコちゃん(鮎川誠)とかは60年代のビートルズやストーンズやキンクスにロックに出会っているからね。ストーンズとかクラプトン、ヴァン・モリソン、トム・ウェイツ、ニール・ヤング…あとジェフベックとか。そういう人たちは本当に身近な目標というかね。勿論、ディランとかね。あまり有名ではないけど、他にもたくさんの先輩アーティストがいる。「オーイっ!」なんて言っているけど、「なんだよ、キースなんていくつだよ!?」っていうのも無邪気にあるわけじゃん(笑)。そういうことからすると、そういう人は何人もいるし。残念なことに亡くなってしまったB.B.KINGとかは、クラプトンたちも目標にしているような人だったわけだよね。今はそれがバディ・ガイになったと思うけど。そういうブルースマン、ソウルマンでまだ現役でやってくれている人もたくさんいるからね。
──そういえば同時期にキース・リチャーズがソロ・アルバムを出しますね。
仲井戸:そうなんだよ。キースに失礼じゃないかなって。違う次元じゃ嬉しいけどさ(笑)。全然知らなかったからびっくりしちゃって。でも嬉しいね。
■俺たちは“バンドマン”ってどこか後ろめたいような気持ちがある

■社会の隅っこにいるような響きが“バンドマン”にある気がする
──「歩く」はストーンズ・タイプのミディアムテンポのロックンロールですが、意外とチャボさんの曲ではこういうストーンズ調のアレンジってないですよね? 土屋さんが参加していますが、麗蘭でもこういう曲はあまりないですし。
仲井戸:そうだよね。もうこれは、公平と2人の共通項でストーンズが好きだし、モロにストーンズを狙おうっていうわかりやすい明快なものがあったね。
──「QUESTION」はどんなテーマで作られた曲でしょうか。
仲井戸:ガキの頃からお父ちゃんやお母ちゃんに、なんでも「なんで?なんで?」ってよく訊く子だったみたいで。今でも覚えてるんだけど、「なぜだろうなぜかしら」って本があったんだよね。そういう本にとても引っかかって。「なぜだろうなぜかしら」って子供の言葉かと思ったら、大人になってもいくつになっても「なんでだろうな?」っていうことあるよね。それの歌になりやすいものを羅列して行って。ありふれた言葉なんだけど、悲しいのと嬉しいのとどっちが多いのかなとか、壊れちゃった夢と叶った夢とどっちが多いのかなとか。それで最後は過去っていう時間も遥かだけど色んなことがあるから、もしかして未来は過去ほどないのかなとか。そういうのも含めてどっちが多いんだろうっていうのを最後投げかけてみたらどうかなって思って書いたんだけどね。あと、ビートはもともとスカみたいなレゲエのアップテンポみたいなものを何回かやっているんだけど、今回録音するにあたって全体のバランスとかでこのアレンジになった。ヒップホップ系の好きなアーティスト、ギタリストを良く聴いている時期があって、俺なりのそういうタッチも良いなって思ってkyOnに相談して生まれたアレンジなんだけどね。
──イントロや間奏で1拍違ったり面白いアレンジになってますね。
仲井戸:あそこを変拍子にしたのは(河村)カースケ。他の曲にも1つあるんだけど。ドラマーならではのね、グッド・アイデア。でも「お前、ライヴで歌い辛いよ!」って言ったんだけど(笑)。
──「雨!」はストーンズの「Rain Fall Down」をモチーフに作られた曲ですか?日本語カバーをライヴで頻繁にやっていましたが。
仲井戸:まさにそう。3Gでもやったしthe dayでもやってたしね。ライヴ映えする曲で、リフが明快で。カバーは勝手に日本じゃ作品にできないから、詞はまったくオリジナルで曲を壊さない程度に、リフを含めて近いタッチで自分の作品にしたんです。ここらへんの曲を作ったのは3.11の頃だから、雨っていうのは1つのキーワードだよね。“雨を汚したのは誰”っていうのは、60年代にジョーン・バエズとかが歌っていたプロテストソングだけど、そういうのを聴いて育っているから、そういうものとストーンズのイメージを引っかけて書いたんだと思う。
──「灰とダイヤモンド」で歌われているように、チャボさんには自分はバンドマンなんだ、という意識があるんだと思います。そうした思いを強くしたのはいつ頃なんでしょうか。
