【ライヴレポ】さくらしめじが“菌育
”スペシャルで成長した姿を見せる!
夢の地へ向けた“僕らの旅”

田中雅功&髙田彪我による現役高校生フォークデュオ・さくらしめじのライヴハウスツアー『菌育 in the 家(はうす) スペシャル!』が、3日、東京・渋谷クラブクアトロで行われた。彼らが中学生時代に全国47都道府県で開催したフリーライヴツアー『菌活』で撒いた“胞子”をさらに育てるというコンセプトのもと、約1年をかけて各地で展開していくライヴハウスツアー『菌育 in the 家(はうす)』のスペシャル公演となる今回。ふたりが考えたセットリストをギター2本+タンバリンというシンプルな構成で表現してきた同ツアーだが、“スペシャル”と銘打つこの公演では何かが起こりそうな予感が……?
4月に行われたワンマン『さくらしめじのeat shun』よりもかなりコンパクトな空間であるクラブクアトロのチケットはソールドアウトしており、フロアは各地からやってきたきのこりあん(ファンの総称)でギッシリだ。元気よくステージに登場してきた雅功と彪我は、「今日は最後まで楽しんでいきましょう!」と語りかけ、オープニング曲「いくじなし」を弾き語りでスタート。彼らの“始まりの曲”ともいえるこの曲では、のっけから観客の雅功コール&彪我コールが炸裂!デビュー当時に比べてギターを弾く姿がさまになり、変声期も終えようとしているふたりだが、<届け届け僕の気持ち/走れ走れいくじなしーっ!>のフレーズの持つ力はストレートに聴く人の胸に響いてくる。続けて、夏休み中の恋模様を歌った「ふうせんはなび」へ。普段の明るく元気な歌声とは違う、吐息混じりのふたりの歌い回しにちょっとドキッとしてしまったり、この春進学して“高校生しめじ”になった彼らの成長ぶりが伝わってくる1曲だ。
伸びやかな掛け合いボーカルを聴かせる「まよなかぴくにっく」後のMCでは、9月に入り新学期が始まるシーズンということで、「宿題、終わった?」と確認しあうふたり。実はまだ提出していない課題がかなり残っているという雅功は「ここに立っている間だけは、宿題のことは忘れさせてください」と苦笑い。
そんなふたりの“DK”らしいMCに続いて、“自分の殻を破って外の世界に飛び出したい!”という想いを込めた「てぃーけーじー」へ。彼らの楽曲の中でもロックで疾走感のあるこの曲では、彪我がテンションMAXで客席を煽り、雅功はギターを楽しげにかき鳴らし、ファンも「てぃーけーじー!」コールで応戦。前半戦にしてかなりの盛り上がりを見せていた。
続いて、今回のツアーでの新企画「即興3ワードソング」へ。彪我が観客3人にもらったキーワードを盛り込んで即興で歌詞とメロディをつけ、雅功が伴奏するというもので、この日のお題は「きのこ」「パスタ」「スイカ」。一見、共通項の見出せないこの3つのお題に「最高の曲ができそうだぜ!」と張り切る彪我は、かなり強引だがお題をひとつの歌にまとめきり、観客から拍手喝采を浴びていた。
場がすっかり温まったところで、「今回はスペシャルなので」と呼び込んだのは、バンドメンバー!この強力なチームで、ポップな「あやまリズム」へと突入していく。アニメ『トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察』(TBS系)エンディング主題歌としてすでにお馴染みのこの曲では、オリジナルの“おばけダンス”をキメているファンも多く、客席もぐんぐんヒートアップ。続く「あやまリズム」カップリング曲「ケセラセラララ」も、さくらしめじの新たなライヴの定番曲になりそうなキャッチーさで、きのこりあんの大合唱が響き渡った。
後半戦ではメランコリックなスローナンバー「きのうのゆめ」、そして初期の名曲「せきがえのかみさま」へ。この曲では<見てくれた?僕の事>など、彪我の歌う部分のキュート感がポイントなのだが、タイトルにちなんで立ち位置を変えた雅功がやや高めのマイクに向かって「背伸びなんかしてないよ?」ととぼけたタイミングで、フロアからは黄色い歓声が漏れていた。
「いやあ、楽しいね!」(雅功)、「バンドっていいね」(彪我)とノリノリなふたりは、続く「ねこの16ビート」の振付をレクチャー。激しいサウンドをバックに愛嬌溢れる“ねこダンス”が繰り広げられ、ステージも客席も一体感がぐっと高まっていく。そしてラウドなサウンドと構成の妙で、さくらしめじの楽曲の中でも新機軸といえるナンバー「いーでぃーえむ」では、この日のハイライトといえる熱気まじりのプレイを見せていた。ファンにも人気の高いこの曲では、雅功の歌う「我愛你」に観客が「豆(Soy!)」と返すなど、お約束のコール&レスポンスにも力が入る。瑞々しさが光る「ひだりむね」で本編は終了した。
アンコールでは、「僕らにとって大切な曲です」と、ふたりで初めて作ったオリジナル曲「おもいでくれよん」を熱唱。47都道府県を巡るフリーライヴツアー『菌活』の旅で感じた想いを綴ったこの曲に、会場全体がじっくりと聴き入っていた。この日、何度も「楽しい!」と呟いていた彼ら。「今日みたいな楽しいライヴを積み重ねて、もっといろんな方に僕らの曲が届くように頑張っていきたい」(雅功)、「楽しいライヴを続ける中でさくらしめじとして成長していって、夢であるさいたまスーパーアリーナで僕らの曲を響かせることができたら」(彪我)としみじみと語っていた。
と、ここでさくらしめじからのお知らせが!2018年3月以降の神奈川、静岡、北海道、大阪公演、そして今回に続く『菌育 in the 家(はうす)スペシャル!』として、今年12月9日の東京・赤坂BLITZ公演が大発表され、フロアからは今日イチの盛大な歓声が湧き上がった。
約1時間半のステージを締め括ったのは、ライヴのエンディングではお馴染みの「みちくさこうしんきょく」。会場全体で大合唱する「ラララララララ」が晴れやかに響き渡るこの曲では、「ドライブヘッド観ているよって人!」「猫が大好きな人!」などとチーム分けしながら大合唱。温かくハッピーなムードが漂う中、全17曲が終了した。
歌とギターだけという構成で、47都道府県を巡ったフリーライヴツアーなど鍛錬の成果を披露した前半戦、そしてアーティストとして成長しつつあるふたりとバンドメンバーの繰り広げる化学反応を楽しむ後半戦で楽しませた同ライヴ。彼らが憧れる人気バンドたちも立ってきた登竜門的な空間で、何よりも会場に集まったファンの一体感を楽しみながらのライヴは、ふたりにとっても感慨深いものになったのではないだろうか。さくらしめじの目標であるさいたまスーパーアリーナまでの道のりはまだまだ遠いが、「おもいでくれよん」の<はじまったばかり 僕らの旅>のフレーズに期待感を膨らませつつ、彼らの旅を見守っていきたい。
写真/ハヤシサトル、文/古知屋ジュン

ランキングBOX

“気になる人の気になるランキング”をテーマに、様々な分野の著名人へ直撃した「MY BEST3」を紹介!オリジナルのランキングインタビュー記事をはじめグルメなどのトレンド情報やエンタメなどのストレートニュースなども毎日配信中です。

新着