コラム【伊藤美裕の歌謡遊泳】12時半
だョ!全員集合

夏の歌謡祭=ミユダマを開催して今年で5年目。
赤坂に場所を移して、2016年はかつてその地に存在した伝説のキャバレー『ニューラテンクォーター』をモチーフに、煌びやかな歌謡曲のショーにしたいとゲストの方を招いてお届けした。一転して今回はみんなでワイワイできる親しみのあるイベントをつくりたくて、赤坂にあるTBSの伝説の番組『8時だョ!全員集合』をテーマに選んで、イベントを構成した。
それにしてもここまで、ある年代から上はみんながよく知っている番組があるというのもすごい。知らない方のために一応説明をしておくと、「8時だョ!全員集合」は毎週土曜日夜8時から生放送されていた、ザ・ドリフターズ主演のコント番組。オープニングとエンディングの曲も、たとえ歌詞をはっきり知らなくても観ていた人ならなんとなく口ずさめる。BGMもひとつひとつ、体に染み込んでいるという感じで、ヒゲダンスのテーマが流れたら誰でも手のひらを床に押すような仕草をして、あのダンスを披露してくれるし、「今回は『8時だョ!』をやりたいんです」と言うと、番組を巡ったそれぞれのエピソードをみんなが楽しそうに話して聞かせてくれるのが印象的だった(収録会場に行って参加したことがあるだとか、弟はひょうきん族派で僕はドリフ派だっただとか、云々。)

私はその度に、その頃のお茶の間を想像するのが楽しかったし、当時はこの番組を中心に世の中が回っていたのではないかと思いさえするほどの影響力だったんだろうなぁと思う。ギャグとかね。子供から大人まで楽しめる、世代をつなぐ役割が今の歌謡曲にもあってほしい、という思いがいつもどこかにあるけれど、この番組はそれを体現していて、学ぶことはたくさんある。今回、私のようにこの番組をリアルタイムでは知らない若い世代の人も、上の世代の人と一緒になって楽しむひとつの機会になったことは、この番組の魅力のおかげかなぁと思う。
それにしても「8時だョ!全員集合」を観ていると、キャストやスタッフ含め、いい番組にしよう、と関係者全員がこだわってものづくりをしていたのがとても分かる。それはこの時代の音楽に関しても共通して言えることで、番組も生で、演奏も生で、ということが、作り手の熱が伝わりやすいひとつの要因なんじゃないのかなと思う。今のアーティストはSNSだとか、やることがたくさんあって大変ですねなんて言われるけれど、その頃のアーティストだってお芝居やコントなどいろんなことをやらなくちゃいけなくて(しかも生で!)大変だったのだ。番組に登場したジュリーを観ていて、ふと思った。

言わずもがなですが、本来の番組はもちろんコントが中心だけれど、今回のイベントでは歌メインでお届けしました。
音楽というと大勢でつくりあげる舞台と違って、どうしてもソロやグループ単位の個人プレーになってしまいがちだけれど、歌謡曲のシーンを盛り上げようという仲間のパワーが合わさって、手前味噌ですが熱を帯びたイベントになったと思います。来てくれた人が喜んで帰ってくれてよかった。協力してくれたミュージシャンに感謝です。

「また来年〜〜〜〜〜!」
さて、次回はどんな内容にしようかな。

伊藤美裕

生年月日:1987年4月4日生まれ
血液型:A型
出身地:大阪府池田市
特技・趣味:バイオリン、古着屋散策
座右の銘:in dreams begin the responsibilities(責任というものは夢見ることから始まる)

全日本歌謡情報センター

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