仲井戸:ある時期からそういうことを思う時期が始まったんだけど。簡単に言えば車とかでおまわりにとっ捕まったときにさ、「職業何やってんの?」って訊かれたときに“バンドマン”って言い切れない自分がいて。バンドマンって言いかけて「自由業です」って(笑)。もっと言うと親戚の集まりとかで「あなたまだバンドやってるの?」みたいな(笑)。今の子はそういうのは飛び越えているけど、俺たちはバンドマンっていうとどこか後ろめたいようなね(笑)。もしかして必要以上にそう思っていたのかもしれないけど、明らかに社会の隅っこにいるようなタッチが“バンドマン”っていう響きにはあったような気がしていて。でも半分は「冗談じゃねえよ、俺はこれで暮らしてるんじゃねえか」みたいなことを思いたい、というのはあったかな。こんな年齢になって、気が付いたら俺はティーンエイジャーの頃からバンドで、それがなかったらここにいないじゃん、新宿のどこかで野垂れ死んでいたはずだよってことから思うとね。“バンドマン”って職業欄に書いて良いじゃねえかっていう、自分への思いだけどね。そんなことだと思う。それを“ロックンロール”と呼んでも良いと思うんだけど。
──以前観たゲイトマウス・ブラウンが、ライヴ後にサインをしている姿に感銘を受けて、「仕事」ということを意識し出したという発言も過去にありました。
仲井戸:シカゴに行ったときにゲイトマウス・ブラウンを観たんだけど、もうそのとき70何歳でライヴが終わったらヘトヘトなのに、終わったらニコリともせずにサインして自分のCDとかグッズを売っていて。それを見て「すげえな」って感動したんだよね。それと、オーティス・ラッシュがインタビューで「ブルースってなんですか?」って訊かれて「My Business」って答えていて、それも感動したんだよ。「そうだ、俺も仕事だ」って。ロックンロールが仕事だって言ったら若い子は誤解しちゃうかもしれないけど、いいや誤解されてもって。“ロックンロールが仕事”。だってそうなんだもん(笑)。もちろん楽しさを求めてやるんだけど、「俺はこれで食ってるんだ」っていうのは、オーティス・ラッシュから教わった言い方だね。誇りだし。
──最近はTVでトーク番組のホストを務めたり、大きな変化を感じますが、それは「自分はバンドマンとして生きているんだ」という意識から、以前より壁がなくなって来たからでしょうか。
仲井戸:間違いなくそうだと思う。ただ、壁がなくなったというわけじゃなくて、やっぱり迷って「どうする?」みたいにはなってるんだけど(笑)。前だったら絶対行かないし、行ってもトラブルを起こしてたような奴だからね(笑)。自分が番組のホストなんかできるのかっていう葛藤はあったけど。でも飛び込んでみようというが1つと、それと明快に仕事だし、それはやるべきだろうという、両方かな。でもやって良かったと思ってる。
──変化といえば、ここ数年はストラトからテレキャスにメインギターを替えましたよね。それはどんな理由からですか?
仲井戸:ギブソンももちろん好きでいまだにレコーディングで使うんだけど、自分が歌うというシチュエーションだったら、やっぱりフェンダー系が扱いやすくてストラトだった。でもテレキャスもずっと好きで。ここんとこしばらくテレキャスを弾いていて。でもこないだちょっとストラトもいじらなきゃって弾いたらさ、ストラトが言うことを聞いてくれなくなっちゃったんだよね、拗ねちゃったのか(笑)。
──しばらく弾かなかったら拗ねちゃったんですか(笑)。
仲井戸:まあちょっとメンタル的な話かもしれないけど。テレキャスを使う度合が増えれば増えるほど、久しぶりに弾くとかつて自分が慣れ親しんだストラトじゃなくて、もう拗ねちゃってるよね。「なによ、テレキャス弾いてるくせに!」みたいな(笑)。
──ははははは!
仲井戸:いや本当に(笑)。だからストラト弾くなら、ちょっとテレキャスに休んでもらってちゃんとストラトに向かわないと。でもテレキャスも半端になっちゃうと嫌なので、今はストラトには「申し訳ない、ちょっとテレキャスに向かわせて」みたいなことで(笑)、レコーディングは今回、全部テレキャス。極端に言えばピックアップもほとんどフロントばっかりとかね。終わってみて自分でもビックリした。スティーブ・クロッパーみたいな音色で育った背景もあるかもしれないけど。ただ「灰とダイヤモンド」だけスライドでGIBSON ES-340を使ってるけどね。
──アルバム発売前の9月6日渋谷公会堂のライヴを終えると、10月には古井戸のライヴがおこなわれます(10月18日長野と20日東京)。これは正直驚いた方も多いのではないかと思います。
仲井戸:もう本当に解散して以来の再会、くらいで。まあ場所場所ではちょこっと会ってはいるんだけど、もちろんステージは初めてだし。それまでには俺が声を掛けられて散々「俺はできない」って言ってきたような経緯もあるし、今回は45周年でRCもあって麗蘭もあってソロもあって、小さな俺の歴史をやるときに古井戸というのはどうするのかって。古井戸の曲を俺が歌えば歴史の中に古井戸も収められるし、それで良いんじゃないのってこともあったんだけど、ここで加奈崎(芳太郎)さんに会わなかったら、たぶんもう、年齢も含めてお互いに会えなくなるんじゃないかっていう問いかけもあって、最終的には会うべきかなと。自分の45周年ということで声を掛けるのは少し都合が良すぎるかなっていう懸念もあったんだけど、彼に快諾してもらって。今は決心して良かったと思っているんだけど。ただ、45周年のライヴは30分くらいしか古井戸のパートはないから、フルライヴも長野と東京と2回やります。
──加奈崎さんとの再会ももちろんですが、“友達という存在”を歌った「川」ではやはり清志郎さんのことを思い浮かべずにはいられませんでした。清志郎さんが亡くなった後、チャボさんのライヴを観に行くときに、同時に清志郎さんにも会いに行くような気持ちで行っていた人も多いと思うんです。その反面、チャボさんにとってはそれが重いものなのかもしれないという、複雑な想いがあったり。そうしたことをチャボさんはどのように感じていらっしゃったのでしょうか。
仲井戸:とても難しかった、やっぱり。そういうライヴに自分が出るべきなのか、とか。清志郎のことについての色んなインタビューも含めてね。「何を答えるんだろう?」って。どうするべきかっていうのは、本当に毎回行ったり来たりして相談して、きっとお断りしたものもあったと思うんだけど。一言では言えないけど、それはもうおもいっきりあった。もしかしたらいまだにあるかもしれない。でも、時間というのはきっと意味があるような気がして。時間が経っちゃったからそういうことが薄れたっていうことじゃなくてむしろ濃くなってるんだけど、あいつの不在の感じというのはね。だけど、自分はそばにいた人間として、答えられるなら答えれば良いんじゃないかって。あと、清志郎がいなくなってからず~っと、それは今でもちょっとあるんだけど、清志郎がいなくなっちゃった、二度と会えないという実感がやっぱり持てなくて。みんなもきっと、親しい人との別れはそうだと思うんだけど。同じ頃に自分の両親が亡くなっているんだけど、同じように悲しいけどそれは年齢のことできっと自分の中で収められる別れだったりね。清志郎はやっぱり58歳っていうのは若かったから、あいつがいなくなったことが信じられないというか。ただ一方で今は「清志郎は58年っていう人生を全うしたんだ」ってある時期から思うようになれたというか、思うべきだと考えるようになって、自分なりの清志郎との別れは語れるなら語れば良いんじゃないかって。まあそれも行ったり来たりだけどね。
──ありがとうございます。最後に、今のチャボさんの夢を教えてもらえますか。
仲井戸:夢という言葉とは違うかもしれないけど、楽曲を1曲でも作りたい、アルバムを1枚作りたい、1回でも多くステージを踏みたいとかそういうことだと思う。こんな年齢になっても、いわゆる世の中で言う一般的な社会性なんかも結局自分はないような奴だとすると(笑)、ステージに出たときくらいは自分の聖地として誰にも文句を言わせない場所でありたいから、それを自分なりのレベルとして深めたいというか、そういう思いかな。若さのきらめきはないけど、自分の年齢で若いやつにできない何かを掘り下げて、自分なりのレベルで歩くことがこれからの自分なんじゃないかなという気がしてる。まあ遥か彼方に俺の敬愛する大好きな先輩アーティスト達がいますから。俺なんか小僧です、まだ(笑)。
取材・文:岡本貴之
アルバム『CHABO』


2015年9月16日発売

LNCM-1121~2 ¥3,519+税

体裁:CD+BONUS CD 全17曲収録

発売元・販売元:Mastard Records

収録曲目

1. やせっぽちのブルース

2. 祝祭

3. オーイっ!

4. QUESTION

5.「僕等のBIG PINK」で...

6. 何かいい事ないかな?子猫ちゃん

7. 雨!

8. ま、いずれにせよ

9. マイホームタウンの夜に

10. MY NAME IS CHABO

11. 歩く

12. 灰とダイヤモンド

13. 川

14. SEASON

[Bonus Track CD]

NOW I'm 64

ブルース2011(LIVE)

セルフポートレート2015
ライブ・イベント情報


<麗蘭 TOUR「GOOD TIMES ROLL」>

麗蘭 are... 仲井戸麗市(Vo.G)土屋公平(G.Vo)早川岳晴(bass)JAH-RAH(Dr)

2015年9月11日(金)広島 CLUB QUATTRO

問:YUMEBANCHI 夢番地(広島) 082-249-3571(平日11:00~19:00)

2015年9月13日(日)心斎橋 BIGCAT

問:サウンドクリエーター 06-6357-4400

2015年11月18日(水)名古屋 CLUB QUATTRO

問:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(平日10:00~18:00)

2015年11月20日(金)神戸 チキンジョージ

問:サウンドクリエーター 06-6357-4400

2015年11月21日(土)福岡 Gate’s7

問:キョードー西日本 092-714-0159

2015年11月22日(日)福岡 Gate’s7

問:キョードー西日本 092-714-0159

2015年11月28日(土)Live House 浜松 窓枠

問:サンデーフォークプロモーション静岡 054-284-9999

2015年11月30日(月)仙台 darwin

問:GIP 022-222-9999(24時間自動音声案内)

2015年12月1日(火)札幌 ペニーレーン24

問:WESS 011-614-9999
バンバンバザールPresents「勝手にウッドストック2015」>

開催日程:2015年9月19日(土)~21日(月・祝)

開催場所:神奈川県相模湖畔みの石滝キャンプ場

出演日:9月19日(土)
<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015 >

開催日程:2015年9月26日(土)~ 27日(日)

開催場所:中津川公園内特設ステージ(岐阜県中津川市茄子川1683-797)

9月26日(土)19:00~ RESPECT STAGE
<古井戸「再開」>

仲井戸“CHABO”麗市×加奈崎芳太郎

2015年10月18日(日)諏訪市文化センター(長野県)

問い合わせ:グッドニュース 0266-54-7210

2015年10月20日(火)東京キネマ倶楽部

問い合わせ:グレイトフル info@grateful.co.jp
<Amrita Custom Guitars presents 徳武弘文×仲井戸”CHABO”麗市 and Friends>

2015年11月2日(月)

東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

出演:徳武弘文 with 鉱石ラヂヲ/仲井戸”CHABO”麗市/岡本定義(COIL) /下地勇/Aisa

問い合わせ

Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 03-5459-5050

Amrita Custom Guitars and Records 03-6418-6311
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◆仲井戸麗市 オフィシャルサイト

◆仲井戸麗市 オフィシャルFacebook
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